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会 議 録
第150回 参 「逓信委員会」 2号
2000/11/16
○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
わずかな時間でございますので、内容のある質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、NHKの場合は放送を全部やっておるのですけれども、その中で特に報道の分野、これはかなり重要な位置を占めていると思うのです。そういった中にありまして、やはり言論、表現の自由、本当にこれは守っていかなければいけない大切なものでありますけれども、そういった中で今現在、政府の方で、個人情報の保護基本法というか、そういったものを法制化しようということで、専門委員会の答申が先日ございました。
そういった中にあって、義務化する部分がかなりあるのですけれども、報道機関はそれを義務対象から外す。これはもちろんいいことだと思うのですが、そういった中で、基本原則は適用しようと。これに関しまして、特にNHKを初め民放連、さらに新聞協会等もさまざまな懸念を表明されていると思うのです。
そういった中にあって、私自身もマスコミの出身ということもありますし、また、会長はそういう報道の分野で長年経験を培われてきた、御経験のある方だと思うのですけれども、言論、表現の自由を守っていくためには、逆に個人情報を守らなければいけない。なかなか相反する部分があると思うのです。特に、とみに最近は、一部マスコミによって、メディアによって報道被害を受けている、こういう批判もかなりあると思うのです。
そこら辺の兼ね合いの中で、個人情報保護、これはしていかなければいけない、プライバシー等を守っていかなければいけない、そういった問題と、表現の自由、言論の自由を守っていくという、その報道分野の兼ね合いについてどのようにお考えか、お伺いいたします。
○海老沢参考人 今、日本は民主主義国家であります。主権在民であります。そういう面で、私どもは、やはり表現の自由、言論の自由を守っていくことがその基本だろうと思っております。私ども、そういう面では、自主的にいろいろな面で、そういう個人情報の扱いとかあるいはプライバシー、名誉を守っていくとか、そういう面を努力しているわけであります。
そういう中で、今、プライバシーなり名誉を傷つけるような報道が一部されるというような指摘もされております。そういう面で、私どもも常に視聴者国民の立場に立って、こういう表現の自由、言論の自由というのを守っていくことが基本だろう。その兼ね合いが非常に難しいということは言うまでもありません。
こういう民主主義の健全な発展に資するのが我々の仕事でありますから、そういう面で、その辺の兼ね合いを十分にわきまえながら、今後とも個人の名誉とかプライバシーを侵さないように、またいろいろな面で我々も、自主的な判断にのっとって、視聴者国民に信頼されるような報道をするということが我々の使命だろう、基本的にはそう考えております。
○高木(陽)委員 そのとおりだと僕も思うのですが、そういった中で、日本の民主主義の発展過程を見てみますと、この自由という問題、特に表現の自由、報道の自由というのは民主主義にとって根幹をなすものだと私も考えております。
そういった中にあって、例えば欧米社会はそういう自由の権利というものを、本当に血を流しながらかち取ってきた、そういう経緯があると思うのです。しかし日本の場合には、戦後、敗戦とともに憲法が改正され、そういった中で、本当に市民が、国民が、一人一人がそういう自由というものをかち取ってきたという、実感を持っている人もいるかもしれませんが、多くの国民が、それは何となく与えられたもの、元来あったものだ、こういうような感覚があるのではないかな。
そういった中にあって、報道機関の方がすべて自由なんだという安易な発想に立ってしまうと、これはまた大変なことになる。逆に言えば、プライバシーというこれまた大変な人権問題、これを本当に守っていかなければいけないと思うのです。
そういった中にあって、この個人情報保護法というものが法制化されるという流れにあって、プライバシーを守ろう、そういう報道被害からも守っていこう、こういう考え方があると思うのです。
これはこれで守っていかなければいけないのですが、逆に、一歩間違えると、これこそ報道機関、言論機関に対して権力側が手を突っ込んでいってしまう、そういう武器にもなりかねないという懸念を、私自身は与党であるのですけれども、持っております。
では、どうすればいいのか。それは、逆に報道側が、言論機関が自分たちの中でしっかりと自律というものを持った上でやらなければいけないのではないかな、そういうふうに思うのです。
もちろん、NHKを初め重立った、新聞協会さらには民放連といったところはそういった論議もしているとは思うのですけれども、逆に言えば、そこら辺のところがすきをつくってしまうと、権力側というのですか、それがすぐ突っ込んでくる。逆に、すきを与えないだけの、自分たちを律していく、これをしっかりと持たなければいけないのではないかな。これは朝日新聞か何かの社説にも、今回の個人情報保護の問題を通じながら、報道機関もそれをしっかりやっていかなければいけない、こういうことが書かれていました。
それを逆に目に見える形にしていかなければいけないだろうし、そういった部分では、例えば北欧、スウェーデン等は、オンブズマンみたいな形で、第三者機関が報道被害を初めそれをチェックするような形、逆に言えば反論権も与えていくというような形、こういうものがあると思うのですけれども、こういう問題についてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
○海老沢参考人 今先生が指摘されました自由の問題、民主主義は自由が基本でありますけれども、自由にはやはり責任が伴うんだ、そういう責任感が欠落している部分が非常に多い点が今問題だろうと思っております。
そういう面で、私どもも、今まさにおっしゃるように、自律といいますか、自分を律する、そして自主的にこれを判断して責任持って対処をするというのが基本だろうと思っております。そういう面で、我々も、いわゆる放送される側、書かれる側の立場に立って、やはり相手の痛みを十分考えながら物を処していかなきゃならぬということもこれは基本であります。
そういう面で、私どもも、現場に放送倫理委員会を設けたり、あるいは放送ガイドラインをつくったり、そういう面での職員の研修、教育に力を入れておりますし、また、民放連と一緒になって放送倫理基本綱領もつくりました。
そしてまた、人権問題につきましては放送と人権等権利に関する委員会もつくり、また番組の問題については放送番組向上協議会というものをつくって、我々放送事業者が自主的に第三者機関をつくってその中でいろいろな御意見を賜る、そして我々も十分に意見を聞きながら、我々の責任において処理していく、そういう方向で我々もさらに一段の努力を続けていくつもりでおります。
○高木(陽)委員 しっかりと報道機関、言論機関としてそこのところをよくよく考えながら、そしてまたそのすきをつくらないでいただきたいな、そんなふうに思います。
これは御答弁は要らないのですけれども、自分自身の考え方として、例えば誤報だとかミス、新聞にしてもまたは放送にしても、そういうものがあったときに、おわび、訂正の記事なんかも、新聞なんかは、一面使ってばっとセンセーショナルに書かれたものが、例えばおわび、訂正の記事がこんな小さかったり、テレビも、ばっと放送、報道した後、それがもし間違っていた場合等々、このことは間違っておりましたということは言うのですけれども、特に放送というのは一過性の部分がありますので、そのニュースを見た、翌日その間違いがわかって訂正を流したとしても、それを見ていない人もいるわけですね。
そうなりますと、そのままその誤報が、テレビが流したから、またはNHKが流したから、民放がこうやって流しているからということで信じたままいってしまう場合もあるということで、そういった中での、誤報だけではないのですけれども、放送のあり方というものを本当に慎重に考えていただきたい。
再度申しますけれども、権力の側がそういう言論機関に手を突っ込んではいけない、また突っ込ませてはいけないという民主主義の基本原則、逆に、言論側というのはしっかりと権力のチェック機関としてあるべきだと自分自身も思っています。そういったことを踏まえて、御努力のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。
続いて、先ほどからも何度か各委員から質問がありましたけれども、放送と通信の融合、これはこの数年、一気にインターネット等も普及する中で、本当にこの垣根がなくなってきた。
そういった中で、放送と通信というのが融合した場合の放送法のあり方または電気通信事業法という法律のあり方、どこまでが放送でどこまでが通信かわからないときにどの法律を適用してやるのか、こういった問題等がございますけれども、郵政省の方としてみれば、現行の放送法の枠内で今後も対応できるのかどうか、そこら辺のところのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○佐田政務次官 先生の御指摘のとおりでありまして、放送と通信の中間的な分野が大変広がりつつある、こういうことであります。
いわゆるインターネット放送のような通信と放送の中間領域的なサービスの登場やら、または一つの伝送手段を通信にも放送にも用いることができる情報の伝達手段の共用化であるとか、または電気通信事業と放送事業の兼営、そしてまた通信・放送双方に利用できる端末の登場といったいわゆる通信と放送の融合という現象であると私も思っております。
例えば、CSデジタル放送やCATVについて、ハード利用をより柔軟にして、ハード、ソフト分離を一層円滑に進めるための方策を検討する等、通信と放送の融合に対応して放送制度の適宜適切な見直しをやっていきたい、こういうふうに思っております。
さらには、インターネット放送やホームページのような、いわゆる公然性を有する通信における匿名性を有する違法・有害情報について、権利の侵害を受けた被害者の救済を図るため情報流通ルールを確立すること等が必要であると考えております。
御指摘のような通信の秘密との関係についても十分に考慮しながらルールの整備に努めていくと同時に、例えば、インターネットが随分進んできておりますけれども、これからプロバイダーの責任等も議論の対象になってくるのじゃないか、こういうふうに思っております。
○高木(陽)委員 この問題は本当にこれから重要な問題になってくると思いますので、鋭意頑張っていただきたいなと思います。
続きまして、NHKは公共放送というふうに言われておりまして、公共放送というのは公的な部分を占めるわけですね。ところが、これから、今お話のあった放送・通信の融合、エリアがだんだん広くなってくる、こういうような状況にあって、あと、世は今規制緩和の流れということで市場原理でもって一つの物事が動いていく、こういう形になりつつあります。
そういった中で、NHKというのは、よく民放連、民放の方から巨大化批判、肥大化批判、向こうは受信料でお金が集まって、それでいろいろな子会社をつくっていろいろな事業にも展開しているじゃないか、こっちは本当にCM、広告料ですね、そういうところで営業努力をしながら、そういった中で対抗できるのかというような言い方をされておりますけれども、そういった部分でのNHKの巨大化、肥大化の批判について、会長はどのようにおこたえになられるか。
○海老沢参考人 よくNHKの巨大化、肥大化、商業化という言葉が使われておりますけれども、私は、その議論はちょっとNHKの現状を十分理解していない発言だろうと見ております。
といいますのは、御承知のように、私どもの受信料、事業計画等はこの国会で審議をされ、この決算も国会で審議をされるということで、我々が自分で受信料を値上げできるわけじゃありませんし、そういう面で、こういう場でNHKの受信料は決まっているわけでありますから、我々が独自に事業を拡大するわけにはまいりません。
それと同時に、今、新しいCS放送なりCATVなり、あるいはいろいろな、これからも放送に類似した放送が出てくると思います。
そういう中で、放送業界におけるNHKのシェアといいますか、占拠率というものは年々減ってきております。四、五年前まではNHKは二〇%をこの業界で占めましたけれども、最近は一七%まで下がってきています。これは当然NHK受信料を値上げしない限りは補いようがありませんで、そういう受信料収入の中でどういうふうに効率的な仕事を進めていくかというのが我々の課題であります。
そういう面で、関連会社についても、先ほどから話が出ていますように、私どもは、いわゆる民業を圧迫するというような意味を持っていませんし、あくまでも視聴者国民のために貢献するんだということが基本でありますし、また、いただいた受信料で我々がつくった番組を二次利用するとか、あるいは我々が持っているノウハウをそういうイベント等で社会還元していくということで、節度ある事業運営を今展開しているわけであります。
今後ともそういう方針には変わりありませんし、いたずらな拡大を図るつもりもありませんし、そういう面で、こういう審議の場でも皆様方からいろいろな御意見を賜りながら事業展開をしていきたいと思っております。
○高木(陽)委員 今の会長のお話、私自身もそのように思うんです。
今度は郵政省の方にお伺いしたいのは、そういった中でも、今、受信料の方と民放は民放での収益のあり方という、二元論というか二つの形がある。そういった中での放送業界での公正な競争、こういうことと、そのためには、さっき申し上げましたけれども、規制緩和の流れというのがあります。特に電波をオークション制にしろだとか、そういった御意見もいろいろとありますけれども、そういった中での公正な競争と前提となる規制緩和、そういったものの考え方について郵政省はどのように考えているか、お願いいたします。
○佐田政務次官 今会長の方からお話がありましたように、NHKとしては民業を圧迫しない、そういうふうな形で我々も考えておるところであります。
受信料を財源とする公共放送と広告収入等を財源とする民間放送の二元体制のもとに我が国では発展してきた、そういう状況でありまして、今後、多メディア・多チャンネル化に伴い競争が進展する中においても、我が国の文化水準の維持や放送の健全な発展の観点から二元体制の持つ意義は重要であり、今後とも基本的には維持すべきものと解釈しているところであります。
いずれにいたしましても、技術の進展に伴う多チャンネル化や社会情勢の変化に応じまして、NHKの保有メディアや関連会社の業務範囲等、NHKのあり方について絶えず検討することが必要であろう、かように思っております。また現在、放送政策研究会でこういうことにつきましても検討をいただいております。
それと、今先生、オークション制度の電波の話がありましたけれども、これにつきましても議論はあります。イギリスであるとかアメリカ等でもこれはもう既に行われていることでありますけれども、いいところと悪いところがありまして、アメリカなんかですと、やはりなかなか、大変な高額なものですから会社が非常に大変な状況になってしまったり、そしてまたサービスが低下したりという部分もありますので、これからもしっかりと、ここら辺につきましても規制緩和も議論していきたい、かように思っております。
○高木(陽)委員 時間が参ってしまいました。
もっといろいろとお話をお伺いしたいと思うんですが、一番最初に申し上げました言論、表現の自由、この部分だけは今後とも自分自身も考えてまいりたいと思いますし、やはり、民主主義という、日本にとって一番大切なというか、私たち国会議員としても本当に考えていかなければいけないこの問題を、報道機関、言論機関の方々もそういった意味ではしっかりと考えていただきたいな、そういうことを申し添えまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
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