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会 議 録
第132回 衆 「本会議」 36号
1995/6/13
○高木陽介
私は、ただいま議題となりました議院運営委員長解任決議案に対しまして、新進党を代表して、賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手)
まず、賛成理由の第一として、今回の戦後五十年決議をめぐる本会議の強行、自民、社会、さきがけの与党三党の強引な採決は、議会制民主主義を根底から踏みにじる行為であり、それを許した中村正三郎議院運営委員長の責任は重大であると認識するからであります。この議院運営委員長の対応は、まさに国民の政治不信を増大させる愚行を犯したと断ぜざるを得ません。
そもそも今回の国会決議は、何のために、だれに対して、どのようなメッセージを送るものだったのでしょうか。国会決議の法的性格や拘束力に明文規定はありません。しかし、今回の決議は、戦後五十年を節目として、国内のみならず全世界に向けて、なかんずくさきの大戦で犠牲をこうむった国々、アジア諸国の人々に対して発信し、将来に向けて平和を誓い、人類共生の決意を示すことだったはずです。であるならば、この国会決議は、与党のみならず国民から負託を受けた議員の総意として、与野党の枠を超え論議を尽くして決議することがより重要な手続であったはずであります。
しかし、今回の決議の与党案がまとまり、議院運営委員会で提示されたのが六月七日でありました。その時点で会期はまだ一週間以上も残っており、九日に本会議で採決する必然性はなかったはずであります。マスコミ等の報道によりますと、自民党は金曜日の九日の採決を逃し週をまたいでしまうと党内の収拾がつかなくなるとの指摘もありました。もしそのことが事実なら、そのようなすぐに壊れてしまうような決議案でもって、本当の意味での過去を反省し平和への決意を表明したことになるのでしょうか。(拍手)
我が党は、戦後五十年の節目に当たって、過去への反省の上に立って平和への決意をあらわすことは重要であるとの立場から、与党案の最小限の修正を求めたのであります。この修正要求は、与党案についてはすべての行について意見を言おうと思えば言えるが、それでは決議を壊しかねず、何とかまとめたいとの思いからでした。ところが、その協議を開始したばかりにもかかわらず、与党は問答無用の態度で修正案を拒んだ上、本会議を強行することを決定し、中村委員長はその暴挙を許したのであります。この委員長の行為は、断じて許されるものではありません。
次に、解任決議案の賛成理由の第二は、本会議を強行開会したにもかかわらず、結局、与党三党側から七十人にも上る欠席者を出したあげく、最終的に賛成者が全衆議院議員の半数にも満たない、およそ二百三十人にすぎなかったことであります。
さきがけ党首の武村大蔵大臣も欠席者の中に含まれておりました。欠席の理由は神戸市議選の応援のためと聞いておりますが、歴史的な国会決議をするに当たって、取り組む姿勢の軽さが象徴されているように感ずるのは私だけでしょうか。(拍手)あるいは、武村大蔵大臣も決議は週明けと考えていたのでしょうか。
全議員の過半数にも満たない決議。今回の五十年決議を与党三党だけでするのであれば、国会の外でやればよいのであって、衆議院の決議とする以上、少なくとも野党第一党の賛同を求めるための文案づくりに精いっぱいの努力を行うのが議会であり、議院運営委員会の使命であると考えるものであります。
その責任者である議院運営委員長が、その努力を放棄してしまいました。今回の強引な採決に関して、隣の韓国では、九日夜、与党単独の採決となり重みもなくなってしまったと報道されるなど、我が国の国会決議に対する失望感を与えてしまいました。そもそも議運の委員長は本院の議会運営の行司役でもあります。しかし、今回の中村委員長の対応は、与党に一方的に加担した結果、国権の最高機関である国会、衆議院の権威を著しく傷つけたことは明らかであります。
賛成理由の第三は、与党の決議案が、我が国の平和への決意が不十分であるばかりでなく、文章表現としても意味不明だった点であります。
それは、到底歴史の検証と世界の評価にたえられないものでもありました。与党案づくりの過程で、全く歴史認識の異なる自民、社会、さきがけ三党が、何としても政権維持を図りたいとの一心から、妥協に妥協を重ねた結果、「歴史観の相違を超え、歴史の教訓を謙虚に学びこといった意味不明の文言が連なっていったのであります。
歴史観の違いをさておいて、歴史から一体何を学ぶのか。私どもは、この全く理解のできない表現を削除することを求めました。そしてさらに、与党案の「反省の念を表明する。」の後に、将来に対する日本の平和への決意を明確にする文言があった方がよいとの考えから、「そのような行為を再び繰り返さないことを誓う。」との一文を入れることを要求いたしました。ところが、こうした新進党の修正要求に対し、与党側は、きょうしゅうに決議することに応じるならば協議に応じる、十分以内に返事をしてほしいと問答無用の態度で、ついに新進党からの回答を待つことなく本会議の開会を強行したのであります。
しかし、新聞報道によれば、社会党の代議士会では議員の中から、新進党案の方がいいのではないかとの意見が相次いだ、欠席議員が続出したのもそうした空気を反映したと言えそうだと、内情が明らかになっているのであります。とにかく、政権を維持するためにはみずからの主義主張をいともたやすく捨て去るような政党に未来がないことは明らかであり、国民の厳しい審判を受けることになるものと信ずるものであります。
第四の理由としては、今回の与党の決議案に対して、世界各国からも大きな批判が起きたという事実であります。
例えば、韓国外務省は、韓国の植民地支配に関して、列強の行為と関連づけ直接的な責任を回避しようとしていることを遺憾に思うとの論評を発表しました。英国紙タイムズは、侵略の事実を直視していないなどと、与党案に対し厳しい批判が浴びせられたのであります。こうした国際世論をも無視した上に、今回の強行採決の醜態のニュースはいち早く世界に伝えられ、我が国の民主主義の未熟さと余りにも稚拙な決議案の内容に各国の批判が渦巻いております。
今回の決議で、日本に対する海外からの信頼が大きく傷つけられたことは明らかであります。こうした対外的な影響の大きさを考慮すれば、与党に偏重した国会運営を行った議院運営委員長の解任は当然であると考えるものであります。(拍手)
最後に、戦後五十年の節目に当たる、歴史的にも重要な意味を持つべき今回の決議が、自民、社会、さきがけの党略によってごり押しされ、歴史に大きな汚点を残したことは、政治家の一人として、極めて残念でなりません。与党三党は国民に対し陳謝してしかるべきであると考えるものであります。
同時に、私は、与党がこのような結果を招いた責任を痛感し、即刻、村山連立政権を解体すべきことを強く訴え、私の議院運営委員長解任決議案に対する賛成討論といたします。(拍手)
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて討論は終局いたしました。
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