会 議 録

第159回 衆 「国土交通委員会」 5号
2004/3/17

○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
 本日は、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律案ということで質問をさせていただきます。
 国際テロ組織の活動が活発化している中にありまして、国際的な協調に基づきまして、取り組みがおくれてきたこの国際海事分野、テロ防止対策ということは本当に必要なことであり、まさにタイミングとしてはいい時期であろう。さらに、SOLAS条約、七月一日に発効するということで、それに基づく今回の法律案でございます。
 そこで、今、日本の取り巻かれている状況、これを考えてみますと、どうしても北朝鮮問題というのを念頭に置かざるを得ないんだろう、そんなふうにも思います。
 特に六カ国協議、評価は分かれるところでございますが、拉致問題も解決していない、こういう状況下にありまして、特に北朝鮮との関係、外為法も改正をされまして、さらには、北朝鮮を念頭に置いたというか、特定船舶の入港禁止法案も与党の中で今論議が進められている、こういう状況の中にあります。
 まず、お伺いしたいのは、北朝鮮籍船、年間どれぐらい日本に来ているのか。その上で、今回の法案によって北朝鮮籍船はどのように取り扱われるのか。また、この法案によって入港を直ちに禁止することはできないとは思うんですけれども、そこのところを矢部政策統括官にお伺いしたいと思います。

○矢部政府参考人 お答えを申し上げます。
 我が国の港に入港する北朝鮮船籍の船舶の数でございますけれども、速報値ではございますが、平成十五年中に、港則法上のいわゆる特定港というものがございますが、ここに入港いたしました隻数は延べ九百九十一隻ということになっておりまして、一昨年の、平成十四年の千三百四十四隻に比べますと若干減少している状況にございます。
 次に、この法案によって北朝鮮の船舶がどのように取り扱われるのかという点でございますけれども、この法律は、船舶に起因してほかの船舶や港湾施設に対して危険を発生させるおそれがある場合に、入港禁止等の危険を防止するための措置をとるものでございまして、北朝鮮船籍であるということだけをもって入港禁止にすることはできないわけでございます。有効な条約証書を有している等条約の要件を満足している場合には、入港禁止はできないということでございます。
 一方、北朝鮮籍船を含めて、本邦の港へ入港しようとするいわゆる国際航海船舶に対しましては、先生御承知のとおり、この法律に基づきまして、事前に、船舶の保安に関する情報等を通報させまして、それに基づきまして一定の審査をし、必要があればさらに追加情報を求める、さらに必要があれば立入検査を行うといったことによりまして安全性の確認をすることになりますが、この立入検査を拒否したり、あるいは、立入検査を行った結果、不法に爆発物等の危険物が持ち込まれているとか、ほかの船や港湾施設に対して危険を発生させるような何らかの原因が発見されました場合などにおきましては、入港禁止等危険を防止するための措置をとることができることになっております。

 

○高木(陽)委員 今、統括官からお話があったように、この法律だけで北朝鮮をどうのこうのという形はできない。ただ、その要件に適合した場合にはさまざまな形での対応ができるということでございますので、これは今、議員立法を目指して与党の方でやっておりますので、この部分はしっかりと私どもも取り組んでまいりたい、このようにも思います。
 その上で、我が国の港に入港する外国船舶、これを利用したテロ行為を未然に防止する。これらの外国船舶においては、平素からの保安措置、これが適確に実施されているかどうか。外国船舶に対する監督、いわゆるPSC、この重要性がますます増大してくると思います。
 条約の発効直後は、保安措置の実施に関するPSCを特に集中的に実施する必要があると思うんですけれども、本法案に基づきまして、PSCの実施については、国交省としてどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

○鷲頭政府参考人 お答えいたします。
 国土交通省におきましては、従来より、船舶の安全確保あるいは海洋環境保護の観点から、外国船舶監督官による外国船舶の監督、いわゆるポートステートコントロールというものを積極的に実施しているところではございます。改正SOLAS条約及び本法律の施行後は、保安に関する設備、措置などにつきましても、国際条約に定める基準に適合しているか否かをポートステートコントロールにおいて確認することとしております。
 特に、条約発効直後におきましては、今先生御指摘されましたとおり、外国船舶において保安に関する設備、措置等が国際条約どおりに確実に実施されているか否かについて、重点を置いてポートステートコントロールを実施したいと考えております。
 また、これら保安に関する取り組みは、近隣諸国と協力して実施することによりましてさらに効果が期待されるということから、我が国を含むアジア太平洋地域の十八の国と地域が参加しておりますポートステートコントロールの国際的連携でございます東京MOUにおきまして、条約発効直後における保安に関するポートステートコントロールの重点実施を決定したところでございます。
 具体的には、ことしの二月にバヌアツで開催されましたポートステートコントロール委員会におきまして、一つは、四月一日から六月三十日までの間は、保安措置が講じられていない船舶に対して注意喚起を行うということ、それから二番目に、条約が発効する七月一日以降九月三十日までの間、保安に関するポートステートコントロールを重点的に実施するということが決められたわけでございまして、国土交通省といたしましては、積極的にこれらの取り組みを行うことによりまして、我が国の港に入港する外国船舶を利用したテロ行為の未然防止に万全を期していきたいと考えております。

 

○高木(陽)委員 今、海事局長からPSCの取り組み方について御答弁いただきましたけれども、大体PSCが注目された、一般の方々がこのポートステートコントロールという言葉を知ったというのは、やはり万景峰号の入港のとき、連日報道をされる中で注目を受けたと思うんですね。あのときに運輸局、北陸でしたね、運輸局のメンバー、または海上保安庁等々人を出して、余り人がいないというか足りないということで、全国各地から応援部隊が入った。
 大臣、これは質問じゃないんですけれども、そういったことを考えると、やはり人は本当に必要だろう。今行革の流れで、人をいつも減らしていくという流れですけれども、やはり必要なところには必要な人を配置していかなければ、本当に法案が成立をして、いよいよそれを具体的にテロ対策ということも含めてやっていこうという考え方の中で、仏つくって魂入れずじゃないですけれども、そういう部分でも、これは財務省との話し合いともなると思うんですけれども、しっかりと人員の件も今後御検討いただきたいと思います。これは答弁は結構でございます。
 続きまして、これは内閣官房にお伺いしたいと思うんですけれども、今回の法案で、条約に従って国際航海船舶の所有者が講ずべき自己警備のレベルを国が指示することとなっています。
 これはアメリカの場合、交通分野に限らず、テロの危険性、セキュリティーレベルを政府が示して、国民に警戒を呼びかけ、対処を呼びかけている。五段階ですか、これは九・一一でさらに厳しくなった形ですけれども、今回の法律だけではなくて、これは国交省の問題だけではなくて、政府全体として、アメリカと同様に、テロのおそれの程度、これに応じまして国全体にわたる警戒及び対処について保安レベルを設定したらどうか。広く国民に示す仕組みを政府全体として設けたらどうか。
 これは、スペインでもテロが起きまして、国民の関心というのは結構テロに対してはかなり敏感になっている。そういった部分では、そういったレベルを提示して、逆に、情報がない中で警備が厳しくなっても警戒感が高まらないというのもありますので、その辺のところをどのようにお考えか、内閣官房にお伺いしたいと思います。

○堀内政府参考人 お答えをいたします。
 政府といたしましては、関係省庁が各種のテロ対策を実施するに当たりまして、必要に応じ会議を開催するなどして情勢に対する認識の共有等を図っております。そして、関係省庁の措置が斉一的かつ効果的に行われるよう努めているところでございます。
 国内の警戒レベルを段階分けする制度につきましては、米国、フランス等に存在するものと承知をしているところでありまして、我が国といたしましても、このような諸外国の制度に関する研究を行いながら、関係省庁が一体となって斉一的かつ効果的なテロ対策を講じることができるように努めてまいりたいというふうに考えております。
 また、政府といたしましては、引き続きテロ関連情報の収集、分析に努め、国民の安全を確保するために、可能な限り必要な情報の提供にも努めてまいりたいというふうに考えております。

 

○高木(陽)委員 必要な情報、これはなかなか手のうちをさらしてしまうということで難しい問題かもしれませんけれども、やはり情報を公開することによって相手の方も、テロリストを含めて、ああ、こんなに警戒されているのかと、こういう部分で抑止力にもなると思うんですね。そういった部分では、レベルを設定してというところまでいかないまでも、その点をしっかりと御検討いただきたいと思います。
 続きまして、国際条約に基づきまして、今回海事分野の保安対策について、国際的な協調のもと、適宜今後も見直しを行う必要があると思います。
 今回のですべて完璧だとは思いませんし、そのようなときにおきまして、日本の果たす役割、四方が海に囲まれているこの日本でございますから、海事分野においてはある意味ではリーダーシップを発揮していかなければいけないのかな、そのようにも思います。
 そういった意味で、我が国が積極的に議論を進めていく、こういうことを期待しますけれども、それについてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

○矢部政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回の船舶所有者等によります自己警備の義務づけというこの条約の内容は、国際海上輸送分野の保安対策として国際協調に基づいて実施するというこれまでにない新しい取り組みでございます。したがいまして、まず、関係各国はこの条約の内容を適正に実施するということに全力を挙げるべきだと考えておりますし、また、我が国もそのようにしていきたいと思っております。
 今後の見直しにつきましては、何分今回のこの対策、新しいものでございますから、今後各国はこれを実施してまいりますけれども、その各国の実施の状況、それから国際的なテロをめぐる状況の変化というものもあると思いますし、あるいは技術革新もどんどん進んでおりますので、通信設備等新しい機器も出てくることもございます。そういったもろもろの環境条件の変化等を踏まえまして、今後とも、この海事分野の保安対策の強化も含めまして、必要な改善策についてはIMOの場で国際的に議論が進められていくものというふうに認識をしております。
 このIMOにおきまして、いろいろな海事分野の対策について何十年にもわたりましていろいろな議論がなされ、いろいろな条約が作成されております。我が国は、これまでも造船、海運の主要国といたしまして、このような議論のリーダーシップをとってきたわけでございますけれども、この新しい保安の分野につきましては、これまでのところはアメリカがどちらかというとリーダーシップを発揮しておりますが、我が国もこの分野におきましてもこれからいろいろ知見を蓄えまして、できる限りのリーダーシップを発揮して、国際的な検討の場に臨んでまいりたい、このように考えております。

 

○高木(陽)委員 今統括官の方からもお話がございましたけれども、日本がこれからリーダーシップを発揮していくことによって、逆に日本のテロに対する保安対策というのも進むでしょうし、まさに国際テロという場合には、日本だけが安全だ、そういうのはあり得ないわけで、そういう部分では、米国というのはかなり敏感なんだろうな、このようにも思いますし、今後国交省を中心に政府を挙げてそれに取り組んでいただきたいと御要望を申し上げたいと思います。
 時間もやってまいりましたので、最後の質問として、今回の制度の特色としては、船舶と港湾施設について同様の保安措置を義務づけ、総合的にテロ防止の効果を上げようとしています。
 国交省の組織としては、海事局、港湾局、海上保安庁、ここの三部局が関係をしていると思いますけれども、このため、省内の横の連携ですね、今までも連携をしっかりととってきたとは思うんですけれども、まさにここの情報が速やかにお互いに交換できる、そういったことだけではなくて、あらゆる対策についてしっかりと連携をとっていくことが必要だと思います。
 そうしないと、やはりそのすき間から本当に水が漏れてくる、このようにも考えますけれども、この法律が成立した後、いよいよ執行の段階になりますけれども、そういった連携のことを含めまして、石原国土交通大臣、どのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

○石原国務大臣 高木委員は、この国土交通省の中の海事局、港湾局、海上保安庁という三つの部局の連携のあるべき姿について御言及されておりますが、同僚議員の質問の中には、前段は他省庁との話もあって、まさに一つだけの組織としてはうまく運用面がいかないという趣旨では、同じ視点をついているんだと思っております。
 もう私が申すまでもありませんけれども、海事局と港湾局が協力して、船舶や港湾の先ほど来御議論のある保安レベルを設定する。この保安レベルを設定する情報はやはり警察関係からいただく。さらに、船舶や港湾施設が講ずべき保安措置を定める際には、海上保安庁の持っている知識というものを有効活用していくことも言うまでもないと思っておりますし、海上保安庁が収集いたしました船舶保安情報を生かして海事局が先ほど来委員が御指摘されておりますPSCの実施をするなど、関係部局のありようは離れることが絶対できないものだと思っております。
 このような海事分野を横断的に所掌いたします国土交通省の特色をうまく生かしていって、一体となり、さらに関係する省庁との連絡も密にして、このSOLAS条約の適正なる運用というものに心がけていきたい、こんなふうに考えております。

 

○高木(陽)委員 今大臣の方から、横の連携、またさらには省庁を超えた連携のお話も出ました。
 こういったテロに対しての保安対策ということで、今回の法律、一歩前進だと思うんです。しかし、先ほどから何度か申し上げているように、一歩前進ですけれども、では、これで全部大丈夫なのかというと、そうでもないわけですから、この点については、本当に日々検討を重ねながら、さらなる追加措置というか、国民の安全を守る、そういう視点からさらなる検討をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。


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