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第163回国会 衆議院会議録
2006(平成18)年02月23日
 
 


第164回 衆議院 

「日本国憲法に関する調査特別委員会」2号

 

高木(陽)委員 

  公明党の高木陽介でございます。
  冒頭、今回の憲法調査特別委員会の国民投票制度の欧州調査団に参加し、また、充実した調査ができましたこと、中山委員長を初め各委員、また関係者の方々に心より感謝を申し上げたいと思います。
  先ほどからの、中山委員長初め同僚議員からの報告と重複する部分もあると思いますけれども、お許しをいただきたいと思います。
  私の場合、中盤からの参加で、スイス、スペイン、フランスの三カ国での調査に加わりました。これまで当委員会でも論点となってまいりました投票の期日、投票権者、投票の方式、投票運動の規制、運動期間など、多岐にわたった調査をしてまいりましたが、私は、特に当委員会でも議論の焦点となりましたメディア規制と運動の方法、投票年齢などに注目をしてまいりました。
  細かい概要については調査団の報告書をごらんいただきたいと思いますけれども、各国の関係者の話を総合いたしますと、まずメディアの規制につきまして、各国ともメディアの規制につきましては極力最小限にとどめている、こういう状況でございました。特に、新聞、雑誌の活字媒体については基本的に規制はない、それぞれの社説などで自由に主張しており、一方、テレビやラジオといった放送媒体はある程度の規制がなされておりました。
  スイスにおいて意見を伺った司法警察省のマーダー法務局次長は、活字と放送の規制の違いについて次のような理由を述べておられました。
  まず第一は、歴史的背景や伝統である。スイス連邦の成立以来、活字メディアは国民の政治的意見の醸成の担い手となってきた。成立当初の活字メディアというものは、政党や利益団体の機関紙的役割のみ担っていたからである。
  第二に、放送、活字両メディアに対する費用の拠出の問題である。なぜなら、投票に関係する団体が宣伝活動のために費用を拠出する際、放送メディアよりも活字メディアに対する費用の方が格段に安く、大きな影響を与えることができるからである。
  第三に、活字メディアは、連邦成立以来、多種多様であり、ほとんどが民間経営である一方、放送メディアは最近まで国営放送だけだったからである。
  このような三点を述べておられました。
  特にスイスにおいては、長い間テレビもラジオも国営放送しかなかったという点は複数の人が強調しておりました。ただ、放送メディアにおいても、これは先ほど保岡先生もおっしゃっておられましたけれども、毎週一回、スイスの国営放送でアレーナという番組において政治的議論の場が提供されている、こういうことでございました。例えば国民投票のテーマについて、賛成と反対の立場の人々に集まってもらい議論をしてもらう。賛成、反対のそれぞれの立場の人々、これは同数出席してもらって議論を行うように配慮しているということでありました。その一方で、電波媒体については政治的なコマーシャル、いわゆるCMが完全に禁止されており、今後の我が国の国民投票法案の議論にも大いに参考になると思われます。
  スペインにおいては、マスコミに関して、公的なマスメディアについては無料の宣伝枠を設けており、議会の議席を有する政党に対して公平にスペースを配分しなければならないとしておりました。さらにつけ加えれば、国民投票運動について、政党に対して、公的なメディアのスペースを無料で提供を受けて、それ以外の国民投票運動はポスターの貼付やビラの配布を含めてあらゆる団体がしてよいこととなっておりました。
  また、国民投票運動に対する財政的な助成につきまして、議会における政党の議席数に応じて配分することとなっている、こういう意見がありました。特にテレビの場合は、午前と午後、夜の三つの区分で議会の議席数に応じて時間配分をする。具体的な総合的な時間は時と場合によって異なるということでございましたけれども、やり方は、それぞれ自作のビデオを持ち込んで、一回につき二、三分のスポットを割り当てて放送するやり方だそうであります。
  私的なマスメディアでは、テレビ、ラジオがディベートの時間を設けて、政党以外のあらゆるグループの代表を招いて、均等な時間数を割り当てているという。また、私的なマスメディアでは、一定の規制のもとで新聞、ラジオの広報スペースを買うことはできるけれども、テレビの広報スペースは買うことはできないとされている。つまり、テレビでのCMはだめということでございました。
  フランスにおいては、テレビ、ラジオを通じた運動をすることができるのは、許可を受けた政党だけということも興味深いものでございました。放送媒体については、民間放送であろうと国営放送であろうと、公平な放送をするように努めることになっており、それを独立した機関であるオーディオビジュアル高等評議会、CSAが監視するとしております。
  一方、新聞を初め出版物には規制はなく、それぞれの新聞が自社の意見を表明することは全くの自由である。新聞は社説でも記事でも全く自由に書いてよいけれども、一つだけ禁止されていること、それは国民投票の前日及び当日に世論調査の結果を発表することでありました。
  調査を通じて改めて感じたことは、メディア規制については、テレビ以外は原則自由が潮流だと感じました。では、テレビなどの放送メディアの規制はどこまで行うか、これは今後議論の余地はあると思います。
  次に選挙権の年齢でございますけれども、五カ国とも十八歳以上ということでありましたが、ただ、各国とも国民投票だけではなく国政選挙全般で十八歳以上と規定されている上、成人年齢が十八歳以上ということでありました。我が国の国民投票法案の選挙権の年齢についても、成人年齢もしくは一般の国政選挙での年齢と同じくすることがふさわしいのではと感じました。
  さらに一言つけ加えるなら、我が党はマニフェストにおきまして、一般の選挙権の年齢を十八歳にするべきであると主張しており、公選法との兼ね合いの中で議論を深めていくべきであると考えております。
  また、印象に残ったものといたしまして、スペインにおける現行の一九七八年の憲法制定の際、政党間の大きな合意でつくり上げられたという話を伺いました。
  スペイン下院のゲラ憲法委員長の話でありますが、彼は当時野党の交渉担当者として与党と毎日毎晩、何カ月にもわたって交渉を続けて、最終的には議会において三百五十対六の圧倒的多数で可決することができた、次の憲法改正においても同じくらいの合意に向けた各政党間の努力が必要であろうと述べておられました。
  また、スペイン・日本財団理事長でもあるガリーゲス法律事務所所長との会談の際は、コンセンサスに向けた努力の方法を尋ねたところ、彼は、まず政党間の直接の協議によってコンセンサスをつくり上げていく、また、市民社会が非常に重要な役割を果たしているということも重要な事実である、私はこれまで幾つかの組織、財団等の責任者を務めてきたが、そうした団体において何回も憲法改正についてディベートを開催してきた、そこには政治家だけではなく大学生や有識者も参加している、そういう地道な努力が必要なのではないかと述べておられました。
  やはり、国の基本法である憲法を改正する場合は、粘り強い議論の末に大いなる合意というものが必要であると実感をしてまいりました。
  今後、国民投票法案の議論を進めていく上で、各党各会派が、これは立場は違うと思いますけれども、まずイエス、ノーということで決めるのではなく、互いの違いを認め合いながらも建設的に議論を進めていく、これが最も重要であるということを感じ、またそのことを期待いたしまして、報告とさせていただきます。
  ありがとうございました。

 

 

 

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