会 議 録

第156回 衆 「国土交通委員会」 3号
2003/2/26

○佐藤(謙)委員 それは意見交換会の域を出ないと思うんですね。経済産業省も農水省もあるいは環境省も、そうした各省庁、それからNPO、NGOが同等の立場で、だれが主催するというのではなくて、そうした円卓をつくっていく。
 それも、今までアサザ基金のアサザプロジェクトについては、国土交通省はかなり彼らの実績というものを評価し、それがゆえに植生帯の保全について連携をし、そして市民参加型の公共事業に国土交通省も、えっと思えるほど積極的に参加をしてくださっているわけですから、そうしたアサザ基金のような、広範な市民が集まり、そして百七十の小学校を巻き込んだ非常に大きな実験的なそうした運動に対しては、もっと温かい目を持って、二百も市民団体があるんだから、そういう言い方ではなくて、彼らは彼らなりにいろいろな提案をしてきているわけです。本当に真剣な、逆水門の柔軟運用ですとか、そうした水位の上下操作の問題ですとか、前向きな提案をしているわけですから、ぜひとも円卓会議を開いていただくようにお願いをしていきたいと思います。
 最後に、これは扇大臣のおひざ元でもあります神戸の震災について、その後の住居、とりわけマンションの建てかえ問題について、残りの十五分ほど質問をさせていただきたいと思います。
 これからの震災問題というのは、私どもにとっても大変大きなテーマでありますし、その後の不安というものをできるだけ解消するためのいろいろな議論を事前にしておかなければいけないと思いますが、とりわけ去年の区分所有法ですとかマンション適正化法ですとか、そうした議論とも連係をして、こうした質問をさせていただきたいと思います。
 実は、国土交通省は一月にマンション建てかえ合意形成マニュアルというものをつくられたと聞いております。実は神戸の震災で百四ぐらいのマンションの建てかえが行われたというふうに聞いているわけでありますけれども、ここで、五分の四の人たちの賛成によって建てかえようということで建てかえが進められる。それに対して、反対をした人たちに対しては、その時価と、再建の建物の敷地として予定していた更地価格と建物の取り壊し費用の差額による評価手法というものが実際的だというふうにこのマニュアルに書いてあるわけであります。
 更地価格と、それから取り壊し費用、解体費用を減じたこの差額が言ってみれば実質的な立ち退き料ということになるわけですけれども、今まで過去にこのような算定方法で売り渡し請求がなされた例があるのか、まず一点、お聞かせください。


○高木大臣政務官 今、売り渡し請求の時価についてのお尋ねでございましたけれども、一般に、売り渡し請求の時価につきましては、建てかえ決議の存在を前提とした、区分所有権及び敷地利用権の客観的取引価格とされております。
 過去に例があるかということでございますけれども、平成十一年の六月に神戸地方裁判所におきまして、売り渡し請求の時価について初めて判決が出されました。これは、更地となった建物敷地の価格から建物の除去費用を控除した金額によって算定することが相当である、このような判決を受けて、今後の売り渡し請求の時価算定の参考となると判断いたしまして、今回、同マニュアルを例示させていただきました。
 また、昨年の百五十四国会の参議院の国土交通委員会におきましても、マンション建替え円滑化法案に対する附帯決議で、「マンション建替組合による売渡請求権の行使に際しての時価の算定基準については、今後の事例集積を重ねる等により、その明確化に資するよう努めること。」このように附帯決議がなされておりまして、今後とも、その趣旨に従って、事例集積に努めてまいりたいと考えております。

○佐藤(謙)委員 私どもの調べたところでは、これは神戸の震災時の建てかえということでありますけれども、例えば、グランドパレス高羽というところが専有面積六十五・二五平米で八百二十六万円、あるいは東山コーポというところが専有面積四十六・五六平米で三百七十八万円、こうしたような事例があるわけでありますけれども、こうした更地価格から解体料を引いた金額が実質的な立ち退き料になっています。
 この阪神大震災後のマンションの建てかえで、少数者、つまり、建てかえることよりも大規模修繕とかリニューアルで何とかしのぎたいという少数者、こういう人たちが実は立ち退き料を手にしてこのマンションから出ていかざるを得なかったわけでありますけれども、今後、こうした建てかえの費用、立ち退き料を法定建てかえにも生かそうということなのかどうか。
 それからもう一つは、震災後のマンションの建てかえで、建てかえ前の区分所有者で、実際に建てかえ後に戻ってきた人のパーセンテージはどのぐらいなのかをお示しいただきたいと思います。

 

○高木大臣政務官 建てかえ後のマンションを再取得した人の割合についてのお尋ねがございましたけれども、その前に、まず、昨年暮れに施行されましたマンション建替え円滑化法に基づく建てかえにおきまして、権利変換手法によって区分所有権等の関係権利を再建マンションに円滑に移行する仕組みを取り入れており、先生今御指摘ありました、立ち退きを前提にした制度ではない、立ち退き料ではないということでございます。
 しかしながら、ほとんどの区分所有者が建てかえに参加を表明しているにもかかわらず、わずかな反対者によって建てかえができないで、大多数の財産権が制約されることは不合理であるために、マンション建替組合による売り渡し請求権を与えたというのが今回の法律だったと思います。
 また、マンション建替え円滑化法においては、売り渡し請求は時価によることとされておりまして、今後行われる同法に基づいて行われる建てかえにあっても、同様の対応になってまいります。
 また、その割合なんですけれども、平成十三年七月に国土交通省において、被災マンションの建てかえ実例について調査を行いましたところ、建てかえ後の再建マンションの床を取得した区分所有者の割合は約八〇%に及んでおります。

○佐藤(謙)委員 今、八〇%というお答えをいただいたわけですけれども、実は、私どもが調べた限りでは、この数字が六四・五%なんですね。先ほど、立ち退き料でないという話でしたけれども、明らかに出ていく。これは、マンションというものを一つのコミュニティーとして我々は考えていかなければいけない、住みなれたマンション、そうしたコミュニティーから出ていかざるを得ないという人たちの痛みというものを、どれだけ我々は感じ取らなければいけないかということなんだろうと思います。
 全国マンション管理組合連合会と日本マンション学会との調査では、六四・五%しか戻っていない、三五%以上が愛着のある住居に戻れないでいるということなんです。仮に、これは五分の四の残りの五分の一、二〇%が自分は反対だと言って出ていかれたとしても、当座、賛成をした人たちもかなり、ローンの重圧その他で戻ろうにも戻れなかった実態がここに浮き彫りになっているんではないかなと思うわけであります。
 現に、この八〇%と六四・五%の差というのはどこにあるかというと、どうも国土交通省の調査では建てかえ完了地区百四地区中七十四地区の合計だそうで、残りの三十地区はアンケートを出したけれども無回答だった。私は、この無回答のところにこそ、いろいろな問題がまだ潜んでいて、それが私どもが調べた六四・五%との差になっているんじゃないかなというふうに思うわけであります。
 この神戸における公費解体について、この公費解体を伴ったマンションの建てかえは成功だったんだろうか。そういう意味で見ると、私は、なかなか複雑で、つらい問題をはらんでいるなと思うわけでありますが、国土交通省はどういうふうにお考えでしょうか。

 

○高木大臣政務官 佐藤委員御指摘ありましたように、国土交通省のデータというか、調べたところによりますと、先ほど御指摘の百四地区中七十四地区で、総除却戸数というのが五千四百九十八戸、総再取得戸数が四千五百五十一戸で、約八三%。
 今御指摘ありましたように、回答のなかったところも含めてそういう痛みがあったのではないか、まさにそういう部分は、今後もマンションの建てかえ問題、いろいろな問題があると思いますので、そこら辺のところはしっかりと検討していかなければいけない問題だと思います。
 しかしながら、先ほど御指摘させていただきましたように、その五分の四、大多数の方々が建てかえを望んでいる場合に、その一部の方々、もちろんその方々の思いというものをしっかりと受けとめなければいけないと思いますけれども、では、残る五分の四の方々がそれで我慢をしなければいけないのかどうか。これは、昨年の区分所有法またマンション建替え円滑化法等の審議におきまして、また参考人の方々にも来ていただきまして、さまざまな角度から論議をして法律の改正等々がなされたと認識をしております。
 その上で、阪神・淡路大震災のときの公費解体の問題でございますけれども、まず、このときの制度は、震災による廃棄物の早期撤去を目的としたものであり、この制度を活用するかどうかは、個々のマンションの被災の程度に応じて、それぞれの区分所有者が判断されたものと考えております。
 また、この制度の活用と建てかえとは直接結びつくものではありませんので、公費解体を伴った建てかえが成功だったのかまたは失敗だったのか、そういう判断をすることは不適当だと考えているんですけれども、この公費解体制度を活用して建てかえたマンションについては、結果的には、公費解体に係る費用の分だけは建てかえの負担が若干軽減された、そういう効果はあったというふうに考えております。

○佐藤(謙)委員 成功、不成功という言い方はと言われましたけれども、震災ということを考えれば、その後の処理で弱者がやはりつらい思いをする。自分の住みなれたコミュニティーというものを離れていかなければいけないということがもしも量的にかなりあるとすれば、これは大変深刻な問題だというふうに私は考えます。
 今、例えばこれから住民が、多数さえ押さえれば建てかえが可能になるという法定建てかえというものが現実にあるとすれば、実に具体的な老朽化に直面している、郊外型で低層の四、五階、あるいはエレベーターもない、高齢者ばかりが取り残されている、そして電気容量も大変低いといった、そうしたところの建てかえ問題をこれから考えていくと、コミュニティーという点からいって、私は、弱者の視点に立った、そうした視点が必要だと思うんです。
 そこで、最後の質問になるわけですけれども、改修とか補修によって再生する、そういう道というものがしっかりとあるべきだということを私どもの政党でも主張してまいりました。環境負荷の低減という人類的な課題への対応という意味で、今後、区分所有法のときの附帯決議で、マンション長寿化や再生に関する調査研究促進について我々なりにいろいろと議論をしてまいりましたけれども、国交省は具体的にどんな取り組みをしようとしているのか、してきたのかを簡潔にお示しいただきたいと思います。

 

○高木大臣政務官 先生今御指摘されました痛みをという部分、弱者の立場、これはまさに、役所としても考えなければいけない以上に、私たち政治家がしっかりとそこのところに視点を置きながら今後考えていかなければいけない、それはしっかり肝に銘じてまいりたいと思います。
 その上で、マンションの長寿化及び再生についてなんでございますが、ストックの有効活用、環境負荷低減の観点から、マンションの長寿命化に加えて、構造躯体を生かして内部の改善または増改築の再生に関する調査研究、その成果の普及、これは重要なことというふうに国土交通省も考えております。
 その上で、このため、平成九年度から国土交通省としては、高い耐久性を持った構造躯体と可変性の高い内装等により構成されるスケルトン・インフィル住宅、この技術を、またさらには、既存のマンションの老朽度の判定や適切な改修手法に関するストックの長寿命化、再生技術等の技術開発に取り組んでおります。
 また、その成果の普及を図るために、耐久性等の高い仕様を備えた一定のマンションに対する助成として二十一世紀都市居住緊急促進事業、また、住宅金融公庫融資の基準において耐久性に配慮していく。さらには、住宅品確法に基づく住宅性能表示制度により、劣化をおくらせる対策や維持管理のしやすさ等について情報提供を行う。またさらに、マンションの建てかえか修繕かを判断するためのマニュアルを作成し公表するといったことに国土交通省として取り組んでおります。

○佐藤(謙)委員 時間が来ましたので、最後に、本当に困っている、資金的余裕のない方々も含めて、これから建てかえと同時に、そうした改修、補修というものにより重要な面があるんではないかなと思います。
 例えば、スーパーリニューアルですとかリファイン建築だとか、住民にいろいろなメニューというものを提示していく。先ほどのスケルトン・インフィルですとか、そういう新規の技術というものをどんどんつくり上げていくということは、それはそれでいいんですけれども、既存のマンション対策として、新規のものとは違ったメニューをしっかりと国民に提示していくのも国土交通省の重要な役割だと思います。
 さらには、最後にちょっと御指摘があったと思いますけれども、老朽化の客観的な基準、建てかえなのか補修なのかという、そうした基準というお話がありましたけれども、老朽化の客観的な基準というのも我々は考えていかなければいけないと考えております。
 時間が超過してしまいました。これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

 

○菅(義)委員 自由民主党の菅であります。早速、質問をいたします。
 大臣は、昨日の所信表明の中で、一昨年の奄美大島沖での北朝鮮工作船と海上保安庁の巡視船との銃撃戦の結果を踏まえて、海上の危機管理に万全を期す、さらに、アメリカの同時多発テロ、あの事件を踏まえて、陸海空の公共交通輸送機関、この警護に万全を期す、こういうことを述べられておるわけであります。
 私は、当然のことであり、このことについては強く推進してほしいと思いますが、事北朝鮮問題に関して考えた場合に、あの北朝鮮と新潟港、ここを一年間に約三十回ほど往復しています万景峰号でありますけれども、この船というのは、かねてより、北朝鮮の工作員が出入港しているのではないか、あるいは不正送金があるのではないか、こういう疑念があったわけであります。
 そして、つい先月には、警視庁の公安部が摘発した事件の中で、元朝鮮総連の幹部があの万景峰号からの指示で対韓国に対しての工作活動を行っていた、こういうことも発覚をしてきております。そして、先日はミサイルまで発射をするなど、日本にとっては、拉致は起こすわ、まさに無法者国家であります。
 こうした北朝鮮の船を、海運自由の原則、そういうことで、なぜ日本は規制することができないんだ、私はこれは国民の大きな声であると思っています。この船の入港の規制について国土交通省がどのように考えているのか、まず最初にお尋ねをします。

 

○吉村副大臣 今委員おっしゃいましたように、万景峰号、いろいろと疑惑が云々されておるわけでございます。これについて、今おっしゃいましたように、入港を拒否するその他、日本国民としては当然の心情だ、このように思っております。
 ただ、もう御存じのように、関税法に基づきます開港、いわゆる開かれた港といいますものは、国際通商に開放された港でございます。したがいまして、現在の時点では外国籍の船舶の入港を阻止する、禁止するということは法制度上は難しい、不可能である、このようなことでございます。
 したがいまして、現時点では水際作戦で、それぞれの関係機関が協力しまして、海上保安庁、税関、入管、また陸に上がりますと陸上警察等々が水際でそういうものに対応しておるところでございますが、御存じのように、昨年の十二月六日の閣僚懇で、扇大臣がこの件についての問題提起をされております。
 立法政策としてどうかというようなことでございますが、我々は可能な限り立法化ということも考えているところでございますが、安全、保安の両面でこれから前向きで検討もしていくべき課題であろうか、このように思っております。

○菅(義)委員 高木政務官にお尋ねをしたいんですけれども、先ほど玉置委員の発言の中で同じような趣旨の発言がありました。そして、これについては現在広範に検討している、そういう答弁でありましたけれども、私は、現行の海上保安庁法あるいは港則法あるいは港湾法、こういう法の中で、特に港湾法の改正であればできるんじゃないか、こう思っておるものの一人でありますが、この広範な検討という先ほどの答弁の中に現行法の改正というのは入っているのかどうか、お尋ねをします。

 

○高木大臣政務官 先ほども答弁させていただきましたけれども、今菅先生のおっしゃった御意見、まさに国民の多くの方々が実感として持っていることだと思います、何で万景峰号をとめることができないんだろうと。そういった意味で、先ほど副大臣も答弁されましたけれども、十二月の閣僚懇で、扇大臣がその問題提起をされた、広範な検討を今している最中でございますが、それは現行法も含めての検討というふうになっております。
 ただ、もう一つあるのは、関税法上の開港という考え方の中で、基本的に、先進諸国の中でそういう形の入港拒否というのが法的にはない、こういう現状もございます。そういった意味で、我が国だけがそういった一つの形をつくれるかどうか、これも含めて、特に日本の場合には海運国でもございますので、そういった観点も視野に入れながら、広範な検討ということで、現行法も含めて検討しているというふうになっております。

 


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