連載73 首相は「立場」「責任」の自覚を



 
首相は「立場」「責任」の自覚を
 
 
 
 
 
「篤姫」にはまる理由
 
 
 「あっ篤姫だ」
 
 テレビのCMで宮﨑あおいさんが出ていると、思わず口走ってしまう。NHKの大河ドラマ「篤姫」にはまっている読者は多いと思う。私もその一人だ。
 
 「何がいいの?」と問われても、うまい答えは見つからない。これまでの「篤姫」の平均視聴率は24.13%(16日放送分まで)。つまり4人に1人は見ていることになる。
 
 大河ドラマというと、先日亡くなった緒形拳さんが主演した「太閤記」(1965年)を思い出す。まだ小学生になる前だった。親が見ていたので、一緒になって見ていた。
 
 中学の頃は、大河ドラマの原作本を読むのが楽しかった。72年「新平家物語」(吉川英治)、73年「国盗り物語」(司馬遼太郎)74年「勝海舟」(子母沢寛)。それがきっかけとなって、歴史小説が好きになった。
 
 不思議なことに子供の時の記憶は、40代後半になった今も鮮明に覚えている。当時の大河ドラマのセリフを再現してみせると、妻が「よく覚えているのね」と感心してくれるが、その一方で、「何か役に立つことある?」と厳しい一言。
 
 だが、社会に出てからは大河ドラマはおろか、テレビのドラマを見る機会がめっきり減ってしまっていた。ところがだ、今年の「篤姫」は違った。日曜の8時に自宅に戻れない時は録画をして見ている。冒頭にも書いたが、何がいいのかよく分からないが、ついつい見続けてしまっている。
 
 その「篤姫」も残すところあと3回。幕末のクライマックスの江戸無血開城に向けてドラマは進行している。
 
 NHKの「篤姫」公式ホームページには企画意図がつづられている。「個人個人が責任ある行動を取ることの重要さは、今も昔も変わりはありません。(中略)篤姫、後の天璋院は、幕末にあって、まさに責任ある行動をとった人物です。(中略)自分の立場、責任を自覚した篤姫の行動が、江戸無血開城に大きな役割を果たしたのです」
 
 今の日本も、時がたって振り返ってみると、大変な激動の時代だったと言われるかもしれない。そのような時に、政治に関わる身としては「責任ある行動」をとっていかなければならないと痛感している。
 
 封建的な時代でも一女性として「立場」「責任」を自覚した篤姫の行動が、多くの視聴者を引きつけた。このところ、麻生首相の言動、一挙手一投足にマスコミから厳しい批判が集中している。
 
 ここは篤姫ではないが、日本の舵取りを担った麻生首相は踏ん張りどころだ。首相としての「立場」「責任」が注目されている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成20年11月26日付 夕刊フジより転載)
 

 

2017年02月20日