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会 議 録
第159回 衆 「国土交通委員会」 19号 2004/5/11
○今村委員長代理 高木陽介君。
○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。 本日は、景観緑三法の法案の審査ということで質問させていただきます。 まず、景観というものの考え方ですね。我が国の景観を考えてみますと、例えば、その昔、江戸時代、城下町、門前町、そういった形で町並みというのが発達してきた。しかしながら、戦後、都市化が進む中にありまして、なかなか一貫したまちづくりが行われてこなかった、そういう面も指摘できると思うんです。 例えば、ヨーロッパの町並みを見た場合に、ヨーロッパのまちづくりというのは、五年、十年でできるわけではなくて、百年、二百年、または五百年、そういう単位で町というのがつくられてきた。そういう中にあって、お互いのコンセンサスができながら町というのがつくられてきて、特に観光の視点からいってみましても、欧米の町、特にヨーロッパの場合には、歴史と伝統を感じさせる町並みがあるというふうにだれもが感じると思います。 その一方で、我が国の町並みを見た場合には、なかなか、特に都市化がされている町並みというのは一体どうなっているか。東京の例を掲げてみますと、例えば、屋外の建物のデザイン、高さ、ばらばらであるだとか、または色、大きさのふぞろいな看板、そういったものが無秩序に並んでいるということで、なかなか町並みがきれいだというふうな評価はされていないと思います。 そういった中にあって、今回この景観緑三法というのが提案をされましたけれども、そもそも小泉内閣も、観光立国という視点を持ちながら政策の柱として掲げていると思います。私ども公明党も、昨年の衆議院選挙のマニフェストでもこの観光立国のことをしっかりと掲げまして、二〇一〇年までに今五百万人の訪日観光客を一千万人にしようと、政府と歩調を合わせるかのようにマニフェストで掲げさせていただきました。 そういった部分で、例えば外国の方が日本に来たときに、そういった景観、町並み、これに対してどのような感じを抱くのか、ここら辺のところはなかなか問題があるのではないか、こんなふうに感じます。 そういった観点から見ましても、今回の景観緑三法という法律案は、我が国の景観を美しくしていく、また豊かなものにするということで、画期的な法律であるというふうにも評価をしております。景観行政にとって大きな前進であると評価しておりますけれども、また、屋外広告物法や都市緑地保全法をあわせて改正することによりまして、景観全体の問題というのをとらえている、これも大変有意義な観点であるな、このようにも思います。 ただ、法案の内容については、疑問または懸念、こういったものを感じるところがありますので、その点についてきょうは質問をさせていただきたいと思います。 まず、景観法というのは、良好な景観の形成を促進するための法律であるということですけれども、どのような景観を良好な景観というか、これは地域によって異なるわけですね。また、人それぞれの価値観によって異なっていく、百の町があれば百種類の景観のよさというのがあると思うんです。 我が国の景観行政というのは、まず、景観条例に基づいて、地方公共団体の取り組みが中心であった。今回の景観法の制定によりまして、逆に地方公共団体の取り組みに枠がはめられることになるのではないか、また、個性あるまちづくりというのが、一つの法律によって逆に画一化されるのではないか、こういう懸念を一つ持っております。 もう一つの懸念というのが、今回の法律によって規制がなされていく、逆に、規制されることによって地域経済というのが阻害されていくのではないか、こういった問題点もあるのではないか。 特に、私自身も考えているのは、規制というのは基本的にない方がいいんだろうな。それぞれが自立をして、そして自立した中で町ができていく、またはそれぞれのいろいろな制度ができていく、こういう方がやはりいいのではないかなと思っているんですが、景観の形成のための規制、これが私権制限にもいろいろとぶつかってくるのではないか、こういうような懸念があります。 今までの規制というのは、特に国土交通省関連でいいますと、建築物の安全性、または国民の生命身体へ直接影響を与える、こういった部分に対してはきっちりと規制をしてきたと思いますけれども、景観というと、先ほど申し上げましたように、価値観の問題というふうになってきます。そういったところでの規制というのが果たしてどこまでできるのか、こういうところが私自身の今の問題意識の中にあります。 そこで、私自身も、新聞記者時代、いろいろな行政の取材をしたときに、特に自治体の取材をしたときに感じたんですけれども、今から二十年ぐらい前になりますか、そのころ、いろいろな再開発というのが駅前で行われますと、どの行政、いわゆる公共団体も、再開発というとすぐビルを一個建てて、それで再開発、駅前が立派になりましたねというような感覚だけで、どの町を見ても同じような再開発が行われていた、金太郎あめみたいな形になっているな、このようにも感じました。 そういった観点も踏まえて、まず大臣にお伺いしたいのは、今回の景観法の制定によりまして、個性あるまちづくり、これが果たして実現していくのかどうか、景観法の制定によりましてかえって画一的になるのではないかな、こういったことに関してどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。 〔今村委員長代理退席、委員長着席〕
○石原国務大臣 高木委員が御指摘のとおり、良好な景観という名のもとに、画一的にこれが良好な景観だといいますと、逆に画一的なまちづくりというふうになってしまうんだと思います。 しかし、今回の法律案は、先ほど来の御議論の中にもございますように、市町村、県が個性を生かした景観行政に条例等々の制定によって取り組んでいるものを支援するということを制定の趣旨とさせていただいているところでございます。 具体的に若干申しますと、その手法についても、面的に建築物のデザインや色彩を制限する景観計画区域や景観地区、地域のシンボルとなる建築物を保全する景観重要建造物制度、あるいは住民が地域の景観のために自主的に結ぶ景観協定など、地域の実情に応じた施策が講じられるようバリエーションに富んだ多様な選択肢というものを用意しております。 こういうことによりまして、各地域において魅力ある景観形成が、委員が御指摘のように、良好な景観という名のもとに画一的なものにならないようなことを期待しているところでございます。
○高木(陽)委員 今大臣が答弁していただきましたように、良好な景観形成のために選択肢を用意する、それで公共団体が自由に選択し活用できる仕組み、これはこれで評価をしていきたいと思うんですが、一方、今回の景観法で、景観計画区域における変更命令、または景観地区における認定制度、いざというときの強制力を持った規制手法も導入されている。 こういった規制手法によりまして過度の私権制限にならないように、どのような措置を講じているかについてお伺いをしたいと思います。
○竹歳政府参考人 お答えいたします。 今回の法案におきまして、景観計画区域におきます変更命令や景観地区における認定の仕組みなど、新たな規制を導入しておりますが、これは公共団体からの要望を踏まえて、ぜひ自主条例をバックアップしてほしいという要望にこたえたものでございます。 そして、このさまざまな新しい仕組みというものは、建築物の建築等の行為自体をとめるものではございませんで、デザインとか色彩について、地域住民の意見を反映させながら策定される地域ごとのルールに適合させていこう、こういうものであるわけでございます。 具体の手続でございますけれども、まず最初に、景観計画の策定に当たりましては、公聴会の開催等住民の意見を反映させる、こういうことが義務づけられておりますし、都市計画区域等に係る内容につきましては、都市計画審議会の意見を聞く必要がある、これも法律に書いてございます。 また、景観地区の決定自体につきましては、都市計画そのものでございますので、公告縦覧、都市計画審議会への付議の手続を経る必要があること、それから、条例で定めますれば、景観審議会等の第三者機関を関与させるということも可能になるということで、いろいろな角度から住民の皆様方の意見を十分に取り込める内容となっているわけでございます。
○高木(陽)委員 次に、地域経済との関連について御質問したいと思いますが、先ほど、冒頭に申し上げましたように、さまざまな私権制限をすることによって地域経済を阻害してしまうんではないか、こういうふうな疑問を呈しました。 先日、大臣が本会議での答弁におきまして、伊勢市や北九州市、良好な景観形成が観光客の増加をもたらして地域の活性化につながっている、これはこれで大いに理解はできるんです。良好な景観形成とその地域の活性化、これがうまくマッチして車の両輪のごとくいけばいいんでしょうけれども、逆に、規制の程度によりまして、反対に地域経済を阻害する場合もあるのではないか、このようにも考えますけれども、このところについてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
○石原国務大臣 うまくいった例として伊勢市と北九州のお話を本会議でさせていただきましたが、このほかにも、川越市とか近江八幡等々で見ますと、昔の町並みを保存することによって観光客が新たに来るようなものとか、電線の地中化等々で良好な景観をつくることによって経済が非常に活性化するというような例がほかにもたくさん、全国で見ますと見つけることができました。 政府参考人からも今答弁しましたけれども、景観計画の策定や景観地区の決定手続においては、もちろん住民の皆さん方の意見を聞きますので、今委員の御懸念のような、そういう規制によって経済活動が阻害されるというようなことがあるならば、そこで声が出てまいりますので、そういうものを除去することができる。あるいは、景観審議会や第三者機関の関与などの手続を付加することも可能となっておりますので、今委員の御指摘の点は必ず俎上に上がってくる。こういうことを二重、三重にも重ねまして、規制が過度とならないように考えておりますので、その前の段階で委員の御懸念を払拭するように仕組ませていただいているつもりでございます。
○高木(陽)委員 わかりました。 続きまして、公共事業の問題なんですけれども、公共事業というのはとかく批判をされがちなんです。やはり、道路公団の民営化問題でもそうでしたけれども、ネットワークとして必要だということですとか、まだまだ公共事業としてかかわっていかなければいけない地域または施設等々があると思います。 そういった中で、今回の景観法には、景観上重要な公共施設を景観重要公共施設、こういうふうに位置づけています。その整備に当たっては、周囲の景観との調和を図らなければならないということとされていますけれども、逆に、こういった制約が地域にとって本当に必要な公共施設の整備を阻害する、こういうことにならないか。もちろんデザイン等をしっかり考えればいいんでしょうけれども、こういった規制が必要な公共事業の実施を阻害することにならないかということについてお伺いをしたいと思います。
○竹歳政府参考人 お答えいたします。 先生御指摘のように、公共施設は我々の生活に不可欠なインフラでございます。また、一方、地域の景観にとりましては、プラスの意味でもマイナスの意味でも大変大きな影響を与えるということでございまして、先ほど来、ガイドラインの話でございますとかアセスメントの話が出ておりますが、公共事業の実施に当たりましては、歴史や文化に根差した地域の良好な景観との調和を図っていくことが非常に重要だと思います。 したがって、景観法におきましては、公共施設を単なる規制の対象だというようなとらえ方をするのではなくて、公共団体が定める景観計画におきまして景観重要公共施設というような位置づけを与える。その場合には、公共団体は公共施設の管理者に協議して同意を得るというような丁寧な仕組みを用意しているわけでございます。 このような制度によりまして、地域の景観と調和した公共施設の整備を促進するために、国土の保全とか経済基盤の強化といった観点から、公共施設に求められる機能と良好な景観の形成のための地域の要請との調和を図るというようなことをできるものですから、公共事業の実施を阻害するというものではないと考えております。
○高木(陽)委員 時間も限られておりますので、最後の質問になると思いますが、先ほどから何度も言っている良好な景観、これは価値観によって大分変わってくる。例えば、落ちついた色彩の町並みがいいという人もいれば、派手な町並みがいいという人もいるでしょうし、そこら辺のところは本当に主観の問題である。千差万別の景観の考え方だと思うんですけれども、特に、どのような地域でどのような規制を行うかについては、景観計画区域における変更命令、景観地区における認定制度のような強力な手法を含めて、これは公共団体が判断していくということにされています。 したがって、公共団体が主体的な判断に基づいて良好な景観の形成に取り組むといっても、その判断過程において、住民の意思を幅広く反映して、景観法に基づいてその規制が地方公共団体の恣意に基づいたものとならないよう、また規制が乱用されることがないようにする必要があると思います。 そこでお尋ねしますが、公共団体の恣意的な規制または規制の乱用を未然に防ぐ手だて、こういったものが講じられているかどうか、御説明をお願いしたいと思います。
○竹歳政府参考人 お答えいたします。 公共団体の恣意的な運用、こういうものを防ぐためにどのような仕組みが盛り込まれているかということでございますが、例えば、景観計画を策定する際には、公聴会の開催等住民の意見を反映させる手続を義務づけております。 また、第三者機関の関与、こういうことも条例によって付加するということで、恣意的な運用を防止する仕組みがございます。 また、景観計画の区域よりもより厳しい規制を行う景観地区については、都市計画としてのさまざまな手続があるということで、いろいろな形で恣意的な運用が抑制されるような形になっております。 このように、これらの手続を景観法上措置することによって、景観計画や景観地区による規制には、第三者によるチェックが可能な仕組みとなっていますので、今御指摘の御懸念はないようにと考えているわけでございます。 なお、国土交通大臣は、市町村長が景観地区等において処分を怠っているというような場合で、国の利害に重大な関係がある建築物に関してということになりますと、市町村長に対して、必要な措置をとるべきことを指示するというような手だても講じられているところでございます。
○高木(陽)委員 時間が参りましたけれども、今回の景観法の問題で、景観を整えていく、良好な景観をつくる、そのための法律ということで、これは光の部分。しかしながら、一方で、先ほどから申し上げた、逆に地域がそれによって経済が停滞をしたりだとか、逆に私権が制限される、さらには、価値観がいろいろあるわけですから、そういった中でマイナスの部分、影の部分というのもあると思います。 特に自治体、今竹歳局長が答弁されましたけれども、事前に公聴会等々でしっかり住民の意見も反映すると言いますが、これはこれでまた大変なのは、公聴会等でいろいろな意見が出ると思うんですね。これをまた一つにまとめるというのが大変。そこに参加をする人、もっと言いましたら、例えば十万人の都市がある、十万種類の意見があるわけですから、そういった中での価値観をどうやって集約していくのかというのも大きな課題であるだろう、そういうふうにも思います。 ただし、冒頭に申し上げましたように、今回の景観緑三法というこの法律案は、やはり画期的な、これからの日本の観光立国を含めて、さらに活性化をさせていくために重要な法案であるということを申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○赤羽委員長 高木陽介君。 〔委員長退席、今村委員長代理着席〕
○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。 本日は、三人の参考人の方々においでいただきまして、本当にありがとうございました。 また、貴重な御意見を承りまして、本当に感謝申し上げたいと思います。 そこで、先ほどから景観法について何度か出てきた話題ですけれども、景観の概念という部分。午前中には、私たち委員が政府の方に質問をさせていただきましたけれども、景観の概念というのは本当にさまざまな形がある。もっと言いますと、十人十色、人それぞれによって価値観が違う。例えば、第十八委員室というこの部屋のつくりにしても、これが果たしてデザイン的にいいのかどうかというふうに一人一人に問いかければ、さまざまな意見が出てくるであろう。 そういった中で、西村先生が最初にお話をされた中で数値基準がないという言い方をされまして、また、その判定の仕方というのが重要であるというような御意見がございました。また、金沢市の山出市長は整序の論理という言い方もされて、なかなか格好いい言葉だなと思ったんです。 そういった中でお三方にお伺いをしたいのは、先ほどから、景観というものをどういうふうにとらえていくかという中で、やはり住民の話し合い、議論、こういうのが重要であるというふうに言ったんですけれども、議論をしてまとまるというふうに前向きにとらえていかなければいけないと思う反面、やはりどうしてもここは自分は違う考えだという人もいるのは確かだと思うんです。 そういった中での景観というものに対しての概念のとらえ方として、それ以外に、最終的には多数決みたいになるのかどうかも含めて、どういう形で良好な景観というのを認定していくのか。これについてもう一度御意見を伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。
○西村参考人 まず、景観の概念に関しては景観法の中でもうたわれていないわけで、これは、やはりある種、これとこれだけは景観ですと言うと、余りにも抜け落ちるものが大きいということもあると思うんですね。例えば、環境基本法の中でも環境というのは定義されていないわけです。 ですから、その意味でいうと、イギリスにアメニティーという言葉があって、アメニティーは定義するより感じる方が易しいという有名な言葉がありまして、それに似たようなところが、イギリスのアメニティーはイギリス都市計画の基本的概念になっているんですけれども、やはり定義されていないわけですね。ですから、そういう意味では、定義を必ずしも法案の中でやる必要はないんじゃないかというのが私の意見です。 具体的に、では意見が一致しないようなときにどうするかというお話ですけれども、一つは、先ほど言いましたように、基本的に非常に重要なのは、景観に関していろいろな人がいろいろな立場で意見を言う、民主的に意見を言って、言う場ができるということだと思うんです。それも、個人が言うとそれは十人十色かもしれないけれども、必ずしもそうではなくて、一つの景観に対して、例えば景観整備機構だとかNPOの認定を受けている団体だとか、ある種公益的な活動をやっているグループが、そのグループの統一的な意見として何か物が言えるとすると、それは個人が趣味で言っているよりやはりはるかに重い意見になると思うんですね。 そういうことは、逆に言うと、それぞれの人が個人で好みで言うのではなくて、それぞれがグループをつくって、ちゃんとした公益的な活動の中で景観のコメントをどこか統一させて議論の場に臨むことが大事になってくる。まさに景観という問題を通じてまちづくりの活動が組織化されていくというところがやはり非常に重要なんじゃないかと思うんです。 ですから、その意味では、ある段階でいろいろな活動のグループが出てきて、そしてちゃんと意見が出てきて、それでも決まらないときには、やはりそれは最終的にはどこかで多数決か何かで決断をせざるを得ないと思いますけれども、大事なのは、恐らくそういう形の中で、個人が好みが違うから、ばらばらだからばらばらの意見だというレベルじゃなくて、やはりそれぞれのNPO的な団体やそれぞれの地域の団体のような形で意見を小さなグループでまとめていって、そして大きな場に持っていくというプロセスを積み重ねていくことじゃないかと思うんですね。そのことが広くやられてくるようになると市民の景観に関するレベルも上がってくるので、次第次第に景観の問題も、こういうのが望ましいというのがもう少し具体化してくるという次のステップに行くのではないかというふうに私は思います。
○山出参考人 欧米へ旅をしますと、車窓から見て、看板のたぐいは見ることができませんし、この日本の状況を見ますと、看板が乱立して、私自身は少し遅過ぎたなという感じを持っておるくらいでございます。ある人は、日本人は靴を脱いで家へ入る、だから自分の家の床の間だけがきちっとしておればいい、ところが、外国の人は靴を履いたまま家の中へ入るから外も内も一緒なんだ、そこに基本的な価値観の差があると言った人がいるんですけれども、ちょっとわかりませんけれども、一つの見解かなと思ったりもするのでありまして、私は、やはりきれいな町をつくらなきゃいけない。心が安らぎますし、心地よさを感ずるわけでございますが、ただ、景観行政を進める際には、基準は公開しなきゃいけないし、公の場での議論というのは必要だというふうに思っていますし、そして、時として専門的な領域にかかわりますので、識者の意見を聞くということの大切さを思います。 市長という個人が好みで物を判断しちゃいけませんで、広く議論の場を持つべきだ。結果として、大方の意見の落ちつき先ではなかろうかなという点で落ちつかせることが必要ではなかろうか、私はこんなふうに思っています。 具体的に、例えば看板の色の議論も私ども大いにするわけです。赤と白のある看板だとして、赤のスペースが随分多くて白が小さい。それを逆にするわけでありまして、白を大きくして、そして赤を小さくする。そうすると、割合皆さん方は納得してくださる。そういうことも多々あるわけでございますので、私は、議論して、そして衆知を集めたら、落ちつき先はある。多数決の原理まで行かなくとも、まあまあこのあたりでどうだろうという落としどころというのはあるし、そういうものを長い体験の積み重ねの中から求めていくべきだ、これが景観行政だ、そう思っています。
○中林参考人 景観の定義に関しては、西村先生がおっしゃるように、法の中でする必要は必ずしもないと思いますが、一つは、景観が物的な状態のことをいうということと、それから、景観の評価、景観の物的な状況と景観に対する評価とか認識とか、そういうものはやはり区別して議論する必要だけはあるなというふうにいつも思っております。景観というものの中にいろいろ人間の評価も入れてしまって議論すると混乱する、そういうことはあるかなと思います。 それから、今もお二方がおっしゃいましたように、景観の問題の場合、多数決というようなことで行くのではなく、やはりプロセスあるいはオープンな議論、こういう中で決められていくべきものだというようなことは当然のことだというふうに私も思います。 景観の問題の場合には、大きな景観の変化、こういうものが議論になっているときは、しかしながら、今までずっとあった景観というのはみんなの財産なわけですから、大きく景観が変化させられるというときにそれに異論を唱える人があれば、やはりそれはきちんと説得するという立場がなければ景観を変えるということはできないものだというふうに私は思います。
○高木(陽)委員 これは西村先生と中林先生にお伺いしたいんですが、先ほど西村先生のお話の中で、自治体間の格差是正のための措置をどうするかというのがまた次の課題であるというふうにも御指摘されました。 山出市長みたいな、金沢市というのは本当に景観の行政については、ある意味では先進的なところですけれども、そういう市長さんを初め、やる気のある自治体は、どんどんどんどん今回の景観法を使いながらすばらしいまちづくりができていくのであろうなと思うんですが、一方、国が、これをやりなさい、あれをやりなさいということじゃないですから、そうなりますと、やはり地域によってかなりの格差が出てくる。素材としてはすばらしい、もっともっと生きていく景観の要素がありながら、結局、自治体の主体性のなさによってこれがおくれをとってしまうというか、そういう形というのは本当に考えられると思うんですね。 本当に行政というのは、人によって、首長さんによって大きく変わっていく。こういう要素の中にあって、自治体間の格差是正、これは具体的にはどうやっていったらいいのかというのをお二人の先生にお伺いしたいと思うんです。
○西村参考人 先ほどは、都道府県の役割が一つ重要だろうと申し上げました。つけ加えて言うと、もう一つは、景観問題を発議するのは必ずしも行政じゃなくてもいいわけです。地域の住民の方もあるし、もしくは商工会議所だとか町村の商工会みたいなところで大変熱心なところがあるとか、JCみたいなところで大変熱心にやられているとか、まちづくり団体があるとか、歴史的な建物の保存のグループがあるとか、建物を活用しようというグループがあるとか、さまざまなあり方があるので、そういう方々が中心になって、先ほどからありましたけれども、この法律の中では提案制度がありますので、下からきちんと提案を持ち上げていくということは必ずしも不可能じゃないと思うんですね。そして、その提案を取り上げないときにはどうして取り上げないかということをきちんと説明するような責任も行政側に問われている、そういう仕組みもありますので、ちゃんと手続を踏んで、さまざまな団体からさまざまな声を上げていくということが必要なんじゃないかと思います。 そういう形で今まで進んできて、民主導でまちづくりや景観整備が進んできたところもかなり日本の中で多いわけで、ある段階からさまざまな形で官民の協調が生まれてくるということはよくある事例なので、そういう意味では、民の側にさまざまな可能性があるんだということを、これで官だけに頼らなくて、どうも法律ができると、全部行政が進めてくれるんじゃないかと思うのと今度は逆で、もう少し民がきちんとした形でやるということもそれなりに強調していかないと、やや誤解を生じるおそれがあるなという気はしております。
○中林参考人 これも西村先生がおっしゃるとおりだと思いますが、町並み保存運動というようなものも、もともとこういうものが始まりましたのは、もっと古い時代にもあったのかもしれませんけれども、近いところでは一九六〇年代ぐらいだと思います。そういうところで下から町並みを保存するというようなことが起こってきて、今日ではそういうことが非常に重要な営みなんだということになってきたわけなので、やはり、そういう伝統的な町並みが存在しないようなところもあるかもしれませんけれども、基本的には下のところからそういうものが生まれてくるように、生まれてきた場合には行政がそれを育てていくという姿勢を持つ、そういうことが重要かと思います。
○高木(陽)委員 次の質問は三人の方にお答えいただければと思うんですが、これも西村先生が、現状、開発行為が起きないと発動されないという受動システム、いわゆる望ましくない景観をどうしていくか、これも課題であるということと、あと、これは中林先生のお話の中にあった、これは四番目の項目ですね、河川や歴史的建造物を台なしにしている大都市中心部の高架道路周辺、これらを景観区域に含めることができるかどうか、いわゆるもう既にある構造物に対してどうしていくか、こういった問題もいろいろと論議していく。最初から住んでいる人はそういう意識もあるでしょうけれども、そこに移ってきた人たちも、やはりこれはおかしいんじゃないかだとか、そういった部分の中で議論は起きてくると思うんです。 そういった中に、これからやっていく部分には積極的にかかわれますけれども、もう既にある問題、これに対してどう対処していったらいいのかということについて三人の参考人の方の御意見をお伺いしたいと思います。
○西村参考人 一つは、景観計画の中できちんと位置づけることだと思うんですね。公共施設でも、景観重要公共施設という概念が導入されていますので同意が必要なんですけれども、そうした公共施設を、道路や橋なども重要な公共施設であるということを認め、計画の上で位置づけて、次に何かやるときにはその方向でやってもらうということを担保するような、景観計画の中で位置づけるということがあると思います。 ただ、何もしない土地利用をどうしようかというような問題があるわけで、それは一つは、こうした法律のシステムからいって、なかなか能動的に何かをすぐに変えさせるというのはやはり制度的に難しいわけです。ですから、その意味では、やはり景観計画なんですけれども、景観計画の中できちんと位置づけられたものに関して、例えばまちづくり交付金とか、さまざまなほかの制度や事業制度、それから交付金制度、補助制度が位置づけられたものに優先的に使うというようなことを自治体が判断するようなことがあれば動いていくわけですね。 ですから、その意味でいうと、ほかの事業制度や交付金制度をうまくこの計画と連動させることによって、今動かないものを動かしていくということを自治体側がそれぞれの政策としてやっていく必要があると思うんです。それは法律そのものとはかかわらないわけですけれども、少なくとも景観計画がそういう意味を持っているということはきちんとした形で自治体に伝わらないといけないと思うんです。 ですから、その意味では、景観計画というのは、何か、普通考えると、基本計画で、憲法みたいなものだ、だからまずつくるんだという感じに思われがちなんですけれども、ある種、非常に重要な戦略的意味を持っているというふうに思います。
○山出参考人 日本の名勝と言われるような公園等へ参りまして、周囲に高い建物が建ってしまっている、それをどうこうすることはもうできぬわけで、困ったものだなという思いは率直にいたします。だとすると、我々は、これからつくるものについて、やはり最大の取り組みと配慮をしていかなきゃいかぬなという思いがあります。 そこで、看板のたぐいでありますけれども、醜悪な看板で、場合によったら取りかえてほしいというときは、私は補助金を出して撤去してもらうというような扱いをしておるんですが、なかなかこれとても、そう容易でありません。一番難しい課題だなと思います。 それから、私は、看板につきましては、これから、集合看板、一つ一つ看板をつくるのではなくして、看板を一カ所に集めるというような扱いはできぬだろうかなという思いは持っています。今、広告塔は道路占用物件として位置づけられておるわけですが、集合看板のたぐいも電話ボックスとか電柱と同じ公益性がありますので、占用物件の扱いなんというのはできぬだろうかという思いがありまして、こういうことは、これからの看板を変えていく一つの契機になるのではなかろうか、そんなことを思っています。
○中林参考人 今、名園の周りに高い建物が建ってしまったりとか、大都市の中の高架の道路の話、こういう簡単には撤去できないようなものの場合と、今お話しになりましたように、看板とか比較的修復しやすいものがあると思います。決して看板とかそういうものは小さな問題だと思っているわけではございませんが、こういう丁寧な、きめ細かい努力ができていくようなことにこの法律が使われるというのは非常に重要だというふうに思っております。 ただ、一つ、私自身が持っている疑問でありますので、高架の道路について少し申し上げますと、なぜ日本の大都市の中に高架の道路が非常に多いのかということは、もう少し問題になってもいいのではないかというふうに思われます。 諸外国を見ていましても、ヨーロッパにはほとんどございませんし、アメリカでもニューヨークなどは決して高架の道路が日本の大都市のようにあるわけではございません。お隣の韓国のソウルなどでは日本に近いような状態になっているなと思っておりましたら、御存じかとも思いますけれども、去年あたりから清渓川という川の上に建っていた高架の高速道路が撤去の工事に入っている。 そういうことが景観法の対象になるかどうかという問題はありますけれども、そんなこともやはりもう少し議論を国民的にしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。 〔今村委員長代理退席、望月委員長代理着席〕
○高木(陽)委員 時間が限られておりますので、最後に山出市長にもう一度お伺いしたいんですが、市長のお配りいただいた資料の中で、金沢市のまちなみ広告景観賞の写真をずっと見せていただいて、今お話があった、赤を基調にしていたのを白を基調にして、例えばこれはボーダフォンの金沢仕様広告、まさにひっくり返ったことによってしっかりと建物の中に入り込んでいる。 ただ、これも、話し合いの中で決着がついている、または、そういう補助金を出しインセンティブを出してあげるということでうまくいっている部分もあると思うんですが、企業によっては、一つのロゴマークというか、これがこの会社の象徴なんですというような部分もあるのではないかなと思うんですね。そういったときの解決方法というのは何かありますかということで、最後にお伺いしたいと思います。
○山出参考人 大変難しい御指摘なんです。 私もこのことについては苦労していまして、一般的に全国チェーン店というのはなかなか協力していただけません。そうしますと、私自身は、支店長さん、営業所長さんとお話ししてもだめだな、東京の本社へ行ってお話ししなきゃいかぬな、そういうことを思うこともありまして、そういう努力もして、そして一つ一つ解決していかなきゃいかぬだろうなというふうに思っています。 しかし、今先生御指摘のとおりでして、ちょっとした工夫で物すごく原色が和らいだりしますので、そういう配慮はこれからしていかなきゃいけないというふうに思っています。 〔望月委員長代理退席、委員長着席〕
○高木(陽)委員 三人の参考人の皆様方の貴重な御意見、これはまだ法案の審議は続いてまいりますので、参考にさせていただきながら、しっかりとしたすばらしい法律にしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。
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