会 議 録

第150回 参 「法務委員会」 9号
2000/11/24

○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 少年法についてお聞きをする前に、一点だけ盗聴法に関することでお聞きをいたします。 一九九九年五月三十一日、共同通信配信で次のようなものが流れました。  埼玉県川越市の自宅に洋弓銃(ボーガン)が撃ち込まれた法務省の但木敬一官房長は三十一日午前「家族が恨みを買う理由は見当たらず、私の仕事に関すること、特に組織犯罪対策三法に関することではないかと考えている」と感想を述べた。  その上で「法秩序維持に携わる私が対象となったことに、暴力の深化を感じる。今、暴力組織と闘わなければ、法案を提出することもできなくなるだろう」と話した。と。 記事は組織的犯罪対策三法案についての国会での審議のことが続いております。 この件は新聞でも報道されましたとおり、司法試験受験を繰り返している人に懲役三年、執行猶予五年という判決が先日出ました。 そういうふうに事件としては解決をしたのですが、当時、私たちが非常に驚いたのは、自宅にボーガンが撃ち込まれてすぐ組織的犯罪対策三法案にかかわる暴力であるということを表明されているということです。 官房長、記者会見でどのように述べられたのでしょうか。

○政府参考人(但木敬一君) 記者会見といいますか、記者が次々当時の川越の私の自宅の方に参りまして、私に対して取材活動をいろいろな社が行いました。 大体の社の共通した質問は、まず何か思い当たることがありますかという質問でありました。それについて、私は、私及び私の家族への恨みというようなことでこのような被害を受けるとは思えないということを申しました。あるとすれば、私の職務にかかわることではないかということもお話ししました。 当時、だれがどのような目的でやったのかは今の段階では全くわかりませんということはもちろん前提として申し上げた上で今のような話がございまして、そこで職務に関するものは何ですかという質問がありまして、当時、御案内のとおり、通信傍受法を含みます組織犯罪対策法が国会で審議され、衆議院の法務委員会で極めて厳しい対立のもとに採決が行われた時期そのものでございます。それで、職務について何か思い当たることはありますかという質問に対して、私は思い当たるとすればそういうことであるということは申し上げました。 これは言ってみますれば犯罪被害を受けた直後の被害者の立場としての応答でございまして、その後国会で坂上議員からこの点について質問がございまして、そのときは捜査中のことなので一切のことは申し上げられないということを申し上げました。 そのような経過でございます。

○福島瑞穂君 「法秩序維持に携わる私が対象となったことに、暴力の深化を感じる。今、暴力組織と闘わなければ、法案を提出することもできなくなるだろう」ということはおっしゃったんですか。

○政府参考人(但木敬一君) 一つの社に対してどういう答えをしたか余り記憶は定かではありません。ただし、いろいろな質問をずっと続けられておりますし、その中には私の方で条件をたくさんつけて、ればとかたらとか、こういう条件であればということはたくさん前提条件をつけた上でいろいろお話ししていると思います。報道の性格上、私が申しましたたらとかればとか、そういうことにつきましては逐一報道はしてもらっていないので、そういう意味ではそのとおりであるというふうには言えないと思いますけれども、いろいろな質問に対していろいろお答えしていますので、たら、ればをつけた上でそういうような意味のことを申し上げているかもしれません。 ただし、これについては、私、正確な記憶ではございませんので。

○福島瑞穂君 何ら捜査も開始していない段階で官房長が、これは組織的犯罪対策三法案、盗聴法に反対する人たちがやったのではないかというふうに述べられているわけですね、「法秩序維持に携わる私が対象となったことに、暴力の深化を感じる。今、暴力組織と闘わなければ、法案を提出することもできなくなるだろう」と。これは大きく報道をされました。「「暴力の深化感じる」 自宅に洋弓の但木官房長」という見出しで報道されました。 当時、盗聴法に関しては、賛成、反対、厳しい対立がありました。そのときに、反対派の人たちはそんなこともやるのかと、やはり怖いというようなイメージにこの報道は大変役立ったわけです。 官房長として非常に軽率だったというふうには思われませんか。

○政府参考人(但木敬一君) 当時、いろいろな事件がございました。御記憶にあろうかと思います。中村先生の事件もございました……

○福島瑞穂君 短くて結構です。軽率かどうかだけ答えてください。

○政府参考人(但木敬一君) 私は被害者の立場で申し上げました。中身も、先ほど申しましたように、たくさんのたら、ればがついた上で話していることでありますので、被害者として事件直後に申し上げたことについて、別に軽率とか軽率でないとかいう話ではないと思っております。

○福島瑞穂君 立場があると思うんですね。官房長ですから、捜査のプロでいらっしゃるわけです。何にも捜査が始まっていない段階で犯人はだれではないかということを言うのは非常に軽率だと思います。 少年法のことについても、私はメディアの誘導、誤導が非常にあるのではないかというふうに考えております。 不信任案の可決、否決をめぐる議論の中で、テレビである有力な国会議員が、補正予算も通さなくちゃいけないし、それから犯罪をなくすために、犯罪のために少年法がもうきちっとあるのだからということを述べられました。 この委員会の中では、あるいは提案理由の中でも犯罪の抑止的効果ということは挙げられていません。この委員会の中でも犯罪の抑止ということは入っておりません。それは立証できない、立証というか、明白に立証できないということになっております。しかし、テレビなどの中では多くの人は、少年法が今回改正されれば安心して暮らせる、あるいは犯罪が減るのではないかというふうに誤導されて思っているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○衆議院議員(高木陽介君) この提案理由の問題については今まで何度も何度も論議がされてきて、大分平行線の部分もあったと思います。 私たちは、今回の少年法の改正で少年犯罪が、これもふえているふえていないということも、いろんなデータの読み取り方によってかなり違うという認識もあると思います。そういった中で、私たちは少年犯罪を何とか防いでいきたい、健全育成もやっていきたい、そういった思いでやっております。 ただ、規範意識という言葉も何度も出てまいりましたけれども、やはりこういった中で、マスコミの報道のあり方を今御指摘されましたけれども、マスコミの報道でも、やはり少年法がある意味では刑事処罰年齢が十四歳になるということでそういう認識も広まると思いますし、そういった部分では規範意識が根づいてもらいたい、そういうふうに私どもは思っております。

○福島瑞穂君 しかし、委員会での議論が正確な形で出ているのだろうかというふうに思います。 凶悪事件がふえているかどうかというのも委員会の中でずっと議論になりました。これは御存じのとおり、犯罪統計を長期のスパンで見てふえていないというふうに見るのか、ここ数年のあるデータを見てふえているというふうに見るのかということなんですが、立法する場合には長期のスパンで見るべきではないでしょうか。

○衆議院議員(麻生太郎君) 両方見なくちゃいかぬと思っております、基本的には。 しかし、長期的に見た場合、例えば昭和三十年、もはや戦後ではないという言葉が使われたのが昭和三十年だと記憶しますが、このころには成人と少年との間においていわゆる刑法による犯罪の検挙というのはほとんど同じだった。ところが、一昨年、一九九八年の統計によりますと、少なくとも十万人当たりの犯罪、いわゆる刑法犯の検挙率というのを見ますと、成人で約百六十七、少年では一千六百九十一という数字になっておりまして、約十倍という数字になっておる、長期的にはそういう数字もあるということを御参考いただければ幸いです。

○福島瑞穂君 それは犯罪に占める中で成人の犯罪率、犯罪をする割合が低くなっているので、その比較をすると少年が成人に比べてふえているということだけれども、全体の統計で見た場合に少年犯罪が増加しているということは長期的スパンでは言えないと思います。 殺人事件ですが、少年の殺人事件の推移を見てもおおむね横ばいです。昭和四十九年から平成十年まで見たときに、この殺人事件は横ばいです。別に少年の殺人事件がふえているということは言えないんですけれども、それはいかがでしょうか。

○政府参考人(古田佑紀君) 殺人に限ってのお尋ねでございますが、先ほど委員御指摘のとおり、長期的スパンということで見た場合に、絶対的な件数というのは、少年犯罪全体として殺人はもちろん数としては減っている、そういう状況であることは昭和二十年代の初めから考えればそのとおりであろうと思います。 ただ、それと同時に、数は数といたしましても、少年の中でどの程度そういう殺人事件が起こるかといういわゆる人口比のような問題もあるわけでございまして、犯罪統計をどういう角度からどう分析するかということはやはり数だけでは決められないように思うわけです。

○福島瑞穂君 八月二十四日の朝日の夕刊の廣田東大助教授が出しているのもそうなんですが、十万人当たり検挙者は非常に減っております。今、古田局長がいみじくも言ってくださったように、件数としてふえているわけではない、長期的スパンで見たらふえているわけではないというふうにおっしゃいました。そういうことは実はきちっと人々の間に伝わっていないのではないか。さっき麻生さんがおっしゃった統計もわかります。しかし、それはこういう面で見たらこうではないかというふうに反論ができるわけで、きちっとそれを長期的スパンで見たらどうかとか全体としてどうかということでいえば、今犯罪がふえているという言い方はやはり不正確、間違っている、誤導であるというふうに思います。 次に、少年法改正案のターゲットというか、ねらっている少年はだれなんだろうか。衆議院の法務委員会の議事録を見ますと、非常に凶悪な事件というふうに出ております。提案理由の中でも凶悪な事件というふうになっております。一方で、法務大臣は、愉快犯、確信犯、おやじ狩りというひったくりのことも話されました。どちらが、何がターゲットになっているんでしょうか。

○衆議院議員(高木陽介君) 個別具体的なこういう犯罪だけを対象にしようという考え方で私どもはこの法改正に取り組んだものではありません。先ほどから申し上げているように、少年が犯罪を犯さないようにする、一番大切な問題でありますけれども、健全育成をしていく。ただし、犯した場合にどう対処していこうかということで私たちは話しました。 先ほどの議論の中にもありましたけれども、犯罪の数だけではなくて、例えば最近、特にマスコミの報道のあり方ということもいろいろと問題になると思うんです。それは山形のマット死事件、これが大きなきっかけとなりましたけれども、そのときの事実認定のあり方、これも一つの問題となって今回の法改正のきっかけともなったと思います。さらには、バスジャックの問題もそうでありますし、また神戸の事件もそうでありましたけれども、やはり報道が過激になることによる影響もあったと思います。 そこら辺のところで、数字の上では数が多くなった、または長期で見ればそんなにふえていない、そういう論議もありますけれども、終戦直後に少年法ができ上がったときと比べてみると、今の情報化の時代にあって、一つ一つの事件が特にマスコミを通じて広がっていくということで、これもかなり大きな影響を与えていると思っております。

○福島瑞穂君 法務委員会の審議を通じて、なぜ改正しなくてはいけないのかというところがやっぱりまだ納得がいかない、わからないんです。 その大きな理由の一つは、なぜ凶悪重大事件が起きるのかというきちっとしたアプローチを国会がまだしていないからではないかというふうに思うんです。一つ一つの事件がなぜ起きたのか、凶悪重大事件がなぜ起きるのか、今の子供たちがどういう問題を抱えているのか、国会は果たしてそれにどこまで肉薄をしたのだろうか、本当に原因一つ一つをきちっと検討し、その中で少年法改正しかないというふうになったんだろうかというふうに思っております。 一つ一つ、例えば佐賀バス事件、神戸A少年の事件、先ほど橋本委員の方から大阪弁護士会の事例分析が出ました。私たちも、いろんな付添人、重大事件をやっている付添人の人から、少年がどういう少年で何に問題があるのかという報告書などもいただいております。これと少年法改正が全く結びつかないので、私たちは少年法のこの改正に賛成はできないわけですが、個別個別ケースで、一体、事件の根本的な問題、何が問題かというところまで検討されたのでしょうか。

○衆議院議員(高木陽介君) 今、御指摘のあったように、国会としてこの少年犯罪の問題について取り組まなければいけない、まさにそのとおりだと思います。 そういった中で、与党のプロジェクトを初め、先ほど麻生提案者の方からもございましたけれども、平成九年から論議がずっと進められてまいりました。その中で、何も少年法の改正だけがすべてだというふうに私どもはとらえていないということをこれは何度も申し上げております。そういった中で、私どもの公明党の方からも、更生のあり方ということで総理の方に申し入れもいたしましたし、それを受けて先ほども法務大臣から御答弁いただきましたけれども、そういう対処をしていこうということもございました。 ということで、少年法の改正だけがすべてだというふうに、百かゼロかみたいな論議で、いつもここの論議になってしまうんですけれども、これは一つこれをやっていく、それだけでよしとはしないで、それ以外にもさまざまな角度からやっていこうという取り組みであります。

○福島瑞穂君 では、根本原因は何と考えられたんですか。

○衆議院議員(杉浦正健君) 少年法改正問題については、人それぞれの価値観でさまざまなお考えがあろうかと思います。 私は、私個人のことを申し上げますと、そもそも少年法において、刑法が十四歳以上が処罰可能であるのに、十六歳以上しかできないということはおかしいということはかねがね思っておったところであります。

○福島瑞穂君 私の質問は、少年犯罪の根本原因は何かと立法者は考えたのかとお聞きしたんです。

○衆議院議員(高木陽介君) 根本原因というものは一つには限られないと思います。家庭環境の問題、または学校での問題、または対人関係の問題、または個人の内面の問題、さまざまな原因があります。これだというふうに決めて、それを解決するために少年法がこうやって変わるんだとか、そういう問題ではないと思うんです。やはりトータルに考えなければいけない。今も考えている最中だと思うんです。それは各党なりまたは議員個人個人なり、そういった中で、例えば衆議院の青少年特別委員会等でも論議がなされていると思います。 そういったトータルな部分でそういう一つ一つ、またこれは個別事案も全部違うと思いますので解決しなければいけないんですが、その中にあって、今回の少年法改正というのは、例えば規範意識を高めてもらいたいという立法者の意図もあります。さらには、事実認定のあり方については、これもいろいろと問題が事実ありましたから、これを明確にしていきましょうという、そういった幾つかの課題によってこういう立法をしたということであります。

○福島瑞穂君 立法者として無責任ではないかと思うのは実はその点なんです。つまり、少年犯罪について人々が心を痛める、それはそのとおりです。私たちも痛めます。しかし、立法するためには、その立法の理由は何かというところがあり、こういう法律をつくったら改善されるという確信がない限りそれは立法すべきでないと思うんです。

○衆議院議員(麻生太郎君) どうも意見をわざとずらしておられるのか、我々の理解が足らぬのか、そこはよくわからないんですけれども、少なくとも私どもはこの法律ですべて解決するというつもりはない。少年法というのはそんな簡単なものじゃありません、犯罪を起こす背景はそんな簡単なものじゃありませんよと、これは皆さん全部納得しておられるんだと思います。この点はよろしいんですね。 その上で、基本的に少年の刑事責任と刑事処罰可能年齢というものの差が今幾つかあるというようなことから、少なくとも故意に殺人を犯す、人様の命をあやめるという人は、同じ裕福な家庭に育っていて、まともに育っている子もいれば、同じ裕福でもまともじゃない子もいる。そのまともじゃない子がまともである子を殺す、故意にですよ、間違ってじゃありません、故意に殺すという場合には、少なくとも貧しいうちに育ってもまともに育っている、片親というさっきお言葉が出ましたが、両親が片親であったとかなんとか言いましたが、離婚しておられるとかいうケースの子の方が多いという比率、例がさっき小川議員の方から数字が挙がっていた気がしますが、こういった場合においてもまともに育っている子の方が多いんですよ、少なくとも。 そのまともに育っている子の方を、自分の社会的な状況がどうだったこうだったということに転嫁して、少なくとも自分が殺人を犯したということが許されるというような状況というのは、これはいかがなものか。少なくともそういった殺人、人の命をあやめるというようなことをした子にはそれなりの社会的責任は負っていただかなければいかぬ。しかし、そういったものを今は負わなくていいんだと。今は、やったって僕は捕まらないんですからというようなことを堂々と言うような子があるという状況は、これは明らかに状況としてはいかがなものか、私どもは基本的にそう思っております。 この法律ができることによって少なくともこういった問題は厳しくなるんだなという意識を持っていただくということは、基本的にはこの種のものに関する対応としての第一歩であり、非常に大事なことの一つ、ただしこれがすべてではないということを何回も申し上げておるところであります。

○福島瑞穂君 私が少年法改正のこの審議で非常に不安を感ずるのは、まともに育った子とまともに育っていない子といって子供をぱんと分けていて、まともでない子が悪いことをしたら罪を負うべきである、以上、という形で終わっているからなんですね。 というのは、もちろんカツアゲとかいわゆる恐喝とか悪いのはあります。しかし、私たちがもし不安を感ずるとすれば、いい子というふうに言われている、今子供たちはやっぱり内申書やいろんな点で非常に不安を感じています。十四や十七歳の子供がなぜ荒れるかというと、私は実はよくわかるような気がします。いい子競争をさせられていて、その中でもうっくつしている。ですから、周りは、あんなにいい子だったのになぜとなっているわけです。 つまり、規範意識ということで議論がありますけれども、多分私たちが思っている規範意識とちょっと立法者の規範意識がずれているのかもしれない。上からどんなに規範意識をたたきつけても、いい子競争の中で苦しんでいる子供はそれはわかっているわけですよ。 ただ、例えば神戸A少年は自分はつるされてもいいと言った。それから、いい子と言われている子供が殺人を犯すということに対してどう私たちは対応するかということに、立法の理由、目的、それから現実に起きていることとその説明がずれているので、私たちはそれに対してそうですかとやっぱり納得がいかないという、そこなんです。犯罪を犯し、問題を抱えている子供にこの少年法は果たして本当に解答を準備しているのだろうか。上から規範意識、悪いことは悪い、悪いことをしたら処罰されるんだということを言うことで、果たしてそれは子供に届くのだろうかというところを一番思います。 悪いことをしたら処罰されるということを子供に知らしめるというふうにおっしゃいました。しかし、少年院に行くことだって保護処分でもちろん厳しいわけですし、ずっとここでも言っていますが、凶悪事件をやる少年の方が問題を抱えていてケーススタディーが必要なケースだとも言えると思います。 まして、悪いことをやったのは悪いと言われるけれども、義務教育が終わるまではこの案ですと少年院に行くわけですよね。受刑者という名目のもとに少年院に行く。そして、監獄法の適用がありながら少年院の中で処遇されるということをやるわけです。 要するに、刑事裁判に付させる、それから受刑者の立場にするというのは単なる見せしめのような形だと思うのですが、いかがですか。

○衆議院議員(高木陽介君) この論議もずっと前々から出ていると思うんですけれども、まずは先ほど麻生提案者の方からありました、いい子悪い子、これは関係なく、人の命を奪う、しかも故意で、これはこれで一つの大きな問題だと思うんです。 いろんな理由があります、例えば家庭の問題がありました、学校での問題がありました、内面にいろんな問題がありました、ではあなたはもう仕方がないですね。これはないと思うんです。やはり故意で人の命を奪ったということに関しては明確に、それはある意味では刑事裁判を受けていただきましょうというのが私たち立法者の意思です。 ただ、家裁にも裁量権はあります。逆に十四歳、十五歳という年少少年の場合に少年院に行って受刑者となる、これは受刑者となりますけれども、そこで配慮をしたのが、やはりここは義務教育課程でございますので、少年院でしっかりそれはやっていただきましょう、こういうことであります。

○福島瑞穂君 重罰化ではなくリストラティブジャスティスを、修復的司法、回復的司法ということを言ってきたわけですけれども、高木さんにお聞きします。 法務委員会の中で、「少年の更生・社会復帰への支援拡充等に関する緊急提言」というものをされていらっしゃるというふうに話していらっしゃいます。被害者・少年等協議プログラムの導入など、リストラティブジャスティス、修復的司法についての取り組みを言っていらっしゃいます。 今、拙速で少年法を改正させるよりも、さっき言ったような疑問もありますので、むしろ修復的司法などの、被害者はそのことも望んでいる、きちっと向き合ってくれということを望んでいるわけですから、リストラティブジャスティスをということについていかがでしょうか。あるいは、それの取り組みについて言ってください。

○衆議院議員(高木陽介君) この修復的司法という考え方、これは日本でももともと例えば起訴猶予のときにいろいろあった部分だと思うんです。これは例えば被害者への慰謝、いわゆる謝るだとか、また弁護人による示談の努力だとか、こういうようなことが日本でも行われてきているわけですね。 欧米の方で、いろんな考え方の中で被害者と本当に対面をするという、そういう場面もあると思うんですけれども、そこまでやって成功する場合もある、逆にやったことによって、まだ被害者の感情がそこまで熟していない場合もあると思います。だから、一概にこの考え方がすべていいんだというふうにも言い切れないし、いい部分もあると思いますけれども、そういった意味で、これは更生の段階でいわゆるそういうことをやったらどうかと党内で論議して提案をさせていただきました。

○福島瑞穂君 先日、関東医療少年院などを訪れました。愛光女子学園は明るい雰囲気だったんですが、関東医療少年院は建物が古い、医療が古いということもありまして、正直言って医療あるいは少年院の処遇としてもちょっと中途半端、あるいは手元が暗いのじゃないかとか、いろんなことを思いました。 もう少し、例えば扶養控除が廃止されるのじゃないかとかいろいろありますけれども、子供のために予算はぜひそういうところには使ってほしいという要望と、最後に法務省に、リストラティブジャスティス、修復的司法について、法務省として前向きに取り組む、あるいは研究、検討されたらいかがかという点についていかがでしょうか。

○国務大臣(保岡興治君) 今、高木提案者からもお話がありましたが、やはり被害者と示談をしたり宥恕をされる、そういう関係で被害者の気持ちをいやしたり、そのことを通じて少年の自省の心をはぐくんだりするということは非常に重要なことだと思います。 したがって、先ほど申しておられたように、検察官が事件を処理する際にも、また裁判官が判決において量刑を考える上でも、その点を従来日本は重視してきている。それは日本社会の特色だと思うんです。だから、外国では最近始まったようなことで珍しく取り上げられておりますけれども、我が国では非常に刑政において重視してきた要素だと、私はそう思っております。 したがって、少年の健全育成の点でも、また被害者の気持ちをいやし受けとめていくためにも、この点は今後もさらに配慮すべき重要な要素と心得ております。

○福島瑞穂君 終わります。


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