政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 竹歳 誠 氏
高木(陽)委員
公明党の高木陽介でございます。
本日は、バリアフリー法の質疑ということで、午前中から午後にかけて行われておりますが、本日は私が最後の質問者となりますので、大臣もよろしくお願い申し上げたいと思います。
まず、今回の法案でございますが、平成六年のハートビル法、そして十二年の交通バリアフリー法、この二つの法律を統合し、そして拡充させていくという、まさにこれからの少子高齢時代に適合した法案だというふうに私どもは考えております。
特に、平成十二年の交通バリアフリー法のときに、私ども公明党が連立政権に参画をして、この交通バリアフリーについて主張をさせていただく中で法案ができてまいりました。その後、特に鉄道駅におけるバリアフリー化、エスカレーター、エレベーターの設置でございますが、これはかなり進められてきた、そういう成果が出てきている。しかしながら、まだ完璧でないということで、今回この法律の制定において、そういった問題をさらに一層進めていただきたいということをまず冒頭申し上げておきたいと思います。
その上で、今回のこの法案のポイントの一つとして、基本構想制度の拡充について説明があります。現行の交通バリアフリー法、ここでも、この法律に基づいて基本構想の策定というのがなされてきたと思いますけれども、その状況というものがどのような状況になっているか、まずお伺いしたいと思うんです。
その上で、これは昨年とことしの予算委員会の分科会でも、私は地元の多摩地域のことでも質問させていただいたと思います。特に一つの例として、多摩地域の基本構想についての策定状況についてもお聞かせ願いたいと思います。
竹歳政府参考人
お答えいたします。
まず、現行の交通バリアフリー法に基づく基本構想の策定状況でございますが、平成十八年五月末現在、一日当たりの利用者数が五千人以上の旅客施設のある自治体五百三十九市町村のうち、二百九市町村で二百三十二の基本構想が作成されております。このほか、一日当たりの利用者数が五千人以上の旅客施設が存在しない、すなわち五千人未満のところ等でございますが、そこで十二件基本構想がつくられております。
多摩地区でございますが、六市におきまして基本構想が策定されております。羽村市、武蔵野市、八王子市、三鷹市、府中市、日野市でございます。
高木(陽)委員
今、五百三十九のうちの二百九という、大体半分近くということですね。私の地元の多摩の方はちょっとおくれておりまして、三十の市町村がございまして、その中でまだ六市ということで、そこから考えますと、まだまだこの基本構想が進んでいない。この構想はつくらないで、現実的にその場その場でしっかりとバリアフリー化をしている部分もあるんですけれども、やはり一つの駅だけの問題じゃなくて、そのエリア、周辺を含めたこういった構想というのはやはり必要であると思うんです。
この基本構想策定が進まない理由、これについてどのように考えているか、また、今回の法律案によってその基本構想の策定というものがどのように促進されるか、その点について伺いたいと思います。
竹歳政府参考人
お答えいたします。
基本構想を作成していない市町村における理由につきまして調べましたところ、二三%が実は別の方向で、この法律ができる前に既にバリアフリーをいろいろ取り組んできて、もうバリアフリー化が済んでいる、だから構想をつくらないんだというのがございました。それから、地方公共団体の能力等に関する部分がかなりございまして、一つは予算が足りないというのが一七%、担当部署がない、ノウハウがないというのがそれぞれ五%ずつございます。それから、市町村合併後に検討するんだというところもございまして、さまざまな理由がございます。
それから、今後この基本構想の策定を促進するためということでございますが、今回の法案におきまして、当事者が基本構想の策定等を市町村に対し提案することができる。市町村がいろいろな都合でなかなかつくらないときに、利用者の方々からつくった方がいいよというような提案をして、それについて動きが始まるというようなことがございますし、それから、市町村が協議会をつくるということで、関係者みんなが集まって、このまちづくりの基本構想、バリアフリーの基本構想をやるというようなことが可能になってくると思います。
国土交通省といたしましても、公共団体の財政状況も踏まえ、協議会による基本構想策定のための経費を補助対象にするなど、市町村に対するまちづくりを支援していきたいと考えているわけです。
高木(陽)委員
もう既に二三%がこの法律ができる前に取り組んできた、これはこれでいいと思うんですが、それ以外のその理由の中で、今局長がお話しされた能力の問題、いわゆる予算の問題、ノウハウの問題等々ありました。
特に予算が一番パーセンテージとして大きい一七%ですね。これは、今、歳出歳入一体改革の議論が進められている中で、これまでも公共事業はある意味でいうと削減対象。ただ、こういったバリアフリーだとかそういう問題に対して、これはやはり別枠で考えるぐらいなことをしていかないと、やはり今の地方自治体の体力または財政力、こういったところから、幾らいい法律ができたとしても、このバリアフリーというのが進むということは厳しいんじゃないかな、こんなことも考えております。
そういった部分では、要望として、しっかりとこの点について大臣のリーダーシップを発揮していただきながら、このバリアフリー化への予算組み、そしてまた地方公共団体との連携をよろしくお願い申し上げたいと思います。
さて、基本構想の作成に関する協議会制度、これはこの法律の二十六条ですね、法定化されておりますけれども、その促進策の一つとして説明されているけれども、これは任意の制度である。先ほど局長のお話の中にあった当事者の提案というのがあるんですけれども、やはり協議会というのがこれから大きな比重を占めてくるのかな、こういうふうに考えるんですけれども、この当事者の参加はこの協議会について担保されているかどうか、この点について伺いたいと思います。
竹歳政府参考人
今回の法律におきましては、この当事者の参加ということが極めて重要であると考えております。住民や利用者の皆さんの計画段階からの参加の促進を図るために、基本構想を作成しようとする市町村は、基本構想の作成に関する協議及び、計画をつくるだけじゃなくて、その後の実施についても連絡調整を行う、こういうための協議会を組織することができることとなっております。
今御指摘のように、確かに、協議会の設置はできるということで任意になっているわけでございます。これは、やはり地方自治の建前から、市町村が必要と考えたらやる、もし必要でないと考えたら個別に権利調整をしなくちゃいけないというような考え方になっているわけです。ただ、現在におきましても、ほとんどの市町村で関係者の意見を反映させるための協議体が設置されている実績がございます。
基本構想作成済み二百三十二件中でございますけれども、一件を除き二百三十一件で関係者が一堂に会して検討を行う、法律ができる前にもう既にこういう、実態的にはそういう形でないとなかなかこういうものは進まないんだということを反映しているんではないかと思います。したがいまして、法律上は設置できるというような任意になっておりますけれども、この協議会は非常に機能していくんではないかと思います。
それから、協議会が設置されない場合も、今御指摘ございましたように、高齢者、障害者等の利用者から、基本構想の作成及び変更の提案ができるという制度も新たに設けておるわけでございまして、基本構想に対して十分に当事者の意見を反映させていくことができると考えております。
高木(陽)委員
なぜこういう質問をしたかと申し上げますと、やはりいろいろな、バリアフリー化を進めるに当たって、それを利用する側ですね、利用する方々、障害者の方または高齢者の方、そういうハンディを背負って、それでも移動を円滑化しよう、そういう目的なわけでありますから、その当事者が最も使いやすい、最も利用しやすい、これが一番重要なわけですね。そういった部分では、法定化されて協議会ができた、もちろんそれは自治体の裁量、自治体にお任せをする、自治体の方もそれはこの構想をつくる上においてしっかりとその当事者の声を聞く、多分そうなると思います。
しかしながら、その前の質問で局長が答弁していただいたときに、能力の問題をちょっと触れられました。部署がない、またはノウハウがない、こういうところもあるわけですね。さあ、そういったときに、やっているところの公共団体、自治体のいろいろなパターンを学びながら、または参考にしながら、そういうこともあると思うんですけれども、やはりここら辺のところは、せっかく法律をつくった、そこにそれを実体化させていくというか、実のあるものにしていくという意味では、そういった指導というよりはアドバイスを、国交省としても地方整備局を通じてしっかりと行っていただきたい。ここら辺が、ひとつ提案というか要望を申し上げたいと思います。
次の質問に移りますが、協議会を含めて、施策を推進するための財政的支援、これも先ほどの答弁の中にあった、予算がないというのが一七%、こういうことがあったわけでありますけれども、バリアフリー化の関連の補助事業の対象、補助率、今回の法律を通じて、交通と、そしてハートビル、いわゆる建築物、これを一体化しながらやっていこう、もっと言えば、まちづくりにそういう形で寄与していこうという考え方を持っているわけでありますが、財政的支援の部分、これがどのように改善されるのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
竹歳政府参考人
財政的支援の改善の部分でございます。
平成十八年度におきましては、本法案の施行をにらみ、一つは、重点整備地区において、基本構想をつくる、そういう構想の作成を行う協議会に対しまして、バリアフリー環境整備促進事業というものによりまして、その経費を新たに補助対象としたということがございます。
それから、駅周辺のバリアフリー化等を実施する都市再生交通拠点整備事業というのがございますが、この地区要件の一つである鉄道駅の一日の乗降客数が、今までおおむね一万人以上となっておりましたが、これをバリアフリー法と合わせて五千人以上に引き下げて緩和して、この事業がやりやすくなったということでございます。
そのほか、もちろんまちづくり交付金というのが非常に大きな目玉でございまして、平成十七年度千九百三十億円であったのが十八年度は二千三百八十億円と、公共団体にとっては大変使い勝手のいい交付金というものも大幅に増額している。財政が厳しい中でめり張りのついた予算が設けられているわけでございまして、これも大いに活用していただけると思います。
そのほか、福祉タクシー導入促進のためのモデル事業というのも新たに創設いたしまして、こういうまちづくりとそれから交通機関、こういうものが一体となったバリアフリーを進めるということ。このほかにも税制とか融資とか等々ございまして、あらゆる手段を活用してバックアップをしていきたいと思います。
高木(陽)委員
新たな仕組み、そういう形でも拡充されているというような答弁であったと思います。
例えば、財政的な問題で申し上げますと、交通バリアフリー法ができたことによって、例えば鉄道駅エレベーター、エスカレーター設置の場合に、三分の一は国が負担しましょう、三分の一は自治体で、三分の一は鉄道事業者ということで。東京都の場合には、さらにそれを東京都と地元の市町村、これをまた折半しますので、六分の一、自治体が負担すれば何とかその流れに乗っかっていける、こういうのがあるわけですね。
ところが、そこそこの一般市であるといいんですが、町村になってきますと、ここら辺の財政、六分の一でさえ厳しい、こういう現状もあるわけです。
ただ、今御指摘のあったようなまち交、まちづくり交付金ですね、そういったものをうまく活用しながらというお話がございました。しかしながら、これも、地方公共団体の関係者、いわゆる首長さんを初め担当の部課長というか関係者がその趣旨を理解していないと、うまく生かされないんですね。せっかくいい制度がある。交付金制度、また補助制度等がある。税制のいろいろな措置もある。ところが、なかなかそれをすべてにわたって把握をしている自治体というのは、正直少ない。それをうまく活用して本当にフル回転している自治体もあるんですが、全体的に見て、そうじゃない自治体の方が多いんじゃないかなというふうに思うんです。そういう地方公共団体の意識を高めるために、周知活動、これをきちんと行うべきと考えるんですけれども、この点はいかがでしょうか。
竹歳政府参考人
御指摘のとおり、バリアフリー化の推進に当たりましては、公共団体等の関係者がそれぞれに求められた役割をしっかりと果たしていっていただくことが重要であると思います。本法案におきましては、国、公共団体、施設設置管理者、国民の各関係者の責務規定を設けております。
すなわち、地方公共団体につきましては、国の施策に準じて、バリアフリー化を促進するために必要な措置を講ずることと規定しておりまして、地域レベルで国の施策と同様の施策を実施する、あるいは国の施策の実施に当たり連携を図るといったことが求められております。
確かに、公共団体によりましてはいろいろ課題も抱えているということがありますが、一方、都市間競争で競争しておられますから、やはり隣の町でやればうちの町でもということもあります。それから、利用者の方から、なぜうちはやらないんだというような突き上げもあるというような、そういういろいろなメカニズムが働くことも期待できるわけでございます。
そういう中で、国土交通省としましては、例えば、基本構想の作成を促進し、地域における一体的、総合的なバリアフリーを推進するために、各地方運輸局等が中心になりましてセミナーを開催しましたり、基本構想未作成の市町村に対してバリアフリープロモーターの派遣を行う等の取り組みも行っているところでございまして、今後とも、全国の市町村におけるより一層のバリアフリー化のための施策を応援していきたいと思っております。
高木(陽)委員
今、セミナー等を開催しているというお話がございました。
まちづくり三法がこの国会で成立いたしました。これは都市・地域整備局が中心となるんですけれども、経済産業省と共管で中心市街地活性化法もあって、そこでの補助金等もあるわけですね。このときに、都市・地域整備局長、柴田局長にも申し上げたんですが、先ほど申し上げたように、せっかくいいものをつくっても、現場がわかっていない、それを活用し切れていない、これは本当にもったいないなと。
限られた予算、国交省の予算も毎年毎年厳しい中で、本当に削減をしながらやっている。でも、やはりまちづくりにとっては必要である。特にこのバリアフリーという問題は、本当にこれからの二十一世紀、少子高齢社会の中で絶対に必要なものである。それを国を挙げて推進していこうという中での予算または制度、こういったものを本当に現場の、合併をしましたので自治体が千八百等々まで減ってまいりました、それぞれの自治体がすべて、ある意味でいうと理解できる、理解するというよりは活用し切る。もっと言えば、それで予算が足りないんだ、さらにもっと必要なんだというぐらいな流れに持っていかないと、最終的なバリアフリーが完璧にできるというのは本当に何十年も先になってしまうという不安があるわけです。
高齢社会というのはもう待ったなし、もっと言えば、人口減少社会に入って、どんどんどんどん高齢者の方がふえていく。障害者の方々も、現実、今ずっといるわけで、そういった部分では、この周知徹底というか、あるいは啓蒙活動をやっていただきたい。
ただ、現実、地方整備局のメンバーを見ますと、人数の少ない中で、やる仕事はすごくたくさんあります。このバリアフリーだけをやっているわけではありません。そういった部分では、本当に大変な中でありますけれども、そこは何とか知恵を絞りながら頑張っていただきたい、こういうことを申し上げておきます。
次に、大臣に、これは最後の質問になると思いますが、お伺いしたいのは、関係者の意識を高めることにあわせまして、情報の提供、また国民の、高齢者、障害者等に対する理解、協力といった、これはきょうの質疑でも何度も出てまいりました心のバリアフリーですね、これを進めることが重要と考えておりますけれども、これまでどうやって取り組んできたのか、またこれからどのように取り組むのか、お伺いをしたいと思います。
北側国務大臣
バリアフリー化を進めるに当たりまして、ハード面の整備、もちろん必要でございますけれども、それだけではなくて、適切に情報が提供されること、また、国民の方々のバリアフリーについての御理解と御協力をしっかり得ていくということが重要というふうに考えております。
これまでも、高齢者、障害者に対する理解を促進するために、体験学習の実施をしたりだとか、それから国、地方公共団体、交通事業者、NPOが連携をしまして、駅やその周辺において困っている方々に対し手助けを行うボランティア活動を普及するとか、それから交通事業者のやはり人材育成が大事でございますので、交通事業者向けの教育プログラムを作成したり、さらには駅構内のバリアフリー施設や乗りかえ案内の情報を統一的に提供するためのシステム、らくらくおでかけネットというんですけれども、こういうのを構築したり、こうした取り組みをこれまでやってきているところでございます。
今後とも、こうした施策をしっかりと強化をさせていただきたいと思っておりまして、例えば、地域レベルでのバリアフリー化の取り組み推進のための人材育成事業、こういうのにも取り組みをさせていただきたいと思っておりますし、また、新たなバリアフリー化指標についても検討してまいりたいと思っております。
これまで、例えば段差解消が何%というふうに、割とハード面によったことが多かったわけでございますが、利用者の視点に立ったバリアフリー化の評価の指標というものもぜひ検討をさせていただきたいと思っておりまして、そうした評価指標を、今、学識経験者等によりまして検討をしていただいております。これらの検討結果を踏まえまして、来年度には、具体的な指標による計測とか、また公表もしてまいりたいと考えております。
高木(陽)委員
今、ハードの面だけではなくてソフトの面もしっかりと充実させていくという大臣のお話がありました。これは本当に車の両輪でございますのでしっかりとやっていただきたいということと、もう一つは、今回の法律、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、社会的弱者というか、高齢者、障害者の方々を含めて、弱者の方々に温かいまちづくりというのをしなければいけないのですが、もう一つ、健常者でも危ない部分というのもいろいろあるわけですね。
どういうことかというと、先日、大臣、私の地元の立川に来ていただきまして、立川駅を見ていただきました。自由通路、これが一つしかなくて、改札口が一つしかなくて、一日三十万人の乗降客がある。三十万人という、中央線においては新宿、東京、中野に次ぐ、それだけの乗降客のある駅の中で、改札がたった一つしかないということで、そこに朝晩のラッシュに人が集中する。これはもう、もちろん障害者、高齢者の方々にも危険、または子供連れ、小さなお子さんも危険、普通の大人も危険なわけですね、健常者も。そういった部分では、ハードとソフト両面と言いましたけれども、まだまだハードがおくれている部分もたくさんあるんだということで、先ほどから何度か申し上げておりました。
公共事業と一くくりにすると、何か今まで、公共事業というのは悪者なんだ、こういうような見方をする部分というのが多々あったと思います。しかしながら、やはり必要なところにはしっかりとやっていかなければいけない。それは納税者のためであり、国民のためであり、本当に、そこに住んでいる、利用している一人一人のためである。
そういった観点から、またこれから、通常国会は延長しないというような、そういうような流れが多々ありますけれども、そうなりますと今度は、来年の概算要求のシーズンとなってまいります。そういった部分では、しっかりとこの点を踏まえて、大臣のリーダーシップを発揮していただいて、私どももそれをバックアップできるように頑張っていくことをお誓い申し上げ、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
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