会 議 録

第153回 衆 「総務委員会」 11号
2001/11/22

○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
 継続審議となっておりました地方自治法の改正案、ようやく実質的な審議に入りました。会期の方もだんだんと後ろの方が見えてまいりましたので、速やかな審議、充実した審議をやってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 今回の改正案、この法律案は、幅広い改正ということで、例えば、直接請求の要件緩和、また議会制度の充実、また今、滝委員の方からもお話がございました住民監査請求制度及び住民訴訟制度の充実、そのほか、中核市の指定要件の緩和、合併協議会の設置に係る直接請求制度の拡充及び住民投票制度、本当に幅広い改正案ですけれども、やはり一つの法律、それなりの理念があると思うのですけれども、今回の法改正全体に通じる目的について、まず大臣の方からお答えいただきたいと思います。
○片山国務大臣 今回の法改正は、先ほども言いましたように、第二十六次地方制度調査会の答申や地方分権推進委員会の意見にのっとったものでございますが、基本的な理念は、結局、住民自治の拡充なんですね。
 一つは、地方議会の活性化と住民参加の積極的な拡大でございまして、それが今の住民投票制度や住民訴訟制度ということになっていると私は思いますし、さらに、二十一世紀の地方自治を担う市町村の規模、能力強化のための市町村合併の促進もその中の視野に入れておる、こういうことが基本的な理念ではなかろうかと私は思っております。
○高木(陽)委員
 そういった考え方の中で、個別の問題についてこれから質問させていただきます。
 まず、住民監査請求及び住民訴訟制度の問題でございますけれども、今、大臣の方からお話がありました、今回の改正は住民自治の充実を図る、そういう観点から、今回、監査請求制度や住民訴訟制度に関する事項も含まれていると思います。
 言うまでもなく、地方分権時代においては、地方自治体、地域住民の意向をしっかりと反映させていく、そして、その反映させた主体的な政策が展開されるということがやはり重要だと思うのです。その上で、先ほどの質疑の中にもありました、みずからの責任でという言い方がございましたけれども、そういうみずからを厳しく律していく、これまで以上に求められていると思うのです。
 そんな中での今回の監査請求、住民訴訟制度、そういう役割をとられていると思うのですけれども、今回、この改正について、住民の請求に基づいて、議会の同意を得て任命された独立の執行機関である監査委員が違法または不当な財務会計行為があるかどうかを審査できる制度、これは今までもそうであったのですけれども、住民訴訟の前段階に当たると思うのですが、今回のこの制度の改正内容及びその趣旨をもう少し具体的にお伺いしたいと思います。
○遠藤(和)副大臣 住民監査請求制度について、まず、行為の停止を求める監査請求の実効性を担保しなければなりません。その審査の段階におきましても、監査結果が確定するまでの間に監査委員が当該行為の停止を勧告することができるという権限を付与した、こういうことでございます。
 これによりまして、地方公共団体に対して回復困難な損害を生じさせる財務会計行為については、損害賠償等の事後的な措置ではなくて、これまで以上に行政みずからの判断によりまして事前に対処することができる、こういうふうになるものと期待をしておる次第でございます。
○高木(陽)委員
 住民監査請求制度というのは、地方公共団体の違法行為の是正には不可欠、今回の改正でさらにその充実を図っていただきたいのです。
 次に、公共団体の違法な財務会計行為についての司法による是正手段でもある住民訴訟手続、先ほどもこれについて多々御質問がございました。今回の改正で、従来、その長や職員個人が被告になっていたいわゆる四号訴訟、これは一たん地方公共団体の執行機関が被告になるという、このように変更することで、先ほど滝委員の御質問では、三点ほど、いろいろと異論があるというような形で質問がありました。
 この違法な財務会計行為を抑止する効果が今まであったんだ、個人でやった方が。今回、改正によってそれがマイナス部分に働くというような指摘もあったんですけれども、私自身も、そこまではいかないんじゃないかなと思うんです。
 ただ、この長や職員の実体責任に変更がないということが大切なことで、先ほど指摘しました抑止する効果が減ずる、マイナスになるということはないと思うんですけれども、この点について、改めて総務省の御見解をお伺いしたいと思います。
○片山国務大臣 先ほど滝委員と副大臣とのやりとりもございましたが、基本的には、訴える住民の実体的な権利は全く損なっておりませんし、それから、訴えられる職員あるいは長の実体責任にも何らの変更はない、こういうことでございまして、私は、抑止効果をよく説明すればおわかりいただける、抑止効果にいささかの減少もない、こういうふうに思っております。
○高木(陽)委員
 今、大臣の方からも、抑止効果の減ずることはない、こういうお話がございました。やはり大切なことは、その法をしっかりと運用していくことだと思うんですね。法改正になる前からいろいろな疑問点、これは法改正ですから当然あると思うんですけれども、やはりそこのところを明確にしながら、その上で改正後もしっかり運用していけるような形をとっていただきたい、このようにも思います。
 続きまして、直接請求の要件緩和、この問題についてちょっとお伺いしたいと思います。
 自治体の場合には、自己責任、自己決定の拡充に伴って、選挙で選ばれる長または議会の役割は逆にこれまで以上に大きくなってくると思うんです。このような中で、代表民主制を補完する制度である直接請求制度の充実を図っていく、これも住民自治の充実を図るという観点では極めて重要だと思います。
 そこでまず、直接請求の要件緩和を行うその趣旨、今回の改正を行う趣旨及びその理由についてお伺いしたいと思います。
○山名大臣政務官 直接請求の持つ趣旨については、高木委員の仰せのとおりでございます。
 地方公共団体の議会の解散及びいわゆるリコール、長の解職の直接請求につきましては、現行、三分の一以上の選挙権を有する方の署名が必要となっているわけでございますが、実際、人口が多い地方自治体におきましては、この三分の一以上の署名を集めることがまことに至難のわざでございまして、そういう意味では、非常に要件が厳し過ぎるんではないか、こういう御指摘も従来からあったところでございます。
 そこで、第二十六次地方制度調査会におきましても、この解散、解職の直接請求につきましては、必要署名数に係る要件を人口規模等を勘案して緩和すべきである、そういう答申がなされたところでございまして、こういった事情を勘案いたしまして、現在三分の一とされているこの要件を、有権者数四十万、人口にしておよそ五十万規模になるかと思いますが、その四十万を超える場合につきまして六分の一に緩和をしよう、そして、この制度のより実効的な運営を確保いたしまして、地方自治の一層の充実を図ろう、これが趣旨と理由でございます。
○高木(陽)委員
 続きまして、条例の制定、改廃の直接請求の際に、請求代表者に議会の審議において意見を述べる機会を保障する趣旨、これについてお伺いしたいと思います。
○山名大臣政務官 これにつきましては、当然、請求代表者が議会でみずからその趣旨あるいはその直接請求の内容を説明する機会をお与えする、制度的に保障する、こういうことでございまして、そういう意味では、議会の活性化にもつながりますし、審議の充実にもつながる、そしてまた、この制度そのものの信頼性、こういったものにもつながる、こういうふうに思っております。
 従来から、請求を受けた首長さんが条例案を議会に付議する場合、みずからの意見をつけるということもされておりますので、そういった意味での均衡を図るという意味もございます。
 本改正によりまして、条例の制定、改廃に係る議会審議のより一層の活性化が図られ、まさに住民自治の充実に寄与する、こういうふうに考えているところでございます。
○高木(陽)委員
 先ほど申し上げましたけれども、この直接請求というのは大切な問題だと思うんですけれども、ただ、もう一点確認したいのは、やはり代表民主制という、まずは議会があるという前提であるというところをしっかりと認識しながらやらなければ、何のための議員なんだ、何のための議会なんだということにもなりますので、ここら辺のところもまたしっかりと運用段階でやっていただきたいなと思います。
 続きまして、中核市の問題、これも要件緩和ということで御質問したいと思います。
 今回の改正において中核市にかかわる制度改正が含まれ、中核市制度というのは平成六年、地方自治法改正により創設された。現在、対象となる三十四団体のうち二十八団体が既に中核市に移行して、平成十四年四月一日から倉敷と奈良が加わって三十団体になる。また、さらに船橋等々もそれを目指して準備をしておるというふうに聞いておりますけれども、こういう中核市によって権限移譲がなされてくるわけですね。規模や能力が比較的大きな都市の事務権限の強化、それによってより住民の近くで、住民のニーズに即した行政を可能にすることができる。地方分権においては、これは本当に大切な中核市であるというふうには認識しているんです。
 その上で、今回、要件緩和されることによって、その対象となる団体は地方自治法の早期成立を強く要望しているというふうに聞いております。今回の中核市問題についての要件緩和の趣旨、目的等々をお伺いしたいなと思います。
○遠藤(和)副大臣 昨日も中核市の市長さんと懇談をさせていただいたんですけれども、今、日本全国三千二百二十四市町村あるんですけれども、その中にありまして、中核市がまさにその中核としての誇りと活力に満ちて、いろいろな事業をやっているということを頼もしく思ったわけでございます。
 今、中核市となるべき要件といたしましては二つありまして、一つは人口が三十万以上であるということと、もう一つは面積が百平方キロメートル以上あるという二つの要件があるんですけれども、この法案におきまして、人口五十万以上の市につきましては面積要件を撤廃する、こういうふうな改正法案を出しているところでございます。
 これによりまして、千葉県の船橋市、神奈川県の相模原市、それから大阪府の東大阪市が該当するわけですけれども、この中で、船橋と相模原からは、私の方にも直接お越しになられまして強く要請があり、早くこの改正法案を成立させてほしいというふうな御希望がありまして、すぐにでも中核市として誕生したい、このような希望が寄せられているところでございます。
○高木(陽)委員
 続きまして、議会制度。
 先ほど、代表民主制、議会というのは根幹であると。地方分権が進みまして、いよいよ地方の権限がふえてくる。そうなったときに、この議会、重要な役割を果たすわけでございますけれども、その上で、議員派遣制度の法制化、さらに点字投票制度の導入、こういったことを今回また導入されるということで、これについてどのようなねらいでやっておられるのかということをお伺いしたいと思います。
○芳山政府参考人 地方議会がその本来の機能を発揮するために、種々充実を図っていかなければならないというぐあいに思います。
 第二十六次地方制度調査会の答申の中で、議会の調査機能や議員研修の充実を図ることの重要性が指摘をされております。これを踏まえまして、議会が、議案の審査や地方公共団体の事務に関する調査等のために議員を派遣することができる旨を地方自治法上明確にする、国会法と同じように明確にするとともに、その手続を会議規則で定めることとしたものでございます。
 また、視覚障害者である議員の活動のより一層の充実を図る観点から、地方議会における選挙について、点字投票制度を導入することとした次第であります。
○高木(陽)委員
 今回の改正で、化製場等に関する法律、クリーニング業法、河川法及び湖沼水質保全特別措置法の四本の改正が含まれております。条例や規則等への委任のあり方、こういった観点があると思うんですけれども、この改正に至った経緯、またはその目的をお伺いしたいと思います。
○芳山政府参考人 お答えします。
 地方公共団体が、住民に義務を課し、また権利を制限する場合には、地方自治法十四条に基づいて、原則として条例で定めなければならないということになっております。
 昨年、十二年八月の地方分権推進委員会の意見の中で、国の法令の中で権利義務規制を行うための基本的な規範の定立を地方団体に委任している場合、法律の中で規則に委任するというような規定も見られるところでございます。
 そういうことから、この意見を踏まえて、今回、所要の検討を行った結果、御指摘のありました法律について、地方公共団体の規則ではなくて、条例に委任することを規定として書くということで、一括して改正を行うことで御提案させていただいております。
○高木(陽)委員
 続きまして、市町村合併特例法の改正についてお伺いしたいと思います。市町村合併は従来から大臣も主張されておりまして、昨年十二月に閣議決定した行革大綱、また、与党において、市町村合併後の自治体数を千を目標にすると。
 これは公明党の方でも、党大会を開いて政策決定をいたしまして、党としても、今三千二百二十三ある市町村を千程度にすべきだ、こういうふうに主張しているわけでございますけれども、今回この改正において、市町村合併について、住民投票を導入した理由についてお聞かせ願いたいと思います。
○片山国務大臣 平成七年の改正で、住民発議制度というのを導入いたしまして、合併協議会を住民の発議によってつくることができる、こういう仕組みをつくりましたけれども、なかなか、関係の議会がノーと言って否決してしまうんですね、合併協議会設置の議案を、住民発議の議案を否決してしまう。こういう例が多々見受けられますので、この住民発議を貫徹するためには、さらに住民投票で合併協議会を置くか置かないかを決めたらどうだろうか、こういう発想に立ったわけであります。これもいろいろな議論がありますけれども、ここまでは、住民投票を導入することが差し支えないんではなかろうか、こういう判断を我々はいたしたわけであります。
○高木(陽)委員
 今、合併協議会の設置について、住民投票の導入ということを言われまして、この合併協議会の設置に関して議会と住民の意思が乖離した場合、これは住民の意思を議会の意思に優先させる、こういう考え方があると思うんですが、合併協議会の設置ではなく、合併そのものについて住民投票制度を導入するべきだ、こういう意見もあると思うんです。この点について、総務省の方に。
○片山国務大臣 例の二十六次の地方制度調査会の答申の中にも、今、高木委員が言われたような合併そのものを住民投票制度にかけたらと、こういう御提言もあったわけでありますけれども、そこまでやりますと、間接民主主義、議会制民主主義を今の地方自治制度もとっておりますから、議会の意思を完全に否定するというようなことまでいくのはいかがかなと。これは市町会、町村会やそういうところの関係団体の御意見も聞きまして、合併協議会の設置ぐらいはと、こういうことになったわけでございまして、この点はいろいろな、両方の意見があると思いますね。
○高木(陽)委員
 今、大臣の方から両方の意見があるというふうなお話がございました。まさにそのとおりだと思うんですね。
 ただ、やはり議会制民主主義というこの形を大切に育てていかなければいけないし、先ほどから何度も出ていました代表民主制という形を、これこそ活性化させていくことが本当に住民自治、地方自治を生かしていく点かなというふうに私も考えております。
 その上で、今回の法改正で合併が進めばいいわけですけれども、また進んでもらわなければ困るんです。時間も大分なくなってきましたので、今回の改正でどれぐらい市町村合併が進むと考えられるか、これを最後にお伺いしたいと思います。
○片山国務大臣 今の合併の特例法の期限が平成十七年の三月までですから、あと余り時間がございませんので、大きなうねり、流れ、雰囲気が私は出てこなければならない、こう思っておりますけれども、現在、合併協議会や複数の市町村で研究会を設置して合併を具体的に検討している市町村は千六百五十七市町村でございまして、五割をもう超えているわけです。ただ、これが合併につながるかどうかは、これからのやり方、これからが勝負だ、こう思っておりまして、これで住民発議制度が、住民投票制度が拡充されるわけでありますから、私はかなりの促進剤になるんではなかろうか、こう思っております。
 それでは、どれだけどうか、こういうお尋ねをいただきましても、どのくらいと、こういうお答えがなかなかしづろうございますけれども、雰囲気的には、この自治法の改正を我々は大きなよりどころにいたしたい、こう思っておりまして、そういう意味での効果は大変大きいものと考えております。
○高木(陽)委員
 数的にはなかなか言えないと思いますが、ここら辺のところは、どんと千にしたい、そういう思いをしっかりと持っていただいた上で、まさに地方分権がこれからさらに重要になってくる、また推し進めなければいけない、その上で、その受け皿である地方公共団体が財政力を含めたしっかりした体力を持っていかなければいけない、その上での合併論議になると思うんです。
 今後、少子高齢化、またはさまざまな、環境問題だとか情報化が、スピードが増してくる。こういう中で、本当に住民と密着している地方公共団体が、住民のニーズ、市民のニーズというものをしっかりと受けとめてやっていくことが重要である。その上での今回の、合併を進めていく地方自治法の改正でもあると思うんです。
 そういった意味では、法を改正して、法をつくって、大切なのは魂を入れることでございますから、やはり総務省を挙げて、また私たち国会の方も議会として、地方分権、そしてその受け皿づくりというものに対して力を入れていく、そういうふうに思いまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。


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