連載144 国政の「五十肩」は許されない


 
国政の「五十肩」は許されない
 
 
 
 
 
 
 「いっ痛!」
 
 右肩に鈍痛を感じた。少しでも腕を動かそうとすると、ビリビリッと痛みが走る。昨年12月30日の朝のことだった。
 
 痛みは次第に鋭くなり、その日の夜は寝返りをうつこともできず、何もしなくてもズキッ、ズキッ、と激痛が襲ってきた。
 
 いよいよ「五十肩」がやってきたのだ。実際の年齢も52歳だから、別におかしな話ではない。と、冷静に書いているが、その時はそんなものではなかった。
 
 しばらくは湿布を張ってしのいでいたが、痛みを抱えたまま新年を迎えた。
 
 2日午前には新宿駅西口で、恒例の公明党・新春街頭演説会。山口代表、太田・党全国代表者会議議長(前代表)らと共にマイクを握るのだが、何しろ右手が動かない。仕方なく左手でマイクを持ち何とか話した。毎年、寒さで凍えるが今年は痛みの方に気をとられて、この日は寒さをあまり感じなかった。
 
 公明新聞に演説会の写真を載せることから、山口代表の演説の時、街宣車の上に乗っている議員は手を振ってもらいたいとの要請。私は左手しか上がらない。隣にいた同僚議員2人も私に合わせて左手を振ってくれた。
 
 演説会が終わって、「五十肩」の先輩である太田議長が「陽ちゃん、肩を温めることだよ」とアドバイス。でも、「自然に治るのを待つしかないよ」とも。
 
 困ったのは食事。左手に箸を持つが、茶わんを持てない。服を着るときも妻に手伝ってもらう。「何か要介護者みたいね」と妻。「近い将来、こんな感じで世話されるのかな」と私。
 
 1週間ほどして、痛みもおさまり、腕もだいぶ上がるようになってホッとした。「五十肩」の原因はよく分からない。ただ肩関節は人体の中でも可動域が最も広い関節だけに構造は複雑なようだ。
 
 年が明けて、いよいよ通常国会がスタートするが、国政の方も課題が複雑になって、硬直化している。社会保障と税の一体改革の素案を政府・民主党は一応まとめたが、与野党協議の見通しは不透明だ。
 
 「五十肩」は自然に治すしかないが、国政はそうはいかない。ただ、野田首相は消費税増税に「不退転の決意」で臨んでいる。
 
 「五十肩」も無理して動かすと悪化してしまうが、国政も力技だけでは動かない。ツボを押さえないと政治は固まったままになってしまう。
 
 
 
 
 
 


 
 
(平成24年1月11日付 「夕刊フジ」より転載)


 

2017年02月20日