会 議 録

第150回 衆 「法務委員会」 2号
2000/10/10

○斉藤(鉄)委員 誤解の生じないように、ぜひ対処をお願いしたいと思います。
 次に、提案者にお聞きをいたします。
 現行法では、少年審判に検察官の関与を認めておりません。改正案では、この検察官の関与を認めようとするものでございます。この基本的な理由をお伺いいたします。

○高木(陽)議員 斉藤委員の御質問にお答えしたいと思います。
 ただいまの御質問は、現在の少年法について少年審判に検察官を関与させていないのに、検察官を関与させるその理由ということなんですけれども、まず、少年審判において家庭裁判所が事件の真相を解明して非行事実を的確に認定すること、まさにこれが少年審判における事実認定手続に対する国民、とりわけ事件の被害者の信頼を確保するためには不可欠であると考えております。この点、今の審判制度に全く検察官が関与していない、そのことについて家庭裁判所は少年側の言い分だけを聞いて審判を行っているのではないか、そういう疑念を被害者等が強く抱いているところであります。したがって、少年審判に、被害者の立場をよりよく理解し、また公益の代表者でもある検察官を関与させることが必要であり、適当であると考えております。
 もとより、非行のない少年を誤って処分することがないようにするという観点及び非行のある少年に対して適切な保護を施し、その健全な育成を図るという観点から、少年審判において事件の真相を解明して非行事実を的確に認定することは最も基本的で重要な事柄であります。その上で、非行事実の認定上問題がある一定の事件については、証拠の収集、また吟味における多角的視点の確保や裁判官と少年側との対峙状況を回避させる措置が必要という意味からも、少年審判には検察官を関与させる必要があると考えております。
    〔横内委員長代理退席、委員長着席〕

○斉藤(鉄)委員 この検察官の関与といい、また裁定合議制といい、少年の心を開いて審判をするという少年法の理念に反するのではないかという意見がございます。私も、この間家裁の部屋を見せていただきまして、机の配置、いすの色、家具といいましょうか、いろいろなものの配置の仕方、もうまさしく同じ目線で少年の心を開いて審判をする、教育をするというのを感じるようなものでございました。今回のこの裁定合議制や検察官の関与がその根本精神に反するのではないかという意見もございますが、この点についてはどうでしょうか。

○高木(陽)議員 今、斉藤委員の御質問の中で、これはいろいろな方々が反対というか意見を述べられておりまして、例えば九月の十八日の朝日新聞に元最高裁判事の団藤重光先生のインタビュー記事がございまして、それには、ある意味ではいかにも審判を丁寧にするかのような感じがあるが、実は少年審判の命を奪うものである、こういう御批判がございました。
 しかし、今回私どもが提案させていただいたこの改正少年法の場合には、裁定合議制度は、判断の客観性を高め、各裁判官の知識経験を活用することができるように、事案に応じて三人の裁判官により合議体で審判を行うことができるようにすることを可能にするものであります。
 検察官の関与は、少年審判における証拠の吟味等に関して多角的な視点を確保してその事実認定の適正に対する、先ほども申し上げました、国民の信頼を確保するとともに、争われる事件において裁判官と少年が対立するような状況に陥ることを逆に回避し、円滑適正な審判の実現を図ることを目的としております。
 このような裁定合議制度また検察官関与を導入することは、的確な非行事実を認定する、ひいては事実認定手続を一層適正化するものである上、このような審理や検察官の関与がなされた場合においても、少年法の趣旨また目的を踏まえ、それぞれの事件にふさわしい審判が行われるものであり、これらの制度が少年審判の性格を変えるものではないと私たちは考えております。

○斉藤(鉄)委員 次に、抗告受理制度についてお伺いをいたします。
 今回、検察官に抗告受理の申し立て権を認めるということになりました。その理由をお伺いします。

○高木(陽)議員 家庭裁判所が誤った審判をした場合、少年側が抗告しなければ上級審による見直しの機会が全くないのでは、到底被害者、その遺族の納得が得られるところではありません。抗告受理の申し立てとは、検察官に権利としての抗告権を認めるものではなく、高等裁判所において適切にその申し立ての適否を判断して、相当であると認めた場合に抗告を受理することを決定することとするものであります。これにより、重大な事実誤認等による誤った審判については上級審における見直しの機会を確保する、こういう目的であります。

○斉藤(鉄)委員 先ほどの御答弁に含まれているのかもしれませんが、抗告受理の申し立てということと抗告権、どのように違うのでしょうか。

○高木(陽)議員 抗告権であれば、高等裁判所は常に抗告審として事件の審理を行い、判断をすることになります。これに対して、抗告受理の申し立てでは、検察官に権利としての抗告権を認めるものではなくて、高等裁判所が相当と認めた場合に限りその申し立てを受理し、抗告審としての事件審理をすることになります。したがって、高等裁判所が不相当と認めた場合は抗告審は継続せず、少年は早期に手続から解放される、こういうことになっております。

○斉藤(鉄)委員 この抗告受理制度は、実質的に検察官の上訴権を認めて、審理の長期化、ひいては少年法の保護、教育という理念に反するのではないか、こういう指摘がありますが、この点についてはいかがでしょうか。

○高木(陽)議員 高等裁判所がどの程度の事件を受理するか予想することは不可能でありますけれども、抗告受理の申し立てに当たって、高等裁判所において適切にその申し立ての適否を判断して、必要があると認めた場合に限って抗告を受理することを決定するものであります。また、検察官においても、少年事件の早期処理、早期保護の趣旨を踏まえて、事件を十分に絞って抗告受理の申し立てを行うこととなりますので、そういった御指摘はない、そのように考えております。


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