会 議 録

第159回 衆 「国土交通委員会」 6号
2004/3/19

○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。午前中最後の質問ということで、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 法案の質問をする前に、まず都市再生ということで、その現状についての質問をさせていただきたいと思います。
 まず、まちづくりと申しましても、その主体というのは三千ある自治体、さらには、そこに住んでおられる住民の方々が、生活が向上するか、またはその地域の経済が活性化するか、そういった視点、まさに主体者がしっかり取り組まなければいけない問題なんですが、もっと言いますと暮らしていてよかったなと、その上で、平成十四年度に都市再生法が施行されて以来、さまざまな都市再生に関する施策が推進されてきたと思います。主体は自治体であるんですけれども、現在の財政状況等を考えますと、自治体だけですべてをやっていくということはなかなか不可能である。だからこそ、この都市再生法ができて、そしてまた国がしっかりと応援をしていく、こういうシステムになったんだと思うんです。
 その上で、国土交通省では、都市再生に関する現状をどういうふうに認識しておられるのか。また、これまでどのように取り組んできたか。その取り組み状況や、また政策、事業の進捗状況というのはどうなっているのかということ、そしてさらに、それがどう評価されているかということについて最初にお伺いをしたいと思います。

○竹歳政府参考人 お答え申し上げます。
 都市再生、平成十四年度の都市再生法の施行以来さまざまな取り組みをしているわけでございますが、まず一つは、何と申しましても二十世紀の負の遺産。例えば、一遍大地震が起きて大火が発生すると、特に危険な地域というのが全国で八千ヘクタールあるとか、東京、大阪はそれぞれ二千ヘクタールある、道路も混んでいる、そういうような負の遺産をまず解消したいというのが都市の再生の一つの目標だったと思います。
 それから二つ目は、やはり日本全体が国際社会の中で競争して生き残っていく、そのためには国際競争力をつける、そういうようなてこ入れが必要ではないか、このような大きな観点から取り組んできております。
 そこで、大きく三本の柱でございますが、今まで取り組んできたプロジェクトとしては十六ございまして、例えば、東京、川崎における広域防災拠点、先ほど申し上げましたような、一たん大地震が起きたときのいろいろな防災拠点をつくらなくちゃいけない。これは国営公園と都とが共同してやっているわけでございますけれども、これについても十九年には一部開園をするんだというようなことで、早く安心して暮らせる都市にしたいというプロジェクトがございます。
 また、大都市圏における環状道路、それから羽田の空港、環境問題等々、十六の国家的プロジェクトについて今選定をして推進しているところでございます。
 それから二番目に、特に大都市、地方においても政令都市というような大都市において、民間の活力を活用してまちづくりを進め、また経済の活性化も進めようということで、都市再生緊急整備地域というのが既に五十三地域、六千ヘクタール余り指定されております。そういう中で、次々と民間のプロジェクトが立ち上がっておりまして、例えば民間都市再生事業について申しますと、七つ立ち上がっております。
 先日、都営南青山一丁目団地建てかえプロジェクトという起工式が行われましたが、これは、従来都心にあった公営住宅を、都営住宅と賃貸住宅、それからグループホームと図書館と保育所というような、都市に住み、働き、暮らす、そういうような一つのモデルとなるようなプロジェクトが行われておりまして、これについては金融的な支援も行われるというようなことで、一定の成果が上がっていると思います。
 三番目が、実は全国の都市を対象とした全国都市再生ということでございます。これにつきましては、各地からいろいろなアイデアを募集いたしまして、六百四十四件応募があって、そのうち百七十一件が全国都市再生モデル調査、先導的な都市再生活動として選定されたところでございます。
 ただ、これについては、それぞれの地域の自主的な取り組みということで今回お諮りをしておりますが、全国の都市再生、これをより強力に進めるために、まちづくり交付金というような財政支援措置と、それから権限を市町村に集中するというような枠組みによりまして、さらに全国の都市再生を推進していきたい、このように考えているわけでございます。

○高木(陽)委員 今、竹歳局長が最後、全国の都市再生に取り組みたいということで、具体的に六百四十四の中から百七十一がそのモデルになったというふうにお話がございました。
 ただ、どうしてもイメージとして、都市再生という言葉を聞きますと、これは一般の方々もそうだと思うんですけれども、例えば六本木ヒルズですとか汐留ですとか、そういったイメージがかなりあるんだろう。しかしながら、モデル地域百七十一、これはこれでどんどん進めていかなければいけないんですが、やはり全国三千の市町村がある中で、それぞれ見てみますと、なかなかそう簡単には都市再生、まちづくりというのはうまくいっていないなと。
 実際問題、同じ東京で見てみますと、二十三区内というのは結構、もう少し言いますと、山手線の中ですね、または湾岸地域、こういったところは都市再生という形でどんどんいろいろな発展をしているんですが、その一方で、私の地元の多摩地域、石原大臣も山の手になりますけれども、もう少し都心に近いですけれども、そういった山手線を外れますと、まちづくり、都市再生というのがかなりおくれているというか、なかなか手つかず、または、考えてはいるんですけれども、どうしたらいいんだろう、そういうような状況になっているんじゃないかなとも思うんです。
 そういった中で、先ほどの最後の全国都市再生を推進する必要があるというお話もございましたけれども、国交省として、今回この法案を出すんですけれども、具体的にどういうふうな姿勢で臨もうとしているのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。

○竹歳政府参考人 日本の都市には主部人口でいいますと八割の人が都市に住んでいらっしゃるわけでございまして、これは東京、大阪の巨大都市だけではなくて、地方の中小都市も含めて都市に八割の方々が住んで、暮らして、働いていらっしゃるわけです。
 ただ、今御指摘のあったように、実は、東京といっても港、中央、千代田の三区ぐらいが大変にぎやかなので、東京都内でも二十三区、さらに多摩に行けばなかなかそれほどの活気はないということがございました。また、これがさらに地方都市に行けば、駅前のシャッター通り、中心市街地についていろいろ調べましたら、地方では九割の地区で駅前の中心市街地が寂れてきているというような問題がございます。
 また、高齢化社会ということで、今は自動車が運転できる、しかしながら、一人になって自動車が運転できなくなる、そうしたら、こういう駅から離れたところに住んでいて、あしたの晩御飯の支度もどうしようかというような新しい問題もいろいろ出てきていると思います。
 そういうことで、今回のこの全国都市再生というところでは、そういう皆様が身近に感じておられるいろいろな問題について応援をしていこうということでございますけれども、この中心市街地の活性化とかこういう取り組みは、やはり地域の意欲だけでできるというものでもございません。短期間にかなりの額の投資も必要となるということで、国としてもこれを支援していきたいということでございます。
 そういう意味で、国土交通省といたしましては、このような地域の意欲ある取り組み、個性的な取り組みを推進する、こういう観点から、今回まちづくり交付金の創設それから都市計画、道路整備に関する市町村の権限の拡充を内容とする本法律案を提出させていただいたわけでございます。

○高木(陽)委員 ただいまの局長の答弁にありましたまちづくり交付金、これは今までの質問でも皆さん取り上げられましたけれども、注目されるまちづくり交付金でございますが、地方の自主性、裁量性を高めたい、こういった観点から導入するということでございます。今までの補助金というのは国が事前に関与する、これが大丈夫なのかということでいろいろとチェックをされておりましたけれども、このまちづくり交付金の場合には、事後的な評価を重視する、このようにうたっておりますけれども、具体的に、この交付金の事後評価、どういうふうにやっていくつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。

○竹歳政府参考人 従来の補助金につきましては、道路なら道路、公園なら公園と、施設ごとに事前の費用便益分析などをやってきたわけでございますが、今回のまちづくり交付金は、それぞれ施設の費用便益だけではなくて、いろいろな事業の組み合わせがどのように町を活性化させ、みんなが安心して暮らせるようになるかということになります。
 例えば、古都の風格を醸し出すまちづくりというようなことをうたっておられるところがございますが、こういうところでは、定住人口の増大だけではなくて交流人口の増大というような定量的にわかる、そういうことを進めようとされているわけでございます。
 そして、こういう目標が事前に明らかにされるわけでございますので、事業の終了後において、本当にそれがどこまで達成できたんだろうか、計画と違って、何が問題で計画が達成できなかったんだろうかというようなことで、広く情報公開されて、透明な手続の中でまちづくり交付金というものを運用していきたい、このように考えているわけでございます。

○高木(陽)委員 貴重な税金を使うわけでありますから、この事後評価をきっちりやらないと本当にむだ遣いになってしまいますので、その点はしっかりやっていただきたいと思います。
 その上で、この交付金が注目をされているんですが、もう一つの大きな柱である、市町村が自分自身の頭で考えるというか決めるというまちづくりの権限の一体化、これもやはり重要な柱であると思います。その上で、市町村のまちづくりに関する権限の拡充、具体的にどういう権限で拡充していくか、この点もお伺いをしたいと思います。

○竹歳政府参考人 お答えいたします。
 現在、まちづくりに関する法律的な権限というのは、身の回りは市町村、広域的な調整が必要なものは都道府県というような大きな枠組みができているわけでございます。今回のまちづくり交付金、都市再生整備計画の運用は、ハード、ソフトを一体的に進めよう、それからスピーディーに、短期間に成果を出すにはどうしたらいいかというようないろいろな工夫をしているところでございます。
 したがいまして、都市計画について、一般的には都道府県が持っているような大規模な都市施設でございますとか市街地開発事業についても市町村へ移譲する。また、都道府県が管理する国道、都道府県道の新設、改築を実施する権限も、市町村へ一定期間を限って移譲するというようなスピーディーな取り組みができるようにしたいと考えているわけです。
 したがって、例えば、ある町が快適な歩行空間、道路景観を整備したい、それから道路や駅前をバリアフリー化したい。このバリアフリー化というのも大変我々真剣に取り組んでいるわけでございますが、このバリアフリー工事、電線類の地中化の問題等々、都道府県道で普通ですと市町村がいじれないというところ、協議に時間がかかる、それを一定期間市町村に権限を移譲して、そういうものを一体的に、バリアフリーとか電線類の地中化をタイミングよく機動的に進められる、このように権限を移譲することによって進めたい、このように考えているわけです。

○高木(陽)委員 今もお話のございました例えば都道府県道、都道府県が管理する国道等々の問題も含めて、本当に一体化してやればスピーディーにできる。まさにそのとおりなんですが、なかなか現場は、自治体によってはそこまでしっかり考えられない方々もたくさんいらっしゃるんじゃないか。
 実際問題、それぞれの自治体、やる気のある、また能力のあるそういったところは結構なんでございますが、やはり現実問題、自分のところであっぷあっぷしていて、自分のところの例えばまちづくりであり、例えば駅前の再開発等々でもあるんですけれども、どうしても財政的な問題も含めて、知恵が回らないというか、そういう現状があるなというのを多々実感することもございました。
 そういった意味では、やはり国土交通省、現場でいえばそれぞれの地方整備局等、そういったところがしっかり、アドバイザーというか知恵を出してあげる、そこで連携をとってあげる、そういったことも必要なんじゃないか。あと、これは各市町村、今回のこの法案注目していますし、またこの交付金または権限の問題についても、それぞれ勉強もされていると思うんですけれども、さらなる広報といったものも必要なんじゃないか。これは答弁結構でございます、そういったことを国交省としてもしっかりやっていただきたいなと要望申し上げたいと思います。
 もう一つ、冒頭に申し上げました、まちづくりの主体というのは自治体であり、さらにそこに住む住民である。住民が参加をし、さらにはまちづくりに関してNPO等が大きな役割を担う、そういう認識を、この法案にもありますけれども、そういった中で、行政とNPOの連携または協働、そういったものを具体的にどのようにしていくのか、この点をお伺いしたいと思います。

○竹歳政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、全国には約一万五千のNPO法人が認証を受けておられまして、そのうち一番多いのは保健、医療、福祉、福祉関連の方が八千五百、それから社会教育が約七千、三番目にまちづくりの推進というNPOの法人が認証されております。
 例えば、三島では、さっき蛍のお話がございましたけれども、NPOが主体となって、河川の清掃、蛍の幼虫の放流、花の植栽等を行って、水辺の自然環境を再生していくというようないろいろなまちづくりの活動をされておりまして、こういう方々を巻き込んでまちづくりを進めていくというのが非常に重要だと思います。
 これを制度的にもバックアップしていくということが今回の法案の一つのねらいでございまして、市町村が都市再生整備計画の中で、まちづくりの推進を図るこういうようなNPO法人でございますとか公益法人、こういう人たちの賛成も得て、こういう方々が実施する事業を位置づけて、それでそういう方々に市町村が財政的な支援もするということになれば、国もそれを支援するというような枠組みで応援をしていきたいなと思います。
 やはり計画段階からこういうNPO法人の方々の参画をいただくということが、将来の維持管理等々に、それから町を愛して、町に住む人が町を大事にするというような意味からも、非常に大事なことではないかと考えております。

○高木(陽)委員 今NPOのお話をいただきましたけれども、いろいろな知恵を結集するということが必要ではないかなと思うんですね。行政だけでまちづくりをやりますと、どうしてもかたい雰囲気になってしまうというか、やはり住んでいる人、また、そこで生活をしている人、その人たちの感性、こういったものをしっかり生かしたまちづくりを行っていきたい、また、いただきたいというふうに思います。
 最後に、石原大臣にお伺いしたいと思いますが、先ほど民主党の委員の方とのまちづくりのあり方みたいな議論がございましたけれども、今回の法案については、多くの人たちが期待をし、また、それをどう使うか、これから本当に知恵の出しどころだと思うんです。そういった中で、この特例また支援措置を使いながら、どのようなまちづくりを大臣として期待をしておられるか、最後にお伺いをしたいと思います。

○石原国務大臣 高木委員の御議論を拝聴させていただきまして、まちづくり交付金があり、さらに、市町村への権限の一体化が非常に重要であるという御指摘があったわけですけれども、やはりその根本は、各地域に住む人たちが、各地域の特性、ニーズに合わせた、自分たちの考えるまちづくりということをやっていただかなければならないんだと思います。ですから、画一的に、こういうスタンダードがあって、こういうスタンダードにのっとってまちづくりをやってほしいという気持ちは実は持っておりません。
 その一方で、やはり国土の均衡ある発展ということが都市政策あるいは国土政策の中心であったことによって、没個性の町がたくさん出てしまった。画一的な、どこを切っても金太郎あめみたいな町が多くなってしまいましたけれども、やはり、歴史的な成り立ちも違いますし、住んでいる方も違うというような話を先ほどさせていただきましたけれども、そういう方々の自由な創意工夫と発想によりまして、自分たちの町を自分たちの力でもう一回再生していく、そういうものにこのまちづくり交付金制度が役に立っていただければと思っております。

○高木(陽)委員 しっかりこの法案を成立させるとともに、このまちづくりというものにしっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

 

 

○赤羽委員長 高木陽介君。

○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
 本日は、参考人の皆様方には、貴重な御意見を述べていただきまして、ありがとうございました。
 今回の法案について、お三方とも評価をしていただいているかなと。その上で、その中核となっていくものはいずれは自治体であるというような御意見をずっとお三方とも述べられていたと思うんですけれども、その中で、特に伊藤先生の方は、市町村がまちづくりの責任者である、原先生の方も、都市再生とは地域の生活者の生活再生である、後藤市長は、首長として、市の責任者として、そういった問題をずっと取り組んできている、そういう観点で、ただ、ここで一つちょっと気になることが、自治体という一つの固まりはあるんですけれども、やはりそこの根源的な主体者というのは、一人一人の住民であると思うんですね。
 そのときに、今価値観が多様化しているときに、それぞれが、こういった町が自分の理想なんだ、こういった生活環境が理想なんだという、これはそれぞれの価値観によって大分変わってくるだろうなと。住民の意識によって、住民も、例えば何万人かの人口があった場合に、それがすべて同じになるということはないわけですね。
 そういったときの、価値観の多様化の時代にあってのまちづくりというのをどういうふうにとらえていけばいいのか、その点についてお三方にお伺いをしたいと思います。

○伊藤参考人 既に、今の高木先生の、価値観の多様化をある目標に合わせていく、目標をつくってそこへまとめていくという一つの仕組みとして、市町村の都市計画に関する基本方針でしたか、いわゆる都市マスタープランというのがありまして、これは大部分の都市が今つくっております。
 しかし、問題は、まさにつくるプロセスが問題でして、そのつくり方が物すごく、もう千差万別で、率直に言うと、先ほど伴野先生がおっしゃった、コンサルタントに丸投げをしている市役所もございますね。それから、あるところでは住民参加を徹底しまして、おまけにアンケートもやるし、集会もやるし、手間暇を物すごくかけてやっているのもあります。まさに玉石混交なんですね。ただ、共通は、都市マスタープランというところで、多様な価値観を持つ市民が、ある合意をつくったらこういう姿になるというのをつくっていることは事実なんです。
 問題は、御質問の趣旨を僕はこういうふうに受け取ったんです。都市マスタープランをつくったはよかったけれども、実は、まさに事後評価をしていないんです。事前評価をしてつくった、しかし、事後評価を市民とか専門家というところがやっていないんです。マスタープランをつくったら、もうあと十年ぐらいはこのままいけばいいやという形になってしまいました。固定化してしまう。僕は、事後評価をする中で、もう一度、市民の多様な価値観が事後評価のプロセスで都市マスタープランというのを変えていく、そういう弾力性を持っていいと思っているんです。それがやられていないんです。
 ですから、お答えとしては、マスタープランをメンテナンス、常にダイナミックに維持管理する中で、それぞれの皆様方の意見をそこにうまく反映していくということをやっていくべきじゃないかと思っております。
 以上です。

 

○原参考人 大変今の御質問は、現代都市の悩む難しい課題の最たるものであろうと思います。
 さまざまな価値観、ライフスタイルを持つ人が住むから、都市が意味があり、おもしろいわけですが、それをどうするかというのは大変悩みの種の一つです。
 だけれども、やはり地域に一緒に住み合って一緒にいい環境をつくっていくということは、やはりみんなでやらなきゃいけないわけで、合意形成と申しましょうか、合意をどうつくるかというのはとても難しい。それは、学校で学んだりすることだけでは決して生まれてこない。
 では、どうすればいいかというと、環境づくりのプロセスの中にさまざまな人々が入る機会を保障していくということが大事だろうと思います。住民参加といいますが、今、もう少しそれを進めて市民参画というような呼び方をしていますが、大変ばらばらに、住んでいる人たちがばらばらのままに勝手に都市を利用する、使い捨てをする、そういう時代を超えて、都市をしっかりはぐくんでいく、それに水をやっていくというような気風をつくらないと、二十一世紀の都市はもたないと思います。
 そこで、合意形成をどうするか。譲り合う、時には我慢し合う社会をどうつくるかというのは、やはり経験づくりの訓練が必要だと思います。私たちの社会は、残念ながら、そういう経験、訓練をほとんどしないで、みんながばらばらに住み合って勝手に使い合う、そういう社会になってしまった。一番闘うべきは、我々の中にある無関心だと思います。それをぜひもう一度やる。それは学習ではだめで、やはり経験が必要です。
 世田谷区の例をちょっと引かせていただくと、例えば、都立の清掃工場の煙突を建てかえる機会があった。建てかえを東京都に任せればそれで終わったわけですが、煙突が古いというので、その煙突のカラーデザインを、では公募してみようということで公募をしまして、全国から千四十の案が出てきた。たかだか煙突一本だからといってそういう投げかけをしなければ、恐らくただの赤白のしましまの煙突で終わったろうけれども、みんながそういうことをやったことで事業者も動かし、実際にその煙突ができてもう十年ぐらいたちますが、そういうことが起こる。
 そういうことが起こると、なるほど、私たちが少し何かアクションをすれば変わっていくんだな、変わる力が起こるんだなということを気がつく人がふえるかもしれない。そういう、かもしれないを少しずつふやしていくことが大事だろうと思います。その小さな成果を公開していって、こんなことをこんな努力でやったら少し広がっていったよということを積み上げていくことが、合意形成、ばらばらに人々が住むのを少しつなぐことになるかもしれません。
 ですから、今度のこの事業の中でも、できるだけ住み手が参画できるような、そういうことにも少しお金と時間が行くようなことになっていただきたいと思っております。
 以上です。

○後藤参考人 私は市長という立場ですから、選挙を経て市長になりました。市長になりたい、その思いを市民に訴えて、そして市長になりました。訴えた内容というのは、財政を再建しなければいけないから財政を再建します、そして、市の文化を磨き上げたい、それが私の願いであり、そういうようなことで市民の皆さんに選んでいただきました。
 そういった中で、市民のお役に立つ市役所というようなことを柱に置きながら、いかに合意形成を図っていくか、そしていかに実行していくかということでありますけれども、合意形成をしていくというのは、皆さん方の意見を聞いて、そして、皆さん方の御意見のとおりにしますというようなことだけでなくて、こういうふうに思うんだけれどもどうですかというような形で皆さんに思いを打ち明け、諮りながら前に進めていく。
 確かに、価値観が多様化しておりますから、中には猛烈に反発してくださる方々もおられます。そして、後になって評価してもらったり、さまざまでありますけれども、そのときそのときに、さまざまな反発があったり意見の違いがあったりすると思いますけれども、そういうことをよく勘案しながら、選ばれた者としてやらなければいけないことをしっかりやる責任を持っているというように思っております。

○高木(陽)委員 三人の参考人の方々のそれぞれの、価値観の多様化にどう対応していくかという御意見、参考になります。
 今、後藤市長のお話にあった、選挙で選ばれたという、これは大きな民主主義の原則だと思うんですね。
 例えば私の地元である八王子市というのは人口五十三万人おりまして、先ほど原先生が言われた、地の人と旅の人という話があったと思うんですけれども、もともと地の人が十六万人しかいなくて、三十数万人が旅の人というか外から来た人。そうなってくると、なかなか合意形成というのは難しいのかなと思う反面、選挙で、こういった町をつくる、こういった政策でこの市を運営していく、こういうのは一つの選択であると思うんです。
 そんな中で、一つの例として、例えば反対のための反対をする人というのも結構おりまして、その地域、今ちょうど圏央道という環状の道路、これは首都圏を結ぶ重要な道路であると思うんですけれども、これについてこの二十年間ずっと反対運動が続いていて、選挙でそれぞれ争点になる、これは市でも都でも、そして国でも。選挙で推進をする方々が選ばれているにもかかわらず、反対のために一坪地主をやりながら、それも、住んでいる人がやっていればまだ納得するんですけれども、よそから来て、その住民たちが進めようとするまちづくりに反対するような、ためにする運動が多々ある。こういった問題も本当に何とかしなければいけないというふうに頭を悩ませております。
 これはお答えをいただくということじゃなくて、こういうことがあるということも御認識いただきたいと思うんです。
 その上で、事後評価の話も先ほど出ました。事後評価について、国の方は税金を投入するわけですからしっかりとチェックをしなければいけないという意識、その一方で、それを使う当事者である市町村、自治体の方も、それはちゃんとチェックしなきゃいけないでしょう。さらには、住民がどう感ずるかというのが大切だという御意見もありました。また、専門家からも見るべきであると。
 ただし、国、また、当事者である自治体または住民、専門家、この四者がそれぞれ同じ評価になればいいんでしょうけれども、これまた評価が分かれる場合もありますね。そういったときにどうしたらいいのか。この点について、また三人の参考人の方の御意見を伺いたいと思います。

○伊藤参考人 評価が分かれるというのは現代社会の常でございまして、あらゆるところで意見が違うというのがまさに民主主義なんですね。
 私は、こういうプロジェクトで事後評価して、いろいろの人がチェックして評価が分かれたとき、一番最後は、その市にとってもう一つ大きい、プロジェクトを含む市全域にとって、このプロジェクトが例えば市民の健康な生活に貢献しているかとか、あるいは市の雇用問題について貢献したかとか、もう一つ上位の観点からそのプロジェクトを考えることによって多様な評価の総まとめをするということにした方がいいんじゃないかと思うんですね。
 例えば、ちょっと先ほど言うのを忘れたんですが、事後評価の中に、民主党の方からの御質問にあったように、美しさとか、そういうのは評価しにくいわけですね。美しさをよくしたといってもそうでないといいながら、しかし、その仕事をした結果として、マスメディアがその都市をどういうふうに取り上げたかというようなことの頻度が多くなれば、それはそれとして、美しくする仕事というのはその都市にとって貢献しているわけですね、外側に。
 何かそういう材料も出てくるかとは思っていまして、ちょっと別な観点で大きい視点からいろいろな意見をまとめていくということは必要ではないかと思っております。

○原参考人 これは評価が分かれるというのは当然であります、それぞれ住んでいる場所が違い、キャリアが違い、働いている経験が違い、都市で暮らす目的が違うわけですから。それをどう束ねて総合的な環境をつくっていくかということが、まさしく都市づくりに求められていることだろうと思います。
 あらゆる人の注文を御用聞きのように聞くというのが決して住民参加ではなくて、そういうプロセスで譲ったり学んだりするということも、こういう事業を通して、やはり我々が市民になっていくために学んでいかなきゃいけないことだと思います。
 そこで、そういうふうに意見が違うわけで、ある条件、ある考えでまとめていくわけですから、それが違ってしまってというか、当初の思いや目的とこれは違うじゃないかと言う人が出てきても、プロセスを完全に情報公開して、計画者として、あるいは役場としては、こういう判断材料でこういう判断をしてこういう方向に進むんだということをちゃんと明記してプロジェクトを仕上げていくということが、次につながる大事なことだろうと思います。
 それが閉じてしまって、いつ、だれのためにやったかわからない、どんなお金が来たかわからないでやっちゃうブラックボックスがふえることで不信を生むわけで、やはり、プロセスを公開して判断の基準を明確にしていく、その積み重ねが次のステップを生むのではないかと思います。
 以上です。

○後藤参考人 伊藤先生の御意見と全く同じであります。
 評価は確かに分かれるんでしょうが、評価が分かれたときに、その分かれた評価の内容をつまびらかにしながら、その上位目的は一体何なんだというようなことをよく検討し、話し合うことによってかなり合意形成ができる部分があるんじゃないだろうかと思いますし、それで合意形成ができない部分については、これはもうしようがありませんので、それを責任ある者がどう判断するかということで、その判断によって方向を決めるしかないのではないかと思っております。

○高木(陽)委員 後藤市長の陳述でおもしろいなと思ったのは、交通不便で古い町が残ったという言い方をされて、マイナスの部分がプラスに逆にとらえられる、こういう発想の転換というのは必要だなと思うんですね。
 その上で、日本らしさ、またはその町らしさということで、臼杵らしさというんですか、お話をずっと聞いていて、何か、古い形が残っているのが臼杵らしさなのかなというふうにもちらっと思ったんですけれども、そこのところはどういうのが臼杵らしさというふうにとらえられているか、ちょっとお伺いしたいと思うんです。

○後藤参考人 臼杵らしさはどんなものかと言われますと、臼杵の歴史等をいろいろここで詳しくお話しするわけにはいきませんが、南蛮貿易が盛んであったところという歴史もありまして、また、オランダの船が一番最初に着いた、リーフデ号が着いたところが臼杵だというようなこともあります。
 そして、江戸時代、ずっと続いて稲葉さんという方が治めまして、その方が岐阜から来られた方だったので、岐阜の堅実な気風というか、そういうようなものが脈々と残っているとか、いろいろなことがあります。
 そんな中で、実は日銀総裁を二人出しているという小さな町であります。
 小さな町だけれども、教育の熱心だったところとかいろいろなことがあるので、そういったようなことをしっかり守り続けるというようなことと、町の風情でありますけれども、実は駅前開発もなかった、そして戦災に遭わなかった、バブルのときも無縁だった、これは大変ありがたいことだと思っておりまして、さっきのようなお話になりました。

○高木(陽)委員 時間もなくなってまいりましたけれども、最後に伊藤先生にお伺いしたいんです。
 伊藤先生のお話の最初のときに、前置きという言い方でお話のあった、二番目の雇用創出の部分なんですが、具体的な部分で、まちづくりというのがどういう雇用創出になってくるのか。どうしても私たち議員、政治家というのは即物的にイメージをしようとしますので、その点だけお伺いしたいと思います。

○伊藤参考人 即物的にお答えします。
 一つ、今回、ハードだけじゃなくてソフトもと書いてありましたね。ソフトもというのは、人件費一〇〇%、国の税金を使っていいということなんです。ハードというと、鉄とセメントと砂利等を買って、それから建設機械を雇い入れて、全部のお上の税金の半分ぐらいはそっちに行くから、残りの五〇%が人件費だということです。ですから、非常にこれはみんながいいというようなことで人件費一〇〇%だったら、これはまさに土建業よりは雇用促進になるわけです、鉄というのは東京へ調達しちゃいますから。
 そのきわめつきをちょっと、自己宣伝になるんですが申し上げますと、地籍調査なんです。地籍調査は、日本は極めて恥ずかしいんです。OECD諸国の中へ行って、地籍調査がこれだけいいかげんな国はないんですよ。韓国もきちっとしています。要するに、市街地の中で五百分の一の公図がきちっとしているのが、韓国はしている、日本はしていません。
 今、地籍調査をするというので、国交省が多分来年度百億ぐらいの金をつける。これは人件費一〇〇%です。それをもし地元の土地家屋調査士さんが、測量士さんより主体じゃないかと思うのですが、引き受けられますと、そこで単純作業が労働力として、地籍調査を完遂するというので雇用につながりますね。
 例えば民民境界です。民民境界を確定するといったら、これはもう金と時間がべらぼうにかかりますけれども、そこに血気立った若者が来るより、わけ知りのお父さんが来て、まあまあまあというのを十回繰り返した方が解決に近いんですよね。これはまさに、経験という価値を雇用にかえているわけです。そういう話が幾つかあるんですね。
 ですから、まさに雇用というところにぜひこの交付金を、これ、ハードとソフトと言っていますから、ハードをつくったら必ずソフトで、メンテナンスをする、調査をする、そしてそれの事後評価までするとか、そういうことを全部、市民の中のそれぞれの能力がある人にやってもらうということ自体が雇用になるんじゃないかと思います。
 都市計画で今一番重要なのは、雇用を確定するためのお金だということが私の考えでございます。

○高木(陽)委員 どうもありがとうございました。


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