会 議 録

第159回 衆 「国土交通委員会」 24号
2004/5/26

○赤羽委員長 高木陽介君。

○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
 本日は、旅行業法の一部を改正する法律案ということで質問させていただきますが、政府を挙げてビジット・ジャパン・キャンペーンを展開される中で、さまざまな手だてを打ってきている。そういった中にありまして、旅行者をふやしていくという、旅行業自体がしっかりとしていかなければいけないということで、今回の改正案、これがそれにプラスになるかどうか、なっていただかなければいけないんですけれども、そのつもりで今回の改正を出されたと思います。
 今回のこの法案について、改正によりまして、旅行者のニーズの多様化、体験型、滞在型旅行などに対応し、新たな旅行契約の態様として、従来の画一的な主催旅行に加え、旅行会社がアドバイスをしながら旅行計画を作成するオーダーメード型旅行を含め、企画旅行契約を設定する、このようにあります。
 ただいまも、ほかの委員の方々からもこの企画旅行について御質問もございましたけれども、この新たな形態、企画旅行なんですが、それまでの主催旅行と、オーダーメード型旅行、これは今まで、全体の旅行に占める割合は一体どれぐらいだったのか、その実態をお聞かせ願いたいとともに、今回、企画旅行という形態にしたことによりまして、この意義、これがどのようにプラスになっていくのか、この点についてまず最初にお伺いをしたいと思います。

○澤井政府参考人 まず、従来の主催旅行といわゆるオーダーメード型旅行の比率でございますが、平成十四年の販売額ベースで見ますと、従来の主催旅行につきましては、海外旅行の四二%、国内旅行の三三%でございます。また、いわゆるオーダーメード型旅行、徐々にふえておりますが、十四年の同じく販売額ベースで、海外旅行の一三%、国内旅行の一六%を占めております。
 ベースには旅行ニーズの多様化、個別化ということがございまして、例えば、先ほども申し上げたわけでございますけれども、主催旅行の中でも、最初から最後まで一本線ではなくて、途中で幾つかのオプションがあって旅行者のニーズによってそれを選ぶことができるというようなものもふえていますし、また、最初から最後まで旅行会社と相談して手づくりでやるというものもあります。その辺の実は境界線がかなり入り組んできている。
 今、法律上は行った先の旅程管理は義務づけられていないけれども、今言ったオーダーメード型旅行について、実態上、その旅行に一緒に行った添乗員がきちんと旅程管理をするというようなケースもあるものですから、旅行者から見るとその辺の区分が非常にあいまいにある意味ではなっておりまして、それをめぐるトラブルもかなり出てきている。
 そういう実態を踏まえまして、関係方面とも十分議論した上で、その両者、いずれも、旅行会社のみずからの計算でいろいろな仕入れた素材を組み合わせて売るという意味では共通でございますので、これを一本の企画旅行ということにして、行った先の旅程管理もきちっとするという体制にしようということでございます。

○高木(陽)委員 基本的に、旅行者にとってプラスになるような形にしていっていただきたいと思いますが、その上で、今回、旅行業者が「旅行者の保護に欠け、又は旅行業の信用を失墜させる」行為を行うことを新たに禁止しておりますけれども、この「旅行業の信用を失墜させる」または「旅行者の保護に欠け、」こういう法律の文章はいいんですけれども、具体的にはどのような行為が禁止行為として想定をされているのか、お聞かせ願いたいと思います。

○澤井政府参考人 これは、今回追加する規定であります。従来、この類似の規定としては、旅行業法ではなくて他の法令に違反している、国内旅行であれば日本国内の法令に違反している、あるいは海外旅行であれば行った先の国の法令に違反している、そういうことをあっせんしたりすることを禁止していました。
 今回、案として追加しておりますのは、法令違反ではないけれども、そういうことを助長したり何かすることが旅行者の保護に欠けるあるいは旅行業界の信用を落とすというようなたぐいのもので、例えばということで例を二つほど申しますと、旅行地における土産物店などの販売事業者と通謀いたしまして、販売事業者から特別のマージンを旅行会社が得て、旅行者を、旅行する人を希望もしない数多くの土産物店に案内して余り質のよくない土産物の購入を勧めるとか、あるいは、旅行者から例えばパスポートとかチケットを預かることがよくあります、これはきちんと保管しなきゃいけないんですが、そういう必要な注意を怠るというようなことが想定されます。

○高木(陽)委員 今お話しいただいたような禁止行為、この禁止行為を行った旅行業者等については、罰則の対象がないのではないか。当該規定の実効性、これはどのように担保するか。だめですよと言っても、やはりやる人はいるわけで、ここら辺のところはどうなのかということをお聞かせ願いたいと思います。

○澤井政府参考人 結論的には、間接的に罰則も及びます。
 まずは、こういった行為を行った業者に対しては、旅行業法の規定に基づきまして、業務改善命令あるいは業務の停止命令、さらには旅行業の登録の取り消しといった行政上の不利益処分を科すことができます。
 罰則に関しましては、こうした旅行業法上の命令に違反した場合、あるいは旅行業法上登録が取り消されて旅行業ができなくなったのに実態上続けている、そういった場合には罰則も及ぶということでございます。

○高木(陽)委員 限られた時間の中でビジット・ジャパン・キャンペーンについてもお伺いをしたいと思いますが、これは以前、当委員会の一般質疑でも質問させていただきました。
 VJCの場合に、訪日の外国人を一千万人にする、その目標は二〇一〇年、あと残すところというのは六年、実質は五年になりますか、そういった中で、現在努力はされているんですけれども、今のペース、訪日の外国人のふえ方から見ますとちょっと心もとないなという気もしておりまして、現実問題、本当に一千万人海外から日本に来るのか、こういった点についてお伺いをしたいと思います。

○澤井政府参考人 二〇一〇年度末まで、今から七年あるとまず私ども思っております。
 今から七年先までのことを客観的に見通すということは非常に難しいと思っておりますが、例えば昨年、しばしば申し上げますとおり、年度の前半に大変な落ち込みがございました。しかし、年度後半、これは八月以降を平均しますと一一%近い対前年の伸びでございます。
 そういったことで、ここにビジット・ジャパン・キャンペーンを初めとする観光立国行動計画のいろいろな政策の効果も少しずつ出てきているなと思っておりますが、そういったことを考えますと、少なくとも、今これはとても到達不可能ですということを言うのはもちろん適当でないし、そうでないと思っていますし、要はいろいろな政策を点検しながら、いい、より効果の高い政策をどんどんやっていくということで、ぜひこれは実現したいし、できると思っております。

○高木(陽)委員 昨年の状況、特にSARS等がございましたりして、前半は落ち込む中で後半の伸びが一一%になった、これはこれですごく評価をしたいと思いますし、年間八%程度ふやしていかないと一千万人いかないのではないかな、そう考えますと、常時それぐらいのハイペースでふやしていかないといけない。そのための手だて、これは今までさまざまな手だてを打ってきておりますけれども、しっかりとチェックをしながらやっていく、これをぜひともお願いを申し上げたいと思います。
 その上で、このVJC、ビジット・ジャパン・キャンペーンの中で、特定の地域または国を決めて、そこに集中的にアプローチをして来てもらおうということで、当初は五カ国・地域、中国、韓国、台湾、香港、アメリカ、それに加えまして、今度はヨーロッパ、フランス、ドイツ、イギリスですか、これが加わって八カ国・地域。
 ちなみに、二〇〇二年の訪日の人数を見ますと、韓国が百二十七万、台湾八十七万、中国四十五万、香港二十九万、アメリカが七十三万、それに加えこの三国、英国二十一万九千、ドイツが九万三千、フランスが八万七千、当初の五カ国・地域だと六九・二%だったのが、このヨーロッパ三国を入れると七六・九%訪日外国人の中の割合を占めている。
 こういった中で、そこに集中的にやるのは結構なんですけれども、やはり最終的に網羅的になってしまいますと散漫になるだろうなというところで、この中で最も今後訪日客の増加が期待できる、これはどこであるか、ここをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
    〔委員長退席、望月委員長代理着席〕

○澤井政府参考人 先生今触れられましたように、例えば韓国、大変二〇〇三年度もふえました。
 一つ申し上げたいことは、一たんふえればそれが、ビジット・ジャパン・キャンペーンを初めとする各種施策を講じなくてもその水準が維持できるだろうということは私ども思っていないということです。
 一たんふえたところについて、リピーターをふやすことも含めて、そういった水準を維持し、さらに向上していくということは一方で大事だと思いますが、今のレベルからより高い、一けたも上のようなことも含めて伸びるということが期待できるという意味では中国だと思いますし、また、中国自身は、今までの傾向を見ましても、一九九八年の八百万人台が二〇〇二年には五年で倍になっているということで大変大きく伸びていますから、その伸びを、これは中国から世界各国に出ていかれる方の数ですから、そういった倍にもなる勢いのものを我が国でもできるだけたくさん受けとめさせていただくということはもちろん大事だと思います。
 それからまた、お触れになりましたように、ヨーロッパの三国については、これまでVJCを展開していなかった中でそういう数字だ。これから効果的なビジット・ジャパン・キャンペーンを展開することによって一段とふやしたい。網羅的という意味では決してなくて、それぞれの国の特性も踏まえて、きちんとやっていきたいという意味でございます。

○高木(陽)委員 中国は人口も多いですから期待できると思うんですが、特に今、中国の訪日観光客の問題点として挙げられるのがビザの問題ですね、これは先ほども質問に、三日月委員ですか、出ていたと思いますけれども。
 これは現在、団体客ということで、団体旅行ということで、北京、上海、広東、二市一省、これをさらに拡大していこう、こういうような動きが今までもなされてまいりました。これについては、政府、関係各省連携をとりながら中国との話し合いをされているというふうに伺っておりますが、この現状及び今後の見通しについて、どのような状況なのかお聞かせください。

○澤井政府参考人 これまで、ビザの取り扱いの場所の拡大も含めて、北京、上海、広東省の二市一省で実施されているところに加えて、一市四省の拡大というテーマで、まずことしの三月には総理から、中国人訪日団体観光旅行の査証発給対象地域の拡大について、外務省を中心に関係省庁が連携を図りつつ、中国政府と十分協議の上、早急に結論を出すべしという指示が出ております。これを受けまして、現在、在中国日本大使館で既に中国側と協議を開始して、精力的に今調整をしているところでございます。
 私どもの省といたしましては、観光立国行動計画の中でも、中国の団体観光旅行の対象地域の拡大の検討ということがきちんと位置づけられておりますので、それも踏まえまして、外務省、警察庁等関係省庁と十分に連携、調整して、できるだけ早くこれが実現するように私どもなりに努力していきたいと思っております。

○高木(陽)委員 できるだけ早くやっていただきたいと思いますが、やはり観光シーズン、特に秋ですか、そういったところを視野に入れながら、その前までにはっきり決着をつけていただきたいなと思います。
 国交省の方は努力されているんですが、関係省庁の中で、例えばよく聞く話の中で、これも以前一般質疑のときにも指摘をさせていただきましたが、中国からの団体旅行者、このビザの発給がなかなか進まないのは犯罪者が多いからだ、こういった指摘もございます。
 これは、きょう警察庁を呼ぼうかなと思ったんですが、時間も限られておりますので、資料だけ取り寄せまして、例えば、来日外国人の刑法犯の検挙人員というのが平成十五年の段階では八千七百二十五人いる中で、中国、これが多いんですね、四千五百五十四人。しかし、短期滞在者というのは二百四十一人、三%。しかし、この短期滞在者というのはすべて旅行者かというと、そうでもないんですね。観光のほか、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習または会合への参加、業務連絡その他これらに類似する数をいうということで、全体から比べても三%以下。
 そうなりますと、今ビザの問題で交渉しているのは団体旅行ですから、こういった部分ではもっともっと拡大していいんじゃないか。犯罪が多い、どうのこうのといういろいろな御批判もありますけれども、そういったものとはやはりきっちりと立て分けて考えなければいけない。
 これは国交省に言っても仕方がないんですよね。警察庁に言わなきゃいけない。ここら辺のところは、石原大臣、閣議等含めてしっかりと主張もしていただきながら、中国人観光客をふやしていくという、国を挙げてのビジット・ジャパン・キャンペーンでございますので、力を入れていただきたい。
 時間も参りまして、最後に、現在中国からの訪日団体観光旅行者の数というのは、ビザ発給対象地域の総人口に対してどれぐらいの割合になるのか。また、対象地域を中国政府側の希望に沿って拡大した場合に、当該対象地域の総人口を考えますと、訪日団体観光旅行者数はどの程度増加するか、ここら辺の予測の数字をお聞かせ願いたいと思います。

○澤井政府参考人 このシステムが始まりましてからだんだんふえてきておりまして、例えば平成十三年は一万六千八百人弱だったものが、平成十四年には三万三千五百人弱までふえております。平成十五年につきましては、SARSの影響等もございまして、一時期、中国側がそうした外国向けツアーを自粛したこともありまして伸び悩んだんですけれども、それでも十四年の九割を超える三万一千人というレベルになっています。
 今の対象地域であります二市一省の総人口は一億一千万人弱でございます。計算しますと、〇・〇何%というオーダーだと思います。この拡大の俎上に上っております一市四省の人口は二億六千万人強でございまして、この二つを合わせました拡大後の対象地域の総人口は、現在の三・四倍ということだと思います。
 ただ、地域によっていろいろな事情が異なりますので、総人口の比率で旅行者の数がどうということを直ちには言えないと思うんですけれども、拡大が実現すれば、私ども、本当に一人でも多くの方に日本に来ていただきたい、そのために努力をしたいと思っております。

○高木(陽)委員 総人口、これが三・四倍になるということですね。今局長が言われたように、人口がふえた分だけ丸々全部連動するとは限りませんけれども、地域の事情等もありますが、やはりそれだけ多くなればなるほど可能性がふえるということで、これは早急にやらなければいけない。
 これは、関係の省庁、しっかりと連携をとっていただく、そのために大臣にもしっかりと頑張っていただくことはもちろんなんですけれども、やはりこの問題というのは私たち国会の側も認識をしていかなければいけない。公明党も、マニフェストの中で、政府の方針と同じように、訪日の外国人客を一千万人にしようということで掲げさせていただいておりますし、この問題については、今後も、この委員会等を通じながらも、しっかりと論議をしながら応援をしていきたいということを表明いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

 

 

○赤羽委員長 高木陽介君。

○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
 内閣提出で本委員会に付託をされました十八本の法律案もいよいよこの法律をもちまして終わるということで、大臣初め委員各位の皆様方、本当に御苦労さまでございます。私も毎回質問をさせていただきまして、本日も、午前に引き続きダブルヘッダーということで質問させていただきたいと思います。
 まず船員法の一部を改正する法律案ということで、内航海運の現状についていろいろと見てみますと、まず、国内貨物輸送の四割を内航海運が担っておりまして、とりわけ、鉄鋼、セメントを初めとする産業基礎物資、これの輸送の八割を支える基幹的輸送モードになっている、そのような状況であります。四方を海に囲まれました我が国におきまして、経済活動または国民生活におきまして、内航海運というものは必要不可欠な役割を果たしていると思います。
 また、内航海運は、営業用のトラックと比較をいたしましても二酸化炭素の排出量が五分の一であるということで、環境保全の面ですぐれた輸送特性を持っている。さらに、京都議定書を受けての環境への負荷が小さい内航海運の重要性、今後もさらに増していくであろうな、このように考えております。
 しかしながら、この内航海運の業界というのは、バブル経済が崩壊以降は、長引く景気の低迷または経済のグローバル化の進展に伴う企業の国際競争の激化、こういったことによりまして、荷主産業界からの物流コスト低減の要請、こういうなかなか厳しい状況を受けて、経営環境、これを見ますと、本当に大変な状況にあると思います。
 このような中にあって、荷主企業を頂点として、オペレーターやオーナーから成るピラミッド型の市場構造や、参入障壁が高い閉鎖的な市場環境、これは内航海運業の活性化を阻害してきた面があると思われます。そのような古い体質を改めて内航海運の活性化を図ることは、これから内航海運が、日本経済の発展、また輸送面から支えていく上で大変重要であり、今回の規制緩和を実現する改正の主眼もここにあると考えられます。
 そこで、まず質問をさせていただきたいのは、今回の内航海運業法の改正により内航海運業に係る規制の緩和が進むことで、内航海運業の活性化、これはどのように効果があるか、そのことをまず最初にお伺いをしたいと思います。

○鷲頭政府参考人 先生御指摘のとおり、内航海運業というのは我が国物流の基幹的な輸送モードでありまして、環境にも優しいという意味で、その重要性はますます高まっているところでございます。
 今、内航海運業界におきましては、荷主と直接運送契約を結ぶことができない船舶貸し渡し業者、オーナーの中には、荷主と直接運送契約の締結も視野に入れて事業の共同化を行うなどの意欲的な動きが出てきているところでございます。
 それからまた、原則三隻以上の船舶使用が参入の基準とされておりますので、この基準を満たすことができないで、やる気はあるんだけれども新規参入が難しいという人も見られます。
 このように、現行の内航海運業法におきましては、事業区分や許可制に基づく参入基準などが定められているため、意欲ある事業者の創意工夫による事業展開が制約されているというのが現状でございまして、今回、運送業者と船舶貸し渡し業者の事業区分の廃止とか、あるいは新規参入の許可制から登録制への緩和などを行って、意欲ある事業者の事業展開の多様化、円滑化及び新規参入を促して、競争の促進による内航海運の活性化を図ることができると考えております。

○高木(陽)委員 今の答弁にございましたように、参入規制の緩和等で活性化が図られるということでありますので、これはしっかりやっていただきたいと思います。
 その上で、内航海運の現状として、バブル経済の崩壊以降、長引く不況の中で、主要貨物である鉄鋼、石油、セメント、これらの動きが悪い上に、船腹量も過剰状態が続いていたことから、長期にわたって運賃、用船料が低下してきたという事実があると思います。
 昨年の後半あたりからは、景気の持ち直しとともに、運賃、用船料も底を打って、上向き始めているようでありますけれども、このように内航海運業が完全には回復し切っていない、こういった時期に規制緩和を行って、新規事業の参入、これを促す場合に、せっかく上向き出した運賃、用船料がまた低下して、競争が激化して、内航海運業が混乱する、こういった懸念はないのかということ、これはどうでしょうか。

○鷲頭政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、今般の事業区分の廃止とか参入規制の緩和によりまして、意欲ある事業者の事業展開の多様化、円滑化、新規参入が促されるということで、競争が促進し、内航海運の活性化が図られるということを原則として考えているわけでございますが、この結果、内航海運の競争力が向上して、ある意味ではトラックから荷物を持ってくる等、内航海運市場、マーケットが拡大されることとなりますので、今回の規制緩和により、今までのパイをみんなで、新規参入者も分け合うということではなくて、パイが大きくなったところをみんなで分けるという意味で、混乱するということにはならない、こう思っております。
 また、景気の回復や船腹量の減少に伴いまして、先ほど先生もおっしゃいましたが、継続的に低下していた運賃、用船料も昨年後半には下げどまってきておりまして、現在、徐々に上向きつつございます。
 それから、内航総連におきましては、過剰船腹の解消等を図るため暫定措置事業というのを実施しておりまして、ここ数年、船腹量も約二割減少いたしまして、過剰状態も解消されつつあります。
 こういうことからも、今回の規制緩和によって内航海運業界が混乱することはないと考えております。

○高木(陽)委員 利用者の方から見ますと、運賃が安くなる、物流コストが安くなるということはいいことであって、ただし、先ほどから申し上げていますように、事業者の側から見ますと、これによって体力がどんどん落ちていく。今海事局長のお話がありましたように、従来のパイを新規参入で分け合うのではなくて、パイ自体がふえていく、こういった視点の中でさらに活性化されるであろうと。それは大いに期待したいところでございますけれども、やはり、法改正がなされ、規制緩和がなされる中にありまして、こういった部分というのはしっかりと見守りながらもバックアップしていく、こういう視点も必要ではないかと思うので、指摘をさせていただきたいと思います。
 もう一つ、内航海運の活性化のためには、事業規制の緩和、これだけではなくて、船員に関する社会的規制も見直すべき、このようにも考えておりますけれども、今法改正における社会的規制についての取り組み、これについてお伺いをしたいと思います。

○鷲頭政府参考人 先生おっしゃられましたとおり、内航海運活性化のためには、技術革新の進展とか経済社会情勢の変化に対応した安全運航の確保とか船員の労働保護を前提とした社会的規制の見直しを行うことも必要でございます。
 今回の法改正におきましては、船員の労働時間規制の弾力化などのための船員法の改正と、船員派遣事業の制度を制度化するための船員職業安定法の改正を盛り込んでおります。

○高木(陽)委員 続きまして、内航海運の活性化というのは、モーダルシフトの促進、また、我が国の産業競争力の向上、これに大いに寄与することだと思うんですね。その上で、そのための取り組みを進めるということは非常に重要でございますけれども、このような事業規制の緩和、または船員の社会的規制の見直し、こういうものを通じた競争促進のほかに、例えば新技術の開発などの船舶のハード面からの取り組み、こういったさまざまな取り組みもあわせて行う必要もあると思うんです。この取り組みについて、状況はどうなっているのか伺いたいと思います。

○鷲頭政府参考人 私ども、新技術の開発など、さまざまな取り組みをあわせて行ってきております。
 昨年十二月に交通政策審議会から答申をいただきまして、その答申に沿ってやっているわけですが、具体的には、今回の法律改正のほかに、一つは、先ほどもちょっと御説明申し上げましたスーパーエコシップの技術開発を行っております。
 それからもう一つは、鉄道・運輸機構というところの船舶共有建造制度という制度がございますが、その中で、モーダルシフトに資するローロー船とか、CO2の排出量が一般の船舶と比較して大幅に削減されるような船舶を事業者の皆さんが共有建造制度を使って利用する場合に、機構に対して支払う船舶使用料の一部を免除するというようなことによって、環境に優しい効率的な船の建造の促進を図るというようなこともしております。
 それから、近海の区域、まあ遠い方の区域で、そのうち沿岸に近い一定区域を限定近海区域というふうに新たに設定いたしまして、そういう区域における船舶職員の配乗基準の軽減等、船員の乗り組み体制の見直しといったようなことに取り組んでいるところでございます。

○高木(陽)委員 今、スーパーエコシップの話等もございました。努力されていると思うんです。
 ただ、私もこの国土交通委員会に所属し、また、海運関係のいろいろな勉強をさせていただく中で感じるのは、先ほどから申し上げていますように、重要な運送手段である海運なんですけれども、多くの人たちがなかなか理解していない。もう少し言いますと、トラックですとか鉄道ですとかは、一般の国民の方々というのは身近にあるわけですね。ただし、船というのは、港のある町、都市に住んでいる方々は見る機会は多いですけれども、そうじゃない方はなかなか実感しない。
 しかしながら、これは先ほどから何度か申し上げていますように、重要な輸送手段である。こういった中での例えば技術の問題等々も含めて、多くの方々、多くの国民にも理解をもっと深めていただきながら、そしてまた、そういうような手段がたくさんあるんですよといったこともしっかりと伝えていかなければいけないのかな、このようにも思います。
 さらに質問を続けさせていただきますが、今回の改正というのは、内航海運事業の参入規制の緩和のみならず、労働時間の規制などの社会的規制の見直しを通じて海運の活性化を図ろうとする。しかしながら、海運を支える船員の労働実態、これを見ますと、長時間労働というのが常態化していると伺っております。
 このような状況において規制を緩和すると、さらに船員の労働環境が悪化するのではないかとの危惧もあると思うんですけれども、今回の船員関係の法改正において、船員の長時間労働を是正するためにどのような措置を盛り込んでいるか、これを伺いたいと思います。

○鷲頭政府参考人 ちょっとデータで申し上げますと、平成十四年に行いました実態調査によりますと、労働時間が一日八時間以内におさまっている船員というのは全体の三二%にすぎず、残りの六八%の船員が八時間を超える労働をしております。また、そのうち三六%の船員が十時間を超える労働を行っており、一日十四時間を超える長時間労働を行っていた船員も四%存在しております。
 こういう船員の過度な長時間労働というのは是正すべきであると考えておりまして、今回の改正にはそのための措置を盛り込んでおります。
 具体的には、時間外労働を行わせるためには、原則として労使間で協定を締結しなければならないこととするとともに、一日十四時間、最大でも週七十二時間という総労働時間の上限を設定することとしており、これらの規定によりまして、過度の長時間労働は是正されていくと考えております。

○高木(陽)委員 今回の法改正で労働時間の規制が見直されて船員の長時間労働が是正されていく、こういうことであると思いますけれども、法律を改正しても、実際にその法律が守られなければ船員の労働環境の改善は図られないということですね。
 これはどこの会社でもそうなんですけれども、どうしても、法律で決められていながら、その労働時間というのが結構守られていないという実態が多々あると思います。実は、かく言う私も議員になる前は新聞記者をやっておりまして、大臣も記者をやっておられたと思いますが、マスコミの方々の労働時間というのは、八時間なんか守られていないわけですね。長時間は打ち切る。これは霞が関の官僚の方も大半がそうではないかなと思うんです。
 ところが、実態と違う形というのが多々あるので、そういった中で、今回、法改正による実効性をどのように担保していくのか、これを伺いたいと思います。

○鷲頭政府参考人 今回の改正におきまして、船員法に基づく監査業務を行っております船員労務官の権限を強化いたします。それで、航海の安全の確保のため緊急の必要があるときは、即時に船舶の航行停止命令などを船員労務官が行うことができるということとしております。例えば、必要な定員が乗り組んでいない船舶を船員労務官が現認したときには、明らかに、長時間労働を行うなど安全上問題があるため、この権限の発動の対象となります。
 船員労務官は、現在、全国六十二カ所の事務所に百三十四名が配置されておりますが、監査業務の効率化を図るため、全国の船員労務官が行った監査情報を一元的に管理する船員労務監査情報照会システムを充実するとともに、監査時の指摘事項の多い船舶や前回の監査から長期間間隔があいている船舶に対する重点的な監査等を行うこととしております。
 こういうような形で、事後チェック体制により担保をしていきたいと思っております。

○高木(陽)委員 最後の質問に移らせていただきますが、四方を海に囲まれております我が国におきまして、内航海運、また海運全体、この活性化は不可欠であると先ほどから申し上げてまいりました。その意味で、海運を支える船員の確保、これはすごく重要であると考えるんですけれども、その対策についてどのように考えているか、最後に大臣の方にお伺いをしたいと思います。

○石原国務大臣 ただいま高木委員が労働時間に触れまして、労働時間が非常に長くて、それが海員の確保あるいは若年者の魅力ある職場になっているのかという疑義を呈されたと思うんですけれども、やはりこれから、若い方々にとって魅力ある職場になっていないこの内航海運の職場をどう変えていくのか、それがひいては、委員御指摘の、優秀なる船員の皆さんの確保ということにつながるのではないかと考えております。
 どんなことかと申しますと、具体的には、海員学校の学生に対する乗船体験や実践的な船員教育の実施に加えまして、今度の法改正によって、労働環境の改善、雇用の安定を図り、魅力ある職場にしていく、こういうことに努めない限り、今船員の方の六割が四十五歳以上だということでございまして、どうも運輸関係はこういう傾向が強いような気がいたしますので、こういうものの是正に努めてまいりたいと考えております。

○高木(陽)委員 きょうは海運関係の法案の質疑ということでございましたけれども、国土交通省、旧運輸省で、陸海空、そういった輸送事業について全般を取り扱っている役所でございます。そういった意味から考えますと、日本の人、物の流れについて責任を負っている。しかも、建設省と一緒になりまして、そのインフラの部分、これの方もしっかりと担うようになったということで、今後さらに、この物流を含めた輸送関係の問題についてトータルに考える。どうしても今まで、海は海、陸は陸、空は空、こういうような形で別個にとらえがちであった部分でございますけれども、こういった問題を含めまして、日本の経済の活性化に大きく役立つ物流の問題でございますので、しっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げまして、十八本目、最後の閣法の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


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