会 議 録

第128回 衆 「規制緩和に関する特別委員会」 3号
1993/10/27

○高木(陽)委員 公明党の高木でございます。
 まず宮尾先生にお伺いしたいと思うのですけれども、戦略的規制緩和ということで、現在の資産デフレを克服するためにこういう流動化を進めるというのはすごく納得するのですけれども、もう少し中長期的展望に立った上で、その後、デフレをもし克服して、その後の規制緩和のあり方というのはどういうふうに見ていったらいいのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
 中条先生には、今の日本人の体質というか、お上にすべて決めてもらう、お上にやってもらうという発想がある。そういうふうに思うのですけれども、先生のレジュメの中の「自己責任の向上」というところで、一つは生産者の自己責任の向上ということでPL法なんかも、これは今も委員会の方で話が進んでいますけれども、そういうような中で、もう一つ、太田先生も言われた消費者の意識変革というか、消費者の場合だと、何か事故が起きた場合なんかすぐに、何で国がそういうのを規制していなかったのだという、責任を転嫁するみたいな形が非常にあって、そこら辺、それはもう意識を変えてもらうしかないでしょうと言われればそこまでなんですけれども、そういう方法論的に何かございましたら、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

○中条参考人 日本人の体質ということなんですが、私は実は楽観的に考えています。日本人の体質という点では、今は非常にあがきの時代ではないだろうか。経済的な規制というのは、これは、産業が幼稚段階であり、成長段階であった時代にそれを保護してやる、要するに子供が大人になるための段階として必要であった。経済大国になって、大人になったのだからもう突き放しましょうという部分というのがあると思うのですね。それは経済的な部分だけではなくて、社会的な部分にもかなり出てきているのではないか。
 例えばPKOをどうするかという話も、それがいいか悪いかは別としまして、それを考えようという時代に来ている。それから、日本の侵略ということを認めよう、言葉で認めようという考えも出てきている時代になっている。つまり、日本人が大人になりつつある今はあがきの時代であろうというふうに私は思っているわけです。
 そういう点で、経済的な自立、自己責任という点でも、これから少しずつ変わってくるのではないか。今までは確かに一律志向という形で、むしろ規制で全部決めてもらっていた方が楽であるというふうに考えていた人が多かったわけですが、しかし、例えば、今ハワイ旅行をお正月に行けば高い価格だ、閑散期に行けば安い価格だ、そういうことを認めるような、そういうことを受け入れるぐらいのところには変わってきているわけですね。そういう点をもう少し、これはもう消費者意識の向上のキャンペーンをしていくしかないわけですけれども、そんなに無理をしなくても、私はこの意識は、楽観的かもしれませんが、変わっていくであろうというふうに思います。
 以上です。

○宮尾参考人 まず戦略的な規制緩和について御賛同をいただいたのですが、私は具体的には土地の話に集中いたしますが、これは、証券についても規制緩和が必要なことは言うまでもないわけで、行政指導による売買抑制その他の廃止とか自社株保有の問題、先物市場に対する規制の緩和、先ほどちょっと触れましたが、新しい証券化商品の自由化とか、さまざまな資産市場の活性化の施策というのは土地に限らず必要なもので、優先的にやる必要があるということを改めて強調したいと思います。
 それに関連しての御質問で、それはそうだとしても、中長期的にどうかという話ですが、私はこの不況は既に中長期的な問題になっているというのがまず第一の視点でございます。景気が短期で、ほかのものは中長期だという、よく政府ブリーフに出てくる、最初の一行目に書いてあるような文章は私はとっておりません。中長期的にも、このままほっておけば、十年、二十年で日本は体力が弱っていきますから、こういう規制緩和の問題自身も実は吹っ飛ぶほどこの問題は深刻でありますから、まずは区別をしていないということが第一点です。
 第二点は、そうはいっても、中長期的にほかの規制緩和についてどう考えるかという点では、内容の問題とシステムの問題、二つあります。内容については、やはり諸外国で規制緩和をして、将来産業が、今勃興しつつある分野で日本が一番おくれているというところを見つけることはできるわけです。
 例えば、今非常に話題になっている通信、情報など、アメリカでは超マルチメディア革命というのがどんどん起こっておりますが、その点日本が最もおくれているわけです。郵政省の規制、それからもちろん、中条先生のお話の運輸の問題、それから金融の問題。こういう大蔵、郵政、運輸といったようなキーエリアというのは日本が最もおくれている分野ですから、こういうものにターゲットを当てて、これも戦略的にそこを解体していくということが必要です。
 今は、むしろ強い官庁、例えば大蔵や通産がリーダーシップをとって、ほかの官庁に、おまえやれと言っているようなのが並んでいるわけですが、これは全く逆で、強い官庁の規制ほど政治家がリーダーシップをとってやらなければいけない。そういう戦略が必要だと思います。
 それから、最後に、それを将来にわたってどうやって推進していくかという枠組みの問題として、それを常に押しとどめようとするこのあり方、システム、先ほど申し上げた官僚主導で、いわば半分世論操作みたいなものがシステム化している。このシステムを直さなければ、いつ何どき再び規制が強められるかわからない状態ですから、先ほど申し上げました官庁主導の委員会、審議会、記者クラブ、マスコミのあり方、そういうものについても、この循環のどこかにメスを入れて、政治家のリーダーシップで、本当の民意の反映、中立的な学者の意見というものを反映させるようなあり方をどこかで考えないと、今回のテレビの偏向問題というようなことの具体的なあれがいろいろな形であらわれてきているのが大きいのではないかというふうに考えておる次第です。


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