連載71 朝日社説”定額減税批判”に反論する


 
朝日社説“定額減税批判”に反論する
 
 
 
 
「ちょっといいかな」
 
 2人の子どもが寝静まった後、家計簿をつけている川村明日果(35)に、夫の和彦(35)が正座をして話し始めた。
 
 「実は…、ボーナスがかなり減るらしい」
 
 会社の現状を話す和彦。しばらく沈黙が続いた後、明日果は笑顔で答えた。
 
 「分かった。大丈夫、やりくりします」
  
      ◇       ◇       ◇
 
 公明党の政策や実績をドラマ仕立てで紹介するショートムービー「MY LIFE~明日果の生活」の1シーンだ。このドラマは公明党のホームページや動画配信サイト「ユーチューブ公明党チャンネル」で配信されている。
 
 今年に入ってからの物価高。給料が上がらないどころか、実質的に減っている現実。景気の後退など、国民の生活に荒波が押し寄せている。
 
 そのような中、今月末に政府・与党でまとめる第2次の経済対策で「定額減税」が盛り込まれる。公明党は2兆円を超える規模で、夫婦と子どもの計4人家族で6万5000円程度の減税を主張している。
 
 ところが、22日付の朝日新聞社説が、この「定額減税」をボロクソに批判した。減税より国債返済の方が優先すべきと主張し、「薄く広く減税するのは愚策といわざるを得ない」とこきおろしている。
 
 先日、大阪府の橋下知事が朝日社説にかみついたが、私も反論をしたい。
 
 9月に厚労省が発表した「国民生活基礎調査」では、「生活が苦しい」と感じている世帯は57.2%で6年連続で過去最多。また昨年の1世帯あたりの年間平均所得は566万8000円で、所得が平均を下回った世帯の割合は過去最多の61.2%。
 
 テレビキャスターや評論家も「減税しても貯蓄にまわって経済効果がない」などとコメントしている。しかし、立命館大学の高橋伸彰教授は「それはギリギリのところで生活している人の苦しみを無視した無責任な立場からの意見」と指摘する。
 
 「貯蓄にまわる」との意見に対し、高橋教授は「そんな余裕がある人ばかりなら、各種の世論調査で生活が苦しいと答える家計の割合が急増するわけがない」とバッサリ。
 
 キャスターや評論家、朝日・社説の筆者の年収は「ウン千万円」なのでは…。平均年収以下で、子育てをし、小遣いを減らし、生活を切り詰めている人の痛みをどう思うか。
 
 財政の理論は無視していいとは思わない。だが苦しんでいる人に手を差しのべるのが政治だ。朝日新聞は「弱者の味方」ではないのか。ちなみに朝日ではないが他の新聞社の記者が私に言った。「私も定額減税してもらいたいです」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成20年10月29日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日