会 議 録

第136回 衆 「逓信委員会」 5号
1996/3/25

○高木(陽)委員 新進党の高木陽介でございます。
 以前、この逓信委員会で受信料のことでいろいろとお伺いしたことがございました。そのときに、特に、受信料を払っている人、払ってない人、いわゆる正直者がばかを見るような形にはしないでもらいたい、こういった意見を言わせていただきました。そんな中で、現在のその受信料、契約してない人、いわゆる払ってない人ですね、
受像機を持ちながら、テレビを持ちながら、それが今一体どれぐらいの数、何%ぐらいになっているのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。

○菅野参考人 お答え申し上げます。
 テレビを設置しておられてそして受信契約をしていない、いわゆる私どもでは未契約世帯というふうに呼んでおるわけでございますけれども、これは推定でございますが、平成八年三月末でおよそ四百七十四万と見込んでおります。テレビ所有推定世帯に対する契約率として八七%というふうに考えております。

○高木(陽)委員 NHKの方もその払ってない方々に対していろいろなアプローチをされて、いろいろと努力をされているとは思うのです。
 そんな中で、ちょっと最近新聞でも報道もされましたけれども、昨年の沖縄の少女暴行事件以来日米地位協定の問題がかなりクローズアップをされて、特に代理署名、きょう判決するということで、そんな中で、在日米軍の基地内、これは、テレビはあるんですけれども払ってないという、ここら辺のところを、その現状はどのようになっているのか、これをお伺いしたいと思います。

○菅野参考人 現在、基地内にはNHKの受信契約はございません。

○高木(陽)委員 聞くところによると、一九七八年から、基地の方に請求をしたいということで、立ち入りをしたいだとかいろいろと要求、請求をされているというふうに聞いておりますけれども、七八年以前、それまではほったらかしにしていたのかどうか、なぜ七八年からそうなったのか、そこら辺のところをお伺いしておきます。

○菅野参考人 一九七八年以前にも米軍に対して請求というか受信契約のお願いということはやっておりまして、一九七八年以降変更したということではございません。例えば、昭和三十五年には業務局長名で米海軍横須賀基地司令部法務部というところに文書を差し上げたりというようなことはございます。

○高木(陽)委員 そういった中で、これも推定だとは思うのですけれども、新聞記事等によりますと、十八年間で十六億円拒否してきた、こういった実態がございます。これはいろいろな問題が含まれていて、例えば日米地位協定第十三条第一項「合衆国軍隊は、合衆国軍隊が日本国において保有し、使用し、又は移転する財産について租税又は類似の公課を課されない。」、まあ税金みたいなものだということで払わないというのが向こうの言い分だというふうに聞いておりますけれども、一方、放送法第三十二条には「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」、二つの法律が相反するというか、ここら辺の状況について、まず郵政省の方、どのようにお考えになっているのか、またはその対応についてお伺いしたいと思います。

○楠田政府委員 本件については先生御指摘のように、米軍、米側と日本側の解釈が若干違っているわけでありますが、これはあくまでも国内問題でありますから、かつて国会でも法制局等から答弁していただいておりますように、米側に支払い義務があるものと考えております。ただ、このような形で昭和五十三年以来事実上何回か交渉いたしましたが、解決に至っておりません。
 そういうことで、先般、外務省を通じまして米側に改めて日米合同委員会の分科委員会等での話し合いの申し入れを行ったところでございまして、そうした中で、米側からの意向もありまして今後話し合うということになろうかと思いますが、いずれにしましても、この問題につきまして何らかの解決を図る必要があるというふうには考えております。

○高木(陽)委員 今、局長の方から、外務省を通じてというと、外務省の方、来られておると思うのですけれども、とにかく外務省がその窓口になるわけですから、ここら辺のところでどのようなやりとりがあって、どういうような状況になっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○梅本説明員 在日米軍の受信料問題につきましては、ただいま郵政省の方からも御答弁ありましたように、地位協定第十三条の問題が関係しておるわけでございます。これにつきましては、昭和五十三年当時に逓信委員会でも法制局の方から御答弁がありましたけれども、米軍の構成員である個々の軍人あるいはその家族については我が国の国内法令の適用を受けるのだということでございまして、放送法に従って、放送法第三十二条に言う受信設備を設置した場合にはNHKとの間で受信契約を結ぶ義務が生ずるのだというのが日本側の考え方でございます。
 アメリカ側は、これはアメリカ側と昭和五十三年以来いろいろ話をしてきているわけでございますけれども、もちろん地位協定で免除を決めておるところの租税というのは、日本の国内法令上で言うところの租税には必ずしも限らないので、その性格等から見て、まあ米軍の人たちから見れば、これはなかなか日本語もわからないし、テレビもなかなか見ておらないとか、あるいはこういう制度がアメリカにないとかいろいろな理由があるわけでございますが、これはやはり免除をされるべき地位協定で言うところの租税に当たるのではないかということで、実は解釈が違っておるわけでございます。そこで、私ども、昭和五十三年以来、郵政省あるいはNHKの方と御相談をいたしまして、今のような問題について何とか解決をしたいということで話し合ってきておるわけでございますが、今日に至るまで解決をしておらないということでございます。
 そこで今回、郵政省それからNHKとも御相談をさせていただきまして、ことしの一月に、外務省、郵政省、NHKの実務当局、実務レベルと在日米軍それから大使館との間で会合いたしまして、特にNHKの受信料というものがどういう性格、内容のものであるかということをまず中心によく説明をいたしまして、その上でこの問題の解決を図りたいということを申し出たわけでございます。アメリカの方からは、日本側の説明を聞いたので、それを持ち帰り検討したいということでございます。
 この問題については、長い経緯もございまして、簡単に解決できるかどうかわかりませんけれども、私ども、粘り強く、特に日本の制度をよく説明をして、何らかの解決を図りたいというふうに思っているところでございます。

○高木(陽)委員 外務省も努力されているのでしょうけれども、要は、こちらの言い分が向こうに通じていないということなわけですよね。それを今後ともしっかりやってもらわないと、ある意味でいうと、一番最初に申し上げました、正直者がばかを見る、こういう世の中になってまいりますし、特に、今話題というか大きな問題となっている住専の問題も、結局はその正直者がばかを見るという、ここら辺のところで有権者、国民が怒っているという部分があると思うわけですね。だから、そこら辺のところをしっかりとやっていただきたいと思います。
 続きまして、長野五輪について質問をさせていただきたいのです。
 先ほどもほかの委員の方からもちょっとありましたけれども、放映権料、これはアトランタのときもかなり巨額になったということで、もう天井知らずというか、どんどん上がっていく中で、今回も、長野五輪については、当初二千万ドル、二十一億円前後を想定していながら、結果的にはその倍になる三千七百五十万ドルぐらいになっていったという、ここら辺のところの経緯をちょっと御説明いただきたいと思います。

○齊藤参考人 当初二千万ドルというふうに私ども考えましたのは、前回のリレハンメルのケースがトータルで千二百七十万ドル、そうしますと、常識的にはそれの二割増しから三割増し、日本国内開催だということを含めても五割増し程度が常識的な線だろうというふうに思いまして、我々は、少なくとも最大限二千万ドルがリミットであるというところから交渉をスタートいたしました。
 しかしながら、EBUが前回の三倍近い契約をしているということ、それから長野のオリンピックの組織委員会そのものが非常に財政難であるというようなことを含めて、私どもの二千万ドルに対して、そういう背景の中で、組織委員会側から八千万ドルという高額な提示がございました。これを約一カ月半かけて両者の話し合いを継続した中で、今先生がお話しになったような数字に落ちついたということでございます。
 最終的な数字に関しましては、前回、トータルで千二百七十万ドル、これの倍額で大体二千五百万ドル前後、これに、日本国内開催であるということで、特別協力金という形で千二百万ドルプラスいたしました。結果、トータル三千七百五十万ドルとなりましたけれども、この千二百万ドルに関しましては、今回の特別金ということで、次回からの交渉にははね返らない数字というふうに私どもは考えておりまして、そういった中で、三千七百五十万ドルでお互いに合意をしたということになりました。

○高木(陽)委員
 次のオリンピック、またその次のオリンピックとなりますと、またどんどん上がっていくんじゃないかな、こういう不安ですね、結局私たち視聴者の払っている受信料にまたはね返ってくるという可能性もありますから。
 では、どうしたらいいのか。とにかく放映権を向こうからとらなければいけないわけです。ところが、さっきもちょっとお話がありましたけれども、アメリカだとかヨーロッパ等々が三倍の値をつけてしまうわけですね。日本が最後に残って、それに準じて上がっていかなければいけない。アメリカだとかヨーロッパの方にしても、やはりなるべく落としたい、下げたいと思っているわけですよね。そこら辺のところで、これから、次のオリンピックの放映権料なんかのときに、もっと連携をとりながら、売り手と買い手ですから、向こうの言い値だけでどっといくんじゃなくて、こっちもちゃんと連携をとって世界各国共通に値を下げていく、こういったことを検討されたらどうかな。
 これは御提案なんです。やっておられる部分もあると思うのですけれども、そうやっていろいろな形で努力していかないと、このまま本当に膨大な放映権料になっていくということで、これは御検討願いたいなと思います。これは答弁は要りません。
 もう時間もありませんので、最後に、これも自分自身、毎回、逓信委員会、特にNHKの予算の審議等でいろいろと意見を述べさせていただいているのですが、きょうずっと各委員から出ました政治的公平という考え方ですね。その中で、ジャーナリズムのあり方、特にマスコミ、マスメディア、放送業界の中で、なかなか難しいなとは思うのですけれども、客観報道というのはいかにあるべきか。
 よく客観報道、客観報道と言いますけれども、私もマスコミ出身の人間として、客観報道はあり得ない、こういうふうに自分自身はとらえています。なぜそうなのかというと、例えばNHKの報道の方、いろいろと、カメラを回される方、または取材をされる方も実感されていると思うのですけれども、例えば十取材したときに、十そのまま全部報道しません。その中の一だとか二だとか取り上げて、でもそれは事実です。ところが、その一か二を取り上げる、どの視点からとらえるのかというところにもう主観が入っているわけですね。というところで、純然たる客観報道というのはないというふうに思うのです。
 そんな中で、では政治的公平というふうな重荷を背負った場合にどういうふうに対応していくのか。会長、これはどういうふうに考えられているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○川口参考人 確かに、何が不偏不党なのか、何が客観報道なのか、そのけじめをつけるのは非常に難しゅうございます。実際上、計量するわけにもいかないし、どこまでいったらそれが公平なのか、どこまでいったらそれが不公平になるのか、そのけじめのところは物すごく難しいのですね。私ども、年じゅうそのことと闘っていると言ってもいいぐらいです。
 私は、こう考えております。客観報道とは何か。それは、我々取材者が、あるいは表現者が、放送の立場にある者が、できるだけ客観的であろうとすることだ。公平とは何か。それは、我々がそういう立場に立ったときに、できるだけ公平であろうとする、そのことだというふうにも言っておりますけれども、結局そういうところがよりどころにならざるを得ないというのが私ども実感としてあります。
 ただし、これを計量的に、どこからどこまでが公平でどこまでが公平でないというようなことをやるのは、実際にはできません。したがって、それぞれの報道者、報道する中の人間が、ふだんからそのことについては、できる限り公正であろう、不偏不党であろうとする努力を続ける、そういうことだと思います。

○高木(陽)委員 今会長がおっしゃられたこと、絶えず問いかけを、会長御自身がやられるという以上にやはり現場の記者の方も含めてやっていただきたいとともに、そういったことを、NHKだけじゃなくて、本当に放送関係に携わる方に考えていただきたいな、そのことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。


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