連載126 くだらない政局の駆け引きはいらない 一日も早い「安心、希望」を


 
 
くだらない政局の駆け引きはいらない
一日も早い「安心、希望」を
 
 
 
 
 
 
  文章が書けない。言葉がなかなか浮かんでこない。
 
 東日本大震災が発生して3週間以上が過ぎた。当初、テレビや新聞、雑誌などのメディアは震災しか報道しなかったが、最近は違うニュースや番組も増えてきた。
 
 被災地ではまだ多くの方が避難所生活を余儀なくされている。肉親を失い、家が流されても懸命に生きている。
 
 原発問題も連日の報道で不安を増幅している方も多いと思う。
 
 新聞記者時代、事故や事件を取材して記事を書いた。当事者の悲しみや苦しみは本当は分からないかもしれない。だが、その気持ちを何とか記事にしようともがいたことが何度もあった。
 
 多くの国民が今回の震災の被害の凄まじさに声を失った。だが、その多くの国民は被災された方々に思いを寄せ、何とか応援したいという気持ちを持っている。義援金をカンパし、計画停電にもじっと耐えている。
 
 そのような中、「日本を信じよう」と特集を組んだ週刊誌があった。いつもは政治に対する批判やスキャンダルが多い雑誌の中にあって、新聞の記事下の広告に載った「日本を信じよう」という文字に勇気をもらった気がした人も多かったのではないか。
 
 「こんな時だからこそ、自分たちの力を信じよう。こんな時だからこそ、希望を持って前を向こう。こんな時だからこそ、他人のためにも働こう」特集の冒頭に書かれていた。
 
 震災時、都内の飲食店でアルバイトをしていた女子大生が翌日、ツイッターに書き込んだエピソードも紹介されていた。
 
 満席だった飲食店。地震で客が一時、外に避難してもらったが、地震が落ちついてから、多くの客が料金を払いに戻ってきた。戻ってこなかった客も翌日、店にきて払ってくれたという。その女子大生は最後にツイッターでつぶやいた。「日本ていい国」
 
 原発で今も戦っている東電関係者をはじめ自衛隊員や消防、警察関係者。自ら被災しながらも被災者支援をする自治体関係者や医療・介護の従事者。被災地区ではないが被災者の方々への「何とかしたい」という思いを持った多くの人々。
 
 今、政治に求められているのは、くだらない政局の駆け引きなんかじゃない。一日も早く日本人に「安心」を持ってもらい、復興への「希望」を持ってもらえるようにすることだ。
 
 
 


 
 
 
 
(平成23年4月5日付 「夕刊フジ」より転載)


 

2017年02月20日