会 議 録

第129回 衆 「逓信委員会」 1号
1994/3/24

○高木(陽)委員  公明党の高木でございます。
 まず、受信料を払っている一人として、また視聴者の一人としてNHKの方にお尋ねしたいと思います。
 まず、平成二年の四月に受信料を上げてから、このときにNHKの方から五カ年の経営計画を立てられましたけれども、当初の計画によりますと、平成四年度から赤字を見込んで、平成六年度末には百八十七億の赤字を計上するという形になっておりました。ところが現状では、平成六年度の繰越金の累計というものが五百二十二億の黒字となっている。これは、平成二年段階で値上げ、いわゆる視聴者への負担を重くする必要がなかったのではないかと考えられるのですけれども、NHKはどのように考えておられるのか。また、値上げがあたかも必要だというような五カ年計画は適当ではなかったのではないか、そのように考えるのですけれども、それについてお尋ねいたします。

○中井参考 中井でございます。経営計画を担当いたしておりますので、お答えをさせていただきます。
 高木先生御指摘のように、平成五年の現在で五百十五億のお金を余裕金として今繰り越しをさせていただいておりまして、平成六年になりますと、御指摘のように五百二十二億に達するという予算を組ませていただいております。
 御承知のように、平成二年の段階で経営が非常に悪化しておりましたために、五年計画で最初の二年間は余裕金を持ち、そして後半の二年間は単年度では赤字になる。そして、その五年間で収支相償うという経営計画を組ませていただいたのは御指摘のとおりでございました。
 その後、我々としましては、経営計画といいながらも、できるだけコンパクトな経営をして、その計画を先延ばしにできるものはやっていこうという趣旨で努力を重ねまして、我々としてはスリーS運動といいますか、セーブマネー、それからスリムな体質、それからストロングな体制といいまして、部内でできるだけ使うお金を抑えて、やるときには、使うときには使うけれども、むだなお金は使わないというような体質で努力させていただきました。
 その結果、七十億ぐらいのお金も余裕金として出してまいりましたし、それから何よりも、この五年間、前半は特に経済状況が非常に上昇気流に乗っておりましたために、名古屋それから広島の放送会館を建設いたしまして、建設の計画としては立てていたわけでございますが、その上の地上権を、民活といいますか、NHKだけでなくて他の企業とも一緒になって利用していこうという計画をつくったところ、土地の賃借料は計画の中にむしろ危険度がありますのでこれは外しておりました。それが非常に、三百三億円ですけれども、余裕金として入ってきたというような事情がございまして、我々の口で言うのもなんですが、いけませんけれども、入るを図って出るを制して非常に努力した結果、今現在五百十五億、そして六年度の末には五百二十二億の繰越金を持てるであろうということに相なったわけでございまして、その辺ひとつ御理解をいただきたいと思います。
 なお、そのほか、人の問題、リストラの関係で人の問題等についても減らしながら経営努力をしてまいりまして、その点については関係の役員からまた別途お答え等させていただきたいと思います。

○高木(陽)委員 人の問題はちょっと後で質問したいと思います。
 まず、この五カ年計画で営業経費率というものを一二%台を目標にしておったと思うのですけれども、にもかかわらず平成五年段階では二二・五%、さらに六年度の営業経費率は二二・四%になるとしておって、この経費率圧縮というのが全然進展していないという現状もあるのではないか、これについての理由もお伺いしたいと思います。

○菅野参考人 営業を担当している菅野でございます。
 先生おっしゃるとおり、平成二年度から六年度の経営計画では、当初平成元年度に一八・一%ございました営業経費率を最終年度の六年度には一二%台にするということで計画を立ててございましたが、二二・四%になる見込みということでございます。営業経費率は、結局受信料収入に対する営業の経費の割合ということでございますから、分母の受信料の収入の問題とそれから分子の経費の問題、これのそれぞれについてどうかということで御説明させていただきたいと思います。
 分母の収入面でいいますと、先ほど中井からも申し上げましたが、前半は景気が確かによろしくて、計画どおりある程度衛星の契約が進みましたが、後半、特に景気の後退に伴いまして、計画どおりに契約が結べないということがございます。その分母が当初予定したよりも少なくなったということ。
 それから、分子の支出面でいえば、衛星の契約活動というものが予測をはるかに超える手間と労力を必要とするというようなことがございまして、要員削減が、当初二〇%程度を削減しようというふうに思っておったわけでございますが、それが平成六年度で一七・五%ですか、大体そのくらいの数字になろうかと思いますが、そういうことにならざるを得なかった。
 それから、衛星の、発見あるいは契約のために学生あるいは主婦等の臨時戦力の経費が増大したということがございまして、そういったことからこの営業経費率というものが一二%台を実現できず、二二・四%にならざるを得ないということになりました。
 今後に向けては、受信料でやっているという立場から、なお一層経費の抑制については努力をしていかなければならぬというふうに思っているわけでございますが、やはり公平負担の実現のためには一定の経費が必要ではないのかなというふうに考えておりまして、その面の御理解もひとつよろしくお願いしたいと思っております。

○高木(陽)委員 衛星契約が伸びなかったということもありますけれども、受信料を払っている人がほとんどというか、いるわけで、払っている人の中には、正直者が損をする、ばかを見るというような、そういうような感情を持っている方がいると思うのですね。ですから、難しい部分もあるでしょうけれども、NHK側でも知恵を絞って、そこら辺の公平感を持つような形をとっていただきたいと思います。
 あと時間も大分なくなってきましたので、今後のことに関して、今回五カ年計画は平成六年度で一応終了いたしますけれども、今後の中期的な経営計画、これをどのように決めていくのか。例えば民間では、商品を値上げするという段階では、社内でリストラをして、かなりの努力をして、それでもやむにやまれず値上げをするという形をとりますけれども、NHKの今後の中期計画の見通しと方針、その際、受信料の値上げを考えているのか、しないというふうに言えるかどうか、それをちょっとお伺いしたいと思います。

○中井参考人 お答えいたします。
 会長がたびたびお答えいたしておりますように、NHKは受信料で成り立っている経営体でございます。国民の皆様に負担をできるだけかけないようにするのは当然の責務でございまして、我々といたしましても、長期的な視野に立って、できるだけ受信料の値上げというようなことは考えないでやっていきたいなということでございます。
 ちょうど先ほどからお話が出ておりますように、平成二年から五年間、平成六年度で五年の計画は終わりますけれども、先ほど御指摘のありましたように、六年度終了段階で今のところ五百二十二億という財政安定化資金を持っておりますので、会長も記者会見でもう既に明らかにいたしておりますが、七年度は値上げすることは絶対ありませんということをお約束いたしております。
 それから、八年度以降につきましては、平成六年度中に、この六年度の最終年度がどういう状況で決算が進むのか、そして七年度は今言いましたように値上げをしないままつなげる自信がございます。それから八年度以降になりますと、経済状況、そのほか、これからやるべき海外に向かってのテレビの発信、そういうときにどの程度の国にどの程度の情報を発信していくか、それから言葉の問題等もございますので、その辺の状況を見ながら、六年のうちに八年度以降の見通しを立てていきたい、中長期的な経営方針というようなことで、六年を含めて七、八年くらいのところをことしじゅうに見通しを立てて明らかにさせていただきたいな、こういうふうに思っております。

○高木(陽)委員 値上げに関してはかなり敏感になっていますので、慎重にやっていただきたいと思います。
 あと時間がなくなりましたので、最後の質問で、これは会長と大臣にお答え願いたいと思います。
 平成六年度の事業計画では「公正な報道とより豊かで質の高い放送番組を提供する」とうたっておりますけれども、もちろん公共放送、当然の考え方であると思います。でも、この「公正」という言葉がかなり抽象的な形であると思うのです。
 特に報道においては、私も昨年の七月に当選するまではマスコミで報道に携わっておりました。強く感じていたことなんですけれども、特に政治を取り扱う場合、政局を追う余りに問題の本質が国民にわからない。例えば先日の国民福祉税の問題も、その経過の段階についてとやかく、まあこれは大切な報道ですけれども、それ以上に、なぜそういう問題が出てきたのか、日本の財政がどうなのか、国民は一向にわからないままに、そしてただその表面的な論議で終わってしまった。公共放送の公正な報道という段階においては、こういう本質部分をどれだけ掘り下げられるかということがかなり重要になってくるのではないかと考えておりますけれども、会長、どのようにお考えか、お答え願います。

○川口参考人 当然でございますけれども、NHKの報道は、あくまでも偏らない、公平な立場を必ず守るということが基本でなければいけないと思っております。さらに、私どもの姿勢としては、NHKのニュース報道番組は、いろいろな角度から論点を明らかにする、それからいろいろな主張がございますが、その主張を御紹介する、そして国民の皆様が御判断になるときに非常にいい形で材料を提供するというふうなことであるべきではないかと思っておりまして、NHKが何らかの例えば主義主張を報道の番組でやるというようなことは絶対してはいけない、私どもは判断の材料を国民に提供するということを基本的な立場として守り抜いていこうと思っております。

○神崎国務大臣 高木委員御指摘のとおり、郵政省といたしましては、今後ともNHKが公共放送としての使命を十分認識して公正な報道に努め、国民の理解を得る必要がある、このように考えております。

○高木(陽)委員 どうもありがとうございました。


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