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第163回国会 衆議院会議録
2005(平成17)年8月2日
 
 


第162回 衆議院「経済産業委員会」22号

 

 

高木(陽)委員

 公明党の高木陽介でございます。
 参考人の皆様方には、きょうはお忙しい中、また、朝からこのようにお集まりいただきまして、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございます。
 早速、質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、私自身の基本的な考え方としては、この原子力政策、特に今後のエネルギーの問題、さらには地球環境の問題をとらえた場合に、まさに国として重要な課題であり、またこれを推進していかなければいけない、このような立場に立っておりますけれども、やはりそこに一つしっかりと視点を置かなければいけないのが安全ということだと思うんですね。
 その上で、まず近藤参考人にお伺いをしたいと思うんですが、まず基本的なことをお尋ね申し上げたいと思います。
 というのも、国民の一般的感情からすれば、原子力産業の有用性、また、先ほど私が述べましたような高度な技術は理解していながら、また他方、原子力関連の事故の原因というと、定期的なチェックの見落としですとか、現場の作業者への教育の不徹底ですとか、さらには虚偽報告、またさらに不正な工事、およそ原子力という重要な、かつ危険を伴う事業、その部門に携わっているという認識の有無さえ疑わしいという、こんな事故が発生していると思うんですね。
 この落差というか乖離に原子力産業に対する国民の不信感がやはり増幅している、このように考えておりますけれども、高度な技術の保有者たる事業者に求めるのはいささか違和感もありますけれども、原子力産業という極めて重要な部門を担当している人々の倫理観ですとか使命感の確認と、また、日本のエネルギーを供給している企業者としての誇りを持ってもらわなければ困るというふうに思うんですけれども、この点、近藤参考人、率直にどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

 

近藤参考人

 御指摘の点、まことにそのとおりと私は思っておりますが、問題は、今日に至るまでと申しましょうか、二〇〇〇年以降、さまざまな事故、不祥事が御指摘のような原因で発生をしているところ、これが改善できないのかということが問題と思っています。原子力政策大綱の議論におきましても、ここは非常に重要という認識でたくさんの議論をいたしましたが、ひっきょう、事業を営む者が現在の社会で生き抜いていく、生き延びていくために最も重要なことは、どこの事業もそうですけれども、いわゆる顧客満足というものの追求であり、そのためには、決して自己満足に陥らず、保守的な態度をとらず、思い切った見直しにチャレンジをしていく、そういう態度が必要だというふうに言われているところでありますけれども、これは原子力事業を進めるに当たっても当てはまるのではないか。
  つまり、大事なことは、原子力産業の最大のお客様はだれかということについての認識の問題。私が常日ごろ申し上げていますのは、第一には、施設が立地している地域社会の皆様に御満足いただけなかったらこれは事業が成り立たないわけですので、顧客満足という言葉はともすれば電力の供給、電力をエンジョイする人という認識があるかと思いますけれども、しかし、それはそうではなくて、第一には施設の立地している地域社会の人々の満足を得るべく努力をする、こういう視点、重要性のプライオリティーづけをきちんとしていただきたいと。
  そのためには、先ほどの御質問にありましたように、リスク管理という言葉がございますけれども、自分たちのシステムについてはこういうリスクを持っている、潜在している、これについてこういう対策をとって、こういうことで十分低くなるように努力をしているということをきちんと説明して、それが御理解をいただくということがいわば必要条件。十分とは思いませんけれども、そういうことが必要条件であるということを認識していただいて、厳格なリスク管理、その内容をきちんと説明していくリスクコミュニケーション、これが必要条件というふうに考えているところでございますので、そのように皆様方にもぜひお願いしたいと、政策大綱もそうですが、いろいろな機会にそう申し上げているところでございます。

 

高木(陽)委員

 続いて、伊藤参考人の方にお伺いをしたいと思うんです。
 環境の問題の方で、京都議定書、日本が主導的な立場で発効したんですけれども、CO2の削減の目標、決して容易なものではないというのは、これはだれもが認識をしていると思うんです。
 その上で、電気は我々の経済活動や日々の暮らしを送る上で欠かせないエネルギーなんですけれども、その多くはまだまだ化石燃料に頼った火力発電、これに依存しております。このため、業界では国内最大のCO2の排出者であって、またその割合というのは、これは二〇〇二年度に二七%に及んでおりますけれども、電力会社がいかなる努力をするのか。国際公約の成否がかかっていると言っても過言ではないと思うんですけれども、業界の努力目標、また、その実現に向けての対策、この点についてお伺いをしたいと思います。

 

伊藤参考人

 お答え申し上げます。
 電気事業者といたしましては、お客様に販売する電力量、販売電力量と言っておりますが、この一キロワットアワー当たりのCO2排出原単位について、これを一九九〇年実績に対して二〇一〇年断面で二〇%削減する、これは非常に厳しい目標なんですが、こういう目標を設定いたしまして、業界を挙げて全力で今取り組んでいるところでございます。
 具体的にどういう対策でやっているのかということでございますが、やはり一番は、原子力発電の発電電力量における比率をふやしていく、これが一番でございますが、そのほかとして、火力発電の発電効率をさらに向上させていくとか、京都メカニズムを活用するとか、自然エネルギーの活用、こういうことをやっていこう、こういうことで取り組んでおります。
 今申し上げましたように、とりわけ、発電の段階でCO2をほとんど出さない原子力の推進というのが最も重要な対策だと考えておりまして、現在計画をしております発電所の着実な開発、それと既存の原子力発電所の稼働率の向上、こういうものにしっかりと取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
 以上でございます。

 

高木(陽)委員

 続いて、さらに伊藤参考人にお伺いしたいんです。
 原子力の利用ということで、CO2削減、これの目標を達成していくという考え方は理解できるんですけれども、これは経産省にちょっと資料をいただきまして、この十年間の日本の原発の年度別の設備利用率、これは一九九八年が八四・二%、これをピークに低迷をしておりまして、二〇〇二年に七三%、二〇〇三年に五九%。ちなみに、米国の場合には八八から九〇%の稼働率、お隣の韓国でも九三から九四と高い稼働率を示している。この理由についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 

伊藤参考人

 今お話のございましたように、二〇〇二年、それから二〇〇三年の原子力の設備利用率、これが低迷しておりますのは、これはまことに申しわけないんですが、東京電力の自主点検記録の不適切な取り扱い、こういうことで原子力発電所が長期にわたって停止をした、こういう影響がございまして、約六〇%から七〇%、こういう実績に相なっております。
 一方、今お話のございましたように、アメリカだとか韓国は非常に高い設備稼働率にあるわけでございます。九〇%以上の設備稼働率、利用率を達成している状況にあるのは、これは、長期サイクル運転とか定期検査の柔軟化等の諸施策が海外では実施されているということで、そういうところが稼働率の向上につながっている、こういうふうに認識しております。
 以上でございます。

 

高木(陽)委員

 今、法定点検のお話が出ました。十三カ月に一度ということですね。この中で、実は私も議員になる前、毎日新聞で記者をやっておりまして、そのときに浜岡の原発の定検を取材したこともございました。そういう観点からいうと、やはりこの定検がすごく必要であるな、必要というよりは絶対的なものであるなという気もするんですが、業界の方としてみれば、そこを海外並みに柔軟性を持って、そういう要望もあるんですけれども、ただ、現実問題、一般的な原子力への不信というんですか、それが根強く、安全と効率とをいかにバランスをとるか、こういう問題は極めて難題であると思うんですね。
 そこで、業界が効率のアップを主張し、それが社会的要請、例えばCO2の削減ですとか、こういうことであるならば、自主保安の確立という面でさらなる努力が必要であると思うんですね。みずからもっと努力をしていく、これはまたある意味で目に見える形にしていかなければいけない、そこがまた信頼をかち得ると思うんですけれども、そういった意味での自主保安の確立について、お考えがあればちょっと伺いたいと思うんですが、伊藤参考人、お願いします。

 

伊藤参考人

 最初に少しお話しさせていただきたいと思いますが、効率と安全というところについては、これはやはり安全が最優先ということで、それをてんびんにかけるものではない、こういうふうに思っております。
 それで、今御質問ございました件でございますが、自主保安をしっかりやっていくということは、私ども電気事業者に課せられた使命だと思っております。このために、安全を最優先とする、こういう意識を経営のトップから第一線の作業者まで浸透させることが大切である、こういうふうに思っておりまして、各社とも、社長みずからをトップとする品質保証体制を確立させて取り組んでいるところでございます。
 また、原子力事業者の自主保安活動の向上、それから安全・安定運転の確保、社会からの信頼確保といった課題に対応するために、先ほども少し申し述べましたが、日本原子力技術協会、こういう新たな産業団体ができております。この協会は、原子力産業界の百社以上が参加する形でことしの四月に設立したところでございまして、原子力事業者の品質保証活動に対して、客観性を持った第三者的立場から評価や勧告を出すという活動を進めていくこととしております。
 各社の取り組みとこの協会の活動が相まって原子力の安全性の向上や社会からの信頼の回復につながっていく、こういうことになればということで大いに期待しているところでございます。
 以上でございます。

 

高木(陽)委員

 今、伊藤参考人の方からも御説明がございました。国民の側からとってみれば、やはり説明がしっかりとされる、先ほど古川参考人も、情報がしっかりと伝わってくるかこないかというのが重要である、こういうお話がございました。その点もまた、業界の側としてみれば、しっかりと取り組んでいただきたいとも思います。
 そこで、古川参考人の方にお伺いをしたいんですけれども、この六月に使用済み核燃料再処理工場のプールの放射能水漏れというのがありまして、業務の不正溶接で亀裂が入ったものと報告されている。平成十四年十二月三日の議事録を拝見させていただきましたけれども、さきにあったプール漏れについてこのように言われておられます。「今回のプールの件があり、村でも、他のプールはどうなのか、大丈夫かという心配が生じている。 この機会に精密な徹底した検査をして頂きたい。後でまた水が漏って、調査したらそこもまた不正工事だった、というようなことだけはないようにして頂きたい。そうしないと、村民の不安解消にはつながらず、ますます不安を増幅させるだけである。」このように村長が発言されまして、ただ、その後、その御懸念のとおりの事故の発生で、憮然たる思いであると思うんですね。
 業者は不正溶接がばれないよう表面をグラインダーで磨き上げたという。核燃料再処理工場という極めて重要な施設を建設している使命感ですとか、責任感を、原燃、下請業者等々、ともども改めて問われるべきことだなというふうに私も痛感をするんですが、問題の本質を掘り下げず、まさしく表面のみをグラインダーで磨き上げるようなことで済ませようとする姿勢、そういうのがあるとするならば、これはゆゆしき問題だと思うんですけれども、村長、どのようにお考えか。ちょっと感想をお聞かせ願いたいと思うんです。

 

古川参考人

 それでは、プール水の漏えいについて、先生から御指摘ありました部分について自分の考えを一言述べさせていただきます。
  平成十四年二月に確認された部分は、二百九十一カ所という物すごい量で、そして徹底した調査をして、二度とこういうことはないようにと、この部分は本当に心の中からそう思いました。六月九日にあったプール水、これは不正工事でなければいいと常に祈っていましたが、結果として、また不正工事だった、こういう部分があって本当に憤りを感じている次第であります。
 今調査をしていますし、まだ数カ所というか相当の数を確認しなければならない、そういう状況でありますので、その後はもうないようにと今また祈っているところで、一番困るのは、また漏るのかと村民が思うことが、不信、不安、それを連続して増幅させるだけでありますので、今度は検査してもそういうことがないようにと今祈っている状態であります。
 以上でございます。

 

高木(陽)委員

 今、村長は率直に、祈っているところであります、こういうお話がございました。まさに、私たち、技術の面では素人なわけですよね。村長さんもそうなんですけれども、そうなると、やはりその当事者である原燃初め施工業者等々が、ここの部分は本当に、ある意味でいうと、誇りですとか使命感ですとか、そこを徹底して持っていただくしか方法はないのかなと思うんです。そういった部分では、本当に、私たちも含めて、素人ではあるけれども、しっかりとチェックをしながら、情報公開というのを絶えずしていただくように努力をしてまいりたいと思います。
 庭野参考人にちょっとお伺いをしたいのは、原子力産業というのは、多岐にわたる技術が複合、結集した巨大なシステムであると思うんですね。単に個々の専門技術の寄せ集めではない、そういうふうに言われているんですけれども、それだけに波及効果も多く、例えばコンピューター産業ですとか、医療、輸送、建築、環境等広く及んでおり、また、他方、立地条件の困難さもあり原発の新規プラント建設が減少する中で、優秀な人材、高度な技術基盤の維持が大きな課題になっている、このように伺っておりますけれども、この観点でどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

 

庭野参考人

 ただいま御指摘いただいた状況がまさしく現在我々が直面している状況でございます。
 御参考までに申し上げたいと思いますけれども、ここ十年間でもって原子力関係の従事者、これはプラントメーカー、それに関連する工事会社等でございますが、約五万人から四万人に、八割まで減ってございます。特に、我々が今一番心配していますのは、将来の新しいものを開発するとか、さらにより安全性を高めるという意味での研究者の価値でございますけれども、ほぼ半減。具体的には、これは原子力産業会議の調査でございますけれども、二千四百人から千三百人まで減少してございます。そのうち、四万人でございますけれども、原子力プラントメーカーそのものが持っています人材が約一万人でございます。そのうちの研究者の減少というのはほとんど原子力プラントメーカーだということであります。
 御指摘いただきましたとおり、原子力は安全性の確保、経済性の追求ということで、あらゆる最先端の技術を取り入れるということを前提に進めておる総合エンジニアリングでございます。材料から科学、機械、電気、あらゆるものを総合して、トータルな大きなシステムをつくるということでございます。
 現在、膨大な資料、データについては、IT技術をフルに活用して、三次元のデータであるとか、そういうことでIT化で全部データとしては確保してございます。しかしながら、その膨大なデータをいかに生きたものとしてプラントに適用するかということになりますと、これはやはり、残念ながらといいますか、プラントを実際につくる、またメンテナンスをするという実作業を通じて育成される面が非常に大きいという分野でございます。したがって、今後こういう力をプラントが減少する中でいかにして維持していくかということに関しては、今回の原子力政策大綱にも載っていましたように、新しい将来に向けたプラントの開発を官民挙げて進めるということによって、若い人を引きつけることによって将来に備えるということが、唯一我々として望むところでございます。
 直面の問題としては、熟練者があと数年でかなりリタイアしてしまうという状況でございます。特に「もんじゅ」等の高速増殖炉については、長い間停止したということもありまして、老齢化が進んでございます。これに対する今後の取り組みについても精いっぱい頑張るつもりでございますけれども、大きな将来に対する方向性というものが打ち出された原子力体系に沿って、企業として最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

 

高木(陽)委員

 時間も参りましたので、最後の質問ということで近藤参考人にお伺いしたいと思うんですが、近藤先生は検査体制に関連してこのようにおっしゃられている。本当に真に迫るような仕組みをつくるということが大事で、そういう意味で考えますと、現在の保安院の体制で、何人かの方が行って、親しく話し合ってという環境ができるだけの資源があるかということについては、いささか私は不安でございます、こういうふうに述べられて、お立場上、婉曲的に表現されておりますけれども、率直に、その検査体制が不十分なのかな、こういうことを指摘されているのかなと私は感じたんです。一方で、原子力を推進する者と安全を守る者が、同じ組織の同じ側に立っていてよいか、こういう議論もあると思うんですけれども、この問題について、最後に先生の御意見を伺いたいと思います。

 

近藤参考人

 御指摘の点は、たしか平成十四年に参考人質疑のときにお話ししたことだと思いますけれども、その当時は、当該法令の制定によりまして、実は、御承知の原子力安全基盤機構ができまして、JNESと呼んでいますけれども、これが、まさしく私がそこで申し上げた、親しく現場で保安活動の担当者の活動を見、そして説明を聞き、その適切性を判断するという、その役割を担う者を随分と抱えていただきました。JNESなども四、五百人の規模の組織になったものですから、そこで私が注文をつけたことが実はそのJNESという格好で実現したのかなというふうに思っておりまして、それは、しかしもちろん理想的にまだ動いているとは思えませんが、発足したばかりですからいろいろ試行錯誤をやっているようでありますけれども、必ずその方向で実現していくものと考えています。
 それから、規制する者が推進している組織と同一の組織にあること云々でございますけれども、これにつきましては、原子力政策大綱の議論でも議論が行われましたけれども、現在の私の理解は、経済産業省におきます原子力安全・保安院の位置づけは大臣の下から分離されておりますから、安全にかかわる判断にそれ以外の要素が影響することなかるべしというのが国際的な基準、原則ですから、そのことは達成されているというふうに理解をしております。
 他国の例を見ましても、例えばフランスでしたら、経済産業省と似たような産業省が中にあるんですけれども、フランスの場合には、大臣が環境大臣にもレポートするという格好で、その省の中にあるけれどもほかの省の大臣にも報告する、そういう形式を整えて一種の独立性を担保している。
 あるいは、アメリカの場合には、全く独立の機関をつくっておりますけれども、実は、DOE、エネルギー省の施設はエネルギー省がみずから規制している。それから、発電事業者の規制は確かに独立した原子力規制委員会がやっているんですけれども、実はこれの作業にかかわるコストは発電事業者が払っている。規制料金を払って、発電事業者が払うお金でもって規制がされている。こういうことで、チェックが働くよう、発電事業者から見て過剰な規制が図られないチェックシステムができている。
 したがって、簡単に申し上げますと、それぞれの国がそれぞれの文化とか社会の通念を踏まえつつ最適なシステムをつくっている、そういうことかなと思いまして、現在日本の置かれている社会環境の中で長くかかってつくり上げてきました今日のシステムは、それなりの合理性があり、国際社会の通念も満足している、そういうふうに私は理解をしております。

 

高木(陽)委員

 以上で終わります。
 ありがとうございました。

 

 

 

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