官邸に“21世紀住宅本部”を
少子高齢化対策は「住宅」で
―日本の住宅問題に対する認識からお話し願います。
高木 終戦直後から昭和30年代は住宅のストックが足りなかった。ところが、ここにきて住宅の戸数の方が世帯数を上回るようになってきた。だから問題解決かというと、住んでいる人たちの実感、特に都市部で住宅に対する満足度が低いという状況です。
経済大国として世界のトップクラスをいく日本にとって、住生活、衣食住の柱の「住」に対しては満足度が低い。この点は、国の政策としてアンバランスかなと思っています。国民の生活環境、ニーズ、それは多様化しているので、その多様化に合わせることが必要な時代ですね。
普通にまじめに働いている人たちが家を買うことは大きな買い物で、やはり負担が大きい。年収の5倍で買えればいいんでしょうが、サラリーマンではそう簡単にはいかない。普通の人達がマイホームを持てる、もしくは賃貸でもゆったりとしたそれなりの生活ができる、そういった環境づくりが必要だと思います。
―公明党は、住宅問題に熱心ですね。
高木 昭和40年代から住宅基本法を出し続けてきて、今回8回目で住生活基本法になりましが実現しました。ようやくトータルで住宅問題を捉えられるようになったと思っています。
政治の役割として1番視点を置かなければいけないのは、弱い立場の人です。自分で家を買って優雅にやっていける人は政治の恩恵がなくても生活していけますが、そうでない方に光を当てるのが、政治の責任だと思います。私は公営住宅問題を担当してきて思ったことは、例えば東京の公営住宅の倍率が20倍だったんですね。当たった人はいいけれど、残りの19人は入れない。そうした人たちに手を差し伸べる必要がある。
ただ、国や自治体にとって公営住宅を提供する方向性は財政的な問題もあって、ほとんどない。入れない次のステップはどうするかが問題となります。ここで出てきたのが、今までの高優賃を再編して住宅にしましょうという案です。地域住宅交付金もそれなりの額を用意しました。次のステップの住宅を供給しましょうというものです。
―年金問題も重要ですが政治が手当てしなければならないのはやはり住宅ですね。
高木 高齢者のなかで、持ち家の人と賃貸の人とでは、同じ金額の年金をもらっても生活レベルが全然違ってしまいます。高齢者の老後の話というのは、住宅がしっかりと安定した上で、年金というものが成り立つのだろうなと思う。市場家賃の中で暮らしていく場合、年金がそう多くない方はどうするのか。素朴な疑問です。住宅問題の比重は大きいですね。よく、社会保障制度に関して年金、介護、医療といいますが、住宅も加えた4つにしないと高齢者は安心できないと思います。
一方、少子化対策で子育て支援が大事ということで、児童手当とか乳幼児の医療無料化などを進めている。でも、例えば、2人目の子供を産みたいけれどスペースがないという話が現実にある。だから、子育て世代に対する住宅が大切で、産んでから住宅が整うのではなく、整ってるから産んでいこうというように、逆にしなければならない。少子高齢化対策における住宅政策というのは、優先順位が最も高いといっても過言ではないと思います。
社会資本の視点で
―今、住宅金融公庫がなくなり、住宅減税も減らされ、持ち家を持つ人への政策が後退しています。
高木 住宅ローン減税がどんどん縮減されています。これについて、財務当局はバブルが崩壊して、景気対策の中でパイが大きい住宅にインセンティブを当てようという発想の中で出てきたといいます。それなりの住宅をきちんと持てるようにするために、住宅減税というのをはっきりと位置づけ、景気の善し悪しに関係なく、継続すべきであろうと考えています。
―基本法論議では「住宅は社会資本」ということが話題になりましたが、今後の住宅政策のポイントについて。
高木 住宅問題の中では都市部の集中も問題であり、住宅と職場の近接、あるいは生活に必要な環境のところへの近接だとか、コンパクトシティでの居住など、都市部だけではなく、地方も含めて住宅を位置づけていく必要があると思います。また、バリアフリー、耐震も大切な課題です。さらに大都市の木密地域の解消があります。ポイントは「住宅も社会資本」という認識です。個人のものではあるが、それは街にとって必要だし、人間生活の基本であり、社会資本だと私は捉えます。
縦割り型の考え方はやめて、例えば高齢者の集合住宅の一角にケアハウスを作るとか、保育園も作って高齢者と子供たちのコミュニティをつくるとか、そういった発想というのが必要です。そうなると、これは国土交通省の住宅局だけが関わればいい話ではなくて、政府をあげて考えなければいけない話ですね。
官邸の中に「21世紀住宅なんとか対策本部」のようなものをつくってもいいのではないか。都市再生本部は、主として景気対策だった。緊急な都市再生ということで、大きなビルを建てて、それで終わってしまっている。そこには住宅も必要であり、住宅対策本部のようなものを政府がつくって、総理が本部長となる。関連省庁の大臣も加わり、今後の21世紀の住宅をどうするのか、議論、検討することが今大事だと思います。
(住宅経済新聞 2007年4月25日付掲載)
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