会 議 録

第159回 衆 「国土交通委員会」 17号
2004/4/23

○赤羽委員長 高木陽介君。

○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。総理、本当に御苦労さまでございます。
 いよいよ道路公団民営化のこの法律案も、五十時間を超えまして、総理も出席していただいて、最後の質疑に入ってまいりました。私自身も、この五十時間の間に、参考人質疑、また地方公聴会等を含めて、公明党を代表して五時間質問いたしまして、やはり道路の問題というのはそれだけ語ることが多いな、さまざまな課題があるなというのを実感しながら質疑をやらせていただきました。
 それで、本日は、民主党の対案も出てまいりまして、やはり国会というところは政策でしっかり論争をする、これは重要なものだと思います。揚げ足をとってどうのこうのというよりも、本当にそれぞれの提案している政策が国民のためになるのか、こういった観点でしっかり論議を進めなければいけないと思います。
 その点に立ちまして、今回の道路公団の民営化の問題というのは、これは何度か確認をさせていただきましたけれども、そもそも道路公団がスタートしたとき、高速道路をつくり始めたときは、なかなかその財政的な基盤がしっかりしていないということもあって、借金をしながらつくってきた。
 しかしながら、ここに来て、その経営の体質、またはファミリー企業の問題、さまざまな指摘を受けながら、今質疑でも総理が何度かお話しされておりました、民間でできることは民間で、こういった観点、そして大きな特殊法人改革という流れの中で、今回の道路公団の民営化の問題が出てきたと思います。
 今回は、特に大きな争点としては、今まで抱えてきた四十兆の債務をどうするかという問題であると思います。
 今回の民営化、政府案でいきますと、これは料金収入においてしっかりと返していこう、経営体質を改善する中で返していく、そういう発想であると思いますけれども、一方、民主党の方の案は、無料化にしてしまうということで、二兆六千億の収入が、料金収入がなくなってしまう。
 では、どうやって返すのかという質問を何度も何度もしたんですけれども、はっきりしない部分があった。税金で返していくんですけれども、その税金、それだけの財政的余力が今の日本にあるのか、こういった問題。国債で借りかえる場合には、では、三十年物長期国債の場合に金利はどうなるのか、そういった問題等々も質疑で出ましたが、それもはっきりとした答弁がなかったと思います。
 そういった観点の中にあって、まず総理にお伺いしたいのは、今回の政府案において、四十五年で返済をしていく、これが果たしてできるのかどうか。
 民主党からもいろいろな質問が出てまいりました。この点について、国民の立場から見ると、借金が返せなければ何のための民営化だったということになると思いますけれども、この四十兆の債務が返せるのかどうか。さらに、民主党案は税で返済するという考え方でありますが、この点についてどのようなお考えをお持ちか、お答え願いたいと思います。

○小泉内閣総理大臣 この借金四十兆円の返済が可能かどうかということですが、四十五年以内ですから、四十五年以内にこの四十兆円を返済しよう。
 そこで、今、通行料金収入、これが年間二兆五、六千億ですね。これから考えれば、二兆円としても二十年で四十兆円ですからね。安定的な料金収入もあるし、幅を設けているわけですから、四十五年以内ですから。料金収入の中に債務返済分も含まれるでしょう、コストの削減も含まれるでしょう、いろいろあると思います。そういう現在の料金収入が年間二兆五、六千億程度ある中で四十五年以内ですから、私は十分可能だと思っております。
 それと、民主党案の無料にして税金で四十兆円を返済しろということでありますが、これは、道路を今までつくるのに、特定財源、一般財源両方ありますけれども、特定財源を一般財源にした場合に、暫定税率とかいろいろ細かい技術的な問題があります。そして、余計に負担を消費者に、利用者にお願いしている、この点についてどう納得を得るような説明ができるか。
 さらに、道路にこれだけ財政が厳しいときに税金で借金まで返済して、ほかの公共事業はどうなってしまうのか。道路をつくるんだったら、ほかの公共事業をもっとしたいというところはたくさんありますね。それで、今、税金だけではいろいろなことができないから、国債を発行して、公共事業はほとんど国債ですよ、借金をして。
 これを、どうやってこの税負担を国民に求めるのか。増税するのか、借金するのか、ほかの公共事業を削っちゃうのか、この点がはっきりしない。そういう点で、私は、全部無料化して税金で借金まで返しちゃう、ほかの公共事業のことをどうするのかと考えると、まだまだ疑問に思うところが無料化というのは多い。
 同時に、高速道路というのは、普通の道路と違って、特別に何か利用者にとってはお金を払ってでもこの道路を利用したいという必要性があるから高速道路を使うんです、余計な負担をしても。だから、使わない人もたくさんいるわけです。これを無料化するということは、おれは特別な高速道路を使わなくてもいいんだ、普通の国道を使っても、時間がかかってもいいんだという人に対しても税金で負担を求めることになるんですから、これはどうするのかという点もあります。
 だから、いろいろ疑問があるんです。その点、よく国民に説明してもらえば、どっちがいいかなというのは国民はかなり正確に判断してくれるんじゃないでしょうか。

○高木(陽)委員 今総理の指摘していただいた民主党案の問題点、私も同感であると思います。
 その点について、やはり説明をしていくというのは私たち政治家の役割であると思うんですね。民主党の方も、せっかく対案を出していただいたんですから、そういった部分を、この審議時間内ではなかなかできなかった、しかしながら、今後のことも含めて、対案を出す上においてはしっかりと説明をしていただきたい、このようにも申し上げたいと思います。
 さて、もう一つ今回の民営化論議の中で問題となったのは、今総理の指摘されたように、四十兆円の債務を四十五年以内に返していく、これは可能であろう。そうなりますと、料金収入でその返済の方にとられていくとなると、余力がどれだけあるのか。その余力の中で新たな、まだまだできていない部分のネットワークとしての高速道路網、交通網をつくっていけるかどうか、こういった疑問もあると思います。
 先ほどからの質疑でもありましたけれども、必要な道路、これはこれとして必要だけれども、果たしてだれが負担していくのか、こういった問題の中で、今回の政府案というのは、新直轄方式等々新たな形を見出しながら検討を進めてきたと思います。
 その上で、地方公聴会、または各参考人質疑、さらにはこの委員会での質疑で、与党である自民、公明、さらには野党の民主党の皆さんも、道路は必要である、こういうふうにずっと主張されておられました。
 そして、ネットワークとしての道路網というのが、これはしっかりとつくっていかなければいけない。一方で、その余力があるかどうかといった問題もありますけれども、一万一千五百二十キロですとか九千三百四十二キロ、これについて総理はどのように考えているか。これをつくっていけるかどうか、またはつくっていこうとするかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

○小泉内閣総理大臣 未供用の約二千キロ、九千三百四十二キロの中の二千キロ、これを今までの方式で全部つくるということはもう不可能だと思いますね。見直していかないとできない。見直していって、今までの規格じゃなくてもつくってほしいというところでどの程度できるか、新直轄方式でどの程度できるか。それでもできない部分は出てくる、これをどうするか。これは今後の、住民の方々の意見、あるいは民営化会社の意見、いろいろ、要望と採算と効用というものを両方考えていかなきゃならない問題だと思います。
 いずれにしても、今まで道路公団方式で認められた九三四二キロのうち未供用の約二千キロ、全部できるということにはならないんです。できない部分をどうするかというのは今後の問題であります。
 また、一万一千五百キロ、これは計画ですからね。これは、将来の計画は計画として、実現するためにはどうするかというのは、今後やはりいろいろな各方面の声を聞かなきゃならないと思います。

○高木(陽)委員 先ほども財源の部分で、必要な公共事業は道路だけではなくてある、こういう御指摘もありました。そういった観点から申し上げますと、もちろん道路もつくっていかなければいけないし、何とかつくっていただきたいというのが私自身の考えでもありますが、さて、その財源をどうするか、こういった問題の中で、やはり財政全体として、まだまだむだを省かなければいけない部分があると思うんです。
 そういった中で、本当に必要な道路はしっかりとそういうところで、高速道路方式なのかどうかは別にして、さまざまな形でつくっていく。むだが全体として省かれれば、これは道路の問題だけではなくて、それだけの余力、体力というのがついてくるわけですから、その点もしっかりとお願いを申し上げたいと思います。
 さて、先ほど島村委員の方も圏央道の話題に触れられました。昨日の東京地裁の判決、これは私も遺憾に思います。
 私自身も八王子が地元でございまして、橋梁はもうほとんどでき上がって、あと一歩のところなんですけれども、三軒が立ち退かなかった。ところが、この三軒のうちの二軒はもう立ち退きまして、あと一軒も、代執行をやられる前に、五月に引っ越しをする予定である。果たしてこの裁判は何だったんだろうか、このように思うんです。
 それはそれとして、圏央道、首都圏中央連絡自動車道、この環状道路。さらに、環状道路というのは、首都圏の場合には、外環、さらには中央環状という三本の計画がなされております。
 やはり、都心の渋滞というのは大変な問題で、地方の道路がないという経済効果も含めての問題点もありますが、一方で、都市部は都市部での、渋滞の問題、または渋滞による排気ガスの環境の問題等々も含めて、環状道路の必要性というのは、本当に重要なものであるなというふうにも思います。
 その上で、総理にお伺いしたいのは、総理が本部長を務めておられる都市再生本部、最近都市再生本部のニュースが流れてこなくなったなとは思うんですけれども、この都市再生本部におきまして、これも、経済の活性化をしていく、日本を再生していく上において重要な課題でありますが、総理が本部長を務める都市再生本部、平成十三年八月二十八日に、都市再生プロジェクト第二次決定をなされました。
 そこで、さまざまな角度からこのプロジェクトの決定をなされているんですが、東京圏における環状道路の整備、特に首都圏三環状道路の整備ということをうたっておりまして、このように書かれております。
 「東京圏において、首都圏中央連絡自動車道、東京外かく環状道路及び中央環状線のいわゆる首都圏三環状道路の整備を推進する。」このうち、現在事業中区間のうちの特に圏央道西側区間、外環の東側区間及び中央環状の三号線以北の区間について、「その整備を積極的に推進し、平成十九年度までに暫定的な環状機能を確保する。」いわゆるつくるというふうに、これは総理が本部長で、決定をされているんですね。
 そういった中にあって、今回の裁判等々もありましたけれども、また一方で、財政的な問題もある。九三四二に外環は入っているんですけれども、そのほかは入っていない路線ではあります。この三環状について、総理が本部長で決められたんですから、このように実現されるんだろうなと期待をしておるんですけれども、この点について、総理、いかがお考えか。

○小泉内閣総理大臣 この都市再生本部で進めております計画、これは今後も整備、推進していきたいと思っております。
 先ほどの裁判のお話ですが、いわゆる住民の多い都会とそうでない地方、道路に対する要望の度合いが違うところなんですね。都会の、東京なんというのは、必ず推進論と反対論が出てくるんです。ところが、地方はほとんど推進論ですよ。
 だから、地方の候補は一度選挙に当選すると安定するというのは、そういう点もあると思うんですね。住民が与野党全部応援するんですから、反対者がいない。これを実現すると、みんな、ああ、よくやってくれた、次は選挙で恩返ししよう。もう地方の代議士、ますます激しくなる。
 ところが、都会のところは、今道路をやったって空港をつくってくれといったって、我々はちょっと考えますよ。賛成論者、推進論者が来ると、必ずどこかで反対論者が出ますから、反対論者の意見を聞かないと、うっかり動くと、これはプラスかマイナスかわからない。空港でもそうですよ、最近。普通、利用者にとっては空港は歓迎だけれども、都会は必ずしもそうじゃない。
 そういう点を考えると、地方にどんどん、採算がとれなくても、必要だという声に押されて、政党なり国会議員が一生懸命つくってやろうという気持ちがよくわかりますよ、私も。
 しかし最近は、そういう環境の問題とか、立ち退きの問題は都会においては強く出ておりますので、その辺は賛成論、反対論、よく見きわめて、本当に全体のために何が必要かということを考えて政治は判断する必要があるのではないかと思っております。
 都市再生本部といっても、東京だけじゃありませんから、稚内から石垣までということでやっているんですから、これは今後も進めていきたいと思っております。

○高木(陽)委員 今総理が御指摘をされた、賛成もあれば反対もある、まさにそのとおりだと思います。そういった観点からいうと、それを決定した段階での政治の側、また行政の側も含めてですけれども、説明というものをしっかりしていくということが今後大切であろう。説明が足りないとどうしても、一方的だみたいな、ためにする反対がさらに広がっていく。この点も今後よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 時間が参りましたので、質問を割愛させていただいて、最後の質問として、昨年の暮れ、十二月二十二日に、政府・与党申し合わせ、道路関係四公団民営化の基本的枠組みですね、これで、料金について平均一割程度下げる。
 民営化推進委員会の意見書でも、「民営化の目に見える成果として、通行料金の平均一割引き下げを民営化と同時に実施する。」等々、今回の民営化の一つのメリットとしての料金の引き下げですね。
 これは逆に、料金を引き下げるとその分だけ、通行量がそれ以上にふえて、収入がふえればいいんですけれども、引き下げただけだと逆に収入が減るわけですから、その返済、これもおくれてしまう、こういった問題もあると思います。
 その上において、これは政府参考人で結構ですけれども、料金の引き下げについて、具体的にどういうような形でやっていくのか、これをお伺いしたいと思います。

○佐藤政府参考人 料金の引き下げをどうやってやっていくか、こういうお尋ねでございました。
 民間のノウハウ発揮で、多様で弾力的な料金設定をすること、これが民営化の目的の一つでもあるわけであります。このため、民営化までの間にも、ETCの活用などによりまして、各種割引によって料金を引き下げることを検討しているところであります。
 特に、高速国道の料金につきましては、民営化までに平均で、平均でございますが、一割程度の引き下げに加えて、別納割引の廃止を踏まえたさらなる引き下げ、これをやっていこうということであります。
 具体的には、マイレージ割引であるとか、あるいは夜間割引、通勤割引などが実施可能と考えております。
 詳細につきましては、今後検討し、早急に結論を得てまいりたいと思っておりますが、多様で弾力的な料金設定、こういう意味で、料金水準の違いによる一般道路から有料道路への転換割合、弾性値と言いますが、の変化などを把握するためにも、夜間割引や通勤割引等の社会実験を導入しているところでございます。
 平成十六年度におきましても、これからでございますが、高速自動車国道の例えば夜間長距離割引あるいは首都高速道路の夜間割引、これらを、このゴールデンウイーク前、四月の二十七日から実施していこう。さらには、通勤割引で朝夕の一般道路の渋滞などの課題を解決するための地方課題型社会実験、これは全国各地で募集しているところでございますが、地方と力を合わせて一緒に実験してまいりたいと思っております。
 こうした実験結果を踏まえながら、本格的な実施に向けまして、着実かつ早急に準備してまいりたいと思っております。

○高木(陽)委員 時間が参りました。
 最後に一言だけ申し上げたいと思いますが、今回の道路公団の民営化の論議、約二年間にわたってずっとしてきて、本委員会でも五十時間にわたってやってまいりましたけれども、今まで、道路というものは国がつくる、国がつくれない分、借金をしながら公団がつくるということでやってまいりました。しかし、今回、大きな転換を迎えるに当たって、必要な道路はつくりますけれども、ただ単に財源を無視してはつくれないという問題に関しては、これは多くの国民も含めて理解は深まっていると思います。
 こういった点において、だからといってつくらないということではなくて、ではどうしたらつくれるのかという問題について、さらなるその検討を重ねながらやっていくのが政治の責任であるというふうに申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


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