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第169回国会 衆議院会議録
2008(平成20)年04月23日
 
 


第169回 衆議院 「国土交通委員会」15号

 

参考人
国土交通大臣 冬柴 鐵三

国土交通省鉄道局長 大口 清一



高木(陽)委員

 公明党の高木陽介でございます。

 きょうは、地域公共交通の活性化及び再生法の改正案ということで質疑をさせていただきますが、この法律、昨年施行されまして、さまざまな形で地域の公共交通に対しての手だてが打たれてきたと思うんです。

 地域公共交通といいますと、特に鉄道のことなんですけれども、まず、私自身、生まれ育ちが東京の大田区で、二十三区に生まれ育ちますと、鉄道というのがごく当たり前にある。もっと言いますと、駅というのは歩いていくものだというのが結構二十三区に住んでいる人たちの感覚です。JRもあるし、地下鉄もあるし、私鉄もあるし。そういう感覚からいうと、特に地方の方々は、鉄道に対する利用度というか、その重要性というのはかなり高い。逆に東京都内、二十三区内だと空気のような感じになっていて、鉄道がなくなるという発想はないわけです。

 ところが、地方の方は、経営的な問題だとかそういったことから、どうしても閉鎖、廃止せざるを得ないということで、特に平成十二年度以降ですか、全国で二十五路線、五百七十四・一キロが廃止された。そういうことを考えますと、今後の少子高齢社会、特に地方の方はその少子高齢社会がどんどん進んで、住民の足をどうしていくのか。モータリゼーションで車が発達しているんですけれども、では高齢者の方々は自分で運転をして行けるかどうか、こういった問題もございます。

 そういった中で、今回、昨年施行された法律をさらに改正するという流れの中で、地方自治体を初めとする地域のさまざまな関係者、これが話し合って、その成果を総合連携計画という形でまとめて、それぞれ実現に向けて役割分担などを定める、これは画期的な枠組みであると考えているんですけれども、そういった中で、施行から半年間が経過した今回のこの法律で、鉄道分野において総合連携計画または特定事業の活用というのはどのように進んでいるのか、まずお伺いをしたいと思います。

 

大口政府参考人

 お答え申し上げます。

 鉄道あるいは軌道のサービス改善、それから私鉄整備計画等に関する内容を盛り込んだ地域公共交通総合連携計画としては、現在までに全国の二十市町村により九件の計画が策定されているところでございます。具体的には、駅舎の新設、イベント列車の運行、バスや海上交通と一体化したICカードシステムの導入など、多岐にわたる内容になっております。

 また、これらに加えまして、協議会の設置準備が進められているところも含めますと、全国で約四十市町村において鉄道あるいは軌道に関する総合連携計画の策定に向けた具体的な検討が進んでいるというふうに承知しているところです。

 一方、地域公共交通特定事業の関係では、富山市が策定しました総合連携計画に盛り込まれましたLRTの整備について、富山市とそれから事業者が共同で軌道運送高度化事業の実施計画を作成しまして、国土交通大臣の認定を申請しました。国土交通省におきまして審査の結果、ことしの二月末に大臣認定を行ったところでございまして、来年の十二月の開業を目指しまして市内電車の一部を環状化するというような事業が進められることになっております。

 

高木(陽)委員

 今鉄道局長から富山のLRTのお話もございました。昨年ですか、国土交通委員会で視察をさせていただきまして、まさにコンパクトシティーにしていく、特に少子高齢社会、その中にあってまちづくりをどうしていくかという観点でのLRTの存在というのは、もう大変重要だと思うんですね。

 そういった中で、今回、特定事業ということで活用しているというふうに伺いましたけれども、この鉄道関係の特定事業としては、既に鉄道再生事業の制度というのがあると思うんです。今回創設しようとする鉄道事業再構築事業とこの再生事業の関係はどのようになっているのか。いろいろと事業というのはそれぞれやるんですけれども、ここら辺の関係をちょっと伺いたいと思います。

 

大口政府参考人

 現行の地域公共交通活性化再生法に位置づけられております鉄道再生事業、これは、事業者が廃止の届け出を行った旅客鉄道事業を対象としまして、沿線の市町村などがその存続を望む場合に、鉄道事業者と市町村等の間で存続に向けた協議を行う場を早急に確保できるように、両者が合意すれば当初の廃止期限を延長して協議を行うことができるというような手続を定めた制度というふうになっております。

 これに対しまして、今般の改正によりまして追加される鉄道事業再構築事業は、廃止の届け出に至る前の旅客鉄道事業でございまして、継続が困難となり、または困難となるおそれがあると認められるものを対象として、鉄道事業者と沿線の市町村等が連携して、地域の支援のもとで事業構造の変更を行うことによりまして輸送の維持を図ろう、それを地域に取り込んでいこうというような法律上の特例を適用するものでございます。

 加えて、この再構築事業につきましては、頑張る地域の意欲的な取り組みを支援する立場から、予算とか税制とか、それから地方財政措置、こうしたものを全部総合しまして、パッケージング的に、重点的に支援をするというような構造になっております。

 

高木(陽)委員

 そこで、局長にまた伺いたいんですけれども、鉄道事業者と地域にとって、この鉄道事業の再構築事業を活用すると具体的にどのようなメリットがあるのか、ここのところをはっきりしないといけないと思うんですね。

 伺いたいと思います。

 

大口政府参考人

 お答え申し上げます。

 今回創設しようとしておりますこの事業の制度では、地域の関係者が連携して行う効果的な利用促進運動などによって需要の底上げを図る。それとともに、先ほども申し上げました公有民営方式によりまして、上下分離などの事業構造の変更によりまして、資産保有に伴うコスト、いわゆる費用負担を軽減しようというような取り組みについて、法律上の特例と、それから国の予算、税制、そうしたものを重点的に支援するようなことによりまして促進を図ろうというふうに考えております。

 これによりまして、鉄道事業者においては、資産保有のコストが軽減され、それから運行部分に専念することができるということから、運営効率の向上とか、それからサービスの改善に伴う増収を図ることで抜本的な経営の改善が実現する、あるいは安定した経営のもとで路線運営の継続が可能になるというふうなことが考えられるわけであります。

 また、地域にとりましては、住民生活に密着した移動手段としての鉄道を存続させることができるということにとどまらず、運行ダイヤの改善など利用者ニーズに即したサービスの充実が可能となるほか、鉄道を核にしましたまちづくりや駅周辺地域の活性化など、波及効果も相当期待できるのではなかろうかというふうに考えております。

 

高木(陽)委員

 今いろいろとそのメリット等についてお話しいただきましたけれども、この問題だけじゃないんです。

 前回の委員会でも大臣にもちょっと申し上げたんですけれども、せっかくいい制度をつくった、いい事業をやっている、ところが現場がなかなかそれをうまく活用し切らない。特に鉄道事業者にとってみれば死活問題ですから、それぞれの再生事業、再構築事業についてしっかりと認識をして、ああこれは使えるということでやっていくんですけれども、問題は地域ですね。

 自治体を初めとするそういったところに丁寧にこれを伝えていかないと、せっかくこういう形で枠組みをつくっても、まさに仏つくって魂入れずということになってしまいますので、その点も、各地方ごとに運輸局がございますので、しっかりとやっていただきたいと思います。

 今、今回導入しようとしている公有民営方式についてちょっとお話がありましたけれども、これまで活用した例はあるのか、また公有民営方式の導入によって鉄道事業における撤退の自由の原則を修正することになるのかどうか、この点も伺いたいと思います。

 

大口政府参考人

 お答え申し上げます。

 これまで、いわゆる公有民営方式でございますが、これと同様の考え方に基づいて、地方自治体などの支援によりまして線路などの施設の維持管理に伴う鉄道事業者のコスト負担を軽減する取り組みとしては、自治体が土地と線路を保有しまして事業者が支払う利用料を減免するというような形、あるいは自治体が土地を保有しまして無償で貸し付けるというような形、こうした事例はございましたけれども、自治体が土地といわゆる鉄道施設を保有した上で事業者に無償で貸し付けるという公有民営方式という方式は、第三種鉄道事業についても採算性の要件が求められているわけでございますので、鉄道事業法上実施できなかったというところが現状でございました。今回の再構築事業の制度によりまして初めてこれが無償で貸し付けることができる、そういうようなスキームになるわけでございます。

 また、先生お尋ねの退出自由の原則との関係でございますが、今回の再構築事業は、新たに公有民営方式による上下分離を導入することによりまして鉄道路線の輸送の維持を図ろうとするものではございますけれども、あくまでも事業者の自主的な経営判断を十分に尊重しながら、頑張る地域の意欲ある取り組みに対して、だったら国としても制度的に支援していこうというものでございますので、平成十二年の鉄道事業法の改正によって、その後、歩んできている基本的なスタンス、考え方、いわゆる退出自由の原則を修正するものではないというふうにとらえております。

 

高木(陽)委員

 今、公有民営方式のお話をお伺いして、この再構築事業の制度を活用して上下分離が行われる場合、安全の面はどうなるのか。

 まさに、公共交通、鉄軌道の場合には、輸送量が多いために安全性に対してはやり過ぎというのはないと思うんですね。そういった中にあって、例えば軌道の方の安全点検、一方、運行の方は運行の方で、これが分かれるわけですから、ここら辺の安全確保はどのような仕組みを考えているのか、伺いたいと思います。

 

大口政府参考人

 お答え申し上げます。

 二十五日には、あの尼崎の日がまたやってまいりますが、やはり鉄道の一番のかなめは、安心して乗れる、安全の確保でございます。そうした意味からも、今回もそこのところはきちっと対応させていただくようなスキームにしております。

 鉄道事業においては、上下分離をする場合でありましても上下一体の場合と同等の安全水準を確保することが必要不可欠だということで、鉄道事業法ではそのための規定が整備されております。

 具体的には、上下分離が行われる場合には、列車の運行つまり上の運行を行う二種事業者、それから施設を保有する、つまりインフラ部分を持つ三種事業者、そのそれぞれに対しまして、その事業の計画が輸送の安全上適切なものであることを事業許可の基準として、事業許可の際に確認を行うということがまずかなめでございます。

 それから、一定以上、具体的には十年以上でございますが、鉄道事業の安全に関する業務経験を有する者を安全統括管理者として選任の義務づけを行っております。それから、上下の事業者間の連携策を含む安全管理規程をきちんと策定しておくということもまた義務づけられておりますし、その実施によって安全管理体制を構築するということも義務づけられております。

 そうしたことから、上下一体の場合と何ら変わらない安全確保のための規定がきちんと適用されるような仕組みになっております。

 

高木(陽)委員

 鉄道事業の再構築事業の制度を活用して、公有民営また上下分離などの実施の可能性について、これは制度はあるんですけれども、要はそこをやるかどうかですから、その具体的な検討を進めている鉄道、その沿線地域はあるのかどうか。どうでしょう。

 

大口政府参考人

 お答え申し上げます。

 今回の再構築事業を創設させていただいた場合を想定しまして、その活用を視野に入れて地域で検討が既に行われている鉄道としましては、現時点では、鳥取県の若桜鉄道、それから秋田県の秋田内陸縦貫鉄道などのいわゆる転換三セク、転換した第三セクターのほか、福井県の福井鉄道などが私どもの方にいろいろな御相談に来られているというふうに承知しております。

 また、これら以外にも、各地の自治体や鉄道事業者からさまざまなお問い合わせをちょうだいしておりまして、各地の実情に合わせてさまざまな検討が進められているものというふうに承知しております。

 

高木(陽)委員

 今、三つ具体的に進行しているというお話を伺いました。それ以外にもあるという流れの中で、先ほどから出ている安全の問題ですね。せっかく制度をやって、地域にとってある意味では死活問題の鉄道をしっかり守っていく、これはこれで重要なんですけれども、その一方で、安全については、先ほど申し上げましたように、やり過ぎというのはないと思うんです。ですから、システムとしてできているんですけれども、それ以上に、いわゆる鉄道局として、また国土交通省として、安全についてはしっかりと指導をしていただきたいと思います。

 最後の質問にさせていただきます。

 大臣にお伺いしたいと思うんですが、新線の整備、開業が進む新幹線、これはいろいろと政治的な決断もある中で進んでいる。あと、都市鉄道、LRT。そういったものとは対照的に、やはり地方の方では廃止縮小が相次いでいる地方鉄道の分野。ただ、これは冒頭に申し上げたように、私自身も、二十三区で生まれ育って、鉄道がなくなるということは考えられなかったわけですね。ところが、地方ではそれは現実問題として起きてきた。

 しかしながら、この少子高齢社会の中にあって、高齢者の方々がどうやって移動するか、大変な問題だと思います。モータリゼーションの中で、車、今温暖化の問題もありますので、これはこれでしっかりと考えなきゃいけない。特に鉄軌道の場合には環境負荷が小さいということで、鉄道の役割というのはやはり重要だな。そういった中で大臣はどのように考えているのか、最後に伺って、終わりにしたいと思います。

 

冬柴国務大臣

 御指摘のとおり、鉄道は、マイカーに比べまして、二酸化炭素の排出原単位が実にマイカーの九分の一ということで、環境負荷の小さい交通機関でございまして、地球温暖化対策においても鉄道が果たす役割というのは非常に大きいわけでございます。

 特に、地方の鉄道は、いろいろと議論もありましたけれども、運転ができない学童の通学の足として、また高齢者が病院へ通ったりする場合の足として、また通勤、そういうものの足として非常に重要なもので、これはなくすわけにはいかないわけでございます。

 しかしながら、先ほど来申しておりますように、マイカーの方にお客さんをとられてしまって、大変困難でございますが、昨年成立させていただいた法律、また今回の改正法によって、こういうものが守られるようにきめの細かい対策を国としても講じていきたい、そのような決意でございます。

 

高木(陽)委員

 これは要望というか御検討いただいていると思うんですが、今後の交通の問題として、鉄道の場合には、物流以上に人流、人をどう運ぶか、特に公共交通としての地方での役割は大きいというふうに、今、ずっとやりとりでありました。

 今後、日本の中における鉄道の役割、さらには海運の役割、またはトラックを初めとする自動車交通での役割。これは本当に、お互いが縦割り社会の中で、特に国交省の中で局がみんな違うわけですね、それぞれが何とかそこを守っていこうとしてやっていくと、何か整合性がとれなくなってくる。まさに国土交通省という形となって、しかも道路を、今参議院の方で審議しておりますけれども、今後の道路のあり方のことも含めて、そういうことを総合的に、今までも検討されてきたと思うんですけれども、さらに検討を進める中で、大切なのは、国民の皆様方に理解をしていただく、なるほどこうやって今後の交通体系はこうなっていくんだな、こういう安心感を与えていただきたいということを御要望申し上げまして、終わりにしたいと思います。

  ありがとうございました。
 

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