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第163回国会 衆議院会議録
2005(平成17)年4月15日
 
 


第162回 衆議院「経済産業委員会」11号

 

高木(陽)委員
 公明党の高木陽介でございます。
  本日は、美浜の三号機の原発事故、これに基づきまして、集中審議及び参考人の皆様方に当委員会にお越しいただきまして、質疑をさせていただきたいと思います。
  今回の事故について、事故調査委員会の最終報告書、これが出ましたけれども、これに関しまして、かなり分厚い調査報告でございました。いろいろと読まさせていただく中で、関電また三菱重工、メーカー側の責任、いろいろと書かれてありますけれども、国の方もいろいろと指摘をされております。
  そこで、参考人の方は後ほど質問させていただきたいと思いますので、まず国の方の、今回の調査報告、これに基づきまして、今後の対応がやはり重要だと思いますので、この点についてまず最初に伺いたいと思います。

 

松永政府参考人

 お答え申し上げます。
 今回の事故は、十一名の死傷者を出した大変重大なものでございまして、今御指摘の事故調査委員会の最終報告書を踏まえまして、私ども国といたしましても、きちんと反省をし、これを教訓として再発防止に万全を期さなければならないというふうに考えております。
  特に、私ども保安院の立場といたしましては、これまで当該配管を含めまして、こうした肉厚管理につきまして、具体的な管理につきましては事業者にゆだねていたということを反省いたしまして、昨年の十二月には省令を改正いたしました。また、二月の中旬には指針の発出を行いまして、関西電力を初めとしまして、事業者の品質保証活動に対する検査方法を改善するということなど、規制の不断の見直しを進めてまいる所存でございます。
  また、最終報告書を踏まえた対応につきましては、中川大臣からの指示に基づきまして、地元の福井県や美浜町によく説明をし、御理解を得たいというふうに考えております。こうした活動を通じて、原子力の安全に対する国民の信頼を回復してまいりたいというふうに考えております。

 

高木(陽)委員

 原発の政策、これは国の政策だと思うんですね。そういった中で、それを運営しているのはそれぞれの事業者である。今も保安院長のお話にございましたように、事業者の方に任せていた、そこを大きく反省しているというふうにありましたけれども、この原発に対する信頼性、今回の事故でやはりかなり揺らいだのは確かだと思うんです。そういった中でいいますと、事業者はもちろん責任をとらなければいけないんですけれども、やはり国の方もこの点はしっかりととらえていかなければいけないと、まずは強調させていただきたいと思います。
  その上で、先日、当委員会で美浜の方に視察をさせていただきまして、それとともに、福井県知事を初めとして地元の自治体の首長さんたちにいろいろとお話を伺いました。短時間ではございましたけれども、それぞれいろいろな要望等もございました。
  その中で、特に福井県知事の方が要請書という形で当委員会あてに出されました内容を読ませていただきますと、安全規制体制の一元化ですね。この原子力問題に関しまして、それぞれいろいろな部署がある。そういった中で、やはり安全または規制といった観点の問題は一カ所にぐっと集中をしてやった方がいい、またその方が理解を得やすい。これはなるほどなとは思うんですけれども、この点についてどのようにお考えか、伺いたいと思います。

 

松永政府参考人

 お答え申し上げます。
 御指摘の原子力安全規制の体制につきましては、我が国におきましては、原子力船「むつ」の事故を受けまして、軽水炉につきましては経済産業大臣のもとで一次的な規制を実施するとともに、客観的、中立的な立場から原子力安全委員会が規制内容を確認するダブルチェック体制が構築をされてきております。この体制はそれ以降も累次改善に改善を重ねてきておりまして、各国の同じような原子力安全体制と比較いたしましても、大変手厚いものになっているというふうに私ども認識をしております。
  また、このダブルチェック体制でございますけれども、平成十四年に判明をいたしました東電問題を踏まえまして、平成十五年にさらに強化をされております。具体的に申し上げますと、原子力安全・保安院は、法律上、四半期ごとに安全委員会に報告することを義務づけられる。また、安全委員会も直接、電力会社や協力事業者を調査することが可能となるというような形になっております。
  私ども経済産業省といたしましては、この安全委員会によるダブルチェック体制のもとで、原子力安全規制を確実に運営するということと同時に、こうした状況を特に地元の皆様を初め国民各位にわかりやすく説明をする、そのための広報体制も強化をするというようなことで、よく御意見をいただきながら、信頼を深めてまいりたい、かように考えております。

 

高木(陽)委員

 事故が起きますと、いろいろな原因を究明して、その後それに対策をする、ごく当たり前なんですけれども、これまでもこういった原子力関連の事故というのがあった、そのたびごとにいろいろと体制を変えてきたと、今保安院長言われましたよね。その中で、結局今回も事故が起きたわけですよね、今までの体制で。
  だから、やはりそれについての不安、なぜ福井県知事がそういうことを出してきたのかという、そこのところをしっかりととらえないといけないと思うんです。今までやってきましたというところで、逆に開き直られますと、本当に不安は取り除けたのかなと。もちろん、国として説明をする、地元の自治体に対してこういう形でこれからもやっていきます、こういうことは大切だと思うんですけれども、やはり不安を取り除いていくということが最も重要ではないかなと思うんですね。
  では、今の体制を変えればいいのか、もちろん私もそうは思いません。では今までの体制の中でどういうふうにまたさらに強化させていくのか、こういった点についてさらに突き詰めていただきたいと思います。
  その上で、もう一つ、これも福井県知事の方から要請書にありましたように、高経年化した原発、これは全国各地、原発政策がどんどん進む中で、各事業体も原発をつくり始めてきた、それがかなり稼働して、そういった中で大分年がたってしまった。さあ、これからですね。国の審査基準の整備、また安全規制上の取り組みについて、高経年化対策としてより明確化すべきだと思うと。これはだれもが思っています。この点について伺いたいと思います。

 

松永政府参考人

 お答え申し上げます。
 今回の事故によりまして、今御指摘の原子力発電所の高経年化に対する社会的な関心が高まりました。これを契機といたしまして、私どもといたしましては、高経年化に関するこれまでの技術的評価の蓄積、あるいは内外の最新の技術的な知見を有効に活用いたしまして、高経年化への取り組みをさらに充実を図るべきだというふうに認識を持ちまして、昨年の十二月に、先ほど申し上げました高経年化対策検討委員会を設置いたしまして、審議を開始したところでございます。
  四月の六日に四回目の会合を開きまして、中間的な論点整理を行いました。その際に、今回の事故に直接かかわります配管減肉に係る高経年化対策の考え方も整理いたしました。また、高経年化対策といたしまして、知見、データ等の収集整備、あるいは高経年化事象のメカニズムの解明、あるいはそうしたものを事前に予測するための安全研究の充実、こうした論点が重要な課題であるというふうに指摘をされております。
  私どもといたしましては、この委員会を今後も精力的に審議を続けまして、八月を目途に取りまとめた報告書に基づきまして、今委員御指摘の基準、指針等の明確化とか、あるいは国といたしましての検査のあり方ということについて考え方を取りまとめて、これをきちんと実行に移していきたいというふうに考えております。

 

高木(陽)委員

 八月を目途に出していくというお話でございました。それを、もちろん専門的な問題でございますので、専門家の方々はそういうような中で理解をされていく。
 再度申し上げますけれども、やはり地元の方も含めて、一般の方々が理解できるような、こうだからこうなんですよという、そういう発表の仕方。原子力というのは、私もいろいろと勉強させていただいても、なかなか素人にはわかりづらい部分というのが多々あります。そういった中で、やはり一般の方々が理解できる、または安心できる、そういった形もしっかりと検討していただきたいと思います。
 そこで、次は関電、関西電力にお伺いをしたい。
 これは秋山会長にお伺いをした方がいいと思うんですけれども、関西電力が三月一日に再発防止報告書、これを提出された。事故調査委員会では、具体策が足りないと指摘をして、それで二十五日行動計画が提出されたという云々と。新聞記事ではそういう批判を書くわけですね、マスコミは。もちろん、順番としては、報告書を出して、その後行動計画をしっかり立てる予定だったとは思うんですけれども、やはり具体策がまだ足りぬ。これはちょっと新聞記事、平成十七年三月十五日付の朝日新聞です。これに対して委員らは、関電の再発防止は今度は本気だと決意を示す形で示してほしいと不満を示した、委員からいろいろと不満が出た、こういうことも指摘をされております。
  そうなりますと、事故が起きたのが昨年の八月、それ以来いろいろと検討を重ねてきたでしょう。その上で、具体策がなかなか出てこない。もちろん、事故調査委員会の報告が出て、いろいろと具体的な対策もさらに打っていかなきゃいけないとは思うんですけれども、この三月の一日に出したものが具体策が足りないというふうに指摘されるというのは、まだまだ責任の自覚が足りないんじゃないか、こういうふうに思われても仕方がないんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

 

秋山参考人

 お答えさせていただきます。
 三月一日に当社から出しました再発防止対策につきまして、三月三日の事故調査委員会におきまして審議いただきまして、当社の報告書では具体的な内容やスケジュールが不足しているということで、先生の御指摘のように、これは関西電力の自覚が足りないんじゃないかという御指摘はごもっともかと思います。
  我々といたしましては、対策につきましては準備しておったんでございますけれども、十分整理がついていなかったので、その後、三月十日に保安院の方から再発防止対策の具体的な要件が提示されましたので、それに基づきまして、三月十四日の日に事故調査委員会の最終報告書の基本的な審議も受けまして、それを含めて、具体的にいつ、だれが、何を、いつまでにするかというふうな行動計画につきまして、三月二十五日に提出させていただいたところでございます。事故発生以来、我々は再発防止に全力を尽くしておりましたけれども、今後は行動計画を確実に実行してまいりたいというふうに思っております。
  弊社といたしましては、皆様からいただきました御叱正あるいは御指導、こういったものを全役員、全従業員が一から出直すつもりで真摯に受けとめまして、事故防止に努めてまいりたいというふうに思っており、それによりまして、当社の安全文化というものをしっかりと確立してまいりたいというふうに思っています。
  以上でございます。

 

高木(陽)委員

 経緯はわかりました。
 ただし、こういう事故が起きた、しかも五人の方が亡くなってしまった、大変な事故なわけです。そういう場合は、もっと積極的にその対策、再発防止または行動計画、事故調査委員会は事故調査委員会でずっとやっているわけですけれども、関西電力として、例えばもっと早い段階でどんどん打ち出していく。もちろん、そうやって打ち出せばいろいろな批判を受けます。でも、それをしっかりと受けとめながらまたやっていく、そういう姿勢というか、もっと前の段階でどんどん出していかなければいけなかったのではないのかなというのが私の実感です。これは一応申し上げておきます。
  さらに、これも、今回の事故が起きましていろいろな報道がなされてまいりました。過去のいろいろな事故も事例として出てくるわけですね。私もそういう記事または報道を見ながら、読みながら、これもだれもが知っている八六年の米国のサリー原発、これも減肉による、いわゆる配管の破断事故ですね。これは四人亡くなったそうでありますけれども、八六年にアメリカで起きている。それは日本でも起きる可能性があるわけですね、原発の事故としては。しかも、同じように減肉をしている。そういう事故があって、これはほかの、アメリカでの出来事というふうにとらえてしまったのか。それとも、本来であればそういう事故があったら、自分のところはどうなのかな、こういう予見をするというのがやはり安全に対する取り組みではないかなと思うんですけれども、ここら辺、予見し得なかったかどうか。秋山会長、どうでしょう。

 

秋山参考人

 お答えいたします。
 サリー原発におきましては、給水ポンプ入り口配管部におきます減肉が起こっております。それも受けまして、直ちにPWR管理指針というものを作成いたしまして、肉厚測定データをとるべき箇所につきまして体系的に調査を実施いたし、その箇所について点検をしてまいりましたけれども、当該箇所につきましては、その点検の開始されたときに抜けておったというのが非常に大きな欠点だと思います。
  我々といたしましては管理すべきだという意識は十分持っておったんですけれども、それについて最初に、管理すべき箇所としてチェックすることが抜けておった。その後、その箇所について発見する機会が、先ほども御説明がありましたように何回かあったのにそれを見逃してしまったということで、大変我々としては深く反省しているところでございます。
  そういった意味で、海外に起こりました事象あるいは日本のほかの電力会社で起こりました事象、こういったものをできるだけ水平展開いたしまして再発防止に努めるということにこれまで以上に留意し、また、そういった危機意識を持ってこれからも臨んでいきたいというふうに思っております。
  以上でございます。

 

高木(陽)委員

 サリー原発の事故によりましてそうやってチェックリストをつくり直すというか、ところが、そこに漏れていた。結局、何のためにほかのところで起きた事故というものを参考にしているのか。やはりここら辺は、関西電力自体の体質の問題、こういうふうに指摘されても仕方がないと思うんですね。
 さらに厳しい言い方をしますと、配管が減肉し、交換が必要になった状態になっても、独自の判断で交換を先送りする事例が、九二年以降七十八件もあった。ここら辺の理由はどうなんでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

 

秋山参考人

 お答えさせていただきます。
 今御質問のように、本来、管理指針に基づいてきちっと測定すべき箇所につきまして測定が十分行われておらなかった、また、測定の結果、減肉があったのに、自分たちが例えばただし書きを勝手に解釈するとかそういったふうなことで、これは技術的に安全だというふうに現場において判断いたしまして、それを管理しなかったあるいは取りかえなかったという点、深く反省しているところでございます。
  いずれにいたしましても、今後はこういったルールを現場で判断することなく、自分たちの判断ではなしに、ルールに従ってきちっとこういったものを管理していくということ、これが安全文化の一番基本であるというふうに思っており、今回のこういった不適切な管理につきまして深く反省し、二度とこういったことが起こらない、これは、現場だけではなしにトップから下までが安全意識を十分持つということが大事だというふうに思っており、まことに申しわけなく思っております。

 

高木(陽)委員

 これも、原発一基、一日とめると一億円の損失、こんなふうにも指摘されて、その交換を先送りする、自分たちで判断をする。結局、経済効率を追求する、効率化ばかり考えて、安全というものはどこかに置かれてしまったのではないかな、こういう指摘もあるわけですね。
 まさに最近、いろいろな大きな企業が、日本を代表する企業がそうやって安全を無視する。例えば、自動車の部分では三菱自動車の件ですとか、昨日も、JALが行政処分を受け、大臣に報告書を持っていったそのやさきでもう一回また事故を起こしているみたいな、何を考えているんだと、企業に対して不信感を持ってしまう。特に、関西電力という、ある意味では電力会社というのは日本を代表する企業なわけですね。それが、しかも原子力発電というエネルギー政策において最も重要な部分を担いながら、これを任せられているわけです。そういった部分での安全に対する意識、先ほどから何度も出ています安全文化、ここを本当に人ごとじゃなくて、亡くなられた方もいるわけですし、今後本当にもう二度と起こさないんだというところの中でしっかりと自覚をしていただきたいと思います。
 時間も参りましたので、最後に大臣にちょっとお伺いをしたいんです。
 冒頭にも申し上げました、今回の事故によりましてこれまでの原子力に対する安全という意識が大きく揺らいでしまった。これをまたもとに戻すというのはなかなか大変なことだと思うんですね。こういう安全性に対して国民へしっかりと発信、これは国としてもやらなきゃいけないと思うんですが、この点について大臣のお考えをちょっとお伺いして、終わりたいと思います。

 

中川国務大臣

 改めまして、昨年八月九日の美浜三号機の事故につきましては、五人の方々が亡くなられ、心から御冥福をお祈りします。また、六人の方々、そのうちまだ三名の方が入院あるいは御自宅で加療中ということでございまして、心からお見舞いと、また、国としても我々に反省点がございますので、本当に申しわけなく思っているところでございます。
 今の高木議員の御質問でございますけれども、まさにこの巨大なエネルギー機関といいましょうか巨大な施設を安全に操業していくということは、もうこれはどんな産業においても言うまでもないことでございますけれども、何といっても日本人にとりまして一番ある意味では関心の高いといいましょうか、原子力発電所については、安全というものが大前提であることは言うまでもないわけでございます。
  幾ら二次系の蒸気管の事故とはいえ、原子力発電所内での事故であるわけでございますから、これは関電の事故というふうに言えるわけでございます。そういう意味で、今回は本当に関西電力、あるいはまたこれをつくりメンテナンスを途中までやっていた三菱重工業その他の間に、関係においての緊張感がなかったということがまず指摘されると思いますし、それから、もちろん危険だと思っていることをやっているとは思いませんけれども、このぐらいなら安全だろうという甘え、これがまさに先ほど朝田委員長からも御指摘いただきました安全文化の劣化ということの象徴的なことだったんだろうと思います。
  そういうようなことが複合的に重なり合いまして、大変不幸な、そして申しわけない事故が起こってしまったわけでございますので、私はこれは人災であると何回も申し上げているところでございます。
  御指摘のように、まず安全というものが大前提で、御地元の御理解があって初めて日本の基幹エネルギーとしての原子力というものが、行政としてもまた産業としても成り立っていくわけでございますけれども、これにより受けたダメージというものは大変大きなものがあったことは事実でございます。
  これから、関電あるいは重工等々が本当に出直し、事故調査最終報告書に基づく出直しはもう言うまでもないことでございます。これがまずスタートでございます。これが終着ではなくてスタートなわけでございますから、これに基づいて、関電がきちっと行動計画に基づいてやっていくことの前提によって初めて、御地元、国民の皆さんに対してきちっと御説明を申し上げ、わかりやすく丁寧に御理解をいただくべく努力をしていくということが大事であって、今の時点で、これでもう安全ですから、国民の皆さん、安心してくださいという段階にはまだない。きょうからがスタートであるというふうに考えているところでございますので、そういう意識で、安全というものを確固たるものにした上で、最善の広報の努力をしていきたいというふうに考えております。

 

高木(陽)委員

 以上で終わります。

 

 

 

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