会 議 録

第153回 衆 「決算行政監視委員会」 2号
2001/10/24

○高木(陽)委員 本日は、時間も限られておりますので、今大きな話題となっております行政改革、特に特殊法人改革の問題について質問させていただきたいと思います。その中でも、特にきょうは国際協力銀行、そして都市整備公団の問題に触れたいと思うのです。
 その前にまず、今回、九月十一日の米国の同時多発テロで、今米国を中心にタリバンとの闘いという形となっております。我が国も、テロ対策の特措法も衆議院を通過し、参議院で論戦を繰り広げられておりますけれども、こういった中で、さまざまなところにいろいろな経済的な影響も受けている。
 まず、今回の同時多発テロで観光関係、特に航空機関係の問題でいろいろな影響が出ているということで、お客が乗らなくなってきているというか、特にハイジャック等々の不安感もあるでしょう、そういった中で、この事件に関連して我が国の航空業界はかなり減収しているという報道もございますが、それが一体どうなっているのか。そしてまた、この事件に関連して、航空保険契約等々の見直しで費用が増加している、さらには保安体制強化で航空各社がいろいろな手を打っていく、こういった状況で、その費用増加等々はどのようになっているか、お伺いしたいと思います。
○杉本政府参考人 御説明申し上げます。
 九月十一日にアメリカで想像もしないような事案が発生いたしまして、今先生御指摘のように、我が国航空界もさまざまな影響を受けております。
 御案内のように、私どもといたしましては、こういったハイジャック事件を我が国において起こさせないということで、その後、飛行場でのフェーズを最も高いレベルに上げさせていただいております。そんな関係で、お客様方には大変御不自由をおかけしている面があるわけですが、御理解をいただきながらそういう対応をしております。
 御指摘の、我が国の航空企業全体への影響でございますが、同時多発テロ事件を契機にいたしまして、日本航空、全日空、日本エアシステム三社の米国線が、九月十一日に事案が発生しまして運航がとめられておりましたので、通常に回復しました九月十六日から九月三十日まで九月の期間、この間で国際線が前年比約二九%の減、特に米国路線につきましては、その期間でございますと前年比約五四%の減というふうな状況でございまして、そういったことで、お客の数が大変減少しております。今後の状況を見通すのはなかなか難しいところではございますけれども、テロ事件がございまして以降、この九月の減収額全体では約百五十八億円に上るというふうに報告を受けております。
 また、御指摘の保険料の値上げもございます。航空保険料の値上がりによります費用も増加いたしておるわけでございますが、グループの会社を含めました日本航空、全日空、エアシステム三社につきまして、年間に引き直しますと全体では約四百億円の費用増というふうに報告を受けております。
 また、冒頭御説明申し上げましたように、保安体制の強化をさせていただいておりまして、これにつきましてもそれぞれかかり増しがあるわけでございます。グループ各社を含めました日本航空、全日空、JAS、さらにはエア・ドゥ、スカイマーク、こういった全体で対応していただいておりますけれども、現在の状況が今年度いっぱい仮に続くという前提で計算いたしますと、費用増は今年度下期全体で約四十二億円程度になるというふうな推計も会社から聞かせていただいております。
 今後の情勢の変化もにらみながら、費用増加の詳細な内容については航空会社から引き続ききちっとヒアリングをしながら把握に努めてまいりたい、かように考えております。
○高木(陽)委員
 今お話がございましたように、かなりの減収額になってくる。民間航空会社ですから、それなりにまたいろいろと経営努力をしながら頑張っていっていただかなきゃいけないと思うのですけれども、さて、そこで問題となるのが、特殊法人との関連になってくるのです。
 来年度、各航空会社は航空機を調達する計画もあると思うんですけれども、この航空機というのは、ジェット機ですね、日本でつくっているわけではありませんので輸入しておりますが、これの資金調達というのは、実は国際協力銀行が財投の中から融資をしている、こういう現実があると思います。ところが、そこら辺のところで、経営との問題となってきますし、これは各民間航空会社の経営だけの問題じゃなくて日本の航空行政の問題にもなってくるんじゃないかと思うんですが、まず、来年度の新規航空機の購入の計画、また政府系金融機関、国際協力銀行等から資金調達をする、そういう計画はどのようになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
○深谷政府参考人 御説明申し上げます。
 我が国エアラインの航空機の導入についてのお尋ねがございましたけれども、航空会社が航空機を導入する場合、これは多額の資金を必要といたします。そんな関係で、これまでも国際協力銀行によります融資が行われてきているところでございまして、国土交通省といたしましては、我が国の各航空会社からの機材導入の計画を聴取した上で、十四年度、来年度の航空機二十二機の導入につきまして、融資額約一千六百四十億円を概算要求時点でお願いをいたしておるところでございます。
○高木(陽)委員
 今概算要求で要求している額は一千億円を超えちゃっております。
 行革、特に特殊法人改革が進んでおりますけれども、そういった中で、ことしの八月十日、行革推進事務局の方で開示されました「特殊法人等の個別事業見直しの考え方」によりますと、国際協力銀行の輸入金融業務に関しては次のように示されているんですね。それは、「資源関係以外の業務を廃止する。」いわゆる資源関係以外の融資はしちゃいけないという、これはこれで一つの考え方なんでしょうが、それに当てはめますと、今回の航空機、これは資源ではありませんので融資はしちゃいけないということになる。
 もちろん、我が党も特殊法人改革、そして行政改革は大いに進めるべきだという立場にありますけれども、個別具体の問題になりますといろいろと課題が出てくるな。その一つとして、こうなってきますと、来年度の航空機の導入というのは民間金融機関から調達しなきゃいけませんが、何せ額が膨大になります。今の民間金融機関、不良債権を多額に抱えている中でこれが果たしてできるのかどうか、こういった疑問も感じられます。
 この「個別事業見直しの考え方」においてそのような考え方を示しておりますが、航空機に関してどのように考えておられるか、行革事務局の方からお伺いしたいと思います。
○松田政府参考人 お答え申し上げます。
 特殊法人改革につきましては、さきの通常国会におきまして、議員提案によります特殊法人等改革基本法が成立いたしております。この基本法や昨年の行政改革大綱に基づきまして、事業をゼロベースから見直す、その上で組織の改革を進めていくということで、年内にも整理合理化計画を策定すべく今作業を進めさせていただいているところでございます。
 昨年の行革大綱等におきましても、事業の見直しに当たって、民間でできるものはできるだけ民間にゆだねていくという方針が示されているところでございまして、こういう政策金融機関関係につきましてもそういう観点で事業の見直しを進めてまいりまして、事務局の段階の考え方ではありますが、八月十日に先生先ほど御指摘のような考え方を示させていただいたわけでございます。
 基本的には、民間でできるものは、例えば貸し付けは民間にゆだねていく、場合によりましたら、さらに例えば証券化支援とかあるいは保証とかいう形で、一歩引いた形での関与、役割に変わっていくということができないかということを、各政策金融機関等の業務につきまして指摘しているところでございます。
 そういう八月十日の指摘を受けまして、国際協力銀行の方では、航空機輸入に係ります融資につきまして、十四年度の出融資計画には盛り込まないということにされております。また、民間金融機関の融資のみでは対応が困難な場合にということで保証制度の要求もなされておりますので、このような方向で適切な対応がなされるものと考えております。
○高木(陽)委員
 民間でできるものは民間でやる、当然だと思うんです。
 では、来年の航空機の調達に関して、本当に民間がどこまでできるのか、そういった精査。特に、本当に金融機関は今、長期の、しかも固定金利みたいな形での融資をするということは正直考えられないだろうな。では、その上でどうしていくか。政策の部分と経営形態、これはまたやはりしっかりと立て分けて考えなければいけないんじゃないかな。
 特に来年以降、羽田も始め、成田も始め、発着数等々もまた変わってきたときに、日本の航空行政としてこれをどういうふうにしていくのかという位置づけをしっかりしていかないと、ただ単に経営形態、形だけを変えてしまっても余り意味がないのかなというのをちょっと感じているので、指摘をさせていただきたいと思います。
 続きまして、都市整備公団の問題もちょっと似通った問題なんですが、これも民営化論というのがかなり活発に行われております。この都市整備公団についてもむだを省いていく、これはまさに必要なことですし、では、ただ単に民営化すれば全部住宅政策がうまくいくのかという、ここら辺のところもやはりしっかりと論議を進めていただきたいなと思うんです。
 というのは、賃貸住宅の問題なんですが、賃貸住宅は充足している、こういうような意見もありますし、また逆にまだ足りないという意見、これはいろいろな意見があるんですけれども、その中で、この改革論議をしていく上において、現在住んでいる人たちがいるわけですね。
 特に、住民の方々、私の地元も多摩ニュータウンを抱えておりまして、賃貸公団住宅の築三十年以上になりますと、かなりの高齢者の方々がたくさんいらっしゃる。皆さん不安に思っているのは、これが民営化された場合に市場原理に基づいて家賃がどんどん上がっていく、しかし、今自分は年金生活者だ、これはどうなっていくんだろう。では、今さらここから引っ越して民間のところに住めるのかといったら、なかなか家賃が高い中で住めませんだとか、そういった不安感、危機感を持っている現状の中において、大都市部における賃貸住宅の現状、または賃貸住宅政策の中で公団住宅が果たしている役割というのは一体どんなものなのか、これは国土交通省に聞きたいと思います。
○三沢政府参考人 賃貸住宅の現状と公団の役割についてのお尋ねでございます。
 それで、賃貸住宅の現状でございますが、やはり現状においては賃貸住宅は依然として、居住水準という面から見ると改善が立ちおくれているという面がございます。特に大都市地域におきまして、いわゆるファミリー向けあるいは高齢者向けの質のいい賃貸住宅ストックというものが非常に不足しているという現状でございます。
 一つの数字で申し上げますと、例えば四大都市圏の借家にお住まいの二人以上の世帯の方々、これは二人以上でございますので、当然三人世帯、四人世帯、五人世帯、全部含むわけでございますが、こういう方々が約五百七十万世帯いらっしゃいます。一方、賃貸住宅ストックの中で、こういういわゆるファミリー世帯が住むに適する、五十平米以上のストックというところで一応切ってみますと、こういうものが約三百十七万戸ございますので、この差の約二百五十万戸は、二人以上の家族世帯でありながら五十平米以下の借家に住まわれているという現状でございます。
 こういうことから申しますと、やはり良質な賃貸住宅の供給の推進というのは、住宅政策上、非常に大事な課題であるというふうに認識しております。
 それで、そういうものについて民間事業者、民間によってどんどん供給がなされるかどうかという点でございますが、現状で申し上げますと、正直申し上げまして、民間によるこういうファミリー向けの賃貸住宅供給というのは必ずしも十分になされていない。一つ、例えば数字で申し上げますと、東京都区部における民間賃貸住宅ストックの約六割が三十平米未満ということで、そういう意味では、やはり民間による供給というのは十分なされていないという現状がございます。
 こういう意味で、都市基盤整備公団は、住宅政策上非常に供給が必要な賃貸住宅につきまして、民間事業者によっては必ずしも十分に供給がなされていないという現状にかんがみまして、従来から賃貸住宅を政策的に供給するという役割を担ってきたわけでございます。
 それからもう一つ、先生御指摘の七十五万戸の既存賃貸住宅ストックにつきましては、これは御指摘のとおり、高齢者の方も含めまして二百万人の方が居住されているわけでございます。このストックもいろいろな評価がございますけれども、例えばバリアフリー化という観点から申し上げますと、この公団の賃貸住宅ストック、何とか努力しまして一割くらいまでバリアフリー化が進められております。一方、民間の借家ストックでは、バリアフリー化率というのは〇・三%ということでございますので、やはり、これから少子高齢化に向けて、こういう貴重な国民の資産としての住宅、既存賃貸住宅ストックを有効に活用していくということは、住宅政策上も必要なことであるというふうに考えております。
○高木(陽)委員
 今、住宅局長から公団賃貸住宅の現状、役割等々もお話しいただきましたけれども、例えばこんな数字もあるんですね。というのは、七十五万戸、二百万人の居住者のうちで、世帯主が高齢化している、六十五歳以上の高齢者が世帯主の比率というのが、民間は九・八%ですけれども、公団賃貸の場合には二一・三%、倍以上あるという。では、この方々はどうするんだと。または、民間の借家の入居資格限定状況、いわゆる民間ですと、こうこうこういう理由、こういう条件だと入れないだとか、いろいろと制限がございまして、高齢者、小さい子供のいる世帯等を入居制限しているというのは四七・二%あるというんですね。
 こういった現状の中で、民でできるものは民でやる、当然なんですが、果たしてこの公団賃貸がばっと一斉に民になった場合にそれだけの人を吸収できるかどうかという現状、ここら辺がどうなのかなというふうに思います。
 そのことも踏まえた上で、行革の事務局の方では、今後、今論議している最中だからこうですとは言い切れないと思うんですが、そこら辺の検討状況も踏まえてどういう考えなのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○松田政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の都市基盤整備公団につきましては、道路四公団等を含めまして先行の七法人ということで、先ごろ経済財政諮問会議でお決めになられました改革工程表におきましても、「他の法人に先駆けて結論を得る」ということで、作業を進めているところでございます。
 国土交通省の方からは、基本的には民営化の方向で検討をしたいという御報告が寄せられているところでございますが、私どもとしましても、この八月の十日の「事業見直しの考え方」の中で、また繰り返しになって恐縮でございますけれども、「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という考え方で、この賃貸住宅部門につきましては可能なものから業務形態の見直しをしていくということを指摘させていただいているところでございます。
 現在、約二百万人の入居者が公団の賃貸住宅におられるということは十分承知しておるところでございまして、こういう方々のいわば生活に対する配慮ということも踏まえまして、この年内に策定していく計画におきまして十分検討してまいりたいと思っております。
○高木(陽)委員
 時間が参りましたので、きょうの朝日新聞に、この公団住宅の問題、賛成論、反対論、双方の論議があったので、これだけちょっと御紹介して終わりたいと思います。
 まず、都市基盤整備公団の改革には賛成だが、国として住宅政策をどうするかという議論のないまま、赤字だから民営化でいいのかどうか。もう一つは、民間でできるものは民間にするということなんですが、公団が民業を圧迫している、これはもう変えなければいけないんですが、公団があるから民間の賃貸市場が熟さないと言う人がいるけれども、本当かと。特にファミリー向け賃貸なんて入退居の回転が悪いから、利益を上げにくい。利益が上がらないとやはり民間も参入していかないわけですね。そういうものは公がやっていく、こういう部分があると思うんです。
 もう一つ、「古い団地は立地が良いから市場原理にゆだねれば家賃は上がる。公営住宅も倍率が高くて入れない。そんな事態が予想できる。そうなっては困るから国も家賃補助せざるを得ないでしょう。何のための民営化か」という、そういう問題も出てくるんじゃないかという指摘があるんです。
 何も私は、公団、特殊法人改革にブレーキをかけるつもりは全くありません。逆に推し進めなければいけない。ただ、その上において絶対に忘れてはならないことは、例えばこの公団住宅の問題でいえば、住んでいる人がいるというこの現実。では国としての住宅政策をどうするかという論議をしっかりと詰めていかないと、ただ単に形だけを変えてしまっても、魂が入らなければ何にもならないということ。これから論議がさらに進みますし、我が党内でもしっかりと論議を進めておりますので、ここら辺を踏まえてこの改革を推し進めたい、そのことを申し上げまして質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。


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