会 議 録

第159回 衆 「予算委員会」 7号
2004/2/25

○高木(陽)委員 本日は、構造改革の集中審議ということでございますので、私は、道路公団の民営化の問題について質問させていただきたいと思います。
 小泉内閣が発足して以来、構造改革ということで、この道路公団の民営化問題、さらには郵政の民営化問題、また三位一体の改革等々、さまざまな分野にわたって構造改革問題に取り組んでこられました。この道路公団の、四公団の民営化の問題につきましては、いよいよ法案が大詰めを迎えておりまして、そろそろ法案として提出をされる、そういう状況であるというふうにも伺っております。
 そんな中にありまして、道路公団民営化問題というのは、今までのこの二年間、石原大臣がその担当大臣として民営化委員会を設置し、そしてそこで論議を繰り広げ、そして昨年の年末に政府・与党でその申し合わせをする中で骨格が決まっていった。
 しかしながら、その報道を見る限りにおきましては、道路公団はけしからぬ、もちろんけしからぬ部分がたくさんあるからこれは民営化しようという話になってきたと思うんですが、その問題と、道路そのものをどうしていくのかという問題をどうも何か混同している、混同するというよりは、なかなかその問題について、しっかりと論議が一般の国民にも伝わっていなかったのではないかなというのをどうしても感じざるを得ません。
 というのは、この予算委員会等々、また国会のさまざまな審議を通じても、道路公団のこの部分が悪い、ここはどうなっているんだ、いろいろとそういう質疑はあるんですけれども、では、日本の道路、このネットワークをどうするんだという論議というのがなかなかその質疑の中で出てこなかったような気がしますので、私は、その部分で、きょうは時間が限られておりますので、大臣のさまざまなお考えを含めてお伺いをしたいなと思います。
 特に、我が国の高速道路のスタート、これはもうだれもが御存じのように、昭和三十一年、現行の道路整備特別措置法が制定されまして、そして日本道路公団が設立、そこで本格化してまいりました。
 当時の状況は、一般の道路、いわゆる国道または都道府県道、市町村道、地方道も含めて、まだまだ舗装もされていない。こんな状況の中にあって、財源も苦しい中で、ただ、モータリゼーションの中で全国を結ぶネットワークは必要である。そういった中で、公団方式をとりながら、借金をしながら、そして有料道路としてそれを返済していく。
 当初はこの問題、東名そして名神、そういった高速道路ができる中で、日本の高度経済成長にも寄与してきたと思いますし、そういう流れの中で物流も発達をしてきた。この問題につきましては、当初の公団方式は間違ってはいなかったんだろうな、このようにも思うんです。
 しかしながら、その途中経過の中でさまざまな問題が出てきた。これが今まで指摘をされてきたことだと思いますが、例えば、特殊法人改革という流れの中で指摘されてきたのが、天下りの問題ですとか、または道路公団で申し上げればファミリー企業の問題、さらには、そういう親方日の丸というか、チェックの甘さからの高コスト構造、さらには、道路建設にかかわって、そこに利権が存在するのではないか、そこで一部の人たちがその利権をむさぼっているのではないかみたいな指摘。
 そういったさまざまな指摘の中で、では、この公団はこのままでいいのか。だれもがこれはよくないと思っているわけです。しかしながら、改革はしなければいけないんですけれども、では道路をどうしていくのかという問題は、これは別問題だということを明確にしないまま論議がスタートしたのではないかな、こんなふうに思っております。
 例えば、道路というものは、そもそも社会資本整備として、国道にしろ地方道にしろ、税金でつくられるわけですね。民間でつくらないわけです。もっと言いますと、もうかるのであれば、民間がどんどん参入してつくってくる。
 よく国鉄の民営化とこの道路公団の民営化を対比して論議される方もいらっしゃいますけれども、鉄道の場合には、戦前から民鉄がありましたから、そういった中で競合する、そのノウハウもあるということで、この国鉄改革というものは成功したと思うんです。一方で、道路については、それまで民間がつくるという発想がない、もうかるという発想がそもそもない中で、この民営化論議というのが何かどんどん進んでいったような気がします。
 例えば、高速道路を民営化された会社が私有財産化する。ということは、永久有料化になるということですね。そして、そういう問題は、道路の本質をどう考えるかというのが大きな論点になると思うんですけれども、これについて、石原大臣、民営化委員会もずっと担当してまいりましたし、どう考えておられるのか、また、海外にも民営化を行っている国もありますけれども、この点についてどうなっているのか、お聞かせ願いたいと思います。

○石原国務大臣 ただいま高木委員が、昭和三十年代にさかのぼりまして日本の高速道路の歴史的変遷について、また、今回の公団の民営化論議を通じての議論の混乱している点についての御指摘がございました。
 そんな中で、御質問は、いわゆる国民共有の財産であるところの道路の私有化、別の言葉を使いますと上下一体論とでも言うんでしょうか、こういう点、あるいは、海外の事情についてどのようになっているのかというのが御質問ではなかったかと思うのでございます。
 日本では、私思うんですけれども、永久に料金を取り続けていく仕組みとこの上下一体論、一緒に議論されていて、イコールでほぼつながっているように感じるわけでございます。
 公団の民営化に当たっては、さまざまな問題点も高木委員が御指摘されたわけでございますけれども、そういう問題を除去していくために民間の経営センスを導入するということが重要でありますが、一方で、委員が御指摘されておりますように、やはり道路というものは、歴史的変遷を見ても、無料通行というものが原則でございますし、公共性が高く、やはり私有化になじまないものであるというのが基本的な哲学としてあるということも、過去の歴史の中からも明らかではないかと思っております。
 そんな中で、委員が御指摘されましたように、このモータリゼーションの発展と我が国の社会資本の整備、これに対応していくために、受益者負担で特別措置として有料道路ができてきた。そして、これは理屈の上では債務完済後に無料化する。今回の論議の中では、これをしっかりと法定化して、四十五年後に無料化するというものになっているわけでございます。
 ヨーロッパの方を私も歩いて見てまいりましたけれども、高速道路の完全私有あるいは永久有料というものがあるのかというと、私はなかったような気がいたします。フランスでも高速道路資産は常に国に帰属しておりますし、イタリアにおいても、いわゆるコンセッション契約、日本語で言うと特許契約とでも申すのでしょうか、これが終了後には国に移管される仕組みとなっているわけでございます。

 

○高木(陽)委員 今大臣からお話ありましたように、いわゆる完全の私有化というのはないわけですね。そうなりますと、四十五年で返済をして、最後は国に帰属をし無料化していく。一般の国民の実感から四十五年後のことというのはなかなかイメージできませんから、本来であれば、それをもっと早く借金を返済して無料化するという努力、今回法案としては出てくると思いますけれども、そこで終わりではなくて、さらにその一歩先、二歩先を行くような、そういう努力というものはまたこれはしていかなければいけないということで申し上げておきたいと思います。
 この公団方式、先ほど申し上げましたけれども、長年たってくると大体制度疲労を起こすということで、例えば、投資が行われるたびに返済期限が先送りされる、採算性が全くとれない路線にもプール制で建設されるから建設に歯どめがかからない。二つ目として、建設や管理に要するコストの削減努力が十分行われていない。また、ファミリー企業との関係が不明朗、こういう指摘がございました。
 ただ、この民営化論議が進む中で、それなりに、改革の法律案が出る前ですけれども、もう既に着手している問題というのはあると思うんですね。これについて、野党の皆さん方はまだまだ手ぬるいと。もちろんそういう部分もあるでしょう。ただ、それが今ここまでいっていますよということがなかなか伝わっていない。
 多くの国民もまだまだそこら辺のところ、例えばコストの問題でいうと、二百万円の電話の問題ですとか指摘されて、とんでもないなと思っているわけですね。ところが、それがどういうふうに今なっているんだ、そしてまた、これからどうなっていくのか、こういうところがしっかりと伝わっていかないと、この民営化論議、法案が出て国会で審議されても共鳴されないんじゃないか、国民の理解を得られないんじゃないか、そんなふうに思いますので、まず、ファミリー企業というのが大分改革に着手し始めているということで、この実態についてお伺いをしたいと思います。

○石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたファミリー企業と公団の癒着の問題ということは、事例に出されました二百万円の電話一つをとってみましても、国民の皆様方の常識あるいは私どもの常識をはるかに超越して、かなりのむだがあることの一つの例ではないかと思っております。
 そんな中で、どれだけのファミリー企業に対するメスが入ったのかというお尋ねであると思うんでございますが、ファミリー企業に公団から天下ってOB社長になっているわけですけれども、これに対しましては公団から退任を要請しております。その結果でございますけれども、現時点におきまして、ファミリー企業の公団OB社長は、九十七人から四十八人に減少、半分になっております。また、公団OBの役員の数でございますけれども、これも四百七十四人から二百三十二人に減少しております。ファミリー企業への発注費の削減についてでございますが、今年度末には平成十四年度と比べましておよそ二百五十億円減少し、一一%程度減少する見込みでございます。
 もちろん、これは委員御指摘のとおり十分ではなく、ファミリー企業の癒着の問題にはさらなるメスを入れていかなければならないということは意見の一致する点ではないかと思っております。
 一方、ファミリー企業で内部留保がある、いわゆる余剰金の問題でございますけれども、これはやはり社会に還元していかなければならないということで、身障者の方が、最近は車も発達いたしましてドライビングをされているわけですけれども、ETCを装着するために、これは御党の努力によりまして、十億円でございますけれども、この助成に回すというようなことをしたわけでございます。
 一方、十五年度からなんでございますけれども、入札や契約方式を見直しまして、ファミリー企業以外の新たな企業の参入というものを促進し、競争性を高めてきております。
 しかしながら、この点は、私も調査結果を見てちょっと愕然としたんですけれども、今年度の維持管理業務に関するファミリー企業以外の企業参入した割合というものは、前の年と比べまして、五七・五%から五九%と、残念ながら一・五%しかふえていない。すなわち、習熟した会社の方が事業をとっているという現実は余り改善されていない。この点はさらにさらに踏み込んでいかなければならないものだと思っております。
 いまだ道半ばであるということは事実だと思いますし、今後も引き続き、公団と発注先との関係の透明化、コストの削減、利用者還元の充実というものを図る観点から、ファミリー企業というものは抜本的に見直していかなければならないと思いますし、道路公団に対しましても、ファミリー企業の改革に対する公団の取り組みが促進されますように、引き続き国土交通省としても公団を指導していきたい、こんなふうに考えているところでございます。

 

○高木(陽)委員 今大臣の方からのお話で、これからもしっかり指導していきたいというお話がございました。まさに、この二年間、こういう論議があったから逆にそこにメスが入っていった、これは改革の一歩前進だと思うんです。
 ところが、どうしても、マスメディアを含めて改革というと、百かゼロか、白か黒か、そういうような二者択一の形があって――急にぽんと飛ぶことはないわけですね。一つ一つ、一歩ずつ歩んでいくしかない。そのスピードの問題は問われなければいけないと思うんですが、実際問題、公団の方からファミリー企業に天下りというか、そこに役員としておりていく、これがもう半減してきた。まだ残っているじゃないかというそっちから見るととんでもないんですけれども、やはり半減した事実はあるわけですから、そこら辺のところのアピールも必要ですし、そこに満足することなく、さらにメスを入れていただきたいと思います。
 もう時間も限られておりますので、道路の必要性と採算との問題ということでちょっとお話をお伺いしたいと思いますが、冒頭にも申し上げました、今回、道路四公団を改革しよう、そこにはさまざまな不都合がありました。
 例えば、今お話のあったファミリー企業問題またはコストの問題、もちろんこれはメスを入れていく、変えていく。どの国民もこれは大賛成をすると思うんです。その一方で、この論議の過程の中に、道路をつくらないことが公団の改革になるんだというような、何か誤った感覚というものが広がったんじゃないかなと思うんですね。(発言する者あり)そう、今、後ろの方からもお話がありました。不要な道路をつくる。果たして、不要なむだな道路って何だろうか、ここをちょっと明確にしていただきたいと思うんです。
 例えば、もちろん、有料道路方式ですからそれは返さなきゃいけない、借金。そこで、採算、これは絶対に考えなければいけないんですが、果たして、道路というものはすべて採算だけで考えていいのかどうかという問題なんです。
 例えば、一日一万台、一万人の方が利用する道路がある。一方、一日百台しか使わない道路がある。百人しか利用しない。採算性からいいましたら、一万台の方が、絶対こちらの方が優先順位は高いね。しかしながら、その百台使う百人の人たちというものは切り捨てられていいのかどうかという問題なんです。
 それで、私自身も東京出身、そして石原大臣も東京、いわゆる都市部の人たちというのは、まだまだ不十分がありますけれども、採算のとれる道路というのは結構あるわけですね。
 ところが、地方の方々、実は、数年前、決算行政監視委員会として北海道の高速道路を視察に行かせていただいたときに、道東の高速道路、これはまだ全部できていません、よく、クマの方が通るだとかそういう批判もございましたけれども、そこでいろいろな現地の方、その地元の住民の方からもいろいろなお話をお伺いしました。すると、冬は一本のその国道で峠を越えなければいけない。救急車、それも通らなければいけない。しかしながら、真冬はそこが通れなくなるという話がありました。
 では、そういう方の命の問題、医療の問題等を考えた場合に、果たして要らないと言えるのかどうか。ただ、利用する場合には、毎日使わないのかもしれない。でも、そこをしっかりと視点として持たなければいけないのではないかなと思うのです。
 果たして採算だけでいきますと、むだな道路といいますと、そこら辺のところの採算のとれない道路はもうすべて要らないみたいな発想になってしまったらいけないのではないか。
 もともと、冒頭に申し上げました、社会資本である道路というのはそもそも税金でつくってきた。お金があれば税金でつくればいいんです。高速道路も税金でつくれればそれでよかったんです。しかし、できなかったからこういう形となった公団方式、しかし、これはいろいろな問題があったからその改革をする。しかし、道路自体については、もっともっとしっかりと論議を積み重ねた上で、つくる、つくらない、こういったことを考えなければいけないと思いますが、もう時間も参りましたので、最後に、大臣、このお考えについてお聞かせ願いたいと思います。

○石原国務大臣 高木委員の御指摘はごもっともだと思います。かく言う私も、当初は採算性に重点を置いて物事を見ていたわけでございますけれども、各地を見て歩きますと、ただいま委員が御指摘されましたように、社会的な外部効果ですよね、その道路が一本しかなくて、それが途絶えてしまうとそこの町や村が孤立してしまうというところがまだまだ全国にあるということは認めざるを得ませんし、そういうものも評価に入れてこれからの高速道路をつくっていかなければならない。
 そこで、そういう議論は民営化委員会の中でも議論されまして、いわゆるBバイC、費用対便益の関係、採算性、そして委員が御指摘のこの外部効果を客観的な指標として、未供用の二千キロ、七十路線にすべて当てはめたところでございます。
 その結果、公共事業の指標であるところのいわゆるBバイCは、一を上回るという結果になったわけであります。公共事業である以上は、原則的に一を上回ればつくるという原則ですけれども、しかし、むだも省いていかなければならない。すなわち、BバイCが一に限りなく近いところもたくさんあるわけですね。こういうものは、やはり不断の見直しというものが私は必要だと思います。
 その上で、必要性があり、料金収入で管理費、すなわち管理をしているわけですから、これが補える区間というものは有料方式で、必要性はあるけれども、有料の場合のBバイCが一よりも下で、料金収入で管理費も出ない、こういうものを新たな新直轄として昨年の年末に国幹会議で決めさせていただいたわけでございます。
 委員の御指摘を踏まえて、必要なものはしっかりとつくるし、むだはこれからも削減していくということが重要ではないかと考えております。

 

○高木(陽)委員 時間が参りました。
 今、お話がありましたように、本当に、むだは省いていく、そして徹底した改革をしていく、その上でしっかりと必要なものはやっていくという、そのバランスをとりながらやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終了させていただきます。
 ありがとうございました。


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