会 議 録

第156回 衆 「国土交通委員会」 27号
2003/5/30

○伴野委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの伴野豊でございます。
 本日議題になりました二法案につきまして、これは参議院先議ということで参議院でももまれておりますし、私自身、この内容につきまして前向きに御検討いただいているということには深く敬意を表するところでございますが、視点を幾つか変えながらも、総括的な質疑をきょうはさせていただければと、時間の許す限り、この河川対策あるいは密集市街地だけではなく、昨今の防災全般に、もし時間があれば少しブレーンストーミングみたいなこともさせていただければ、こんなふうに思っております。
 まず、二題から入らせていただきたいと思いますけれども、まず最初の特定都市河川浸水被害対策法案、改めて目的を読ませていただくと、特定都市河川及び特定都市河川流域を指定するというような文言とか、あるいは総合的に推進するとかいう言葉もちりばめられているわけでございます。
 正直言いまして、全体的に、先ほど前向きに御検討いただいているということは評価すると申し上げましたが、その一方、ちょっと皮肉っぽく言えば、まだこのレベルなのかなというか、もっと早くやってもらえなかったのかな、そんな感もしているわけでございます。ただ、事をなすに遅過ぎるということはございませんので、どんどん進めていただきたいということでございます。
 目的自体を見れば、ごくごく当たり前といえば当たり前で、どんどんやっていただきたいなと思うわけでございますが、ただ、いろいろ都市環境も変わってきますし、いわゆる治水という概念も変わってきているというようなことも含めて、改めて総合的に検討して、地域を指定し、重点的にやっていくんだという意味にとらえさせていただいているわけでございます。
 それで、まず質問に入らせていただきたいわけでございますが、特に高度成長期を経て、今まで、こんなところに住宅が、あるいはこんなところに工場が、あるいはこんなところがアスファルトにというようなところが、非常に速いテンポで土地利用等々がどんどん変わってきて、河川の沿川も随分変わる、あるいは川上もどんどん変わってきて、流水が流れるスピードも変わってくる。そのようなことで、環境がどんどん変わってきた中で、治水のあり方は今までとは違うんだという中で今回の法案が出てきたんだと思うんです。
 今回、改めて御認識を伺いたいんですが、大臣、都市に水害が多発するようになった原因について、今どういう御認識をしていらっしゃるのか、改めてお伺いしたいと思います。

○扇国務大臣 おはようございます。
 今、伴野議員がおっしゃったように、伴野議員のお地元のすぐそばで、まだ覚えていてくださると思いますけれども、要するに東海豪雨、あの名古屋西部の集中豪雨、私、翌日に行きました。あのときにも、あっという間に、後で計算しましたら少なくとも六千億円に及ぶ被害が起きたんですね。そして、あっという間に、これも地方自治体が水害の備蓄のために、ちゃんと食料も、あらゆる避難器具、避難食料等々を備蓄していたところが全部水につかってしまった。そういうふだんの地方自治体の努力も無に帰したというのがあの貴重な経験でございました。
 その原因は、今、伴野議員がお口になさいましたように、やはりあらゆる面で我が国は、少なくとも国土の面積の約一割、この一割のところに、洪水のはんらん区域ですね、そこに人口と国民の財産が集中しているということから、一たんそういう災害が起こったときにはすべてのものが水に埋まってしまう、そういう現象が起こっております。
 それというのも、今おっしゃいましたように、都市部におきましてはあらゆるところで開発が行われて、そして今までのように、市街化の進展とともに、それにふさわしいような予備施設ができればいいんですけれども、御存じのとおり、そういう森林と農地がなくなるというようなことで都市化がどんどん進んでいく、そういう中に個人の生命と財産を移さざるを得ない。新しいところに移ったために、では改めて、広くしたところに必ず保水の機能、いわゆる水だめといいますか、これだけのおうちのためにはこれだけの水だめをつくろうというような計画が全く実行されないで、どんどん開発が進んでいった結果ということは、私は大いに反省すべきことであろうと思います。
 それと、今回もこうして法案として出させていただきましたのも、そういう都市に水害が多発するということを、何とか昔のように、これだけのおうちを建てるんだったらその地域にはこれだけの水だめをつくろうというようなことをきちんと決めておかなければ今のようなことになるというような経験のもとに、今もおっしゃった、遅きに失しているではないかというお言葉をいただきましたけれども、まさにそのとおりだと思います。
 改めてこういう法律で縛らなくても、これが常識的になっていれば私はよかったと思っています。あえて法律にして皆さん方に供しなければならないということは残念至極でございますけれども、開発業者に対してもその責任を負うということを私たちは法案化せざるを得ないという現状でございます。

○伴野委員 今も、図らずも私の選挙区に近いところで発生いたしました東海水害の例を出していただきましたけれども、まさにおっしゃるとおりでございまして、私も東海水害のときには同僚議員とすぐ現場に入らせていただいて、被害の大きさとともに、名古屋及び名古屋周辺と言われるそれなりに整備されてきたところで起こってしまったことに対する驚異を感じたのを覚えております。
 その原因として、今大臣もちょっとお触れになっていましたけれども、一つは自然の驚異というものがあるわけでございます。その中で、保水機能あるいは遊水機能を知らず知らずのうちに人間が失ってきてしまった、その反省をやはりここは謙虚にすべきじゃないかな、そんなふうに思うわけでございます。
 そうした上で、今回、こういう新たな対策法案をつくっていただいて、それを重点的にやっていただくというわけでございます。
 では、具体的に今後どうしていくんだ。古代から、川あるいは水を治める者は国を治めるというようなことも言われておりますが、やはり現代でも、今回のこういう東海水害の例なんかを見ますと、一遍に財産や人命が奪われるわけでございまして、これは本当に国土交通大臣の重要テーマの一つであるんじゃないかと思うわけでございます。
 ただやはり、今までのように、堤防をしっかりつくればいいわ、あるいはのりをしっかり固めればいいわという、器の整備だけではどうもうまくいかない。そういったことで、それを線、点ではなくて、面でとらえていく、地域でとらえていく。全体のその地域の保水、遊水機能を取り戻す、あるいはできるだけそれを向上させる。また、それが向上させられなかったら、少しでも時間差をつけて川に流し込む工夫というようなことで、貯水池や、浸透性のある舗装とか、緑を取り戻すというようなこともお考えになっていらっしゃるんじゃないかと思うんですが、そのあたりの具体的な対策を今お考えでしたら、ぜひ何か御披瀝いただきたい。

○扇国務大臣 今おっしゃいましたように、昨今の気象状況を見てみますと、本当に一晩のうちといいますか、あっという間に百ミリを超えるという時間雨量がございまして、これが異常気象だと言えるのかどうかわかりませんけれども、事例としては、あっという間の百ミリ以上という、今も台風が近づいていますので、これも気をつけなきゃいけませんけれども、そういう集中的に降るという事例が多くなっております。
 そういう意味では、単に堤防を高くするというだけではないという今の伴野議員のお話のとおりでございまして、ふだんから、遊水地だとか貯水とか、そういうもののきめ細かな対策が必要であるというのは御存じのとおりでございます。それをしておかなければ、ただ堤防を高くすればいい、そういうことだけで防げるものではないと私は思っていますし、また、川が遠くにあるところ、川から離れているところでも浸水してしまう。
 それから、今もおっしゃったけれども、都市型になって、この間の反省の中には、地下鉄という新たな都市交通ができて、地下鉄に水が入り込むということも、今までは地下鉄の地上のところにシャッターをかけるなんて考えたこともなかったんですね。でも、そういうことも起きてしまったということからの反省で、あらゆる都市型の防水計画を立てなければいけない。
 そのためには、保水機能あるいは遊水機能を回復して、治水の安全度を向上する、それが大事である。また、治水政策に関しましては、都市政策と住宅政策等多面的な機能を考えていかなきゃいけない、それが今回の新たな問題だろうと私たちは思っている。
 そのために、国土交通省としましては、今まで河川行政というと河川局だけでやっていたわけですけれども、国土交通省になりましたので、これからはこれらに対して、河川部局、下水道部局、都市政策部局と、国土交通省の四省庁統合したメリットを生かして、あらゆる部局が連携して、新規の開発に対して流出の増を抑制する対策を上げるということで、改めて都市部の保水機能の保全を図るという措置なども、今回、この法案によって、今までと違った方策がとれるということ。
 ただ、これで万全を期すわけではありませんけれども、今とり得る中では最大限に、旧河川法というもの、制定されていますけれども、初めて今回実施される総合的な対策であるということを御理解いただきたいと思います。

○伴野委員 ぜひ、そういう総合的な観点から、縦割りではない、今回、河川も面でとらえるわけでございますから、行政の職制も面でとらえていただいて、総合的にいろいろ御検討いただければと思うわけでございます。
 それと、ちょっと哲学的なお話になってしまうのかもしれません。概念的なお話になってしまうのかもしれませんが、私も技術出身なものですから、どうも、先ほど申し上げましたように、水を治める、川を治めるのが国を治めることだというような、何か、人間が自然を治めるという、非常におこがましいというか、ある面非常に生意気な態度が、今まで、行政というんじゃなくて、人間自体にあったんではないか。
 ここはひとつ、水とともに生きるというぐらいの、河川も水が循環する系の一つである、大きな大きな地球のいわゆるH2Oが循環する系の一つである、そこが、余り負荷をかけず、余り人工的な力をかけないで、自然に自然になることがベストだというような概念もお持ちいただいて、水を治める、川を治めるというようなことをお考えいただく、多分、お考えいただいているんだと思うんです。
 そういうような観点から、やはりこれから、水が物質的に流れていればいいわというだけではなく、一つの川を自然流域とした場合に、植生としてもいいよ、生物もしっかり生きているよ、かつ、そこが雨が多少たくさん降っても周りで少し抑えられるよ、水を持ちこたえられるよ。雨が降っていない天気のときには、人もできるだけ水辺におりていって親しめるよ。まさにそれを総合的とおっしゃっているのかもしれませんが、治めるという観点から、水とともに生きる、共水という言葉がいいかどうかわかりませんが、水とともに生きるんだというような、そんな概念をぜひ前面に出していただいてもいいかと思います。
 具体的に言えば、河川管理というのは、川の単体だけではなく、その周りの植生、そのあたりの住環境、それから景観、そういうものもすべて総合的に調和させていくんだ、それができるだけ自然に循環しているんだというような考え方をぜひ推し進めていただきたいな。
 例えば、これはまさに皆様方のお仲間であった独立行政法人の土木研究所の尾澤研究員なんかもそんな研究をされているようでございますので、そういうようなことも全面的に出していただいて、かつ、水もそこを流れてくることによって質的にきれいになっている、そんなようなことを全体的にとらえていただく方策がまた必要じゃないかな。
 それを今後、やはり目標値なんかを決めて、マニフェストばやりでございますけれども、評価項目を決めて、一年ごとにでも結構でございます、ステップ・バイ・ステップで上がっていっていただけるようなことを何かお考えになっていないか、お聞かせいただければ。

 

○扇国務大臣 その前に、細かいことはまた局長がお答えすると思いますけれども、今おっしゃった中で、我々も、今回は、ハード面では今までの河川法、これはダムでありますとか河川とか、それ一つに限られていたんですけれども、今回はそれを、ソフト面ということで水防法をプラスしようということが、今おっしゃった面という面では広がってきたということです。
 それから、水の脅威で、水と共生ということも大事なことです。
 世界で第三回目の水フォーラムが日本で初めて開催されまして、我々は水がなければ生きていけないんだ。そして、二十世紀は領土の紛争だったけれども、二十一世紀は水の紛争が起きると言われております。他方では、水がなくて困っているところがいっぱいあるわけです。
 ところが、こういう集中的なことで水によって災害が起こるという、余っているところと、ないところの格差というものを、何とか私たちは、まず日本の地形からいったこの危機というものを、そして今言った今度のソフトの面の水防法で、いろいろなデータを集めて、それを市町村に早く渡して、そして、ここがこうなったときにはこういうことができますよというシミュレーションを地方自治体でやっていただく。
 それから、災害のときに忘れてはならないのは、まず自助です。自分で自分を助ける方法。ですから、さっき申しましたように、もしものときにはこれは二階に上げておこうとか、食べるものはこうしておこうとか、そういうことをまず自助でやってもらう。そして次は共助。ともに、御近所と一緒にということ。最後が公助ですけれども、そういう意味では我々は、今回はハードとソフト一体となった方法を改めて提示するというのが大きな役目でございます。
 細かいことはまた局長の方にお聞きください。

 

○高木大臣政務官 今、水との共生という言い方をされまして、具体的な河川管理を行う上で、植生の管理ですとかまた環境の整備、景観等、このことを指摘されましたけれども、その面に関しましては、私どもも重要な項目だというふうには認識しております。
 特に、水辺は、そもそも貴重な水と緑の空間としての地域社会に潤いを与えるとともに、また、町の景観形成や余暇の有効利用などにおいて重要な役割を果たしておりまして、特に、最近では、まちづくりと一体的に水辺空間の整備を図ることが社会的な要請になっている。
 具体的に申し上げますと、河川工事を行う際には、生物の良好な生育環境に配慮し、美しい自然景観を保全、創出する多自然型の川づくり、また河川本来の自然環境の保全や創出、また周辺景観との調和を図りつつ、地域整備と一体となった河川改修を行って、良好な水辺空間の形成を図ることを目的とした、ふるさとの川整備事業というものを推進しております。
 河川に生息、生育する動植物を把握するため、すべての一級水系において河川水辺の国勢調査として水辺の生物などを調査し、また結果を公表してまいりました。
 御指摘の環境に対しての評価のあり方というか、項目でございますけれども、水質に関する環境基準など明確な評価ができるものもありますけれども、一般的に定量的な評価は難しいというふうな考えを持っております。
 しかしながら、それらを定量的に評価する取り組みとして、これは試案でございますけれども、「河川に係る環境整備の経済評価の手引き」を作成したり、また昨年度から、市民団体等によりまして、川を評価する川の通信簿、これは三十九の河川で二百五十一カ所で実施しておりまして、結果を公表してまいりました。
 このような形で、今後とも、河川の総合的な管理に努めるだけではなくて、河川環境の評価についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○伴野委員 河川の通信簿、非常におもしろい、いい企画だなと個人的には思っているわけでございます。水とともに生きるといいますか、人間にとってみれば、水は非常に重要なものでございまして、治水ということをきっかけにしながら総合的に、ぜひとも、地域としても面的に、あるいは行政的にも面的に、いろいろな知恵を出し合う。かつ、だれかがやればいいわという発想ではなくて、先ほどの通信簿じゃないですけれども、地域の人が参加してきてどんどん活動することによって、その沿川が美しくなり、また水もきちっと整備され、かつ治水されている、結果的にみんなハッピーというような、そういうコーディネート的なお仕事もぜひ推し進めていっていただきたいな、川を中心としたそういう御活動をぜひ進めていただきたいな、そんなふうに思うわけでございます。
 法案の細部に入る前にもう一つ、昔の仕事柄、ちょっと気になるようなことがございます。
 先ほど、行政の縦割りなんかにも少しメスを入れて、トータルに協力し合って整備していくんだというような中で、河川の橋脚の管理、以前は道路局さんなり河川局さんなり、鉄道が民有、国鉄と分かれていたような場合、部署部署で管理をし、少し連携をとってもらうと、例えば日常の管理なんかも非常にいいんじゃないかなと思われるような事柄、あるいは、縦割りであることによって、ここは見るけれどもここは知らないというようなことがなかったかあったか考えるわけでございます。
 それと同時に、今までの治水の概念と随分、水の流れ自体も変わってくるわけでございまして、橋脚の設計における洗掘に対する設計の仕方、根入れの深さとかそんなようなことが、今技術的に何か御検討されて対処されていこうとしていらっしゃるのかどうか。もしそんなようなところを法案の内容に入る前に少し触れていただければありがたいと思います。

 

○鈴木政府参考人 お答えいたします。
 河川に設置する道路橋や鉄道橋の構造の基準についてのお尋ねということだと思います。
 これにつきましては、河川法で、そういった施設、道路管理者等が川に橋梁をかけたいという場合に、許可申請が上がってまいりました。それの許可をする際には、河川法の中で基準を持っておりまして、通達とかいろいろあるんですが、一言で言えば基準ということになりますが、そういったものが定められておりまして、それに基づいてきちんとつくっていただくということになります。
 その基準の中身についてここで詳しく説明する時間はございませんけれども、平たく言えば、流水方向に長円形のものにしろとか、あるいは川の全体の流水が通過する面積に対してこれぐらい以内にしなさいとか、あるいは基礎の深さというものが非常に大事なんですが、そういったもの等について定めているということでございます。

○伴野委員 法案に入る前にちょっと触れておきたかったという程度でございますので、これぐらいにしておきたいと思います。
 では、具体的に本法案の中身に入っていきたいと思います。
 先ほど嫌みっぽく、もっと早くこの法律をつくってもらえなかったかというようなことをちょっと申し上げたわけでございますが、今回の法案をつくることによって、安全性というのは何か数字で評価されて、具体的に向上する目標値をつくられるのか、もうつくっていらっしゃるのか、あるいはそれをどういうようにしていきたいのか。もしその目標を達成していくとすると、対策費用というのは今後どれぐらいかかって、それはどのように捻出していくのかというようなことを、見込みをお持ちでしたらお聞かせいただきたい。

 

○高木大臣政務官 本法案の具体的な効果と対策費用についてのお尋ねでございます。
 まず、今回の法案は、市街化の進展によりまして、河川区域内の整備だけでは十分な対策が困難である河川につきまして、まず一番目に、河川区域外の流域内でも河川管理者が治水対策を行うこと。二つ目が、河川管理者や下水道管理者による対策のみではなくて、民間事業者についても一定の責任を明確化して、雨水貯留浸透施設の設置の義務づけを行うこと。三番目が、ハードの施策に加えまして、都市洪水想定区域等を指定しまして、円滑かつ迅速な避難を確保するための被害軽減措置を講ずること。これらのハード及びソフトの対策を、河川管理者そして下水道管理者、流域の自治体が連携して、総合的に講じることが可能となる。
 その上で、河川管理者が河川区域外で治水対策が行える効果については、従来型の河川整備に比べまして、浸水被害の解消のために河川管理者が要する費用、工期とも大幅に改善される。また、雨水の貯留浸透施設の設置の義務づけの効果と相まちまして、従来型の河川整備が困難な河川における安全性が格段に向上する、このように考えております。
 対策費用につきましては、個々の河川においては流域水害対策計画が作成された段階で事業量が決定をすることとなりますので、現段階では、具体的な対策費用という形ではお示しすることはちょっと厳しいかなと考えております。

○伴野委員 厳しいというお話もございましたが、やはり目標があって、当然お金もかけ、僕は必要なものはかければいいと思っているんですよ。だから、これぐらいのことをやると逆に宣言していただいて、住民の方にも安心していただいて、だけれども、これだけ必要なんだよ、これだけかければこれだけの効果が出るんだよと逆に自信を持って言ってもらえばいいんじゃないかな。
 これはまだ、法案がやっとこれからできるわけでございまして、これからそういうことも具体的な地域地域にシミュレートされて計算されていくと思うわけでございますが、ある程度目標値を持って、これだけのお金をかけて、こうならないようにしますと逆に自信を持って言っていただけた方が住民の方は安心すると思いますし、税金がこうやってきちんと使われているんだと逆に明確にしていただければいいんじゃないかな、私はそんなふうに思いますので、ぜひその方向で、自信を持っておやりいただければいいんじゃないかと思います。
 ただ、やはり、世間は非常に厳しくなってまいっておりますので、目標数値に対してそれが達成されていなかったときには、それはどうしてできなかったんだという説明責任は必要かと思います。そういっためり張りのある対策、計画をしていただければ、そんなふうに思います。
 先ほど図らずも大臣が、さきの東海水害のことをおっしゃっていただいたわけでございまして、やはり、人間のすばらしいことの一つに、失敗をどんどん生かしてそれを発明の母にしていくことだと思うんですね。そういう意味では、この東海水害の経験、このことも今回の法案のきっかけになったと思うんですが、具体的にどんなところに反映されていると評価していいのか、そのあたり御説明いただければ。

 

○中馬副大臣 東海水害は、本当に典型的な都市災害ということが言えるかもしれません。従来の水害ですと、山間部で急流に流されたとか、堤防が決壊したとか、そういうのが水害と普通言われるわけですが、この東海水害の場合には、河川が切れた、あるいはあふれたといったようなところは全体の上ではほんの二割ぐらいで、あと八割は、じわっと水がふえてきて、そして全体がつかってしまったという状況なんですね。ということは、まさに典型的な都市災害、十分な下水処理能力がなかった、そういったようなことだと思います。
 そして、その結果、地下鉄に水が入り、あるいはまた地下に水が入って人が亡くなったといったようなことにもなったわけでございまして、その反省から今回のこの法律をつくっているわけでございます。
 どういうことを配慮しているかといいますと、先ほど大臣も御説明しましたように、明治二十九年の旧河川法以来、初めてこうした総合的な都市水害に対する一つの施策をやったわけでございまして、河川行政と下水道行政の一元化、一体化が不可欠であり、そのために関係機関が一体となって計画を策定する、このことを先ほど御説明したような形で体系づけたわけでございます。
 それと同時に、計画時に浸水する可能性のある地域についてハザードマップ等をつくりまして、都市洪水想定区域等を指定し、市町村防災計画に地下街等への洪水情報等の伝達方法を定めたり、地下街等の管理者に浸水時の避難等に関する計画作成、公表等を、これは努力義務でございますが、義務づけるということを求めたり、こういうことを規定しているわけでございます。

○伴野委員 総括的に言っていただくとそういうことなんだと思うんですが、今回、やはり一番びっくりしたといいますか、なかなか読み切れなかったのが、いわゆる内水はんらんと言われる、市街地に降った雨が、非常に表流水の速度が速くてある一点に集中して集まって、そこからなかなかはけないということがかなり脅威だったわけでございまして、洪水が、河川からあふれたり、河川の堤防が切れたりというのは間々今までもあったと思うんですが、いわゆる内水はんらん対策、先ほど大臣も、地下鉄の対策というのは非常に重要だとおっしゃっていました。まさにそういうことで、もっと細かく言うと、日常的な排水溝の管理というのがこれから物すごいきいてくるということだと思うんですよ。
 だから、例えば、パソコンに入っているシミュレーションでいくと流れるはずの水が、現場では流れていないということが間々起こり得る。これというのは、机上やあるいは一過性の対策じゃ対応できないんだと思うんですね。
 先ほど政務官もおっしゃっていたように、日ごろから地域住民をどんどん参加させるというと、ちょっとこれも言い方が悪いかもしれぬけれども、興味を持たせるというのがいいんでしょうか、関心を持たせるというんですかね。だから、自分の目の前の排水溝の排水口ぐらいは、落ち葉が枯れていたら自分で取ってくれ、それが自分の家を守る、森を守る、土砂を守ることになるんだよということをしていかないと、なかなか、事故が起こった、これは全部行政の責任だというのは、私は一方的過ぎるような。
 だから、住民の方もやることをやってもらう、そういう活動を啓蒙していくというんですか、目の前の排水溝を日常的にきれいにすることがいざというときに大事なんですよ、こういった活動というのが非常にこれから、日常的な整備といったらいいんでしょうか、日常的な管理といったらいいんでしょうか、重要になってくるんじゃないかと思いますので、そのあたりのところもぜひとも対策を打っていただければ、そんなふうに思います。
 続きまして、ちょっとこれは以前の話題かもしれませんが、浸水被害の防止において、以前、ハザードマップの活用というふうなことがあったわけでございますが、現在、その精度はどうなっているのか、あるいは、今後その精度がどんなふうに向上していくのか。さらには、このハザードマップを、今後この法案がつくられた暁にはどんなふうに利用されていくのか、ぜひともお教えいただきたいというのと、もし、先ほど触れた点で、パソコンの中では生きているけれども現場はそうじゃないというようなところに、何か対策が打てるようなこともお考えでしたら、お聞かせいただければと思います。

 

○高木大臣政務官 まず、ハザードマップの活用についての御質問についてお答えをしたいと思いますけれども、この洪水ハザードマップというもの、地域住民や市町村の防災担当者にふだんから、あるいは災害時に活用していただくことが重要であって、具体的には次のように活用されるべきものと認識をしております。
 まず、災害時に住民がみずから避難できる情報を住民に事前に提供する、住民が自発的な避難の心構えを養うために活用されている。また、市町村の防災担当者には、マップの作成を通じまして、ふだんから防災訓練や防災対策に活用することになると思います。
 また、災害発生時には、ふだんからの備えと緊急時の的確な情報を提供することによりまして、住民が早目の避難行動をすることによって人命が救われるということだけではなくて、家財等を浸水しない箇所に移動させることが可能になる、浸水被害の大幅な軽減を図ることができます。
 また、堤防整備などによって浸水が減った地域、これも大分ふえてまいりましたけれども、水害が少なくなりましたので、はんらんがないと思い込んで、危機意識が薄れるため、マップの作成、周知を通じまして、住民は居住地域の危険性を再認識するなど防災意識の向上につながっていくと考えております。
 国土交通省としましても、今後とも、本省または地方整備局等を通じまして、ホームページまたはさまざまな形、水防訓練等の機会を通じて、このハザードマップの普及を図ってまいりたい。
 特に、実はあす、北陸の地方整備局で、黒部川で、県もまた地元の市町村も参加をした水防訓練が行われるんですけれども、そういった機会も通じながら、私も参加してまいりますので、しっかりと徹底を図ってまいりたいと考えております。
 あと、精度については局長の方から答弁をしたいと思います。

○鈴木政府参考人 ハザードマップの精度に関してお尋ねでございます。
 このハザードマップをつくるに当たっては、浸水想定区域図作成マニュアルというものをつくって、これに基づいてその作図を作成することにしています。その際、こういった計算機の中でシミュレーション計算をするんですが、精度をどんどん上げていくということには、それなりの意味はもちろんございます。ただ、精度を上げれば上げるほど、とてつもなく費用がかかるという面がございます。
 その辺の兼ね合いが大事だということでございますが、現状では、浸水想定図作成において、現段階で、国土数値情報として地盤高標高を含むデータとして、精度の高いものとしては五十メーターメッシュのデータでございます。これを用いて、はんらんシミュレーションを行って、そして浸水区域や浸水深を求め、それを実際の地図の中に連続的に落としていく、こういうことをやっております。
 今、五十メーターメッシュ、随分粗いなというふうにお感じかもしれませんが、実はいろいろな技術が進んでおりまして、これは二メーター五十とか五メーターメッシュというようなことまで実はできるようになってきているんです。これを、全部こういうメッシュに当たってそういう計算でやりますと、これはもうとんでもないお金がかかります。したがいまして、浸水の境界部あたりについてこういったことを活用するとか、そんなことを今後考えていかなきゃいけないと思っております。
 何よりも大事なことは、公表に当たって、浸水想定区域指定の前提となる計画の降雨というものを考えるわけですが、それを超えた場合には、この範囲を超える可能性がありますよとか、あるいは、必ずしも指定区域でないところでも洪水が起こることがあるんですよというふうなことを、きちんと公表する図面の中に書き込んで、そういったことをいろいろな形で周知する、こんなことが大事だと考えております。

 

○伴野委員 そのシミュレートにつきましては、当然、現在の水文学の粋を集めて多分シミュレートしていらっしゃるんだと思いますが、それでもやはり、ある程度仮説を立てて、前提条件の上にシミュレートしていらっしゃるわけでございまして、先ほど申し上げたような、例えば、現場では、あるため升が枯れ葉で詰まっているというような想定がその中に埋め込めるのかどうか、ちょっと私も知り得ませんが、そういうような現場との違いなんかをどうしていくんだ、具体的に前提条件と違うことが起こった場合はどうしていくんだというようなことも、ぜひお考えおいていただけるといいかなと思うわけでございます。
 一方で、住民の方にも、こういう前提の上でのマップだよということはぜひ周知徹底していただかないと、何でもかんでも、いつでもこれなんだというと、これまた逆に違った誘導をする可能性も出てくると思いますので、このあたりの徹底をしていただきたいな、そんなふうに思うわけでございます。
 続きまして、ハザードマップ関連も幾つか質問したいわけでございます。
 先ほどちょっと触れましたけれども、「都市洪水想定区域又は都市浸水想定区域をその区域に含む市町村の長は、」云々というお話の中で、洪水等情報の伝達方法、避難場所、避難の確保を図るために必要な事項について、住民に周知するよう努めるとされているわけでございますが、やはりこの周知徹底というのが非常に重要でございまして、東海水害のときも、住民に本当に必要な情報が来ていなかったということを、当時、水害の後もよく聞いたわけでございます。
 この周知徹底、特に避難勧告の出し方というのは非常に難しいと思うわけでございますが、その水害の経験も踏まえて、今後どういう周知方法をお考えになっていらっしゃるのか。

○鈴木政府参考人 ハザードマップの周知の徹底の方法についてのお尋ねでございます。
 委員御指摘のとおり、これはつくっても何の意味もないわけでございまして、これをいかに周知徹底するか、これが大変重要なことでございます。そして、その中身を住民の方々に本当に理解していただくということが、またこれも大変重要なことでございます。
 これまで各自治体においては、周知の方法でございますが、各戸配布、これをまずやっております。それから、自治体の広報紙へ掲載する、さらに新聞折り込みでも渡す、あるいは地元説明会を実施する、あるいは避難訓練などを行う際にもそういったものを実際に使う、あるいは電話帳のハローページへの掲載、ホームページへの掲載、いろいろな形でその周知が図られるようにしております。
 さらに、そういった多様な方法で繰り返し周知するということが重要なわけでございますが、国土交通省といたしましても、本省や地方整備局のホームページへの掲載や、地方の取り組みを紹介するパンフの作成、配布、あるいは水防訓練などあらゆる機会をとらえて、ハザードマップの普及、周知が図られるようにしてまいりたい、そのように思っております。

 

○伴野委員 いかにいいものをつくっても、あるいはいかにいい情報でも、必要とする人のところに届かなければ何の意味もないわけでございますので、ぜひともそのあたり、常日ごろ御検討いただければ、そんなふうに思います。
 時間もだんだんなくなってまいりました。密集市街地の方にも触れたいわけでございますが、後ほど津川議員の方からそのあたりは徹底して質問していただけるということでございますので、私は、水害あるいは災害に対してどういう安全性の哲学で臨んでいかれるのか、そんなところをちょっと切り口を変えて質問してみたいと思います。
 最近よく土木学会なんかでも提起されているんですけれども、むやみやたらに対策をするといいますか、それはどうなんでしょう、お金があり余っていて、例えば太い柱、厚い壁をどんどんつくっていける経済的な余裕が仮にあったとしても、それが本当にいいかどうか。
 提言されている言葉を使わせていただきますと、これはちょっと地震のときを想定してあるわけでございますが、一つの考え方として、災害の規模を分けて、規模の大きい災害に対しては、災害発生時の都市システム全体の機能性を考慮して、損害回避便益と対策費用を費用便益分析して考えていくべきではないかという考え方が提唱されているわけでございます。これは、ある面、割り切りをしなきゃいけないということも言っているわけでございまして、かなり国民的な議論が要るようなところでございます。
 ただ、お金も時間も有限と考えた場合に、ある面、ここは壊れてもしようがない、けれども、ここは絶対に壊しちゃいかぬというような割り切りで、重点的な整備のあり方というのもある一つの割り切りで考えていかなきゃいけない。ただ、そのときに何らかの基準を設けないと、また、自分のところだけ、自分に有利なところだけ整備してという話が出てきても、これは何の論理性もないわけでございます。
 そのあたり、損害回避便益と対策費用との関係を費用便益分析して検討していくということはお考えになっていらっしゃるかどうか。

○澤井政府参考人 密集市街地の整備ということとの関連で、ただいまの先生の御質問について御説明したいと思います。
 土木学会の提言のお話がございましたが、これは地震動の二段階設計法ということと承知しておりまして、主として土木構造物の地震に対する対応の考え方だというふうに承知しております。
 まず、レベル1というのがありまして、これは、当該土木構造物の供用期間の中で一回ないし二回の確率で発生する可能性がある地震、激甚な地震に比べればやや軽い、ただ被害が生じる可能性がある、そういう地震だと思いますけれども、そういうものについては、基本的には、被害が発生しない、そういうレベルの耐震性能が必要である。
 一方で、例えば阪神・淡路大震災のように、発生する確率は極めて低いけれども、一たん発生すると甚大な被害が起こり得る、そういう地震については、例えば橋でいいますと、橋脚のひび割れなど、ある程度の被害の発生はやむを得ないけれども、例えば橋が落ちてしまうというような致命的な事態には至らないようにすることを求める。そういう地震動とそれに対応する被害レベル、これを二段階に分けて対策をしていこうということだというふうに理解しております。
 こうした地震動による土木構造物の被害に関する考え方がそのまま市街地火災に対する対応に当てはまるかどうかは一応別といたしましても、被害がある程度出ても、致命的な被害にまで大きくなることはないような方策をとるという点におきましては、今回の密集法の考え方は思想として共通しているところはあると思っております。
 すなわち、今回の改正法では、一つには、中にたくさん木造建築物がある市街地全体を、まず大きく道路や公園で、これは防災環境軸と我々は俗称しておりますが、そういったもので区画いたします。建物でいいますと、ある建物の部分が燃えても建物のほかに広がらないように防火区画というものが基準法で求められますけれども、いわばそれを町全体の中でつくろう。そういうことによって、あるブロックで火災が発生しても他のブロックには燃え広がらない、あるいは、自分のところで火が出ても他のブロックに広げない、そういうことで被害を最小化して、致命的な被害を防ぐということを一つは目指しております。
 また、建物の建てかえでございますが、一〇〇%不燃建物になって全面的に建てかわっていくということが究極の理想であるということは言えるとは思いますけれども、一方で、道路とか公園等のオープンスペース等、それから、耐火建築物の敷地の面積の合計がある地区の面積の中で四割、これは不燃領域率というふうに言っておりますけれども、四割を超えますと、市街地で、あるところで火事が起きたときの延焼速度が急激に落ちるという知見がございます。いろいろな実験とか過去の経験から通じて得られた知見でございますが、そういう知見がございます。
 したがって、建築物につきましても、同様に、致命的被害の発生を食いとめる見地に立って、当面、私どもは、このおおむね四割という不燃領域率の達成を目指しまして、共同建てかえが進むことを一つは期待しているわけでございます。
 費用便益分析というお話がございましたが、土木学会の提言の中でも、壊滅的被害を回避することの費用便益分析の手法はまだ確立されておらずに、これから確立するんだということが入っております。
 これは、あるところの壊滅的被害が全国に波及するような例もありますし、また、例えば人々の心に非常に大きな心理的な後遺症を残すということもあります。そういう被害が回避されるということがどのぐらいの便益かというのは非常に難しいと思うんですけれども、ただ、先ほども申しました密集法の目指すところというのは、当面、いわば最低限の安全度を達成すべきだということで、強力に推進しなければいけないものと考えております。

 

○鈴木政府参考人 お尋ねの件で、都市水害の関連について御説明申し上げます。
 説明はできるだけ重複は排除したいと思いますが、都市のシステム全体を考慮した危機管理と申しましょうか、そういったことが大事だという点を踏まえての御質問だと思います。
 私たちとしましては、都市システム全体の機能性に配慮した対策、全くそのとおりでございまして、言ってみれば、そのためのハードのエースはスーパー堤防ということになります。これは、従来の堤防の考え方をちょっと変えまして、堤防が、仮に超える、自然現象ですから堤防を超えることはある、超えても切れないということにすると、これは大変な、被害を格段に減らすことができるわけです。これには時間とお金もたくさんかかるわけでございます。そういったエースと申しましょうか、そういったものを中心にハード対策は推進してまいりますし、それから、先ほど来御質問がございましたように、ハザードマップの整備等々あるいは河川情報の伝達等々、いろいろないわゆるソフト対策を進めるわけでございます。
 何よりも大事なことは、本法案において流域水害対策計画というものをつくることになっております。これは、水害の専門家、浸水の専門家の河川、下水というだけではなくて、その流域全体を所管している県知事さんあるいは地元の市町村、そういったものが四者で、きちんとこの計画をつくるということになっているわけで、ここが大事な点でございまして、その中では当然、御指摘のような都市全体の危機管理というような点、あるいはいろいろなライフラインもあるわけでございます。そういった点について、どうしたらいいのかというようなこともきちんとこういった策定の中で議論されて、そういったことに万全を期されることが望ましいと考えているところでございます。

○伴野委員 人間一人一人に尋ねれば、多分、自分は常に安全で守られるところにいたい、自分のいる地域は最優先して、防災上あるいは災害上も安全でありたいと思うのが人の気持ちかもしれませんが、限られた財源と限られた時間の中で対策を打っていくわけでございます。やはり重要なのは、公平、公正な一つの戦略だと思うんですね。また、その戦略に基づいてどういう実行が行われたかということを事後評価していく、さらに、それに説明をしていくというのがまさに行政の務めじゃないかと思います。
 その一方で、安全というものは、いつも行政任せでいいというものではないと私は思うんですね。一人一人が獲得していくものだと思うんです。
 このあたり、ちょっと今から大臣にお聞きしたいと思っているんですが、やはり日本人というのは諸先輩方のおかげで、私なんかもおぎゃあと生まれてから、非常に安全なところで暮らしてこれたと思うんですね。最近はちょっと犯罪率が高くなっていますから一概に言えないと思いますが、でも、世界に比すれば非常に安全な国で住まっているわけでございます。だから、そういうところに住まっていると、安全というのは日常的にだれかから与えられて確保できているんだと錯覚しがちなんですが、本来、諸外国なんか見ていましても、やはり安全というのは獲得していくものなんだと思うんですね。ある面、経済的に獲得していくこともあるのではないかな、ある代償を支払って獲得するということもあるんだと思うんです。
 そういうようなことで、これはちょっと哲学的なお話になるんですが、大臣は、安全性、経済性、利便性の関係についてどんなお考えを今お持ちか、お聞かせいただければありがたいと思います。

 

○扇国務大臣 今、伴野議員がおっしゃった、安全性というものの確保にどのようにということですけれども、これは少なくとも平和維持と同じような哲学的なものがあろうと私は思います。
 それで、では安全性のためにはどうするかということで、今るる論議いただきましたように、建物を一〇〇%不燃化する、また、水害というものに関して浸水被害をゼロにするような、防災上の面から完璧を期す、それは理想だと思うんですね、そこまでできれば。
 けれども、それをできないのが現状でございまして、今回この二つの法案を一緒に出させていただいたというのは、現状を踏まえてさまざまな、先ほども私いろいろ申しました、そういうようなことを組み合わせて、今、伴野議員は面の広がりをとおっしゃいましたけれども、私は、この二つの法案を一緒に審議していただいて、そして着実かつ段階的に安全性の向上を図る。今、伴野議員は面とおっしゃいましたけれども、この二つの法案を一緒にすることによって、治にあって乱を忘れず、恐れずというような、この対策が初めて、国土交通省が一緒になった利点というものがこういうところにも出てくる、そのように私は思っています。
 なぜなれば、先生はあの名古屋の水害のすぐそばですけれども、私は神戸ですから阪神・淡路大震災のところで生まれ育ちましたので、あのときのことを考えましても、建築物の安全の建てかえを進めながら、町全体を道路や公園等によって区画するということで火災が燃えにくくするというのは当たり前の話です。
 けれども、現実を見ますと、あのときに、東海のときもそうですね、先生のおっしゃった水害のときもそうですけれども、名古屋にあります自動車メーカーというのは、あのとき、一つの工場で浸水によって部品の供給がとまってしまったんですね。そうしますと、あの水害で、東北から九州まで二十四の工場でその部品がないために生産がとまってしまったということで、約一万七千台の車の生産が先送りされた。今先生がおっしゃるように、そういう経済面でも大きな損失をもたらす。また、これが、経済面だけではなくて、実質、車の出荷ができなければ、多くの契約者に対しても利害的にも損失を負わす。
 そういう面で、本当に私は、今回のことでも、阪神・淡路大震災のああいう災害と、そして河川あるいは集中豪雨による都市災害、そういう両方のものが一緒になって初めて、治にあって乱を恐れずという対策がとれるということを如実にあらわした提案を私たちは今回させていただいた基本があろうと思っていますので、そういう面では、まだ足らざるところはるる御指摘いただいて、今後参考にしていくべきだと思っております。

○伴野委員 ぜひ、その思い入れで臨んでいただければ、そんなふうに思います。
 あと時間が二、三分ございますので、これは私の勝手な提案的なものだと思ってお聞きいただければいいわけでございますが、先ほどハザードマップのお話が出たわけなんでございます。
 一つは、防災の日とか、防災というのは、先ほど政務官、防災の大会にもお出になる。そのとき、ハザードマップを使ったオリエンテーリングとかをやってみるとか、それでちょっと遊び心を含めて、ゲームを入れながら、自分のところの地域のハザードマップがどうなっているのか、最終的にそれをよく理解した人がティッシュペーパーを三つぐらい余分に持っていけるとか、そんなようなこともあると、いつもいつも、来賓の方が来て防災についてのコメントをして帰って終わるというよりも、せっかくですから、ぜひ、そういう遊び心を入れていただいて、住民も参加して、子供も参加して、お父さんからお母さん、子供まで一緒に、ハザードマップ、自分のところの地域を見ながら、オリエンテーリングをしながら、一日ぐるっと回って汗をかいてもらって、いい点数がとれたね、ああ、ここで避難すればいいのか、ここは決壊する一番危険なところだというようなことを一緒に見ながら、最後にティッシュペーパーをもらって帰っていってもらうというようなことをぜひやってもらってもいいんじゃないかなと勝手に思うわけでございます。これは御検討いただければありがたいかと思うんです。
 それは何を言いたいかと思いますと、やはりすべては、最終的には被害を受けるのも地域の人ですし、一番関心を持ってもらわなきゃいけないのも地域の人だと思うんです、特に河川あるいは密集市街地においては。
 今回、法案の中に、河川管理者は、流域水害対策計画において必要があると認めるときは、学識経験を有する者の意見を聞く、必要があると認めるときは公聴会の開催等特定都市河川流域の住民の意見を反映というようにあるわけなんですが、確かに、ハザードマップのモデル式をつくるとかメッシュをどうするかとか、学術的なものは学識経験者に聞くべきだと思うんですね。
 ただ、河川の今の実態がどうなっているかとか、先ほどちょっと言った、目の前の、家の前の貯水が詰まっているとか詰まっていないとか、あるいは二十年前の水害ではここの堤防のこの地域から水が出だしたら一気に水が出たとか、そういうような知識というのは、沿川のおじいちゃん、おばあちゃんなり、やはり沿川の人が持っている。ずうっと昔から耳で学んできた知恵みたいなものがあると思うんですね。
 そういうようなものは、住民の意見を聞くという立場ではなくて、常日ごろコミュニケーションをして情報交換していた方が、私は、いざというときに、やはりフェース・ツー・フェースの情報伝達というのが基本だと思いますので、そういうことを日常的におやりいただく意味でも、通り一遍のような、必要なときには住民にも話を聞くよという立場ではなくて、常日ごろお聞かせください、あるいは一緒に河川流域を歩きましょう、ハザードマップを使って一緒に歩きましょうというぐらいの気持ちの前向きさがあっていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

 

○高木大臣政務官 今、河川管理者が学識経験者、住民の意見を反映するということについてのお尋ねでございました。
 まず、流域水害対策計画の策定に当たって学識経験者の意見を聞くこととする、これは、学識経験者の有する専門的な知見をもとにした意見によりまして、流域水害対策計画の内容の客観性または公平性、いわゆる専門家でございますから、そういったものを確保するために行う。
 また、住民の意見を聞くこととしておりますのは、地域の意向を反映するための手続の一環として、関係住民の意見を反映させるために必要な措置を行うということにしている。
 これらの意見聴取の必要があると認めるときは、軽易な事項に関する一部変更の場合を除いて、原則として意見を聞くこととなると考えております。
 今伴野議員が御指摘のように、ふだんからのそういう意見をしっかり聞いていく、または、そういった問題について問題意識を互いに持っていくということは重要と考えておりますので、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○伴野委員 政務官の前向きなお言葉をいただきまして、安心いたしました。ぜひぜひ、この二法案、特に被害を近々にお受けになった住民の方にとってみれば、待ちに待った法案でございますので、より具体的に、効率的に成果を上げていただければ、そんなふうに思います。
 では、後々の質問は同僚の津川議員にバトンタッチしたいと思います。ありがとうございました。

|  |