衆議院議員 高木陽介
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毎日フォーラム

毎日新聞社刊 2006年11月10日発売号掲載

 

「毎日フォーラム」は毎日新聞社の論説委員、官庁詰めの一線記者のほか、現役官僚や大学教授などの専門家が執筆している政策情報誌です。(一般書店では扱っていません。)

   
 

 

「連立第2期」に入った公明党の戦略

言うべきことは言い、自民党とがっぷり四つに

 

 

「政治の安定に寄与」に一定の評価

 

 安倍政権の発足とともに、公明党も神崎―冬柴体制から太田―北側体制にバトンタッチされた。

 太田昭宏新代表は9月30日、党大会の就任あいさつの中で、「自公連立政権も新たな段階に突入しました。それを私はあえて『連立第2期』と呼びたい」と語った。

 これまでの連立7年間の評価はさまざまだ。公明党が連立政権に参画した平成11(1999)年のわが国の時代状況はどうだったろうか。山一證券、北海道拓銀、長銀と次々と大手金融機関が崩壊していった。それまで経験のしたことのない金融危機の前に、不安定な政治は有効な手だてを打つことができなかった。そのような中で、当時の小渕恵三首相から連立参加の要請を受け、「政治の安定」と「経済の危機脱出」を図るため、公明党は連立参加の決断をした。

 先日の党大会直後の各新聞の社説をみると、「バブル崩壊後の経済危機、金融危機による『失われた10年』をようやく克服できたのは、公明党の連立入りで政権基盤が安定したことも一因」(毎日新聞)、「自公連立は、『政治の安定』に寄与してきた」(読売新聞)など一定の評価をいただいている。

 その一方で「右傾化へのブレーキ役」として「いよいよ真価が問われる」(朝日新聞)といった注文や、憲法、福祉、格差是正、教育などをめぐって、「遠慮なく自民党にぶつかり公明党らしさを押し出してもらいたい」(朝日)、「連立に埋没せず『らしさ』を」(毎日)などの指摘もあった。

 

自衛隊海外派遣の決断は正しかった

 

 特に連立7年は経済の危機は脱出したものの、公明党にとっても厳しい選択を迫られる場面がいくつかあった。急激に進む少子高齢社会に対応するための社会保障の問題。9・11テロから始まった自衛隊の海外派遣問題など、「福祉の党」「平和の党」を看板にする公明党が「なぜ?」と批判も受けた。

 だが、私自身、これらの決断については正しかったと思っている。どの政党が政権を担っていたとしても、年金・介護・医療といった社会保障の改革も、イラクの自衛隊派遣も選択せざるを得なかったと思う。あえて反省するといえば、国民に対する説明責任が十分といえない場面があったのではないか。ただ、神崎武法前執行部を少し擁護させてもらえば、連立パートナーである自民党、なかんずく小泉純一郎前首相の説明責任能力の乏しさが、公明党が矢面に立たざるを得ないという状況もあった。

 さて、太田新執行部は今後どうするか。「連立第2期」をどうしていくのか。「自民、公明両党にあっては、お互いに言うべきことは言うという『連立第2期』にしなければならない」と太田代表は党大会で訴えた。生まれも育ちも違う自民・公明両党だ。一から十まで同じなら同じ政党になればいい。太田代表の「言うべきことは言う」というのは、7年間にわたる連立の信頼関係に立って、主張していこうとする決意の表れだと思う。

 マスメディアは太田体制のスタートにあたって、安倍体制との相違が顕在化して、連立政権にすき間ができるのではないかとの懸念を指摘していた。特に「憲法問題」や「安全保障」などで、安倍晋三首相はこれまでどちらかというとタカ派≠ノみられていたため、公明党との違いが注目されていた。

 だが、憲法問題も現在、「国民投票法案」が国会で討議されているが、すぐに改正問題が俎上(そじょう)に載るわけではない。「国民投票法案」も自・公の間では合意され、民主との協議に委ねられている。その上で、憲法改正案を国会として発議するためには、衆参両院の3分の2以上の賛成が必要なので、自・公の協議はもちろん、民主党も含めて合意しなければならない。憲法問題は今後数年かかると考えられる。また、「集団的自衛権」の問題も、今国会の代表質問における安倍総理の答弁は慎重だった。

 

政策各論で真価問われる太田執行部

 

 「連立第2期」で公明党は具体的に何に取り組むのか。党大会で決めた「運動方針」「重点政策」では「教育改革」「少子高齢化」「新しい経済成長」「地域再生」「格差抑制」の五つの挑戦を掲げた。さらに「創造的アジア外交の推進」「財政健全化」「安全・安心社会の構築」について提起した。

 どのテーマも今後の日本の未来を決める重要な課題だ。安倍首相の首班指名の前日に行われた連立政権合意文書でも確認されている。

 ただ、合意文書では総論的に書かれているため、各論に入るとそれぞれの党の意見がぶつかる場面は出てくるだろう。その時こそ、「言うべきことは言う」と宣言をした太田執行部の真価が問われる時だ。太田代表は「信頼関係をもとに真剣に議論を戦わせ、よりよい一致点を見いだし、改革を前進させていく」と語った。「連立第2期」、太田公明党は、自民とがっぷり四つに組んでいこうとしている。

 

(毎日フォーラム 2006年11月号掲載)

 
 

   
     
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