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会 議 録
第150回 参 「法務委員会」 7号 ○魚住裕一郎君 確かに被害者側が一定の関与をするわけでございまして、そういうことまで配慮した上での御提案だということでございまして、私、なるほどというふうに納得するわけでございます。 続きまして、今度、保護処分終了後における救済手続の整備ということで、保護処分取り消し決定ということが盛り込まれているわけでございますが、そういう場合における当該少年の名誉回復というふうなものはどういうふうにお考えなのでしょうか。発議者の方、お願いをいたします。 ○衆議院議員(高木陽介君) 委員が今御指摘されました保護処分の取り消し、これは現行の少年法の第二十七条の二ですが、これだと、成人事件における再審の手続に近いものとして、少年事件の場合は保護処分の取り消し手続という非常救済手段があります。保護処分決定が確定した後で非行事実がなかったということを認めることができるような明らかな資料を新たに発見したときは家庭裁判所は保護処分を取り消すこととするものである、これは現行の二十七条の二に書かれております。しかしながら、現行の少年法上、この保護処分取り消しというのは、保護処分の継続中に限って、すなわち少年が少年院に収容されている間や保護観察を受けている間に限ってだけ認められていました。 しかし、今回、事実認定手続の一層の適正化ということ、そういう観点から少年審判の手続を改正することから、これに合わせて事後的に、いわゆる終わった後、是正に当たる救済の手続も整備することとして、保護処分が終了した後においても、非行事実がなかったことを認めることができる新規明白な資料を発見したときは保護処分の取り消しを認めることとしたものであります。 ○魚住裕一郎君 名誉回復ということで、確かに終了した後でも審判に付すべき事由が認められないというようなことで取り消しをするわけでございますが、これは「ただし、本人が死亡した場合は、この限りでない。」ということなんですが、これはどういう趣旨なんでしょうか。 ○衆議院議員(高木陽介君) 今、委員から御指摘があったように、今回の改正法におきましては、第二十七条の二第二項ただし書きで、本人が死亡した場合、保護処分の取り消しは認められておりませんけれども、保護処分と刑事事件において刑罰が科せられる場合、これを比較してみますと三つぐらい違いがあると思います。 まず第一は、刑罰というものは社会正義を実現して社会秩序を維持するための制裁として科せられるものであるのに対して、保護処分は本人に対する保護、教育的な措置としてなされるものであります。二番目は、刑事事件が公開法廷で審理されて、本人が犯罪を行ったということを広く知らされるということに対して、少年審判は非公開でなされます。また、少年を特定する事項についての報道制限規定がありますので、当該少年が犯罪を行ったことが社会的に知られないように配慮されている。三番目の違いは、刑罰が前科として各種法律により資格制限がなされますけれども、保護処分にはこのような制限がない。このような三つの違いがあります。 したがって、このような保護処分の特質を踏まえて、保護処分終了後の保護処分取り消しについては、本人生存中は救済措置として、誤って保護処分を受けたため傷ついた本人の情操の保護、また回復を図ることとしたのが目的でありますので、死亡した場合にはこの規定を用いないといたしました。 ○魚住裕一郎君 確かに刑事処分は制裁、応報、そういう刑罰の本質論といいますか、いろいろあると思いますが、ただ国家刑罰権というか、その一作用として刑事処分なり保護処分もあるんだろうと思うんですね。 つまり、国家が判断をして、刑罰権があるかないか、あるいは保護処分の事由があるかないかと判断しているわけで、審判に付すべき事由が認められないというふうなことがわかったということになりますと、その誤った判断をそのまま本人死亡後でもずっと維持しようということになりかねないのではないか。親御さんの気持ちとしてはそんなのはとんでもないというような思いもあろうかと思うんですが、これは旧閣法でもたしかこういうような条文だったと思うんですが、法務御当局はどういうふうな御判断でしょうか。 ○政府参考人(古田佑紀君) ただいま提案者の方から御説明があったとおりのことでございますけれども、要するに少年の場合、保護処分が終了すれば法律的にはそれには何の効力ももはや残っていないことになるわけでございます。 したがいまして、ここで保護処分の執行終了後の取り消しということを考えるときには、先ほど提案者の方から御説明がありましたように、一番問題になりますことは、やはり少年が誤った判断を受けたということによって傷ついた心、これをどういうふうに回復するかということに最大の問題があるということから、それを回復するための措置としては本人が生存中であるということが適当であろう、こういう判断に至ったものでございます。 ○魚住裕一郎君 今、刑事局長のお話がございましたが、高木提案者の方から非公開だ、あるいは六十一条ですか、報道等で本人が特定されないように配慮がしてある、こういうような御答弁があったと思います。 たしか衆議院の法務委員会だったと思うんですが、附帯決議で、少年の実名報道をどうするかということを検討しましょうというような、そういう趣旨の附帯決議が入っていたというふうに記憶をするわけでございます。司法判断がまたれるところでございますが、今最高裁にかかっているんでしょうか、そういう少年法の規定があるにもかかわらず実名あるいは顔写真を掲載した報道に対して今争いになっているところでございます。 そうすると、もし六十一条をちょっと変えていこうよ、実名報道を可能なようにしていこうよというふうになった場合にはこのただし書きはとれるというふうな判断でよろしいのでしょうか、刑事局長。 ○政府参考人(古田佑紀君) 仮定の部分が大分含まれておりますので、今ここで確定的なことを申し上げるのは大変難しいと思うわけです。 非常に抽象的に申し上げれば、例えば逆送決定になって刑事裁判になった場合は例外にするとか、仮にそういうようなことがあれば、これは実は刑事の再審の問題になっていくわけでございます。 しかしながら、いずれにいたしましてもその辺は今の段階で何とも申し上げられることではありませんので、現時点ではこの六十一条に何らかの修正が加えられた場合にどうなるかということについては申し上げかねる次第です。 ○魚住裕一郎君 この六十一条の趣旨なんですけれども、今、保護処分の取り消しの関連でちょっとお聞きしたんですが、もう一度六十一条の趣旨というものを御説明いただけますか、刑事局長。 ○政府参考人(古田佑紀君) この少年法六十一条の趣旨は、少年の健全育成という観点から、少年が犯した罪について、だれがやったのかというふうなことが特定されるような記事が社会の中に広がりますと、後の少年の更生、社会復帰の上で非常に大きな障害があると。少年というまだ人格形成途上と申しますか、可塑性のある段階でのそういう問題については、社会の方でそこはやはり少年の社会復帰ということを重視する必要がある、そういう観点からつくられたものであると理解しております。 ○魚住裕一郎君 わかりました。 確かにそういう観点からしてみると、悪質、重大であったとしてもそういうことは十分に配慮していく必要があるなというふうに思うところでございますが、なお司法判断が出ることを待ってさらに議論をさせていただきたいというふうに思っております。 続きまして、保護者の責任の明確化ということが一項目入っていたというふうに思いますが、保護者に対し訓戒、指導その他の適当な措置ができるようにするということでございますが、具体的に何を言っているのかなと。訓戒、指導、適当な措置というのは一体何なのか。具体的にそれは判決書きみたいに親御さんに文書で渡すのか。そもそも犯罪少年の親は裁判所へ呼び出しても来ないのではないか等いろいろなことを考えるところでございますが、具体的にどういうふうな形でお考えになっておられるんでしょうか。裁判所で結構です。 ○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。 少年非行の原因や背景には親の養育態度でありますとか親子関係の問題があることが少なくないということから、少年の立ち直りというものを図るためには保護者自身がみずからの問題に気がつくことが肝要であろうというふうに考えるわけでございまして、こういった観点から、従来も家庭裁判所の中におきましては運用上の工夫において保護者に働きかけをしてきたわけでございます。 具体的にどういう方法があるのかというお尋ねでございますけれども、具体的には、やはり保護者自身がみずからの問題を自分の頭で考えてもらう、これが一番大事な点でございますので、ただ単に紙を渡すとかといったことではなくして、通常は面接を行いまして、調査官なりあるいは裁判官なりが面接を行う形によりまして、その過程で問題についての認識を深めていく、こういったことが一般的な運用になろうかと考えるわけでございます。 ただ、もとより事案によっては書面等を渡しまして裁判所なり調査官の思いをきちっと伝えるということもあろうかと思うわけでございまして、ケースによっての運用が期待されるところではなかろうかと考えている次第でございます。 ○魚住裕一郎君 少年事件の場合は家庭に問題がある、確かに私もそう思うんです。裁判官なり調査官が面接をしてということでございますが、家庭裁判所に来てくださいと言って、来る親はいいと思うんです、それだけ子供の教育に関心があるというか。しかし、関心がない親といいますか、そういう場合も多いと思うんですが、その場合はどういうふうにお考えですか。引っ張ってくるわけにはいかぬと思うんですね。 ○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 家庭裁判所といたしましては、やはり親がまず家庭裁判所に出向くという気持ちになることが一番肝要だろうと思うわけでございまして、それが出発点になろうかと思います。その意味におきまして、親に対して調査官なりの立場から裁判所に出向くように働きかけを相当程度行うということが予定されているところでございます。 ただ、親によってはなかなか出頭しにくい、またはいろんな事情で出てきにくい事情もあるという方もあるわけでございますが、そういった場合には調査官が自宅に出向いて面接を行うことも運用上されているように承知しているところでございます。 ○魚住裕一郎君 この訓戒とか指導とかその他の措置というのは記録上どういう形になるんでしょうか。例えば、審判廷で行ったときに調書に記載をするとか、そういうことも考えておりますか。 ○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) その行われる措置がどのくらい明確な形になるかということにもよろうかと思うわけでございますけれども、審判の中で行われたものについては、記載するとすれば、審判に調書はございますし、調査官が行った場合は調査報告書ということになろうかと思います。 どのような形によって記録化するかは、その事案事案に応じた対応になろうかと考えている次第でございます。 ○魚住裕一郎君 そういう記録になって、後ほどまた民事裁判で被害者側から民事訴訟を起こされたといったような場合、家庭裁判所が、親はもっとこういうふうに指導すべきだったんじゃないですか、それにもかかわらず放置しましたねと、だから親の責任、民事上の責任もあるんですよみたいな、そういうような被害者側から訴えが提起されるのではないかというふうに思うわけでございますが、この保護者の責任の明確化が民事裁判に与える影響というものは発議者の方ではどのようにお考えでしょうか。 ○衆議院議員(高木陽介君) 保護者に対して民事上の損害賠償請求が行われる、こういうときは、保護者に監督義務を怠った過失があったか否か、そういうものを吟味するものであると思います。 それは個々の保護者の監督状況を具体的に審理して認定される必要があり、したがって少年事件の調査、審判の過程で少年の健全育成を図るために、また将来に向かってどのように対処をすべきかということを中心に保護者に対して訓戒や指導等の措置がとられたとしても、これは直接的には民事裁判に関係がないと考えております。 なお、今回の改正法の第五条の二による被害者等による閲覧、謄写等の対象となる事件の記録はその事件の非行事実に係る部分に限ることとされているので、非行事実と関係ない保護者に対する措置に関する記録は通常は閲覧、謄写の対象とはならない、そういうこともありますので、今回の委員御質問の民事裁判に影響を与えるかというと、与えないというふうに考えております。 ○魚住裕一郎君 後ほどその閲覧につきましてはお聞きしたいと思いますが、それはそれでわかりました。 次に、コピーの関係でございますが、この間新聞に法務省の方針として「少年事件 記録コピーし保管へ」というような見出しで、これは十一月六日の新聞に載っておりました。 検察庁においては、どういう趣旨でこのコピーをするのか、そしてまたその範囲とか運用はどのようにお考えなのでしょうか、御説明をお願いします。 ○政府参考人(古田佑紀君) 検察官が捜査の必要上捜査記録の写しを作成して保管しておくということは、これは成人事件でも少年事件でもしばしばこれまでもあることでございます。具体的にどういう場合に必要になるかと申しますと、典型的に申し上げますと、共犯者がいる、その共犯者について、まだ共犯者が検挙をされておらず後から捕まってくるなどというケースの場合、特に今必要性が高いことが多いわけです。 そういうことから、少年事件でありましても、捜査上必要があると考えられる場合には、その記録のコピーというのは検察官が保管するという場合がしばしばこれまでもあったわけで、今回、改めてその記録のコピーをつくるという方針を決めたというふうなものではないわけです。 また、特に少年事件につきましては、時には後ほど家庭裁判所から補充捜査の依頼を受けたりもするわけです。そういうときに記録がありませんとその補充捜査のポイントというのが非常につかみにくいとか、いろんな問題もあるわけです。 そういうことから、少年事件に対する対応をしっかりとしたもの、充実したものとするために、やはり記録のコピーについても、十分捜査の必要性を考えて、今後そういうふうな手持ち資料として作成しておかなければならないという場合がこれまでよりさらにふえてくる可能性がある、そんなような考えでいるわけでございます。 ですから、ただいま申し上げましたように、改めて何らかの方針を定めたと申しますよりは、やはり少年事件に一層充実した対応をするために今そういうことがさらに必要になってくる、そういう考えに基づくものでございます。 ○魚住裕一郎君 これは新聞ですから、局長がおっしゃった方が正しいのかもしれませんが、ただこの新聞の書き方によれば、「コピーの対象となるのは、少年の供述調書と、警察から送られてきた捜査報告書となる見通し。」だと、それから「対象犯罪は、殺人や強盗殺人などの重大なものとなる」と。 今、刑事局長のお話だと、そういう罪種を別に限定しないんだよというような形でございますし、コピーの対象文書も今言った供述調書と捜査報告書以外にも考えているように感じますが、ここだとかなり限定的に書いてあるんですが、もうちょっとこれは御説明いただかないとよくわからぬのですが。 ○政府参考人(古田佑紀君) 先ほど申し上げましたとおり、捜査上何が必要かという観点からのものになるわけでございます。したがいまして、例えば関係者の供述調書などというのが必要になる場面が多いであろうと思います。 しかし、捜査報告書が一般的にそういう必要性が高いかというと、それは物によるわけでございまして、一概に捜査報告書だから高いとかそういうことにはならないと思われます。ですから、結局は個別の捜査の必要に応じて必要だと認められる範囲ということになっていくわけでございます。 ○魚住裕一郎君 それでは次に、同じ謄写ということでございますが、今回、被害者側に少年審判の記録の閲覧、謄写ということを認める形になるわけでございますが、その認める理由、そしてまたどのような場合に認められるのか、あるいはこの範囲等について簡略に御説明をお願いします。 ○衆議院議員(高木陽介君) 保護事件の記録については、被害者が損害賠償請求訴訟を提起している場合に、その民事訴訟のために保護事件の記録を利用することを希望する場合などがあると思います。少年の健全育成等を害しない範囲でこれを認めることが相当な場合も考えられます。 この点、被害者等は少年審判規則第七条第一項によって家庭裁判所の許可を受けた場合には保護事件の記録の閲覧、謄写を認められることとされております。さらに、審判係属中の場合も含んで被害者等による記録の閲覧及び謄写を法律に明記することで、被害者等が閲覧、謄写をより希望しやすくするとともに、法の趣旨を踏まえた被害者等に対する配慮の徹底も期待され、一定の要件のもとに記録の閲覧、謄写を認めることを法律に明記いたしました。これが目的です。 具体的にというお話なんですけれども、正当な理由の存在のほかに、少年の健全育成に対する影響、事件の性質、調査または審判の状況等を考慮して相当と認めるときという要件が付されており、これを満たすことが必要になります。 正当な理由の具体例というのはどういうものかということですけれども、損害賠償請求権の行使のために必要があると認められる場合、また訴訟を提起するかどうかの判断資料としたり、民事保全または保険金の請求の資料に使用する場合、あと意見陳述の前提として事件の内容を知る必要がある場合が考えられます。ただ、被害者等が事件の内容を知りたいという場合には、それだけでは必ずしも正当な理由があると言えるかは問題で、実際はその背景として多くの場合民事訴訟の検討や意見陳述の検討の必要があると思われ、かつ真の意図が報復等のためでなければ正当な理由があると認められると考えております。 ○魚住裕一郎君 前に月刊誌か何かに供述調書がそのままずらずらと載ったようなことがあったと思うんですけれども、今回、閲覧そして謄写を認めさせるということでございますが、マスコミ等に漏らした場合、どういうような対応をすることになっておるんでしょうか。 ○衆議院議員(高木陽介君) 今、委員の御指摘は神戸の事件の供述調書が月刊誌に載ったことだと思うんですけれども、私もあれを読んである意味ではびっくりしたというか、驚き、衝撃、いろいろありました。 ただ、今回の改正案で被害者が知り得た事項を用いてこれにより関係人が損害をこうむった場合、こういうときは民法七百九条の不法行為が成立いたしますし、また当該関係人の名誉を毀損した場合は刑法二百三十条の名誉毀損罪が成立する場合もあります。また、閲覧、謄写の依頼を受けた弁護士が御指摘のようなことをすれば懲戒の理由にも該当し得ると。あと、マスコミの方ですけれども、マスコミ自体がそれを請求することはできないわけですから、それはどこかから漏れるわけですね。マスコミの方の対応という形では、今回の法律では文章としてはこれがこうこうという形では書かれてはおりません。 ○魚住裕一郎君 この第五条の二の第三項では、漏らしてはいけないというようなことが規定されているわけでございますが、その裏づけはそういう名誉毀損であるとか弁護士等の職務上の倫理に任せるというようなことになるんだと、何となく心もとないなという気も若干するところでございます。 この第三項のところに、「少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず、」ということでございますが、法務当局で結構ですが、少年の身上に関する事項というのは何なんでしょうか。つまり、非行事実のところしか謄写できないわけですから、少年の氏名というのは別に記載されていますから、戸籍謄本とかそういうのも閲覧できるということを意味するんでしょうか。 ○政府参考人(古田佑紀君) 先ほど申し上げましたように、少年の氏名その他少年を特定することについての先ほどの報道の禁止の問題と多少似通っているところもないわけではないわけですが、要するに本人の生い立ちとかそういうことで、事件そのものと直接かかわりのないような問題、これはやはり少年の生い立ちなどの中でそれが知られると少年の社会復帰、今後の社会生活の上で非常に痛手になるというふうな事態なども考えられるわけでございます。したがいまして、そういう事件と直接にかかわりのない、粗っぽく言えばプライバシーにかかわるような事項とでも申しましょうか、そういう点についてはこれは適当ではない、こういうお考えであろうと思っております。 ○魚住裕一郎君 いや、だから非行事実だけですよ、閲覧、謄写できるのはというふうになっているんだけれども、こっちの第三項の方になると、「少年の身上に関する事項」と載っているものですから、少年の身上に関する事項というのは、これは非行事実の範囲に入るのかなと思うところなんですね。 ○政府参考人(古田佑紀君) いろんなケースがあるわけでございまして、全くその事件と無関係な場合も非常に多いと思うわけですけれども、事件の直接のきっかけがそういうところにあるような場合というのも、それもないわけじゃないわけです。そうなりますと、そういう部分というのは、これは非行事実に関する部分という中に含まれざるを得ない面もあるわけでございます。そういうことについての御配慮の結果であろうと理解しております。 ○魚住裕一郎君 閲覧、謄写が三年以内という期限つきといいますか、これはどういうことなんでしょうか。 ○衆議院議員(高木陽介君) 被害者等による記録の閲覧、謄写の必要性は事件終結後時間の経過とともに減少するものであって、一定の期間が経過した後は少年の生活の平穏やまた関係人の名誉等の利益の保護の要請がこれに優越するものであると考えております。 先ほど申し上げましたけれども、不法行為による損害賠償請求の時効が三年とされていることだとか、また被害者通知制度の通知の可能期間を三年としていることなどを考慮して終局決定後三年間としたものであります。 ○魚住裕一郎君 次に、被害者への配慮ということで意見の聴取ということが規定されるわけでございますが、被害者の会とかあるいはテレビ等でも被害者側の意見を何も聞いてくれなかったというようなことを、私もじかにお聞きしたことがございますし、そのとおりだなと。少年事件においては被害者側は忘れられた存在というようなことも言われたりしたところでございます。 この意見聴取でございますが、その時期とか方法はどういうふうにするものなのか。そしてまた、これはあえて意見聴取でございますが、意見表明権といいますか、そういうことまではお認めになっていないようでございますが、その辺はどういう理由からでしょうか。 ○衆議院議員(高木陽介君) 家庭裁判所は、被害者等から意見陳述の申し出があってその聴取を相当と認めるときは、みずからその意見を聴取するかまたは家庭裁判所調査官に聴取させるかを判断して、被害者にその旨を通知した上で意見を聴取することとなると考えております。 その聴取の時期、これは審判の状況等にかんがみ、家庭裁判所が適宜な時期に行うものと考えております。また、その方法については、家庭裁判所または家裁の調査官がこれを聴取することとなると思います。その聴取の場所については、審判廷外で行われることもありますが、適当と認められるときは少年等が在席する審判廷で行われることもあると考えております。 あと、意見表明権のことも今お尋ねになりましたけれども、改正少年法の第九条の二によれば、被害者等から申し出があるときは今申し上げました意見を聴取することとしております。したがって、その意味では意見表明を認めたと言っても過言ではないというふうに私たちは考えています。 しかし、被害者が多数の事件で多数の者が意見聴取を希望したりだとか、また暴力団同士の抗争事件などに絡んで意見聴取を認めることが相当でない場合、こういうこともあり得るところで、そこで例外的に事件の性質、また調査または審判の状況その他の事情を考慮して、相当でないと認めたときは意見聴取をしないことができることとしております。 ○魚住裕一郎君 確かに、個別的にどうすれば一番よいのかということを裁判官に判断していただくという形で解決されたと思いますが、裁判所におかれては、ぜひこの被害者側の思いというものもよく酌んでいただきたいなというところでございます。 今回、通知制度というようなものができましたが、今までも犯罪被害者保護法制の中で取り組んでき、また実務上も取り組んできたところでございますが、少年事件に関して警察、そして検察の通知というものはどういうふうになっているんでしょうか。 ○政府参考人(黒澤正和君) お答え申し上げます。 警察では、犯罪被害者対策といたしまして、被害者に対して事件に関する情報の適切な連絡などに努めておるところでございます。 具体的には、殺人、性犯罪、傷害等の身体犯等の事件の被害者あるいは御遺族に対しまして、支障のない範囲内で、捜査の状況のほか、被疑者を検挙した場合にはその旨及び被疑者の氏名、年齢、住所や起訴、不起訴の処分結果等について連絡することといたしております。少年事件の場合には、特にその特性にかんがみまして少年の健全育成を期する観点から、少年の健全育成を害するおそれがあると認められるときには、例えば被疑少年の氏名にかえましてその保護者の氏名の連絡にとどめたり、連絡の際に少年の健全育成の重要性について説明を行うなどの配慮を行っているところでございます。 ○政府参考人(古田佑紀君) 検察庁におきましても被害者等に対する通知制度を設けておりまして、少年犯罪を含め検察官が被疑者の取り調べなどを実施したとき、通知の希望の有無を確認して、希望する方に事件の処理結果等を通知申し上げているところです。 そのほかに、取り調べなどをしない場合でありましても、被害者が亡くなった事件あるいはこれに準ずるような重大な事件につきましては、検察官の方から積極的に連絡をとって通知の御希望の有無を確認した上で同様の取り扱いをしているところでございます。 通知内容といたしましては、少年事件につきましては、家庭裁判所送致などを含む事件の処理結果、それから逆送になってきた場合には、公判期日でありますとか刑事裁判の結果などを通知しているところでございます。 ○魚住裕一郎君 だんだん時間がなくなってきたんですが、これは被害者側への配慮ということで、その中で意見を表明するとか通知をもらうとかいろいろあると思うんです。審判廷は非公開ではありますけれども、やはりどういうふうになって裁かれていくのかということは非常に大きな関心があろうと思うんですが、提案者の中で傍聴ということは議論をされなかったんでしょうか。そして、今回これは傍聴ということが入っていないようなんですが、なぜ入れなかったのか、御説明をお願いします。 ○衆議院議員(高木陽介君) 与党のプロジェクトチームで論議を進めてまいりましたけれども、そこで、委員御指摘の被害者の配慮ということで、傍聴をどうするべきかと、これはかなり突っ込んで議論がございました。しかしながら、この傍聴に関しまして幾つか問題点があるんではないかなと。 まず一番目は、被害者に少年審判の傍聴を認めると、審判廷の構造、これは委員も御存じのように少年との間に感情的なトラブルが生ずる場合、そういうことが懸念されるんではないかと。 二番目に、少年や保護者等の関係者が、傍聴があるということでプライバシーに関する事項について発言することをためらったり、そういうことから逆に裁判所が必要な情報を得にくくなる、そうなると逆に適正な事実認定、さらには処遇の選択をすることが困難になる可能性もあるんではないかと。 三番目に、少年の情操の安定や反省の深化が妨げられる、いわゆる当事者、被害者がいるということでですね。そういう可能性なども考えられるため、今回この傍聴については導入することは盛り込まなかったと、そういう状況であります。 ○魚住裕一郎君 確かに、同じ少年でも刑事処分相当で刑事処分になったら公開の法廷で、だれでも聞ける世界の中でやるわけでございますが、その辺の落差が大きいなという気もいたしますけれども、物理的にも可能であればまた今後議論をしていくべきではないかというふうに私は考えるところでございます。 今回、いろいろ被害者側へ配慮された提案になっているところでございますが、マスコミ等を通じて犯罪被害者の大変な状況が報じられているところでございますが、やはり治療費とか精神的な苦痛に対してどう償っていくのか。 先ほど江田理事の方からも社会の質というようなお話がありました。その点は全く同感でございまして、かつての新宿西口のバスの放火事件に端を発したと思うんですが、犯罪被害者給付金制度というものがあると思うんです。最近これについて拡充という声が大きくなってきていると思うんですが、この点の議論の推移、そしていつごろ、どのぐらいの額まで上がるのかというようなことがお話しできればお願いをしたいと思います。警察庁、お願いします。 ○政府参考人(安田貴彦君) お答え申し上げます。 警察庁におきましては、昨年より犯罪被害給付制度の拡充につきまして検討を進めてきたところでございますが、八月十日には有識者で構成される犯罪被害者支援に関する検討会から犯罪被害給付制度の拡充に関して中間提言をいただいております。 警察庁といたしましては、この中間提言を重く受けとめ、支給範囲の拡大、そして給付金額の引き上げにつきまして、犯罪被害給付制度の拡充を図るべく準備を進めておるところでございます。 ○魚住裕一郎君 項目的にはちょうどよくなってきたかなと思っておりますが、あと一問だけ。 我が公明党におきましては、被害者救済、そしてまた少年の更生、社会復帰という両方の観点から、修復的司法ということが最近マスコミにも取り上げられ、また弁護士会でも提唱され、また私どもも提唱をしているところでございます。 先ほど高木提案者の方から傍聴に関連して、確かにホットな状態の中で被害者側が審判廷に入ることはいかがなものかというようなことがあったんですが、ただ加害少年と被害者が落ちついた状態で協議をしていく、そしてそれぞれの事情というものを伝え合っていくということが大きくこの少年の更生に、また被害者の心の傷のケアになるんではないかということが言われており、また私もそう思うところでございます。専門家の立ち会い、そしてそのための施設でありますとか専門家の養成ということが大事になっていくというふうに思うところでございますが、こういうような修復的司法というものにつきまして大臣の御所見をいただければ大変ありがたいのでございますが。 ○国務大臣(保岡興治君) 日本の刑事司法の手続の中で、例えば被害者と和解するというようなことから、そのことを重く考えて起訴するかしないかを決めたり、あるいは裁判所においても、普通の争いのない事件は被害者と和解して被害者が宥恕しているかどうかが非常に弁論の中心になって、その量刑に当たっての事情を弁護士で整えていくという過程で、被害者に対するいろんな損害の回復、心理的ないろんな、宥恕の対応というもの、我が国は社会そのものがそういうことを求める社会の特質があって、それが生かされていると思うんです。 また同時に、今、先生が言われたような被害者の心のケアとか、少年が罪を意識して、そしてはっきりその被害者の気持ちや被害の状況、悔しさ、苦しさ、悲しさなど、そういったことを理解する機会を持つということは少年の更生、社会復帰にも非常に重要な役割を果たすと。 そういった意味で、さきに私、公明党の青少年健全育成等プロジェクトチームですか、浜四津敏子先生が座長の、総理に出された提言を拝見させていただきまして、その中に被害者・少年等協議プログラムの導入という項目があります。今でも矯正施設で、また保護観察所で保護観察を行う際にも似たようなことをやっていると思うんですが、先生の御指摘は、そういうものに専門家をもっと加味したりいろいろと補強、工夫を重ねて、もっと施設として何か拠点になるものを考えたらどうかとか、その施設といろんな国家のこれに関連する、あるいは地方公共団体等との連携をもう少し工夫したらどうかとか、いろいろ提言を拝見すると細かい内容のさらなる改善の工夫についての意見がそこに記されておりまして、私は非常に参考になるなと思っております。 今後どういう形でこういうことを具体化していくかということについては、いろいろな角度から、また財政当局とも相談しなきゃならない点もあるかと存じますが、できるだけ適切な対応をするように努めてまいりたいと考えております。 ○魚住裕一郎君 終わります。 | | |
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