会 議 録

第159回 衆 「国土交通委員会」 25号
2004/6/1

○赤羽委員長 高木陽介君。

○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
 本日は、一般質疑という形でございますが、これから提出される予定となっております特定船舶の入港禁止法案についてということに関連して質問させていただきたいと思います。
 先般総理の訪朝がございまして、五人の家族の方々が戻ってきた。さらに、曽我さんの御家族を初め、十人の行方不明者、さらには特定失踪者、こういった方々の問題というのを早急に解決しなければいけない、これは国民だれもが思っていることであると思います。
 そういった中にあって、ただ単に、外交交渉、そこを明確にしてください、またはそれをしっかりと日本に帰国させてくださいと言っているだけではなかなからちが明かない。そういうような中にあって、やはり外交のカードというものをしっかり持たなければいけない。
 今国会においては、まず外為法の改正、送金の停止という形で一つカードを持つことができましたけれども、今回、この入港禁止というカードはこれまた重要なカードになるのではないか、私はそのように思っております。
 しかしながら、時間の限られた中での質問でございますので、基本的なことをまずお伺いしたいと思いますが、そもそも、国交のない北朝鮮、この船舶、国交がないわけですから、認める必要はないのではないか、こういうような考えを持っている人も多くいると思うんです。
 なぜ国交のない北朝鮮船舶の入港を今までも認めてきたのか、この点についてまずはお伺いをしたいと思います。

○矢部政府参考人 お答えを申し上げます。
 国際海運におきましては、開港におきまして外国船に対して自国の船舶あるいは第三国の船舶と均等な待遇を与えるということによりまして、自由な貿易を促進するということが広く行われてきております。
 我が国におきましても、これまでのところ、特定の外国籍であることのみを理由として開港への入港を禁止するような法律は存在しておりません。したがいまして、国交のあるなしにかかわらず、各国に広く開港に対するアクセスを認めてきているところでございます。

○高木(陽)委員 四方が海に囲まれている日本、海運国家日本でございますから、開港という考え方の中で、どの船舶でも自由に入れる、これはこれで一つの考え方、方針としてはいいと思うんですね。
 その上で、基本的には世界各国海でつながっておるわけですから、そういった開港の原則というものをどの国も持っている中にあって、ほかの国で、特定の国、この国はだめですよというような形で船舶の入港を規制するような法律を持っているところはあるかどうか、この点も確認をさせていただきたいと思います。

○矢部政府参考人 国土交通省といたしましては、特定の国の船舶の入港禁止を明示的に規定した法令が諸外国におきまして広く存在するとは聞いておりませんけれども、少なくとも米国におきましては、安全保障や経済制裁を目的として、特定の国に関係する船舶の入港を禁止していると承知しております。
 米国におきましては、通称マグナソン法と言っておりますが、この法律によりまして、国家安全保障の観点から、キューバ、リビア等の特定の国の船舶の入港が原則として禁止をされております。
 また、これに加えまして、キューバに対する経済制裁措置として、これは通称トリチェリ法と言っておりますが、この法令によりまして、貿易等の商取引に従事するためキューバの港湾に寄港した船舶について、寄港した後、その後六カ月の間は米国の港湾への入港を禁止する、こういう法令がございます。

○高木(陽)委員 今御説明があったように、米国において、マグナソン法またはトリチェリ法という形で特定の国の船、これをストップさせる、これは今のお話にありましたように安全保障上の問題。
 今回提出を予定されておりますこの入港禁止法案、そしてまた今国会で成立した外為法の改正案、このいずれにしても、我が国の安全に関するという指摘をしながらこの法律案というのが成り立ってきている。そういった意味から考えますと、日本だけ特別なことをやっているわけではなくて、もう既に米国ではそういったものがあるということを考えますと、この船舶の入港禁止法案というのは重要な形となっていくのではないかな、このように思います。
 その上で、これまでもさまざまな法律の中で入港というのをとめることができなかったのか。特に、この委員会でも審議をさせていただきました、今国会で成立をした国際船舶港湾保安法及び改正油濁損害賠償保障法、入港禁止の規定がありますけれども、これらの法律で北朝鮮船籍の船舶の入港禁止措置ができるのではないだろうか、こういった点も指摘はされると思うんですが、この点についてはいかがでしょう。

○矢部政府参考人 ただいま、今国会でさきに成立をいたしました国際船舶港湾保安法とそれから改正油濁損害賠償保障法についてのお尋ねがございました。
 まず、国際船舶港湾保安法によります入港禁止命令でございますけれども、これは、自己警備が不十分である船舶に対して、その船舶に起因して、港内にありますほかの船舶や港湾施設に危険が生ずるおそれがある場合に行うものでございます。
 また、改正油濁損害賠償保障法は、これは座礁事故や油濁事故が発生した場合に船舶の撤去や油の処理が円滑に行われるように保険の義務づけ等を図るものでございまして、保険に加入していない船舶について入港を禁止するというものでございます。
 このように、これらの二つの法律によります入港禁止の規定は、船舶の国籍に着目をいたしまして特定国の船舶を排除しようとするものではございません。

○高木(陽)委員 今、特定の国に対してとめるものではないという御指摘がございました。
 ただ、北朝鮮船籍がその保険にしっかりと入っているかどうか、ここら辺のところも、この委員会で質疑をしたときにも指摘をさせていただきましたけれども、しっかりとチェックをしながらやっていただきたい。
 この特定船舶の入港禁止法案が通った段階で、カードとしては有効に活用していただかなければいけないんですけれども、それ以前の法律もしっかりと駆使をしながら、ただ、国土交通省の関連からいいますと、安全保障という観点、これはなかなか持っていないんじゃないか、いわゆる実務的な部分、油が漏れたら被害が甚大になる、こういった指摘の中でやると思いますけれども、この点もしっかりと運用していただきたいということを指摘させていただきます。
 あと、外務省の方にもお伺いをしたいと思うんですけれども、先ほどから各委員の指摘がございました。
 今回、総理が経済制裁のカードを切らない、その前提が平壌宣言を遵守していればと。これは読み方、とらえ方によって、私は逆のとらえ方というか、しているのは、平壌宣言を遵守していればこれは発動しないんだけれども、逆に平壌宣言が遵守されなければすぐに発動する、こういうふうにもとらえられるわけですね。
 その発動する、しないの権限、または遵守しているか、していないかという認定、これは我が国の方が権限を持っておりまして、この点はしっかりと見定めながら有効に使っていただきたいと思いますし、どうしても発動しないというニュアンスだけが先行してしまいまして、これがかなり誤解を生んだんじゃないかな、このようにも思います。
 その上で、今回の入港禁止法というものができた場合、今後の北朝鮮外交に対しまして有効なカードとして私は機能するというふうに思いますけれども、この点についてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

○薮中政府参考人 お答え申し上げます。
 まさに政府は、北朝鮮外交、北朝鮮との関係におきまして、これまで対話と圧力ということでその外交を進めてまいりました。そして、その目的はもちろん、さまざまな問題を解決するということのために何が大事であるかということでございます。
 そういう意味で、今回、日朝首脳会談において、まさに委員御指摘のとおり、日朝平壌宣言を遵守している限りにおいて、こういうことでございまして、それは逆に言えば、日朝平壌宣言に沿った行動、これを北朝鮮に強く促す、求めるという趣旨でございます。
 そしてまた、委員御指摘のとおり、北朝鮮側におきまして、この今御審議の法案についても非常に大きな関心を持っているということは、もう御案内のとおりでございます。
 そういう意味では、今後ともそうした流れの中でまさに平壌宣言の履行を迫っていく、そういうことで我々としても考えているということでございます。

○高木(陽)委員 今回、日朝の首脳会談が行われて五人の家族が帰ってきた、これは一歩前進だというふうに私は認識しております。
 その上で、まだまだ解決していない問題というのが山積みされておりますので、そういった意味では、この入港禁止の法律というカード、その前にできました外為法のカード、カードというのは持っていることに一番大きな影響力を持っている。カードというのは切ってしまいますと、向こうは向こうで対応を考えてしまいますので、切るぞというところが一番プレッシャー、圧力になってくると思うんですね。
 そういった意味では、総理もいろいろなインタビュー等々で答えられましたけれども、立法府として、国会の意思としてこの法律というものをしっかりとつくって、今後の日朝の諸問題というものを早期に解決していただきたい。なかんずく、この拉致問題というのは本当に多くの家族の方々が長い間苦しんでこられた問題でございますし、この問題を最優先課題としながら解決をしていただきたい。
 そしてまた、私たち国会のメンバーも、この問題に対して、また多くの国民にそれを訴えかける中でこの問題解決を図っていくということを確認し合いながら、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。


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